3.第3期科学技術基本計画で望まれる政策 (7)科学技術と社会との関わりへの取り組みの強化

 科学技術の成果を市場に還元するとともに、科学的視点にたった政策決定を行なえるようにしていくためには、国民が科学技術に対する理解を深めていくことが不可欠である。しかしながら、内閣府が行なった「科学技術と社会に関する世論調査」によれば、科学技術に関するニュースや話題への関心度は、科学技術への投資が増大しているにもかかわらず、前回調査の1999年に比して全体的に低下傾向にある。特に20歳代で関心があるとした割合は1999年の48.3%に対し、2004年は41.3%であるなど、科学技術に対する関心、理解が低下するという結果になっている。
 こうした事態を解決する上では、科学技術が社会に与える影響について積極的に研究を行ない、情報を公開していくことや、初等中等教育を含め国民に対する理解増進活動を精力的に進めることが重要である。
 具体的には、バイオテクノロジー応用食品を含む食品の安全性など、科学技術の国民に与える影響についての科学的研究とその情報公開を進めるとともに、ELSI(Ethics, Legal and Social Issues)への取り組みを強化し、パブリック・アンダースタンディングを醸成すべきである。
 また、理解増進活動に関しては、これまで行なわれてきた様々な取り組みをベースに、質的にも量的にもさらなる充実が必要である。その際、今後、特に求められるものは、最先端の科学技術やモノ創りの現場の体験、課題を解決させるような取り組み(PBL:Project Based Learning)である。また、産業界においては、理解増進に対する活動が様々な形で行なわれているところであるが、今後は、こうした取り組みをさらに促進するとともに、企業と教育現場とのコーディネーション機能の充実など、政府の支援措置を拡充させるべきである。
 これらの取り組みを強化するために、科学技術予算の全体に占める社会との関わりに関する予算の割合の目標値を定め、その確保を図るべきである。また、国や産業の持続的発展の基盤となる重要技術に関する総合的政策推進の一環として、科学技術の社会に与える影響の研究や理解増進活動の推進が求められるところである。

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科学技術・学術政策局計画官付

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