3.第3期科学技術基本計画で望まれる政策 (6)国際的に評価される知の創造の推進

1.技術の種を生み出す知の創造と説明責任の確保

 科学技術創造立国が成り立つには、常に世界レベルの技術の種が創出されることが必須である。将来の技術の種を生み出す上で、大学における知の創造が重要であり、このためにも大学の活力が鍵となる。
 大学における「知の創造」に関しては、(a)純粋な真理の探究、(b)経済・社会への貢献を念頭に置いた真理の探究、のいずれを重視すべきかについて、様々な意見が出されているが、大切なのは両者の位置付けの違いを踏まえた政策の展開とバランスの確保である。前者については、国際的に評価される研究の推進と多様性の確保、説明責任の遂行が期待され、後者については、これに特許取得を含め経済・社会からの視点を加えることが重要である。経済・社会の視点からの評価にあたっては、その前提として、知の創造の出口イメージやその実現へのロードマップについて産学で共有することが重要である。
 いずれにせよ、税金である政府投資を利用する以上、投入される額、国際的に評価される研究成果、投入額と具体的な成果の関係などについて、当然に、国民への説明責任を果たしていく必要がある。

2.若手研究者への資金配分と新領域への挑戦の重視

 競争的研究資金については、プログラムオフィサー、プログラムディレクターによる一元管理・評価体制の整備などを含んだ具体的な改革や競争的資金倍増目標に向けた重点的拡充が打ち出されたところである。
 競争的研究資金は、競争的な研究開発環境を整備するとともに、研究者の能力を最大限に発揮させ、世界最高水準の研究開発成果の創出に貢献することに資するものであり、今後は、定義と趣旨の明確化を図りつつ、さらなる競争的な環境の整備に努めるべきである。
 その際、研究者の自由な発想に委ねるものと、トップダウン型で戦略領域を設定するものとを分けて考える必要がある。研究者の自由な発想に委ねる競争的資金は、若手研究者を含む多様なレビューアーを活用し、若手研究者への配分を増やせるようにすべきである。トップダウン型で戦略領域を設定するものについては、新領域への挑戦を重視するとともに、経済社会の動向が十分に反映できるようにするため、テーマ選定や審査にあたって、産業界の意見が十分に取り入れられるようにすべきである。
 また、競争原理のさらなる導入による大学の活性化の観点から、人材の流動性確保も重要である。

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科学技術・学術政策局計画官付

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