7.科学技術と社会の関わり

(理解増進、研究者のアウトリーチ活動)

  1. 地域社会への科学技術の理解増進・啓蒙活動は法人化後の大学の役割ではないか。
  2. 国民の正確な理解を深めるためには、競争的資金のうち3~5%は理解増進活動に充てるといった強制的な対応もやらざるを得ない状況ではないか。(複数の指摘あり)
  3. 市民が科学や技術の情報に対して合理的に判断できるよう、広い裾野の理科教育が今後重要。
  4. 理解増進活動に努めている研究者を、国がもっと支援、表彰、モデルケースとして紹介することで、教員の意識を変えていくことが必要。
  5. 既知の知識を伝えるPublic Understanding of Scienceだけでなく、研究のプロセスを見せたり参加させるPublic Understanding of Researchが重要。なぜ研究を面白いと思っているかや試行錯誤のプロセスを伝えることが理解増進に重要。
  6. 日本の研究者は理解増進・啓蒙を自分の役割と思っていないが、欧米ではもともとそれが伝統。研究者のアウトリーチに対する認識は10年で変わってきてはいるが、履歴書に教育、研究と並んでアウトリーチ活動を記述したり、研究活動の一環としてアウトリーチ活動を評価の対象にしたりすることが必要。(複数の指摘あり)
  7. 若者達に科学技術に関心をもたせるようなすりこみが必要。NASAなどは、有人宇宙飛行などの科学技術に関心をもたせるようなすりこみを行うことで、納税者となった時の研究開発への理解・サポートにつながり、科学技術を支える土台作りとなっている。宇宙活動におけるアメリカ、中国の大衆への広報活動の巧みなところは見習うべき。
  8. 研究者によるアウトリーチは、研究の幅が広がることや、研究者がサイエンス雑誌や科学番組を制作する人に育つことにもつながる

(社会との関わりの深化)

  1. 科学技術分野にも非政府組織を積極的に位置づけるべき。研究成果の社会への還元を国に任せるのではなく、社会自体に担ってもらうとの観点が必要。例えば風力発電のNPOなど、国の研究資金に対してNPOも応募できるようにすれば、技術と社会の接点になる。
  2. 科学技術は社会や国民に多大な影響を及ぼすが、科学技術と社会的課題(国民のニーズ)とが大きく乖離し、科学技術コミュニティーが社会から遊離している。ニーズを汲み上げる枠組とその展開は重要(例:ドイツのFUTUR、イギリスのフォーサイト)。科学技術の役割や重要性に社会が気づく効果もある。専門家の意見をアンケートで聞くだけではダメ。過去・現在の外挿からは、将来社会は掴めない。社会調査の手法を適用し未来社会のイメージを把握することが必要。

(ELSI)

  1. 日本だけが研究開発の多面的な社会アセスメントを行うELSI(Ethical, Legal and Social Implications)を行っていない。台湾、韓国でもすでに取り組んでおり、このアセスメントをオープンにみえる形で行う必要がある

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(科学技術・学術政策局計画官付)