令和8年1月21日(水曜日)13時00分~15時00分
文部科学省会議室(※Web開催)
【菅野主査】 それでは、ただいまより第13期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第3回を開会いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、文部科学省会議室及びオンラインでのハイブリッド開催となります。
それでは、委員の出欠及び本日の会議の流れの説明を事務局からお願いいたします。
【伊藤補佐】 主査、ありがとうございます。文部科学省研究振興局ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官付補佐の伊藤でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず出欠確認を行わせていただきます。本日は、折茂委員、萬委員が御欠席と伺っております。
次に、配付資料の確認ですが、本日の配付資料は、議事次第に記載のとおりとなっております。不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
次に、会議の進め方です。本日は、オンラインの参加者におかれましては、雑音防止の観点から、御自身の御発言以外はマイクをミュートにしていただいて、ビデオをオンにしていただくようお願いいたします。また、御発言を希望される際は、挙手もしくは挙手ボタンにて御発言の意思を御表明いただければと思います。
会議の流れについてです。本日は、議題1といたしまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の政策動向について、事務局より御説明した後、本議題についての御質問や御議論をいただく予定です。
続きまして、議題2として、物質・材料研究機構(NIMS)の機能強化の方向性について、まず事務局から文科省の今後の推進方策の論点について説明いたしまして、その後に宝野委員よりNIMSの取組について御説明いただきます。その上で、本議題について皆様に御議論いただく予定でございます。
事務局からの説明は以上となります。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、議題1の「ナノテクノロジー・材料科学技術分野の政策動向について」に入ります。
まず事務局より資料1の説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 ありがとうございます。資料1をお願いします。
本日、まず議題1で政策動向を紹介した上で、今後の推進方策を議論したいと思っています。前回の委員会から約半年程度経過いたしまして、多くの動きがありましたので、その御報告となります。
本資料は、ナノテクノロジー・材料分野を取り巻く政策動向について、日本成長戦略、次期科技・イノベ基本計画、AIマテリアル戦略、そして、予算の順に整理したものになります。
4ページ目、お願いいたします。まず政策動向についてです。日本成長戦略についてです。危機管理投資・成長投資を通じて、日本経済の成長を実現するために、17の戦略分野と分野横断の課題が設定されています。左下でございます。
マテリアルにおいては、経済安全保障やサプライチェーン強靱化、GX、循環経済、それから、AI・半導体といった先端技術の基盤として、戦略分野の一つとして設定されたことが大きなポイントとなっています。そして、右下の破線の部分、こちらが昨年の経済対策の抜粋になりますが、文部科学省関係としては、AI for Materialsの推進を掲げております。この日本成長戦略は今年の夏までに策定することとされておりまして、それに向けての検討体制を次で御説明いたします。
飛ばして6ページをお願いします。成長戦略会議では、このマテリアルについて、経済産業省の産業構造審議会、さらにその下の製造産業分科会において具体化を進める整理となっています。検討する論点といたしましては3つ提示されておりまして、重要鉱物の代替材料の開発、調達先、規格化、供給安定化に加えて、AIを活用した新たな手法や材料技術開発というのが挙げられております。関係省庁として文科省も位置づけられておりまして、主に論点の3つ目のところで、研究開発の観点から連携していきたいと考えています。
次のページ、お願いいたします。また、分野横断的課題としては、人材育成というものも掲げられておりまして、教育改革、リ・スキリング等に加えまして、この赤で囲っているところ、国立研究開発法人の機能強化というのも論点として示されております。また、昨年11月頃にCSTI本会議がございまして、そこで高市総理から、研究開発法人の技術シーズの徹底した社会実装という御発言もありましたけれども、これらの点も意識して、今日の議題2のNIMSの機能強化に向けた議論をしていければと考えています。
次のページ、お願いします。以上が成長戦略の動向ですけれども、次に、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況についてでございます。現在、CSTIの専門調査会やワーキンググループなどで科学技術政策の大転換に向けた議論が進められております。特にこちら、そのたたき台というところで目次を示しておりますけれども、赤いところがマテリアル分野においても強く関係するところということで、今日は特にこのAI for Science、国研の機能強化、それから、技術領域の戦略的重点化などについて御説明したいと思います。
次のページ、お願いします。マテリアルの位置づけについてです。次期科技・イノベ基本計画においては重要技術領域というものの設定が提案されておりまして、大きく2つ、新興・基盤技術領域、それから、国家戦略技術領域の2層構造を設けて、技術の性質に応じて、各省庁横断で支援を講じる考え方が示されております。
1つ目の新興・基盤技術領域というのは、こちらは日本成長戦略の戦略分野、17個ありますけれども、それらを踏まえたものになっていまして、将来の社会変革の芽を広く育てるために、幅広い分野の研究力、そして、基盤力を底上げする領域となっています。探索的、長期的な研究と、データ、設備、人材など、共通基盤の整備を併せて支援することとなっています。
2つ目の国家戦略技術領域というものは、こちらは領域数を絞ると示されておりまして、国際競争や経済安全保障の観点から、国家として勝ち筋をつくるべき重要領域で、明確な目標、時間軸の下で、集中投資と実装を加速する領域となっています。府省横断、官民連携で、研究から社会実装まで一体で支援するというところが特徴となっています。
次のページ、お願いします。では、マテリアルはどうなっているかというところですが、ここですね。2つの2層構造の下で、マテリアルは新興・基盤技術領域として幅広く支援しながら、半導体、量子など、国家戦略技術の勝ち筋に直結する素材、材料というのを重点投資で上乗せしていくというような整理になっています。文科省としては、基礎研究の厚みを確保しながら、研究基盤とAI for Science、それから、AI for Materialsというのをてこに、重要技術の研究開発、社会実装を加速することが要点になると考えています。
次のページ、お願いします。それから、文科省の有識者会議のほうで、「科学の再興」をキーワードに議論が進められてまいりました。こちらは提言の概要になっておりますが、研究力の相対的低下や研究環境の課題を踏まえて、研究システム全体の刷新、それから、機能強化を進める方針が示されています。下の部分が具体的なところになってきますけれども、挑戦的研究の拡充、国際性の向上、研究人材の継続的育成に加えまして、AI for Scienceによる研究スタイルの革新、設備共用をキーとした研究環境の刷新、それらに引き合わせる形で、右側の研究大学群や国立研究開発法人の機能強化などが挙げられております。
次のページ、お願いします。ここからAIの話に入ってまいります。今月の14日に開催されました情報委員会の資料、議論を抜粋して紹介したいと思います。文科省のほうでは、AI for Scienceの推進に関する基本的な推進方策のようなものを今後、策定、議論していくことになっておりまして、ここでAI for Scienceとはどういったことをイメージしているのかといったものがスライドになっておりまして、AI技術を科学研究のあらゆる段階に適用して、研究の高度化、効率化、さらには自律的な研究駆動までを視野に入れて、研究プロセス全体を変革する取組と考えています。政策としては、AIそのものの研究、こちらをScience for AIと言っていますけれども、それから、AI for Scienceを実現するための環境、計算資源、データ、設備、人材というのを一体的に整備することが重要と考えています。
次のページ、お願いします。こちらがマテリアル分野ではどういった変革を目指すかといったスライドになっています。左側のところが過去、そこから真ん中、現在、右に将来と続いていきますけれども、これまでマテリアル分野では、経験、勘、セレンディピティに依存した探索というのが行われてきましたけれども、マテリアルDXの取組によって、データ駆動型研究というのが普及してまいりました。ただし、今後はウィズAI時代に突入してきますので、それに適した研究スタイルへとさらに変革していく必要があると考えています。
将来像としまして、自動・自律研究開発拠点群の整備、AI-Readyな理化学機器開発の振興、マテリアル基盤モデル、AIツールの開発・活用などを通じて、人とAI、ロボットが調和しながら、革新的マテリアルが断続的に創出される環境というのを目指していきたいと思います。
次のページ、お願いします。改めて背景をざっと整理したものになっていまして、まずは日本政府の状況としましては、先ほども少し紹介しましたように、次期基本計画においては、科学技術推進システムの刷新というのが掲げられておりまして、ここにAIの力を使っていくと。また、先月策定されましたAI基本計画では、イノベーションの促進とリスク対応、この2つを両立しながら信頼できるAIを追求して、世界で最もAIを開発・活用しやすい国というのを目指す方向性が示されています。
左下、日本の強みと課題についてですが、強みとしては、基礎研究力や高品質な実験データがあること、また、HPCIやSINETなどの計算基盤にあると考えていますが、一方で、弱みとして、課題としては、AI研究力、AI人材の層の薄さ、計算資源、AI Readyデータの整備と分散、研究コミュニティでのAI活用の裾野拡大が課題として整理されています。
右側が国際動向ですけれども、国際的には、AI for Scienceを国家的ミッションとして位置づけ、研究投資、計算基盤、人材育成というのを一体で強化する動きが加速しているところです。
次のページ、お願いします。これらを踏まえた今後の大きな方向性のスライドになっています。AIを活用して科学研究を根本から革新し、研究パラダイムも変換するということになっていまして、2030年代に向けて、AIが研究の一部として自然に活用され、我が国は研究力の中核として国際的に認知されること、それから、自律性と信頼性を備えた研究国家として確立することを目指しています。
この考え方は、右下の三角形の図を見ていただければと思いますが、裾野を広げて研究力全体を底上げするという取組と、重点領域で世界を先導するトップ層の取組を同時に進めるという2つの目を持っています。後ほど最後の予算のところで説明しますが、補正予算において、AI for Scienceによる科学研究革新プログラムというものが措置されまして、この2面性をあらゆる分野の波及と重点領域の集中投資の両輪で具体化したものになってございます。
次のページ、お願いします。マテリアル革新力強化戦略の動向でございます。これまで御説明してきました成長戦略ですとか次期科技・イノベ基本計画、AI for Scienceの議論というのをマテリアル分野として、研究から産業まで一気通貫で実装するための取組と考えていますが、昨年、戦略が改定されましたが、さらに現在は内閣府において、これをさらに具体化する推進方策の検討が進められております。この推進方策の検討においては、いつまでに何を達成するかというのを明確化しながら、鍵となる要素と現行施策のギャップを整理し、官民の役割分担と投資の重点化を詰めていくという流れとなっています。
次のページ、お願いします。推進方策の鍵となる要素として3本柱が整理されております。右下のところです。
1つ目、AI for Materialsにつきましては、データとAIというのをてこに、探索から評価、プロセス最適化までをつないで、研究の知の生産性と開発スピードを上げる柱となっています。マテリアルDXプラットフォームの高度化や、基盤モデル、AIツール、AI駆動ラボの整備というのがここに当たってまいります。
2つ目の官民研究開発投資というところは、日本成長戦略でもキーワードとなっていますが、基礎研究の厚みと、共通基盤への公的投資を起点として民間投資を呼び込み、重点領域で日本の勝ち筋をつくる考え方だと考えています。言わば日本版IMECのような拠点形成ですとか、データ戦略とセットでの投資が論点になると考えてございます。
3つ目の国際共創基盤、こちらは経済安全保障や、環境規制の強化を前提にしまして、投資国等との対等な連携を進めながら、標準化、データ連携、知財の扱いまで含めて、信頼の上で成果を上げる柱となっております。
次のページ、お願いします。この推進方策を検討するに当たっての体制図になってございます。3つのタスクフォースというのを立ち上げて、短期集中で推進方策を取りまとめる予定となっています。このうち、右のところですね。国際戦略・国際人材タスクフォースにおいては、この委員会の関谷先生を主査として、議論のリード、まとめていただくことになっております。内閣側の議論ですので、分野横断、省庁横断の全体設計が議論されることになっておりますけれども、文科省としては、研究基盤と人材研究拠点の強化について責任を持って議論を進めることが重要であると考えておりまして、特に本日も発表いただきますが、NIMSにおいては材料分野に特化した国研として、データ中核拠点やセキュアな研究環境整備を含むハブ機能が期待されているところです。このため、この後の議題では、AI for Materialsの加速と、NIMSの機能強化、拠点機能の論点を委員の皆様に御議論いただきたいと考えています。
続きまして、最後、予算になります。20ページ目をお願いします。マテリアル革新力の強化として、令和8年度予算と補正予算をまとめた図になっております。当初予算案につきましては、181億円、令和7年度補正予算としては、45億円となっています。
下の部分、事業内容のマル1を御覧ください。1つ目がARIMです。こちらは、当初予算としては前年度同額、それに加えまして、補正予算として、ウィズAI時代に向けた装置のハイスループット化などの前倒しというのを10億円程度、補正予算で積んでおります。右のデータ中核拠点のところは前年度同様となっております。
左下、マル3、2つありますけど、1つ目、DxMTは、前年度の研究費、活動費に加えまして、産学連携の体制強化費として3,000万円程度の増となっております。その下、NIMSにおけるデータ駆動型研究のところですけれども、一部取組の終了に伴って予算減とはなっていますけれど、当初予算の減とはなっていますが、補正予算のところで、次世代半導体開発や、AI計算機の性能向上に資するような熱制御デバイスの開発技術の構築に必要な装置を補正予算として前倒しで措置するということで、併せて前年度同程度を確保しているところであります。
最後、マル4、右下のところですが、こちらはマテリアライズ事業の終了に伴って予算は減少しておりますけれども、補正予算として、NIMSの施設整備関係で33億円程度措置しておりまして、例えばセキュアな環境で重要技術研究を行うための研究等整備費などを計上しております。
次のページ、お願いします。関連して、AI for Scienceによる科学研究革新プログラム、補正予算として370億円の紹介をさせていただきます。
先ほどのAI for Scienceの動向の紹介でも挙げましたけれども、このプロジェクト型とチャレンジ型の両輪の体制となっておりまして、国のコミットメントの下で計算資源などのリソースというのを戦略的に配分しながら、我が国の勝ち筋となる重点領域への集中投資により、世界を牽引することを目指すものになります。
事業としては、今申し上げたような重点領域での基盤モデル、AIエージェント開発、これらと自動・自律実験のオーケストレーションシステム等を統合した次世代AI駆動ラボシステム開発と我々は呼んでいますけれども、これらを一体で推進するようなプロジェクト型、320億円で3年間のJST基金となっております。これらと、あらゆる分野でのAI活用を広げるチャレンジ型、こちらは単年度50億円の2つで構成されています。
重点領域と先ほどから申し上げているんですが、この下の部分、取組のイメージで、これはあくまでイメージとなっておりまして、重点領域は今後、有識者会議によって議論、設定されてまいります。しかしながら、各国のAI for Scienceの戦略を見ましても、マテリアルというのは重点領域の一つとして想定されておりますし、マテリアルDXプラットフォームなどで整備したデータ基盤とも連動させながら、本予算事業によって、マテリアル分野のAI for Science、AI for Materialsが加速されることを期待しております。
駆け足となりましたけれども、事務局からは以上になります。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。この半年間でかなり情勢が変化して、ガラッと変わっているような雰囲気になっていますけれども、いかがでしょうか。
【所委員】 よろしいでしょうか。
【菅野主査】 では、所委員、よろしくお願いいたします。
【所委員】 充実した資料を拝見させていただきました。ありがとうございます。
この半年で、AIに対する取組というのがずっと加速してきたんだと思うんですけれども、その中で、企業もそうですけれども、加速していくためにはどんどん使っていくということがまず大事だと思うんですけど、一方、そこに、裏側にある光と影というか、ちょうど昨日も報道にありましたけれども、リスクの部分というのもあって、特に経済安全保障とかと言ってくると、アカデミアは、企業に比べれば自由度は高いんですけれども、だけれども、やはり機密事項もあるというものの使い方のところの整備というのが、今、日本もいろいろ法令なども考えているんだとは思いますが、それより先にこちらが進んでいるので、どう倫理感を醸成し、スピーディーにつくっていくかということが鍵になると感じております。
その辺、アカデミアとしてはどういう体制でいくのかみたいなところが重要だと思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。重要だということしか言えなくて申し訳ないんですけど。
【菅野主査】 事務局から。
【服部参事官】 では、私から答えましょう。大変その点、政府も認識をしていて、ただ、今、明確に答えを出しているかというと出せていないというのが正直なところです。
それは日本に限らず、世界も今そうなのだと考えていますので、やはりそこは、一つの鍵というのは国際連携で、そういった感覚というか、常識というか、つくっていくという努力をしていくということはすごく重要かなと思って、こういう国際コミュニティにしっかり入ってやっていくということで、そういった現場を抱えながら考えていくしかないのではないのかなと。これは個人的な意見ですけれども、政策としてまだ議論を進めていませんけれども、そういったことが肝になるのじゃないのかなとも思いながらですね。ですので、このAI for Scienceの科学研究革新プログラムについてもやはり国際連携といったところを軸に置くべきではないのかなという議論がなされている状況でございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。研究のセキュリティとインテグリティという2つの観点からの議論は、今現在、文部科学省の中でも行われて、それが実際に行われる段階になっています。JSTに助言のシステムが入って、大学にも来ているという状況で、それはAIが入ってくる前の段階の議論ですけれども、AIがあったときにどうなるかというのはこれからの課題ですね。
ほかに。藤井先生。
【藤井委員】 今、所委員からお話あった点について、私もお話をしたいなと思っています。本当に所委員からのお話、大事だなと思っていて、多分よくデータでオープン、クローズと言われるクローズドの部分だと思うんですけれども、そこはいろいろ、私は大学ですので、共同研究のプロジェクトを企業とやらせていただいたり、ほかの大学の先生とやらせていただくんですけれども、これは例えば研究室のシステムで、AIを使ったRAGとかにする場合とか、基本的に混ぜられないわけですね。それぞれちゃんと誰のデータであるのかという、データの所有権、それが個人なのか、グループに帰属しているのかというのをきっちり定めておかないと、クローズドデータの活用というのはかなり難しくなると。
では、それをどう進めるのかというところですけど、これはなかなか手間暇もかかるところもあるし、難しいところもあるんですが、私たち、電子ラボノートを今、推進していまして、データに帰属される、所有権が付与されるという取組を進めていまして、そういう進め方で、データが本当に誰のものなのか。まず大学としても、誰というのがきちんとデジタル情報になっていないと、例えば私という情報がちゃんとデジタル領域にあること。どういう研究、レポートラインのところにいる人なのかというのが、デジタル化というのはもう少し進めていく必要があるのかなというのを今、感じています。
以上です。
【菅野主査】 ほかにいかがでしょうか。平田委員。
【平田委員】 御説明ありがとうございました。ちょっと視点が違うかもしれませんが、15枚目で御説明いただいた、世界を先導する科学技術成果の創出と、底上げという、2つ、方向性あります。これはそのとおりだと思いますし、先導するほうはどんどん先生方にやっていただければと思っています。
文科省さんで考えておられるほど大きなことではありませんが、社内でも研究者がどんどん新しいものをつくって行く。それはどんどんやれます。それよりも大変なのが、普及させ底上げすることで、そこで一番ボトルネックになってくるのは、もちろん時間、そして、お金。要は、こういったシステムだと、それを皆さんが使いやすいソフトにするためにはどうするか、クラウドシステムなどの使用料もそれなりにかかってきますし、全体の立てつけの中で普及させていこうと思うと、その分のお金を相当取っておかないと普及して行かないと思います、その辺りの議論は進んでいるのでしょうか。
【服部参事官】 今、その議論が明確に省としてできているかどうかというと、これはできていないと思います。ただ、今、マテリアル分野の中で、我々で議論しているのは、もう平田先生がおっしゃったとおりで、やはりツールに落とし込まなきゃ広がらないというのは事実ですね。では、それを、ツールをつくれる者は誰なのかというところをちゃんと考えた上で、その人たちとのコラボレーションというのを、ある意味、戦略的に組むということ。何か失うものがあったとしても、得るものを考えた上で組んでいくというスタイルに変換していかないといけない時代にいよいよ我が国も入ってきているのかなというのは関係者の中では話をしていますし、そういうふうなプロジェクトが今後やっていくことができれば。そういった議論は今、マテリアル戦略のタスクフォースですね。そういったところにもなされつつありますけれども、そういったことが実際の実行としてやることができていくと、また実態が見えてくるのかなと思っております。
【平田委員】 ありがとうございます。少し下世話な話になってしまいますが、いろいろなアプリをつくって、今は動きます。実際に使っていくと大きな問題になってくるのは、アプリは、何らかのプラットフォームの上で動いているので、プラットフォームがバージョンアップされると、それに合わせて変える必要が生じる場合がある。このような費用まで含めると、これは私たちだけかもしれませんけど、もう我々では手に負えない、プラットフォーマーに乗っかるしかないということも現実に起きるかと思います。そうなってしまうと、プラットフォーマーに、従うしかない状態になってしまうので、予め何を準備しておくかということはすごく大事かと思いました。特に普及フェーズを考えると。
【服部参事官】 おっしゃるとおりです。プラットフォーマーの人たちとどういうふうな関係性を築いていくのか会話をしないと、多分そういったことが起きていくと思いますので、やはりそのコミュニティの中にちゃんと入っていくということが最低限やらなきゃいけないことになるのではないのかなと考えているところです。
【平田委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 ほかにいかがでしょうか。
【伊藤委員】 御説明ありがとうございました。本当にこの半年でかなりマテリアルの革新といったところが具体的になってきたなというのを印象として受けました。国際協調しつつも、国際的に勝っていくというところ、御説明の中ではあったかなと思うんですけれども、マテリアルと申し上げてもかなり領域が広いので、その中で具体的に、この辺りを強化していこうみたいなお話がもし出ているのであれば、少し御紹介いただけるとありがたいなと思った次第でございます。
【服部参事官】 ありがとうございます。それは日々、多分、関谷先生も含めて、有識者会議のメンバーの皆様方、本理事長も含めて、悩まれているのだと思いますけれども、ただ、もうおっしゃるとおりで、決めなきゃいけないというところはある。だから、ここも、まさに今出ているこの両輪の図ですけども、まさに今、伊藤先生がおっしゃったところというのは、では、このトップはどうなのかというところを決めくてはいけないよなという話だと思うのですけれども。
【伊藤委員】 なかなか研究者人数を考えても、国際的にたくさんいるというわけではないと思いますので。
【服部参事官】 はい。そこの議論というのは今決めなきゃいけないな、そろそろ決めなきゃいけないなと思っていて、それをどういうふうにやったらいいのかというところは、正直、今、解があるわけじゃないですけれども、ただ、先ほど伊藤から説明がありましたけれども、こういうふうな、AI駆動、マテリアルラボ拠点なるものが存在するのであれば、そこでの戦略領域というのはどこなのかという言葉を探す作業は多分していかなきゃいけないですし、そうやって考えたときに、やはりそこは投資が続かないとそもそも目的が達成されないというところもあるので、ある意味、結論はもしかするとシンプルなのかもしれないですし、そういった多角的な視点を踏まえながら、そこの何らかの打ち出しというのは、マテリアル戦略、有識者会議の中でやられていくのではないのかなという期待感を持って、文科省の参事官としては内閣府に期待しているところです。
【伊藤委員】 承知しました。産業側としてもどういうふうな形で動いていくといいのかなという参考になると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【服部参事官】 はい。お願いいたします。
【菅野主査】 ほかには。では、塩見先生。
【塩見委員】 では、私は、伊藤さんの御発言に乗っかる形なので、すみません。自分で考えていたというより、今、伺っていて、そうだよなと思ったでんすけど。ちょうど私はJSTのCRDSでエネルギーの研究として、次、何をやるかを検討する主査をやらせていただいていて、そこで最近、すごい議論として盛り上がっているのが、まさに今、伊藤さんの話で、エネルギーなんかは分かりやすいと思うんですけど、レイヤーがいっぱいあるじゃないですか。現象のレイヤーと材料のレイヤーと。もうちょっと上に行くと、社会のレイヤー、環境のレイヤー、サプライチェーン、経済性とかとありますよね。それぞれでレイヤーが出て、いろいろな研究者がいて、言葉を選ばず言うと、上のレイヤーの方々は、材料の研究者、なぜこんな研究をしているんだろうと思っている人が結構いるんですよね。材料の研究者は、それなりにやはり日本の強みとか面白い現象を生かして、しっかりやっていこうと思っているんですね。その2つのレイヤーが、情報がつながっていないんじゃないかみたいな話があって、そのシミュレータ、例えば材料側の人たちがアクセスして、いろいろなファクターを含んだときのシミュレーションができて、自分の今の研究というのが、LCAとかも含めて、どういう位置づけにあるのかというのを明確化しようみたいな話が出ているんですね。
理研とかでもそういう議論が進んでいると聞いているんですけど、要するに、今の話って委員会で話していて解決する話ではないんじゃないかというのが正直なところで、もちろん参事官は分かっていらっしゃると思うんですけど。なので、もうちょっとファクトに基づいたシミュレーションができる土台というのがあった上で、委員会があったほうがいいんじゃないかなと。すみません、今、伊藤委員の話を聞いて思った次第です。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。
では、堅達委員。
【堅達委員】 御説明ありがとうございました。以前の会議のときよりもAIが占めるスペースがすごく、それは当たり前で、急速に今、加速度的に技術が進歩していますから、もう2年前のAIとは全く違う、AIエージェント化しているというのは私も別の取材で存じ上げているところです。要は、今、リスクとかセキュリティーの話もありましたけど、年明け以降、世界情勢が大変なことになっておりまして、同盟国で本来あるべきアメリカ、今、すごい険悪な状況にある中国、AIはここが二大巨頭で、我々と開発費用が2桁も3桁も違う両巨頭なわけですよね。そこの中で、今、完全にアメリカを100%信じていいとも言えないぐらいのとんでもないこと、国際法を無視したり、同盟国でもひたすら関税かけたり、下手すると情報を全部自分のものだ、僕のものだとジャイアンみたいに言って取っていっちゃったりとかするとか、あらゆる想定外のリスクがある。VUCAの時代とよく言われますけれども、そういった世界情勢については、今回の方向性といいますか、文科省としては、ある意味、どこかで頑張って自前主義も少しやっていかないと、育てていかないと実は立ち行かない世界が、この後、2030年代とかに広がってくる可能性もゼロじゃないんですが、基礎科学の部分を育てていくのには時間かかるわけですよね。その辺の世界観をどういう分析をされておられるのか。難しい質問で恐縮でございますが。
【服部参事官】 私の答える能力を超えていますし、省内でそういう中長期的な議論がなされていたかなとちょっと記憶にはございませんが、ただ、まさにアメリカとどういうふうに付き合っていくのかということはすごく重要な点であるかなとは思っていますし、日本は、さはさりながら、世界からまだ信頼されている国なんじゃないのかなという自己認識はあって、実際、AIとかの文脈でもそうですが、結構アメリカとか他国から日本と一緒に何かやらないかという引き合いはまだ日本にはあると思っています。
そういった引き合いがあるうちにちゃんとコミュニティに入って、世界のプレーヤーとして位置づけられるべくやらなきゃいけない。なので、今回、文科省、特に材料分野、マテリアル分野の担当課から、やはりこういったところは重要じゃないかというところで、こういうようなAI for Scienceの取組を強化しようという提案を、今、省で伸ばそうかなという話になり、こういうふうになってきておりますので、まずはそういった、臨機応変に対応しながらということでしかないのかもしれませんが、今、日本が世界から注目されている競争力があるうちに、しっかりと我々も足腰を鍛えていくということが大事じゃないかなと思いながらやっているというのが今の状況かなと思っております。
【塩見委員】 話に乗っかってばかりで申し訳ないですけど、GENESISをどういうふうに捉えているかというのは関連する話なんじゃないかなと思うんですよね。今おっしゃってくださったみたいに、さっきのオープンクローズともつながるんですけど、オープンクローズというのは、ただ単にIPとかの話じゃなくて、もう政治が絡む話になりかねなくて、GENESISみたいなのがアメリカで走ったときに、アメリカがGENESISをどう囲うかみたいなのを見ながら、日本がそれに対して、くっつくのか、やはりそこは別で行くのかみたいな議論はあるんじゃないかなと想像するんですけど、そこはいかがでしょうか。
【服部参事官】 やはりGENESISミッションというのは、文科省としても非常に大きなプレーヤーというか、大きな話が来たかなという認識でいます。ですので、GENESISミッションとどういうふうに我々は、ある意味、連携ができるのか、できないのかといったことはやはり考えていかなきゃいけないのかなというふうには思っておりますし、やはりそこは重要なプレーヤーですし、彼らがもう日にちを区切って様々な取組を進めている中で、その情報も取り入れながら、アメリカとのチャネルも開きながら、それはやはり考えていくべきだと思いますし、そういったことがAI for Science基金の実際の採択される課題とかでも、こういうふうなコラボレーションというのがボトムアップ的に生まれてくればいいのかなと思っております。
【塩見委員】 今、昔よりもチャネルはあるんですね。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
では、中山委員、お願いします。
【中山委員】 ありがとうございます。ちょっとAIから離れてしまいますが、先ほど塩見先生がおっしゃったレイヤーのお話についてです。10ページを見ていただくと、これは基本計画のお話で一例ではありますが、先端機能材料とか磁性材料といった製造マテリアル関連技術に赤く色が入っていて、ここが本委員会と関連するところだと示されていると思います。では、レイヤーを捉えてよく見ていくと、上のほうで資源・エネルギーも、航空も造船も国土強靱化も創薬も、下のモビリティも、みんなこれらの最先端は材料です。しかし、これらは別々に考えられてしまっており、分断されて情報がつながらないことが非常にもったいないし、危ないとも思います。横断的に高め合うとか、付加価値をつけていくとか、向上していく力が、このように縦割りにすると失われてしまうという危機感があります。材料領域は横断的に考えるべきというのは昔からの議論ですが、実際にはそうなっていないことが非常に多いです。横断的なものを縦串に割って見てしまうと、どうしても窮屈で、表に出すものも小さくなって、結果的に小さなところに閉じ籠もって目立たないようなことに陥ります。本当は材料のレイヤーは横串で、AIも横串で、あるいは情報も横串ですよね。AIがすごい盛り上がいですが、そもそも横串であるAIのレイヤーと同様に、材料も横串であったはずです。AIが目立ち過ぎていますけど、材料の打ち出し方もそのようにしていくべきと考えます。
その下の国家戦略技術を見ても、AI・先端ロボットは材料が支えています。半導体・通信も材料が支えているのも明白です。量子もそうだし、ヘルスケアの関連技術、みんなそう。宇宙だって材料が大事です。例えば、宇宙関連材料では、JAXAさんとNIMSさんつくばの隣同士で付き合っているとは思うのですが。世の中を根底から支える構造材料だってNIMSはやっていますし。だから、そのような横断的な打ち出しをしっかりしていかないといけません。そうでないと、材料分野は目立たないで埋没してしまうような気がするので。これからNIMSさんのお話になりますが、材料をやっている研究所だけど、横断的に我が国を支え、各研究開発領域や社会への出口を先導するような、そんな表現をしてもいいのかなと思います。また今後の議論かもしれませんが、考えていきましょう。
以上です。
【服部参事官】 国家戦略、技術領域はまさにそんなふうなつくり方をCSTIはしてくれたのかなと思っていますけれども、横断的な、先ほど伊藤からも説明がありましたけれども、関連する素材材料はまさに横軸だという位置づけを一応、認識はCSTIもしているのだと思いますので、我々もそこを意識しながら。ただ、先ほど伊藤先生からも話があったように、幅広いので、どこに注目するのかというような問題とのバランスのところを、先生方のお力も借りながら、文科省としてやるべきことを考えていけたらいいかなと思っています。
【菅野主査】 ありがとうございます。事前説明のときに、伊藤さんには少し話したんですけれども、材料が股裂き状態になっていて、これ、どうするのと。ナノ材の立ち位置として極めて厳しい状況にあるということですね。先ほど塩見先生がおっしゃいましたけれども、エネルギーの分野ではレイヤーがあって、下の材料とデバイス側との見方が全然違う。そこで大変苦労している。材料の見方というのが、こういう出口からの立ち上げたプロジェクトでは、見てくれないんですよね。全く考慮しないということになるので、このナノ材の立ち位置として、材料をどのように取り扱うかというのをもう少し戦略的に考えないといけないというようなことを、この状況の、情勢の変化を見て、私は強く感じました。個人的な感想です。
【関谷主査代理】 関谷です。国際情勢が非常に大きく変わってきていて、先ほど堅達先生もおっしゃられたとおり、いろいろと政治とか情勢が変わってきているというところで、科学者コミュニティについて、少し私なりの考えをお話しできればと思うんですけれど、ちょうど9月ですかね。10月のSTSフォーラムのところで、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そして、日本。日本から学術会議の光石会長をはじめ、私もトップ会談に参加させていただきました。アメリカの科学アカデミー、それから、イギリス、ドイツ、フランス、みんなでディスカッションをさせていただきますと、ものすごく価値観がそろっているんです。本当に大切なことは何かとか、それから、もちろん政治としての難しさはいろいろとあるんですね。アメリカもそうです。それも本音で語りながら、でも、科学者としてはやはりこうすべきだとか、まず、この5か国で価値観が非常に高いということを共有して、非常に私自身も安心いたしました。
これをさらに発展させる形で、次、5月19日に、これはGサイエンスと呼ばれる、サミット、G7サミットの前にあります科学者コミュニティ、ここでG7の7か国トップ会談が開催されます。そこのテーマアップを現在、私、担当させていただいていまして、主催国でありますフランスと一緒にテーマのすり合わせをしているんですけど、そのすり合わせの中でも、G7の科学者とのディスカッションの中で、非常に価値観が近いということを確認させていただきました。ですので、もちろん政治としてのそれぞれの立ち位置は各国の事情によってあるということは十分認識しながらも、科学者は、少なくとも、いわゆる同志国と言われるG7の国は、アメリカも含めて、非常に価値が近いというところをまず私なりにも確認しておりますし、こういった価値が近いところでしっかりと連携していくことが重要だと思っております。
というのは、やはり情報というのは、何というんですかね、所有者が分からない。先ほど藤井先生も言われたように、所有者が分からないですし、いざとなったら、取ってしまえば、取れるものもたくさんある時代になってくると思うんですけど、そのときに信頼関係があるかどうかというところに物すごく大きなポイントが出てくると思います。科学者としてのコミュニティはやはりしっかりと横のつながりで会話をして、そして、それを次世代に伝えていくような取組があれば、まずは、AIによってマテリアルが情報化されても各国で連携していけるのではないかと思っておりまして、科学者コミュニティとしては、何かこう、大きな変化があったと私なりには見えていなくて、皆さん、科学者としての非常に高いレベルでの価値観が共有できているなというところを感じております。また、こういう和をもっと広げていくべきだろうと思っておりまして、日本としてのイニシアチブをとっていきたいと思っております。
以上です。
【菅野主査】 オンラインの先生方、いかがでしょうか。オンラインの先生方で御発言はいかがでしょうか。
今の関谷先生のお話ですけれども、昨年度、別の委員会で、セキュリティー、インテグリティー、特にセキュリティーの議論をした場合に、基本的な理念としては、やはりオープンなサイエンスであるということを非常に強く意識して、その上でのセキュリティーの議論ということで、オープンの自由な発想に基づく、オープンのサイエンスという価値観が一致することが前提にあるというのを非常に強く意識して議論をいたしました。その上でのセキュリティー、インテグリティー。インテグリティーではなくて、セキュリティーのほうですね。セキュリティーの議論があるということですね。
オンラインの先生はよろしいでしょうか。
宝野先生はいかがですか。後での順にしますか。
どうもありがとうございました。それでは、この議論はここまでにしたいと思います。
次の議題に移りまして、議題2、物質・材料研究機構の機能強化の方向性についてに移ります。
まずは事務局より、資料2-1の説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 ありがとうございます。それでは、資料2-1を御用意ください。本資料は、これからNIMSの機能強化についてヒアリング、御議論いただく前に、文科省としての視点から、AI for Materialsの加速と研究拠点強化に関する論点を整理いたしまして、委員の皆様に御意見をいただくためのものとしてつくってございます。
2ページ目、お願いします。まず左側、「AI for Materials」の加速というのが論点の大きな一つと思っています。資料1で御紹介したAI for Scienceの政策潮流と、AI for Science基金、こういった動向も踏まえまして、基盤モデル、AIエージェントと自動・自律実験を統合したAI駆動ラボシステムの構築、これは図の右下の「かそく」というところにありますけれども、これを見据えながら、我々が今まで整備してきましたマテリアルDXプラットフォームをアップデートして、全国のマテリアル研究の変革につなげていくということが重要だと思います。
右側、次ですけれども、優秀人材の確保と研究拠点強化というのも大きな論点となると思っています。研究環境、処遇改善ですとか、若手研究者の獲得、育成に加えて、人材を循環させるような、そういった仕組みづくりが重要だと考えています。特にNIMSでは、材料分野に特化した国研として、卓越した研究成果の創出と、その成果の社会実装に加えて、人、データ、それから、資金が集まるハブとして、産学官連携、国際連携を牽引する役割というものが期待されています。経済安全保障上、重要な研究を担う観点から、セキュアな環境ですとかサイバーセキュリティー等の研究インフラ整備も重要な観点と考えています。
次のページ、お願いします。「本日ご議論いただきたいポイント」がこちらになります。大きく3つございまして、1つ目が、AI for Materialsということで、NIMSがこれまで全国の研究機関から収集、整備してきたマテリアルデータ基盤というものは、我が国のマテリアル研究発展のものと考えています。そのため、いわゆる公共インフラとして、どこまで、どのように発展させていくべきかというのを議論していただきたいと思います。その際、NIMSが担うべき役割と責任の範囲、例えばAIサービスの提供ですとか、その運用メンテナンスの分担、あるいはデータを連携していく際のルールやガバナンスについても率直に御意見をいただきたいと思います。
2つ目が、人材育成・確保ということで、人材の需要と供給の観点から書かせていただいています。一つが、トップ人材獲得競争の中で、NIMSの競争優位性とボトルネックというものは何なのか。また、産学が求めるマテリアル人材像というものを踏まえまして、国内の人材を供給、循環させていく仕組みをNIMSが主導していく上で、課題と必要な取組は何かということ。3つ目が、産学連携・国際連携ということで、経済安全保障上重要な研究を主導する国研として、NIMSに期待する具体の研究領域ですとか機能はどういったものか。また、成果の社会実装を力強く進めていく上で、産学それぞれがNIMSに期待することは何か。また、同志国等との連携を信頼の上で広げるための条件は何か。以上の観点から、推進方策の具体化に向けて御示唆をいただければと思います。
以上になります。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、続いて、宝野理事長より、資料2-2の説明をお願いいたします。
【宝野委員】 それでは、「我が国がマテリアルで勝ち続けるためのNIMSのミッションと機能強化」について話題提供させていただきます。
最初のページはもう不要だと思いますが、マテリアルは、我が国の輸出の22%以上を占める重要な産業であるという統計です。最近、日本は、半導体チップ産業においては競争力をなくしていますが、依然として半導体の世界のエコシステムの中で、日本の素材産業が非常に強いことはよく知られている事実です。
NIMSは、7つの分野の材料研究を中長期計画に基づいて進めています。これは日本の素材産業の基盤と関連する分野を選定していまして、これを7年間の運営費交付金プロジェクトとして基盤研究を進めております。
一方、NIMSの長中期計画というのは、世の中の動きとは全く関係なく、時の要請に応える組織横断型の研究を機動的に設定し、年次審査に基づいて課題を改廃しながら進めています。2020年に始めたプロジェクトが量子マテリアル、本年度から、これを次世代半導体に置き換えております。これらは基盤研究として共通点が多い領域です。それから、カーボンニュートラル、NIMSとしては、蓄電池と水素関連材料に絞っています。それから、バイオマテリアル、さらにマテリアル循環という、まさに時代が要請するような研究に応えていく体制をたてています。
それに加えて、技術開発、共用部門で、しっかり材料データプラットフォームを運用しておりますし、これから、次世代半導体で重要になってくる材料創製・評価プラットフォーム、それから、蓄電池プラットフォームは、JSTのGteXのプロジェクトの一環として進めさせていただいています。
それから、優秀人材確保という点では、自由発想研究も支援するということで、エフォート率として50%までキュリオシティドリブンの研究を行っていいという仕組みにしてございます。
先ほど申し上げた半導体への取組を説明させていただきたいと思います。御存じのように、現在、Rapidusを中心に、技術研究組合最先端半導体技術センター、LSTCというのがございますが、NIMSはこれに、理研、AIST、東大らと共にメンバーとなってございまして、現在、Rapidusが量産を目指すシリコンベースのGAA構造の基礎的な研究を行っております。我々の担当はマテリアルの部分ですが、界面とか、次世代の配線材料に関する研究を行っているところです。
LSTCが目指すところというのは、基本的にはシリコンベースの1ナノメートルノードのC-FET構造ということになっています。さらに将来を見越すと、これはTSMCのロードマップにも記載されているところですが、beyond1ナノメートルの領域でいよいよシリコンがキャリア材料として使えなくなる領域に到達したとき、新しい材料、二次元材料等が投入されるという予測があります。現在、企業が手をだしにくい、そういった将来思考の材料を今から研究しないと間に合わなくなるということで、新材料に取り組む。ついては、単に材料を創製するだけではなくて、デバイスを作製し、プルーフ・オブ・コンセプトを実証していくという計画です。そのために次世代半導体素子、新原理演算素子、革新的配線材料の研究に運交金の枠内で取り組み始めました。このうち2つの課題がJSTの基金で公募された次世代エッジ半導体研究開発事業の中の次世代トランジスタ技術で、慶應大学の多田先生を代表として採択されました。この研究プロジェクトには多くの大学が参加していますが、この中で、C-FETの集積化技術を支えていく必要があります。これは単一の大学等では対応しにくいものですから、NIMSに集中研を設置していただいて、この中でC-FET構造を試作できる設備を整えさせていただき、大学と参画機関と試料を交換しながら進めていくということになっています。
先ほどNIMSにはさまざまなプラットフォームがあると申し上げましたが、その中に、ナノファブリケーションプラットフォームというのがあります。これにC-FETプロセスフローをアドバイザー企業と共同で設計・構築するということで、それに必要な、従来NIMSになかった設備を整えさせていただいて、分散拠点の大学等の研究者がこの集中研でデバイスを実証していただける体制を整えようとしております。この運用については、産業界で既に経験豊富な方に来ていただいて、プラットフォーム長として運用していただく予定です。
次のプラットフォームの例を示させていただきます。GteXのプロジェクトの中で、蓄電池基盤プラットフォームを構築させていただいておりまして、ここで80平米のスーパードライルームを置いて、大学等の研究者が電池の試作を行える。これを大気にさらすことなく、様々な解析研究ができる環境を整えております。そのほか、オペランド計測等の設備も整えておりまして、このプラットフォームには、経験豊富なエンジニアリングスタッフを整えて、累計登録ユーザー、1,000名、80機関以上に御利用いただいています。
また、マテリアルデータプラットフォーム、MDPFでは、データ登録をするクラウドストレージに、ARIMを通して、26機関971台の装置がつながれており、自動的にデータ収集がされています。さらに、文科省のマテリアルDXプロジェクトにおいても、データをここに集積していただくことを条件としております。
NIMSは金材研以来70年の歴史において、様々なデータベースを構築してきました。有名なのは、MatNavi、それから、PolyInfoですね。今、世界的にも非常に引き合いが多いデータベースです。こういったデータを持っておりますので、これを材料開発に生かしていくために、oinaxと呼ばれる機械学習データで解析するツールをウェブで公開しておりますので、ぜひ御試用ください。今後、データをより利便性よく使っていただくためにどうするか?いろいろ議論しているなかで、やはりLLMにデータを読ますのが最もいいだろうという結論になり、現在AI for Materialsという構想で、NIMSのデータ、それから、外部のデータも統合して、マテリアルAIプラットフォームを構築していこうということを今後提案させていただく予定です。それについては、日本のマテリアルデータ関連の研究者を結集して、提案させていただきたいと思っています。
このようなデータをAIにより活用して、自動・自律実験に展開させていきたいと考えています。その素地は既にNIMSにございまして、すでに自動実験に取り組んでいるものから、DataxAIx実験で掛け合わせて自律化をめざしています。
NIMSではこれまで自動実験に取り組んできた研究者が多数ございます。薄膜、ポリマー・分子、粉体、合金、電解液で自動実験を行ってきた研究者がいます。データと自動実験をつなぐNIMSオーケストレーションシステムというのを若手の研究者が開発して、普及し始めています。これを介して自動・自律実験を行えるプラットフォームの構築を目指しています。
こういったプラットフォーム事業を推進するのに最も重要なのがやはりエンジニアの存在です。NIMSは、370名の定年制研究職がおりますが、それに加えて100名弱の定年制エンジニアがおります。エンジニア職のうち50%以上が学位を持っており、これらの専門性の高いエンジニアが共用設備を管理したり、データプラットフォームを運用したり、データベースを構築したり、さらに最近では水素環境材料実験棟という施設を立ち上げ、これらを維持して最大限活用していくための支援を行っていくという体制がございます。
国研の研究力強化という点では、優秀人材の確保が最も重要だと思っております。NIMSは最優先リスクとして、マテリアル分野で優秀人材を確保することと定めております。この背景は人口減、それから、博士課程の学生が減っていること、それから、国際卓越研究大学に採択された大学がどんどん優秀な若手を雇用していく中で、なおかつ優秀な人材を確保していくために、組織として、あらゆる努力を惜しまないとしています。人材採用の強化、ブランディングの強化、それから、NIMSだけで全てをやろうというのはもう不可能ですから、人材エコシステムの構築。これは一例として連携大学院やクロスアポイントメントです。連携大学院に関しましては、7研究大学と行っており、80名の研究職がこれらの大学院の博士課程学生の主任指導の資格をいただき、これにより160名の大学院生がNIMSに常駐して研究に従事しています。
NIMSでは博士課程の学生をNIMSジュニア研究員として雇用し、研究の第一線で活躍していただいています。2004年創設以来、31か国、670名がNIMSを通して、連携大学院のシステムで学位を取得しています。また、世界の42の大学と国際連携大学院協定を結び、年間、30名程度の博士課程の学生がNIMSで1年間実験・研究を行っていただいて、これを媒体として国際共同研究を進めるという制度です。2002年以来、306名の博士課程の学生が1年間滞在しておりまして、彼らがそのうち、またNIMSのポスドクとかに応募して戻ってくるという、若年層の研究人材発掘のエコシステムが構築されつつあります。
もちろん国内の大学との連携、共同研究が最も重要ですが、それについてはNIMS連携拠点推進制度を通して、国内の大学等と共同研究をしていただく際に、旅費・滞在費を支給いたします。この制度ではKOSEN枠というのを設けておりまして、長期派遣教員に対し研究費として100万円を配算し、NIMS滞在中に学生を呼んでいただくこともできます。さらに、本年度から連携大学院協同支援制度を設けて、連携大学院協定を結んでいる大学の教員が指導する修士の学生を出していただき共同研究を委託できるようにしています。それによって修士在学中に国研の研究環境を体験していただくことにより、連携大学院の博士課程への進学を、後押しする制度です。これらの拠点連携制度は毎年223人の教員・学生に利用していただいています。
また、NIMSは様々な国プロに対応させていただいております。例えば「SiPマテリアル事業化イノベーション・育成システムの構築」においては、研究推進法人として、木場PDを支えております。ここでの経験を通して、昨年度、NIMSでスタートアップ支援室を設けスタートアップ支援のノウハウを学んでいます。また、K-Programにおいても拠点型のプロジェクトを獲得し、大学の先生にもご参加いただき、オールジャパンでの取り組みをおこなっています。GteXでは蓄電池のプラットフォームを運営させていただいております。
大学の教員が比較的、消極的な防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度においても、NIMSはこれまでに採択実績が多数ございます。今後、安全保障を支える基礎研究がますますクローズアップされてくるなか、安全保障はすなわち科学技術力という理解のもとで基礎研究に取り組んでいきます。仮に何かの理由で大学研究者が参加しにくいとしたら、国研の中にオフキャンパス機能を提供して、共に研究していただけるような環境を実現する可能性も検討してまいります。
NIMSには、乗り越えなければならない幾つかの課題がございます。国プロ・企業連携・スタートアップにより拡大する研究スペースが逼迫しています。2001年、200億の総収入だったのが2024年、競争的資金を含め345億、150%に増加していますが、1人当たりの研究スペースは当時と比べ減少しています。大型プロジェクトを獲得しますと、それを実施するスペースが必要となりますが、現在その要求に対応できてきません。幸いなことに、新棟の設計費につきましては補正予算で認めていただきました。今後、建設費が高騰している中、設計する研究棟を実際に建設できる予算が確保されるかについては不透明感が漂っているというところです。
また、経済安全保障対応のため、情報セキュリティー強化の必要があります。NIMSでは老朽化した建物の占有面積が増えていますが、例えば53年の奥屋をハイセキュリティーに改装していくというのは事実上、不可能です。今後、安全保障関連の基礎研究のためのオフキャンパス機能や、優秀人材獲得競争への対応として、世界的に魅力のある研究環境の構築が重要だと感じております。
最後、議論のためにお見せするだけにしておきますが、以上まとめたのが最後のページになります。どうぞよろしくお願いします。
【菅野主査】 宝野理事長、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容について、御意見、御質問ありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
高村先生ですかね。よろしくお願いします。
【高村委員】 高村です。御説明ありがとうございます。別のところでも話題に上がったのでお聞きしたいのですが、NIMSで充実させているマテリアル関係のデータベースについてです。私が学生の頃に、ランドルト・ベルンシュタインというシュプリンガーがまとめているデータベースを使うときには、図書館に行って、その何冊もの本の中から必要な情報を探していたのですけれども、そういった世の中に既にあるデータベースを、NIMSの力で機械学習しやすいような形に変えて提供する計画があるのかどうかをお伺いしたいです。
【宝野委員】 ランドルト・ベルンシュタインは、Elsevierが既に電子化しておりまして、必要とする方はそこにアクセスできると理解しています。著作権上、様々な難しさはあると思いますが、MatNaviやAtomWorkAdvancesでかなりデータを購入しておりまして、それらのデータについては利用登録をいただければアクセスいただけます。世の中で、アクセスできるものに加えて、NIMSのデータもお使いできるようなプラットフォームを構築するというのが、現在構想しているマテリアルAI基盤です。
【高村委員】 ありがとうございます。そうなると、世の中に出回っている、状態図などの材料研究の基本となるデータは全てNIMSに機械可読な形で集められ、公開されていて、日本の研究者たちはそのデータの不足している部分に注力すると、強いAI基盤のためのデータベースとなり得るという理解でよろしいでしょうか。
【宝野委員】 そう思います。MatNaviで既に状態図は取っていただけますし、状態図というのはもうインターネットで検索しただけでほとんど出てまいります。現在構想段階のAI for MaterialsでマテリアルAI基盤が実現すればAIで全ての状態図や材料データをAIを通してお使いいだけるようになります。【高村委員】 ありがとうございます。もう一つお聞きしたいことがあります。AIブームは、今までも来ては去って、何回もピークがあったと思います。NIMSでは、無機材研や金材研の時代にもこういうAIを使って材料を開発しようという研究が行われていたと理解しています。個人的に私が知っているのは、無機材研などで行われていたガラス材料のエキスパートシステムです。もちろんその頃と今のAIではレベルが違いますが、残っているデータベースを、今のAIにかけて見たときに、本当に結果が違うのか、よりすばらしい材料が発見されるのかというようなことを検証したことはあるのかというのをお聞きしたいです。
【宝野委員】 今後の構想に含まれております。データが分散していると非常に使いにくいですから、NIMSが、AIのプラットフォーマーとともに整備していく構想を持っています。使い勝手のよい、そこに入れば今、世の中にある材料データにアクセスできるというものを目指しております。
【高村委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
では、ほかにいかがでしょうか。
【藤井委員】 御説明ありがとうございました。非常にNIMSは活発に活動されていて、特にデータ駆動型ですと、私も研究分野は一緒ですので、すごい研究者が集結し過ぎているなぐらいに感じて、すごいなと思って見ています。今回、説明の資料にあまり記載がなかったかなと思うんですけど、『STAM』であるとか『STAM Methods』という論文が今、NIMSが発行していただいていて、今、研究者、我々、オープンサイエンスに、すぐ公開しないといけないというのが科研費のほうで決まってきていまして、パブリケーションチャージはやはり海外の雑誌にはなかなか、高騰しているので負担になっている面もあると。それは日本の材料研究を、例えば、今、NIMSさん、今、キャンペーンでオープンアクセスチャージ、フリーにしていただいていますけれども、そういうのを例えばまた国内の大学に続けていただけるであるとか、そういうところを続けていただけると、我々としては非常にうれしいなという気持ちもありますし、研究者としてはやはりこう、どこどこの論文に採択されたであるとか、どこどこの学会に採択されたであるとか、そういう論文誌、学会誌を中心にコミュニティが出来上がっていくところがありますので、ぜひ『STAM』や『STAM Methods』のほうをまた育てていただけるような施策を、予算も必要になると思いますので、ナノ材の方と一緒に推進していただけると非常にうれしいなというふうに感じています。
【宝野委員】 STAMのプロモーションキャンペーンとして、過去数年APCを無料にさせていただきましたが、今後は一定条件をつけて免除させていただきます。日本の研究者が掲載いただく場合は、日本の成果の発信を支援していくという説明で続けていけると思います。それで、ぜひ皆様方、『STAM』あるいは『STAM M』に優れた論文を出していただきたいと思っております。このAIの時代では、どのジャーナルに出したかは重要じゃなくなると思います。論文がどれだけ読まれ、引用されたかが最も重要となってきます。Web検索でキーワードをたたいたら、オープンアクセス論文だったらその論文が画面に見えるわけですから、世の中が大きく変わっていくと思います。ぜひ『STAM』に出していただきたい。それは声を大にして言わせていただきます。
【藤井委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは、永次先生、いかがでしょうか。
【永次委員】 ありがとうございます。NIMSのいろいろな取組を聞かせていただいて、非常に幅広くやられているのがよく分かりました。質問ですけど、私は全然門外漢なので教えていただきたいんですが、半導体について、次世代型の半導体のことをお話しいただいたんですけど、こちらの半導体の開発の取組というのは大体どのぐらいの期間を実際に使われるというか、実際にこの技術が半導体に使われるようになるまではどのぐらいのスパンを考えられているのかというのを教えていただけますでしょうか。
【宝野委員】 それは既にTSMCのロードマップにも記載されます。私から具体的に何年ということは申し上げませんが、今回採択されたプロジェクトについては、ロードマップが描かれております。公開情報から御覧いただけれると思います。私はそのプロジェクトに関しては責任ある立場ではないので、私からは申し上げないという意味です。ただし、新材料によるデバイスの実証となると、今から始めなければ間に合わない。それで、TSMC等もこういった先物に関してはやはり社内ではなくて大学を支援してやらせています。この観点では、アカデミアが取り組める研究ステージとして今始めるのが適当と思います。
一方で、現在、産業界が熾烈な競争を行っている分野においては、なかなかアカデミアがそこに入って競争していくというのは難しいステージだと思います。解析とか理論のような基礎研究では貢献できても、実験で実際にデバイスをつくるというところでは競争はできない。ですから、我々は先物を目指してやっていく。そのような将来志向の研究を大学の先生方と一緒にやらせていただければと思っています。
【永次委員】 ありがとうございます。もう一つ質問させていただきたいんですけど、大学でも非常に取り組んでいる博士人材の育成というところですけど、大学では、博士人材を育成して、その後、出口というのはあまり考えていないところですけど、NIMSのほうでは出口のところ、いわゆるこういう育成で博士を取った方がNIMSに実際に就職するとか、先ほどちょっと言われていたんですけど、ポスドクでNIMSで働かれるというような事例というのはどのぐらいのパーセンテージあるんでしょうか。
【宝野委員】 具体的なパーセンテージとしては、今、数値を持っていませんが、NIMSジュニアからスタートして、パーマネントな研究者になって、しかも、研究業績をするとトップレベルにいるという研究者は10名以上いると思います。それで、キャリアパスとしては、NIMS限る訳ではありません。例えば連携大学院の学生は3分の2が海外の出身ですが、そういった方々が学位取得後に世界中に羽ばたいていきます。日本でも、NIMSで学位を取った人が大学や企業に就職しています。最近の民間企業は積極的に理系の博士人材をグローバルに採用されていますし、海外の企業に就職するケースもあります。このようにグローバルに人流を見ていくということを重視しております。
【永次委員】 ありがとうございました。以上です。
【菅野主査】 ありがとうございました。
では、塩見先生。
【塩見委員】 ありがとうございました。人に乗っかりまくって申し訳ないですけど、理事長がおっしゃった最優先リスクのところの人材戦略にすごく興味があって、と申しますのも、ほかのところはもうすごいうまくいっている気がして、多分ここをリスクとして捉えられているのは、ここが、施策で直接反映しづらい部分で、いろいろ幅広に考えなきゃいけない部分とかあると、そういうことなのかなと思って聞いたんですけど。
我々も大学で結構こういうことを、特に今議論しています日本人の人材も大事ですけど、海外の人材ということを考えた場合、これは多分もう日本はこれから避けて通れないというか、実際そこを充実させていかなきゃいけないところだと思うんですけど、そうすると、大学でもそういう議論をするときには、大体4ステップあるだろうという話で、アドミッション、スカラシップ、研究ライフ、そして、キャリアですよね。これが充実していると、理事長おっしゃるブランド力というのが高くなるということで。スカラシップのところを御説明いただきました。キャリアのところも、今まさにおっしゃったとおりで、例えば、今、日本で取り組んでいるインドの方々は、特にキャリアの比重が大きくて、宝野先生おっしゃったように、民間にちゃんと出ていっていいキャリアライフが過ごせるということをどれだけ打ち出せるかというのがポイントになると思います。
そのときに、前も申し上げたかもしれないんですけど、ただ単に採用されるということじゃなくて、留学生は今は、採用された後にちゃんとプロモートされるかというところまで見て考えているので、留学生が日本に来て、ちゃんと日本の企業に就職するだけじゃなくて、ちゃんとプロモートをされるというような事例を見せていくというのが大事なのかと思いました。研究ライフはいろいろな見せ方があると思うんですけど、やはり今、これは大学との連携というのをすごい盛んにされているというのはすばらしい一方で、もっと広がったらいいなと思いました。何となくこう、それこそバークレーとローレンスみたいな話とか、スタンフォードとその周りのベンチャーのとかという、距離感がすごい近くて、研究ライフも、ただただ装置とかが充実しているだけではなくて、何かそういうバイブラントな若者が周りにいっぱいいてとか、そういうのをうまいこと、大学とNIMSで協力して。今もやっていらっしゃるんですけど、例えばこのリストに東京大学がないなと思って見ていたんですけど、大学との連携をさらに強めて、何となく、研究ライフ、キャンパスライフとして非常に魅力的なことにしていくと、今の4つのステップというのがシームレスにつながって、今やっていらっしゃるブランディングがもっと強くなるんじゃないかなと思って発言させていただきました。
【宝野委員】 東京大学がない理由は、東京大学がクロスアポイントメントを好まれるので、東京大学についてはクロアポでやらせていただいているという事情です。NIMSと連携大学院を協定を結ぶ大学の大きなインセンティブは、博士課程の定員充足率です。例えば筑波大との連携大学院では、博士課程の競争率は2倍程度ですね。半分を落としているわけです。それによって全体としての博士課程の充足率が満たされる。そういった、お互いWin-Winの関係が築ける連携形態をとらせていただいています。
NIMSは設備は立派で、研究者はプロだが、人が少ないゆえに、オフシーズンのリゾートホテルのようだと私は自虐的に言うことがあります。私が目指しているのはハイシーズンのリゾートホテルです。どこに行っても人がたくさんいて、最先端の装置を使いこなしている。それによって我々の研究力というのはさらに上がる。そのパートナーとして共感していただける大学と連携する。やはりヨーロッパの国研を見ても、博士課程の学生がいて、研究が活発に動いていますから、国研強化という面では、博士課程の学生が一定数国研に来る、そのためのエコシステムを大学と一緒にやらせていただければと思っております。
【塩見委員】 ありがとうございます。私も何かNIMSにたくさん人がいて、ユートピア感があるような、学生にとってもそうですし、多分、先生おっしゃった中で言うと、若手の人というか、研究者も研究に集中したいと思っている大学の人たちも結構いるんじゃないかなと思うので、そういう方が、避難先と言ったら大学に悪いですけど、そういういろいろなユートピア感の出し方があるんじゃないかなと。ありがとうございました。
【菅野主査】 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。関谷先生。
【関谷主査代理】 宝野先生、ありがとうございました。非常に活気ある取組を拝見させていただきました。特に魅力的な装置と、それから、それを使いこなせる技術員、そして、それを指導くださる優れた研究者がそろっておられて、今、大学という観点でも魅力的な研究所であるとともに、やはりスタートアップの目線から見ても非常に魅力的なファシリティーだと感じさせていただきました。御存じのとおり、スタートアップ、特にマテリアル系のスタートアップ、ディープテックと呼ばれるものですが、産業界に送り出すまで時間がかかって、結果的に負けてしまうと。やはりAIのスタートアップとは全然時間のかかり方が違う中で結果的に負けてしまうわけですが、最近、例えばCO2の削減という観点では、銅ナノ粒子を使ったプリウェイズが、NIMSから私の友人でもある三成さんが創業した、非常に対環境性にも優れて、そして、物すごく導電性も高いスタートアップが誕生して、やはりNIMSをスタートアップがどんどん使っていくことで、産業界に送り出すナノテクノロジーとか、材料を産業界に送り出す速度を上げていくという観点が非常に重要で、かつ魅力的だと感じました。今、NIMS周りで、スタートアップがどんどん使っていけるような、そんな整備を整えていただいていると思うんですが、どのぐらい、何というんですかね。その辺りでの活気づきという辺り、いかがでしょうか。
【宝野委員】 スタートアップ支援につきまして、今日は時間の都合で話しませんでしたが、昨年度、スタートアップ支援室を設けました。これはSIPの推進法人を行っていたことから、いろいろと学びが多くて、スタートアップをしっかり支援していこうということで始めています。ただし、やはりスタートアップに関しては、我々は素人ですから、専門家の指導を受けるために様々なアントレプレナー組織やベンチャーキャピタルと連携していきたいと思っています。我々のスタートアップ支援の特徴の一つは、スタートアップで仮に50%のエフォートに対しても100%の給与を支払うという制度を設けていることです。
また、直接投資も行うことができます。あと、スタートアップにスペースも格安に提供しています。ただ、スペースについては非常に苦しいところで、今後スタートアップ支援のためにもスペース問題を解決していかなければならない。そのためには新棟建設というのが悲願になっています。いろいろなところで御支援いただければと思っております。
【関谷主査代理】 賛成いたします。スタートアップこそ、社会課題解決と、それから、先ほど先生おっしゃった熱いリゾート地という観点では、大学が例えば春休みになっても、そこにたくさんのスタートアップが参集して、みんなで研究開発する。そんな理想的な構造になるのかなと思いました。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。
武田委員、お願いいたします。
【武田委員】 ありがとうございます。NIMSのプラットフォーム事業というのは本当に、今もお話ありましたけれども、産業界にとっても、また、アカデミアにとっても非常に有用であるし、日本のマテリアル研究開発を活性化して、よりこの分野で国際的にも日本が強くなっていくため、非常に重要なお取組であると理解しました。
その中で、プラットフォームをユーザーが利用したとき、そこから得られるデータや成果は、利用料にもよるかと思いますが、ユーザーに帰属する、あるいは契約によってはNIMSとユーザーとの共有ということもあるのかと思い、聞いておりました。教えていただきたいのは、そこから出てくる様々な大量のデータの二次利用に関してです。二次利用というのは、ここではAIの学習に使うという意味ですが、そのことに対しては非常にセンシティブなユーザーがいらっしゃると思いますが、そこについてはどのような契約をするか、また、どのようなポリシーで運営をされているのか、教えていただけますでしょうか。
【宝野委員】 お尋ねいただいた件につきましては、データの話をすると必ず出てくる質問でございまして、オープンクローズ戦略をしっかりやっていくという一言に尽きると思います。例えば、ARIMでは、データを収集して、それを共有していく部分を担当させていただいています。そのARIMではデータ共用に同意したユーザーについては利用料を下げるという優待条件があると聞いています。データを創出した方々の同意がある範囲内で公開をしていきます。データを収集してから公開するまで5年のエンバーゴ期間がありますので、その間に、データを創出した方が共有したくないという判断があれば、そのように対応できます。
【武田委員】 ありがとうございます。その場合に、同意していただくユーザーはどのくらいの割合いらっしゃいますか。
【宝野委員】 その数値は、私は現在持ってございません。後ほど文書で回答させていただきます。
【武田委員】 ありがとうございます。
【服部参事官】 武田委員、またそこは後日、文科省からお答えしたいと思います。
【武田委員】 ありがとうございます。そういうふうに二次利用ができるようにすると、この分野の活性化につながるので、何かそういう仕組みをつくるとより良いのではないかという観点で御質問させていただきました。
【宝野委員】 どうもありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
中山委員。
【中山委員】 どうもありがとうございます。私からは2点あります。
1点目は、1ページ目の右上のマテリアルの部分。ここで材料は22%と言っていますが、左下の輸送用機器や電気機器や一般機械などで材料を使っていないかと考えると、全く違ってきます。輸送用機器のトヨタは輸送機器の会社ですが、その先端に材料がいるからこそ、トヨタからナノ材委員として来ていただいている。電気機器系、例えばNECとか日立とかでも、やはり最先端のところは材料です。一般機械だって、三菱重工とかIHIとか、材料は極めて重要な位置を占めています。材料に関する表現が埋没してしまっていると感じます。
2ページ目に行くと、いろいろな分野向けの材料があります。これは、右上のマテリアルのところだけじゃないですね。だからといって、輸送機器が材料産業だとは言えないですが、これらを材料は紛れもなく支えています。意識をもって縦割りじゃない表現しないと、それぞれの縦割りに押し込められてしまいます。結果的に産業の最先端であるという表現を自分から避けている感じさえもします。表現を変えれば、材料のところにお金を入れれば、それでレバレッジが効いて、各産業が発展するというのであれば、明確にレバレッジが効くという表現があったほうがいいと思います。表現問題ですが、材料の人たちは、かなりおしとやかという気もします。まずは表現では、積極的に侵略していくべきかと考えます。実際そうですよね。例えば、トヨタさんに見学に行って、材料のいろいろな研究をしているのを見せてもらって、やはりそれは確信しますし。材料がなければどうにもならない企業が極めてたくさんあるわけです。それで、マテリアルは日本の稼ぎ頭ですと言って、純粋な材料産業だけ捉えて22%というのは、違和感です。その表現を、みんなで変えていかないと埋没してしまうのではないか。
NIMSの表現も、最初のところは、ここにある表現にプラスして、レバレッジ感、多くの産業の最先端で、社会や産業全体を支えているみたいなのがあるとよくないですか。
【宝野委員】 この件は中山委員から前回、個人的に御指摘いただいたと記憶しています。ぜひCRDSのほうで見栄えのいいものをつくっていただければ、私どもも使わせていただきます。
【中山委員】 これ、材料と社会のエコシステムのようになるといいなと強く思います。そうでないと、材料が小さく思われてしまいます。
【関谷主査代理】 CRDSがミディアムハイテクノロジーという切り口で出しておられる、ああいうイメージです。
【中山委員】 ありましたね。そうですね。
【関谷主査代理】 あれはたしか4割か5割、もっと行っていましたかね。それには自動車も入ったりして。CRDSのミディアムハイテクノロジーの取りまとめみたいなのがいいんでしょうかね。
【中山委員】 マテリアル産業に近い位置づけで、計測産業もありますね。計測産業自体は小さいけど、計測がなかったらどの研究もどの企業もやっていけないです。マテリアルもライフサイエンスもやっていけないとすれば、やはり相当なレバレッジが利いています。よって、そのような大きな表現をしないと、大事な研究開発が小さく表現されてしまいます。これは今お答えいただける話でもないと思いますが、皆さんで考え、頭に置いて進めていくべきと考えます。
【宝野委員】 ナノ材の分野でどうやって日本のマテリアル研究の重要性を訴えていくかということは皆様と一緒に考えさせていただければと思います。そこのリーダーシップをぜひCRDSにとっていただきたいと。
【中山委員】 いや、少なくとも、NIMSのせいではないですが、材料全体としての表現であり、考えて行くべきことです。CRDSなんて小さな話ではありません。材料分野と言ってしまうとすごい小さくなってしまい、公平感に欠けるといつも思っています。それは1点目。別にお答えが必要なところでもなかったです。
もう一点はマテリアルDX構想の大きな絵の話です。7ページ目ですね。材料データプラットフォーム、左上にARIMがあって、DxMTがあって、データ中核拠点というデータをためるところがあるとのこと。これがトライアングルになって、マテリアルDXプラットフォームを構築しているというのが国として、ナノ材としての位置づけです。トライアングルだという認識が極めて重要です。そこで、ARIMはデータをしっかりとNIMSのデータ中核拠点に入れていると。それはそのとおりで、これは矢印が成り立っていて、ARIMとDxMTもいろいろな装置を使わせていただいたり、材料を提供したり、データを提供して、そのデータがARIMを回ってNIMSのデータ中核拠点にデータがためられていると。DxMTも、出たデータをどんどんNIMSさんに入れていると。右側の矢印が、左から右へ行く矢印が成り立っています。
ところで、このプラットフォームは10年施策で、あと5年。今のところ、データは入れっ放しで、まだ使う段階に行っていませんが、右から左へ行く流れ。つまり、実際にどうやって使っていくかという戦略が必要です。逆に左から見ると、どういうNIMSのデータ中核拠点のデータをどう使っていいか分からないという強いブラックボックス感があります。やはり使う戦略を考えていかないといけません。データはたまっているといわれており、解析ツールもあるよと言ってはいますが、これを使って何か物にできたか、何かいい材料ができたかという事例があまりないです。それをあと5年で是が非でもつくっていかないといけないと強く思っています。DxMTは、これを縦横無尽に使って、研究成果を出していかねばトライアングルの1頂点の役割を果たせません。
先ほど武田委員が言われた二次利用の話も近い案件ですが、NIMSの右から左へ行く流れ、あるいはNIMSのデータを外で使う流れが大事です。オープンクローズのお話がさっきありましたけど、少なくとも、マテリアルDX、DxMTプロジェクトは先ほどのトライアングルの1つの頂点であり、もう一つの頂点であるNIMSのデータ中核拠点とはクローズでやれるはずなので、その蓄積されたクローズデータを使う戦略について、どのようにお考えかというのを理事長に聞いておきたいなと思います。
【宝野委員】 ARIMのほうは、御存じのように、このプロジェクトを受けたらデータを提供しなければならないと。
【中山委員】 そのとおりです。
【宝野委員】 半ば義務感的にデータを提供していただく方々のためのツールを提供して、データが集まる仕組みをつくったという段階です。一方、データサイエンティストとそれを使って材料を開発しようという志のある人たちは、DxMTのプロジェクトで採択されていると理解しています。ですから、実際に好事例をつくっていただくには、DxMTのメンバー、あるいは、その他、このデータを使って、それをヒントに研究を展開していく材料科学者だと理解しております。
それで、実験研究を中心にやっている方々で、どうやったらデータ駆動に行けるか、あるいは今後はAIを活用した実験に行けるかという相談をいただければ対応していけるような体制をつくっております。もちろんNIMS自らが好事例をつくっていくという研究も現在NIMSで進めているところです。このデータの話をすると、いつもいい事例はあるのかという質問をいただきます。しかし、ARIMのデータの公開を始めたのは昨年10月です。それまでARIMのデータは公開されてません。ですから、今、データの公開が始まったばかりです。データ応用を加速していく必要性は十分我々も理解しておりまして、その好事例をあわよくばNIMSから。でも、別にNIMSからである必要はなくて、全国の研究者あるいはDxMTは全国に拠点が散らばっていますから、そういったところから出てくればいいなと期待しているところです。
それを加速するのが、次のページにあるデータとAIを組み合わせて、自動実験に取り組んでいる研究者をデータとAIで支援して、自動・自律実験に発展させるお手伝いをする。それによって一気に材料開発の時間短縮を行っていこうというシナリオになっています。
【中山委員】 ありがとうございます。よく分かりました。今まで、10月オープンということで、実質これからということもよく分かりました。このDxMT、今のところ、データをNIMSのデータ中核拠点にARIMを介して入れるか、自分からNIMSのRDE等に入れるということをやっています。正直なところ、入れたデータは何かなというのは分かるんですけど、データ中核拠点やNIMSにあるクローズデータの全体像が分からないので、何を使っていいかが分からない。何を使っていいか分からないから、こういう解析ツールとか、いろいろな提供があるとは思うのですが、マテリアルDX構想のトライアングルとして成果を出していかないといけないです。よって、データをどのように使っていくか、一緒に話合い、かなり加速して進めていきたいです。このトライアングルをつくってよかったねと将来言いたいです。あと5年で最終評価ですので、そこへ向けての、一緒にみんなで協力していくというのがナノ材全体としては正しい道だと思うので、私も汗をかきますけど、よろしくお願いします。
【宝野委員】 はい。ありがとうございます。
【伊藤委員】 本日はありがとうございます。先ほどのMDPFに近いところで、将来展望について、もし可能であればお聞きしたいんですけれども、200万以上のファイル数がたまっているということはかなりすばらしいことだと思うんですけれども、例えばデータドリブンといった観点でいくと、例えば自動運転はかなりデータドリブン型の開発にもう移行していて、アメリカ、中国が進んでいるわけですけれども、そこが持っているデータ数に比べると、やはり2桁、3桁はまだまだ少ないんじゃないのかなというのも印象としてあって、マテリアルの中でのデータ駆動型の研究が進んでいくといったところではまだまだデータ数を増やしていかなきゃいけない。そういった中で、先ほどの自律実験などでリアルデータを蓄えたり、シミュレータのデータも入れながらということになると思うんですけど、どのぐらいのところまでMDPFのデータを将来的に増やしていこうかなみたいなものが、もし御展望があればお聞かせいただきたいんですけれども。
【宝野委員】 データ収集のネットワークをつくっていくことによって、データは日々増えてまいります。実験データだけでなく、HueslerAlloyDBは、ハイスループットの計算でどんどんデータが増えているわけです。データの中には計算だけで増えているものもありますし、ARIMの実験データも自動的に日々増えています。とはいえ、NIMSに集まる限られたデータだけではデータ駆動型の材料開発には十分でない。だから、外のデータも、NIMSのデータも一緒に使える。それがAI基盤ですね。そこを目指しています。それによってデータ利用が大きく加速されるのではないかと思います。生成AIができてまだ3年ですね。でも、今始めないと世界から完全に遅れます。今、データの話とかAIの話をすると、それによって何ができた?と聞かれますが、何かできるかまで待つ余裕はないと考えています。
【伊藤委員】 本当にないですね。
【宝野委員】 今やるしかないんですよというのが、我々が信じているところです。
【伊藤委員】 おっしゃるとおりだと思います。生成AIのアルゴリズム等でも、今の時点でいいよと言っているものが2週間後ぐらいに最新かというと、もうそうではなくなっているという世界が来ていると思うので、マテリアルの領域においても、AIがもう普通に使われる世界になってきていると思いますので、企業側も協力してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございます。
【宝野委員】 どうぞよろしくお願いします。
【菅野主査】 では、堅達委員。
【堅達委員】 ちょっとまた別の視点からになるんですけれども、NIMSはすばらしいことをやっていらっしゃるし、これから人材が集まってくる拠点だったり、ネットワークを目指しているということは、ここにいらっしゃる皆さんは、みんなすぐピンとくるし、分かると思うんですけど、一般の国民とか、これから目指す学生さんとか、そういう人にアピールする広報戦略はどうでしょうか。といいますのは、せっかくノーベル賞が、今年というか、北川さんが作られたMOFという多孔性金属錯体が受賞した。それは一般の人から見ると、ノーベル賞大好きで、「わーっ」、「えーっ、すごい」とか言って、これが材料の力なんだよとか、それで地球温暖化も含めて素材で未来を切り開くんだという、そういう夢もあり、人を引きつけるキャッチーなコピーもできる可能性がある。もちろんNIMSの研究ではないかもしれないけど、この分野自体のもうちょっと底上げといいますか、発信力というか、さっきの縦割りになっていて、本当はもっとすごい面積、割合のところを材料科学が占めている、あるいは、ナノテクの技術というのは日本の産業の未来像とかビジネスチャンスにも関与しているという感じが、一般の人にはなかなか伝わっていないなという実感がございまして、その中で、NIMSとしてもどういうふうに魅力を伝えたり、実績を伝えるような計画がおありなのかお伺いできればと思います。
【宝野委員】 NIMSは、YouTube等を使った動画配信にかなり積極的に取り組んでおります。最近、YouTubeで公開している動画の最後のページから寄附金ページへの案内をいれました。それで最近、一般の方から、感動したといって、寄附をいただける件数が増えています。このように材料研究の魅力を伝えるための動画作製に取り組んではいるけれども、それにかけられるリソースには限りがありますから、その範囲内でやるということですね。最近、テレビで民間企業が社名を連呼するようなコマーシャルを流していますが、それと同じことをNIMSできるかというと全くできないわけです。運交金145億円の中から一般向け広報にどれだけリソースを割いていけるかという話でになりまして、もっとやれということであれば、その分、運営費交付金をつけていただけるように世論を盛り上げていただければと思います。
【塩見委員】 それこそ昔、NHKから移られた方がPRを担当されて、それで小学生というか、自由研究じゃないけど、ああいう不思議なやつをいっぱいユーチューブに載せたらすごく人気になって。そういえば、うちの子供も、パッと見たらNIMSのユーチューブを見ていて。当時ですよ。もう10年ぐらい前になるかもしれないんですけど。いろいろやっていらっしゃるのを拝見しています。
【宝野委員】 ただ、今はターゲットもフォーカスしていまして、大学・大学院生を対象として、下は高校生までとしました。というのは、小学生とかを対象にやっていますと、一般公開でウン千人と来るんですけど、限られた職員で対応ができなります。そこでブランディングにお金をかけている目的を見直しました。広報は優秀人材を獲得するためと目的を定め、対象は研究者層とその予備群としました。今はターゲットをフォーカスしています。限られた予算ですから、全方位じゃとても対応できないと思っています。
【菅野主査】 大分時間が来ていますが、まだ発言されていない先生方、いかがでしょうか。マテリアルの重要性というのは、前の議論もありましたけれども、マテリアルという世間一般に認知されているのは、磁性材料、高強度材料という、伝統的に、いわゆるマテリアルというのが強い部分なんですね。それがエネルギー材料、半導体材料というところでマテリアルの重要性が極めて大きくなったところで、マテリアルをどのように取り扱うかというのが、今、ちょっと中途半端な段階で、それをいかにマテリアルから発信するかというのが、多分NIMSしかできない役割ですね。ぜひその辺りを今後どうするかということをナノ材、材料という面から大変重要なところで、期待したいと思います。
データサイエンス、LLM、現在、進行していますが、それが今後、DxMT5年間、ARIMのところである程度展開ができるので、それは期待していますが、先ほどありました、この行き着く先に自動実験があって、では、データから自動・自律実験に行って、またそのループが回ると。そのためのエンジニアは非常に重要であるとなります。では、研究者は何をするのだというところが少し抜けているというか、今、世間の状況で、伝統的な研究者は、こんなのできっこないよと言う人もたくさんいるので、そのところの議論がちょっと抜けている感じがするんですよね。じゃあ、研究機関で、それは大学もありますけれども、研究者の役割は、研究者というのは一体、何をやるのかというところが、非常に重要で、そこを少し考える必要があるかなというのを、今回、非常に強く感じた次第です。研究とは何かという本質的なところですね。
【伊藤補佐】 先生、今、南谷先生がオンラインで挙手されているようなのですが。
【菅野主査】 南谷先生、どうぞお願いいたします。
【南谷委員】 NIMSの取組を非常に分かりやすく教えていただいて、ありがとうございます。今、200万データが既に蓄積されているということですけども、ひとまずそれを例えばLLMに全部入れて、チャットNIMSとか、チャットマテリアルみたいなのをつくる計画はないんでしょうか。
【宝野委員】 それが先ほど御紹介した次のページです。
【南谷委員】 ああ、これですか。
【宝野委員】 これでやってまいります。
【南谷委員】 それを例えばアカデミアの人も契約したら、今のChatGPTに聞くように、自分のラボからNIMSのLLMに聞いて、こういう自動実験はどういうふうにしたらいいですかとかが出てくるような形になるんですか。
【宝野委員】 そうです。それを目標としております。
【南谷委員】 分かりました。どうもありがとうございます。
【菅野主査】 ほかに発言されていない先生方がいらっしゃいますが、いかがですか。
【所委員】 もう最後なので短く。お話をお伺いして、1点は、求める人材のところで、やはりこれだけの高機能な高価な分析機器があり、それから、AIがあるというところは、今日はマテリアルの話ですけど、マテリアル以外の、例えばもっと文系であるとか、そういったところの巻き込みで非常に魅力的なツールがNIMSにそろっていらっしゃるんじゃないかなと感じていまして、これから日本の長い目で見ていくと、やはり理系人材と現場人材が足りなくなるということを考えると、そこに人を集めていくというときのツールとして、このAIと分析機器があるというのは、周囲から巻き込んでくるのにすごく魅力なんじゃないかなと思いました。なので、今日はもちろんマテリアルをどういうふうに活性化していくかという話ですけれども、そこに違う分野からの巻き込みというのをNIMSを中心にしてつくれるんじゃないかなというのをすごく感じた次第です。特に、私の所属している早稲田大学も連携大学院にさせていただいていますけれども、ひとつ、私立大学というのは、これだけの高価なものをそろえていくというリソースがなかなかないので、そういったところと連携して、ただ、そこにはたくさん人がいますので、そういったところと連携するというのがひとつ戦略なのではないかなと思いました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。早稲田大学だけではなくて、日本には、津々浦々まで材料研究を行っている大学があり、材料の研究者がいるわけですね。前回か前々回に意見がありましたけれども、それをどのようにピックアップしていくかというのは、NIMSしか多分、役割を果たせる研究機関はないんですよね。だから、大学の拠点だけではなくて、拠点となる大学だけではなく、様々に散らばった材料の研究者をいかにまとめていくか。その役割が多分NIMSはあるというように感じていますので、その辺りの心配り、気配りもお願いできればと思います。
【平田委員】 一言だけです。先生方おっしゃったこと、そのとおりかなと思いました。企業目線で申し上げると、宝野先生が御説明された1番がすごく、ぜひと思っていまして、企業が出せない、その材料の。最後ですね。
【宝野委員】 一番最後ですね。
【平田委員】 社内でよく話をしていますが、材料のブレークスルーがあったから新しい製品が生まれて、それを世に出すことができた。必ず初めに材料のブレークスルーがあった、トヨタ75年史でも材料の話は早い段階で出てきます。ぜひともNIMSから、今あるものではなくて、本当に新しい産業につながるような、私たちができないものが出てくることをすごく期待しております。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。大体時間になっておりますので、それでは、セッションはここまでにさせていただきたいと思います。
最後に、議題3、その他に移ります。事務局より説明お願いします。
【伊藤補佐】 事務局より御連絡いたします。次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、追って御連絡させていただきます。
本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成後、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後にホームページにて公開いたしたいと思っています。
本日、貴重な御意見、たくさんいただいたと思っていまして、成長戦略もそうですし、内閣府のマテリアル戦略の議論もございますので、いただいた御意見を踏まえながら、我々のほうでも検討を進めていきたいと考えています。よろしくお願いします。
【菅野主査】 ありがとうございました。
【服部参事官】 最後に1点だけいいでしょうか。宣伝です。1月30日にナノテク展の関連イベントで、マテリアル戦略の推進シンポジウムというものを開かせていただきますので、もしナノテク展に足をお運びの場合にはぜひ御参加いただけますよう、よろしくお願いします。
以上でございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
それでは、本日の第3回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――