1.国際活動を担う人材層の充実

  • 我が国の研究環境を活性化するとともに、科学技術の国際活動を進める上で、分厚い優秀な研究者層とその国際ネットワークの存在は大きな前提条件。
  • 特に、人材の国際流動性が増し、日本や欧州で将来の人口の減少が見込まれる今日、世界的に研究人材の確保が大きな課題となっている。
  • さらに、「ソフトパワー」があふれる魅力的な国を目指す上で、国内外の優秀な研究者の交流を促すことは有効な手段。
  • このため、我が国のために国際活動を担う人材層の充実を図ることが必要であり、以下の3つの取組みを進めていく。

(1)外国人研究者の活躍の拡大

  1. 優れた外国人研究者の登用促進
  2. 外国人研究者のキャリアパスの拡大
    ・大学・研究機関における国籍を問わない公平な評価・登用の推進
  3. 外国人研究者受入れ制度の充実
  4. 外国人研究者受入れのための環境整備
    ・出入国管理法などの制度改善の検討

(2)海外における武者修行を通じた国際的に優れた人材の育成

  1. 海外で活躍する優れた日本人研究者の登用促進
  2. 海外における武者修行を通じた人材育成の充実

(3)国際的環境における知の触発と人的ネットワークの構築

  1. 「知の出会い」の場の充実

第3期基本計画において採るべき主要な方策(案)

(1)外国人研究者の活躍の拡大

1.優れた外国人研究者の登用促進

  • 世界的研究・教育拠点を目指す我が国の大学・研究機関において世界水準の研究が遂行されるよう、優れた研究実績をあげている外国人研究者を我が国の大学・研究機関が積極的に登用することを促進するため、競争原理の下で、当該研究者の登用に伴い必要となる経費等を一定期間支給するなどの取組みを推進する。また、その際、国公私立大学を通じて世界的な研究・教育拠点の形成を重点的に支援する取組との連携を確保しつつ、推進することが重要。
  • このような取組みを通じて、優れた外国人研究者の我が国におけるキャリアパスの構築を図っていくことにより、優れた大学院生、ポスドク研究者等の来日及び来日後の日本への定着の促進に資する。

2.外国人研究者のキャリアパスの拡大

  • 大学・研究機関における国籍を問わない公平な評価・登用の推進
    # 日本で成果を挙げた若手研究者の定着を図るためにも、各大学・公的研究機関は、研究者の国籍を問わずその能力や業績を公正・適切に評価し、研究者の登用や処遇への反映を図ることが求められる。
    # 世界的研究・教育拠点を目指す大学や公的研究機関は、各機関や研究科等の組織ごとに、当該分野の博士課程における留学生の割合、当該分野のポスドクに占める外国人の割合、当該分野の国際研究水準、主要国における外国人研究者の割合、各機関の国際戦略等を踏まえつつ、外国人の採用の数値目標の設定を含めた外国人採用に係る行動計画の策定や、その達成状況の公開などの取組が期待される。国は、各大学や公的研究機関における取組の状況を把握し、公表する。
    # 我が国の大学・公的研究機関の研究職のポスト公募に当たって、英語による公募情報の告知を徹底し、英語での応募を認めるなど、外国人研究者が応募しやすいような環境を整備することが期待される。
    # 企業全体においても外国人研究者採用の実績が乏しい企業が大半であり、企業においても優れた外国人研究者の登用が図られることが期待される。
    # 我が国の企業でのインターンシップ活動に、留学生(学位取得直後の者を含む)などの外国人が従事する機会を提供することも重要。
    # 我が国での研究を希望する外国人研究者と、優秀な外国人研究者を求める我が国の大学や官民の研究機関のニーズをマッチングする取組みを強化する。

3.外国人研究者受入れ制度の充実

  • 我が国で博士号を取得した外国人留学生が我が国でポスドクとして研究を行う機会を明確な形で提供する。このため、外国人向けポスドク招へい制度に対する、留学生の応募可能性を明確化する。
  • 外国人向けポスドク招へい制度に関して、海外拠点、ウェブサイト等を有効に活用した招へい前の制度周知・プレオリエンテーション、帰国後の研究者とのネットワークを構築・維持するための取組みの強化等質的充実を図りつつ推進する。また、受入機関の受入環境を内外に発信するとともに審査に適切に反映するとともに、日本語学習をはじめとする受入協力に係る支援を行う。
  • 外国人研究者の活躍の拡大を図るため、大学院生段階の留学生の受入れを推進することは重要であり、国際共同教育プログラムの一層の推進等を図る。
  • シニアレベルの研究者招へい制度に関して、海外の若手研究者の同行を可能とする制度の導入等質的充実を図る。

4.外国人研究者の受入れのための環境整備

  • 出入国管理法などの制度改善の検討
    外国人研究者受入れの円滑化を図るため、出入国管理及び難民認定法等について、経済界等からの要望も高い次のような事項の見直し、運用改善等を検討することが重要であり、今後関係府省において議論を深めることが重要。
    - 在留資格認定要件緩和(在留資格「研究」における、専攻と職種間の一致に関する制約等の緩和)
    - 在留期間の延長(現行は「教授」「研究」が3年、「留学」が2年)、
    - 在留資格変更要件の緩和(「留学」→「研究」「技術」の変更や、卒業後のインターンシップ等)
    - 永住権取得要件の緩和(現行は10年在住が暗黙の要件)
    - 在留資格認定手続きの簡素化・迅速化(特定のフェローシップ受給者の審査を優遇するなど)、等。
    - 研究者向け短期滞在査証取得手続きの簡素化・迅速化(特定国の研究者向けの短期滞在査証発給優先処理等)
  • 地方自治体による外国人研究者向けサービスの充実
    → 地方自治体が主導して、留学生が住居を賃貸契約する場合の連帯保証人制度の改善等の取組みを行うことにより、外国人研究者の宿舎確保の円滑化を図ることは重要である。
  • 研究者の国境を越えた移動に際して重要な年金の取扱いに関して関係府省において議論を深めることが重要。

(2)海外における武者修行を通じた国際的に優れた人材の育成

1.海外で活躍する優れた日本人研究者の登用促進

  • 世界的研究・教育拠点を目指す我が国の大学・研究機関において世界水準の研究が遂行されるよう、海外の競争的環境下で優れた研究実績を挙げている日本人研究者を、我が国の大学・研究機関が積極的に登用することを促進するため、競争原理の下で、当該研究者の登用に伴い必要となる経費等を一定期間支給するなどの取組みを推進する。また、その際、国公私立大学を通じて世界的な研究・教育研究拠点の形成を重点的に支援する取組との連携を確保しつつ、推進することが重要。
  • このような取組みを通じて、海外で優れた研究実績を挙げた日本人研究者のキャリアパスの構築を図っていくことにより、優れた大学院生、ポスドク研究者等が積極的に海外武者修行に挑戦するインセンティブを付与することにも資する。

2.海外における武者修行を通じた人材育成の充実

 海外特別研究員事業や海外の大学・研究機関との共同研究・共同プログラム等による人材育成を充実する。

(3)国際的環境における知の触発と人的ネットワークの構築

1.「知の出会い」の場の充実

  • 日本学術振興会等において実施している国際シンポジウム、国際サマースクール等の短期研究交流事業を充実、強化する。
  • 研究者向け短期滞在査証取得手続きを簡素化、迅速化するなどの措置に関し、今後関係府省において議論を深めることが重要。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)