1.基本認識

 わが国では、科学技術基本計画に基づき、科学技術を活用した経済・社会の持続的発展の実現に向けて、政府の総合科学技術会議を中心に、各種の施策が展開されてきている。とりわけ第2期基本計画では、第1期の17.6兆円に続き、投資額が平成16年度までの4年間で約17兆円に達する見込みであり、着実に予算の拡充が図られてきている。また、効果的・効率的な資源配分の観点から、科学技術の戦略的重点化とそれに沿った予算配分、科学技術関係施策に関する予算編成過程での優先順位付けが行なわれている。制度、システム面でも、研究開発促進税制の改革、産学連携の推進や国立大学の非公務員型の法人化など改革が推進されている。
  こうした取り組みにより、科学技術創造立国実現への基盤は整いつつあり、産業界からも、「技術の種が生まれてきている」、「産学連携が結実しつつある」との意見が出されるなど、これまでの研究開発投資によって、成果の芽が生じつつあるところである。
 今後は、これまでの蓄積を存分に活用し、「知の創造」と長期的・国際的な視点による戦略に基づく総合的な政策を、府省の縦割りを排除して展開することによって、世界最高水準の技術の開発と絶え間ない技術革新を促していく必要がある。そうすることによって、「知の創造」と産業競争力の強化や国民生活の向上といった「活力の創出」の好循環を生み出し、豊かな社会の構築、いわば目に見える形での国民への具体的な成果の還元へと結びつけていくことを目指していくべきである。
 一方、わが国をとりまく環境は、対外的には、アジア諸国、とりわけ中国の成長が世界的に見ても著しく、産業におけるグローバルな競争がより一層激化するとともに、エネルギーや食料の需要が大幅に増大すると予測されている。アジア諸国と信頼関係を醸成しつつ、共生や連携を図ることは、わが国にとって極めて重要な課題となっている。
 また、国内的には、世界に例のない速さで少子化、高齢化が進行しており、2006年頃をピークに人口が減少するという、大きな変革に直面する中、人材の活用を含め、生産性の維持・向上が求められている。
 資源の乏しいわが国は、将来的にも、貿易立国として一定規模の輸出の維持、資源・エネルギーの安定確保によって、国民の豊かさの維持・向上を図っていかなければならない。このような厳しい環境の下、わが国が直面する課題を解決し、将来的に、環境と調和した持続的な発展を遂げるとともに、国際社会に貢献し、諸外国と友好的な関係を構築しつつリーダーシップを発揮していく上では、科学技術、またそれに立脚する産業技術こそが力の源であり鍵を握っているのである。

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科学技術・学術政策局計画官付

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