9.科学技術振興のための基盤の整備

(大学の施設整備)

  1. 大学等の施設、設備は国際的に見ると依然貧弱であり、さらなる公的支援が必要。
  2. 近年の大型プロジェクト、科研費の増大に伴い、各研究機関の施設や設備は大幅に改善されてきたが、プロジェクト終了とともに設備の維持費すらつかなくなり、宝の持ち腐れになるのを防ぐ対策が必要。(複数の指摘あり)
  3. 国立大学法人化により、人事院規則に代わって労働安全衛生法が国立大学に適用されることになり、大学の研究施設、設備は企業に比べて非常に貧弱であり、特に化学分野においては不安な面がある。より大幅な整備費の拡充を望む。

(知的基盤整備)

  1. 先端技術の研究開発だけではなく、研究に使う知的基盤も重要。基盤的なデータ収集やアーカイブも重要
  2. 日本にとって貴重なリソースである修士・博士論文、政府研究機関の報告書等技術情報に関する著作権の扱いが曖昧で、検索利用システムの構築に壁。
  3. 研究機器の効率的利用について現状が把握されるべき。一般的に仏では研究機器を多くの研究室でシェアして活用している。日本では研究室単位で高価な機器を購入しても遊んでいることもあるので、これは見習うべき。

(学協会)

  1. 日本の科学技術の発展のための理念、方向性を打ち出すためのしっかりとした調査、提言機関(例えば米国のNational Academy,NIH等)を確立する必要がある。
  2. 日本学術会議や各学会の会長の任期が短すぎるため、着手した取組みや改革が途中で終わることが多い。責任を持ってやり遂げられる程度の期間は務めるべき。

(学術誌)

  1. 国内の学会内でも、欧米の有名誌に掲載されることが評価されている限りは、日本人ですら国内雑誌に投稿しない。日本版NatureやScienceを作るには、国内の賞の選考の際には国内雑誌の掲載を評価する、世界から論文を集められるような仕組みをつくる、投稿料を無料にするなど、国がいくらか負担するような仕組みが必要。
  2. 日本の学術誌のインパクトファクターを上げる活動だけでなく、インターネットを使ったビジネスモデルなどビジネスとして成り立つよう、知恵とお金の流し方を考える必要あり。現在の学協会の事務局の能力だけではそれを行うのは困難と思われる。
  3. 日本発の科学技術を発信すべき国内の雑誌を保護するよう、多角的な評価法を確立し、科学技術論文の内容で評価できるシステムを早急に構築すべき。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)