□ 児童生徒の理科・数学教育を充実し、引き続き国際的にも高い理科、数学の素養を維持する。
□ OECDが実施する生徒の学習到達度調査、IEAが実施する国際数学・理科教育動向調査等において、高いレベルの水準を実現・維持する。
□ 国民の科学技術への理解関心の度合いを改善し、科学技術関係人材を育む社会を構築する。
理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発や大学・研究機関等との効果的な連携方策についての研究を実施する高等学校をスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定。SSHにおいては、理科系の部活動や国際的な科学コンテストへの参加についても推進する ほか、各校の取組の地域への普及や指定校間の交流も図る。(平成15年度までに52校指定。平成16年度までに70校指定。平成18年度までの成果を踏まえて以後の施策を検討する。)
また、モデル地域を指定し、その地域内の小・中学校である「理科大好きスクール」において観察・実験等を重視した楽しくわかりやすい授業展開、児童生徒が理科を好きになる指導の在り方について実践的な研究を推進。(平成15年度に19都道府県、167校を指定(2年間)。その成果を踏まえ、平成17年以降も事業を継続。)
1.研究者を招へいする実験等の講座、2.大学、研究機関等で講座及び3.教育委員会と大学、研究機関等との連携による教員研修に対する支援等を行い、その適切な在り方等について調査研究(サイエンス・パートナーシップ・プログラム)を実施。(連携プログラム支援の例:大学、研究機関等による連携講座の実施機関数平成15年度約56機関→平成18年度までに年平均70機関とする)
先端的な技術・技能等を取り入れた教育等を重点的に行っている専門高校を指定し、カリキュラム開発、大学や研究機関等との連携方策についての研究等を推進し、「将来のスペシャリスト」の育成に資する。
(平成15年度に9校指定→今後、各教科の分野ごとに1校程度(計36校)を目標に指定を拡充し、その成果を踏まえ、以降の施策を検討する。)
国際的科学技術コンテストの開催、第一線の研究者による合宿形式での選手指導(スーパーサイエンスキャンプ(仮称))等を支援し、理数分野を得意とする生徒が個性・能力を伸長する機会を充実。(平成16年度新規。毎年3大会程度を支援。)
また、研究機関での合宿形式による高い密度の指導と研究者等との交流を通し、生徒が研究者や研究現場の姿に触れるサイエンス・キャンプを実施。さらに、参加が積極的に行われるための環境整備に関し、各都道府県教育委員会等に対し、情報提供等を行う。(平成15年度の夏期サイエンスキャンプの参加研究機関は27機関、参加生徒約300名(公募・審査を実施し選抜))
さらに、内閣総理大臣オーストラリア科学奨学生事業として、豪州シドニー大学主催「高校生のための国際科学学校」(世界各国から140人の高校生が参加)に、我が国より10人の高校生を派遣し、ノーベル賞受賞者らによる講義を通じ、最先端の科学知識にふれる機会を設ける。
高い指導技術を有する理科・数学教員を一定期間支援し、指導法の開発を更に行う機会を創出し、成果を上げた教員を「サイエンスマスター(仮称)」として表彰するための手法開発を行う、教員の社会的地位向上等を図る。 (平成16年度新規。平成16・17年度に毎年度30名の教員を指定、各2年間支援し、評価方法を確立した後、翌年成果を審査し表彰。)
フルブライト・メモリアル基金による、1.教員プログラム(米国の初等中等学校教員等を日本に招へい。年間600人。)、2.マスターティーチャー・プログラム(米国人教員等を受け入れた日米の学校間の理科分野の共同研究プロジェクトの実施)を推進する。また、平成16年度は、これまでの経験の共有と交流ネットワークの構築を目的として、理科教育に関する調査研究、セミナー、サマーキャンプを内容とする「日米理科教育ネットワーク・プログラム」を新たに実施。(平成16年度より開始する事業により参加校及び関係者のネットワークを構築し、得られた成果を日本の理科教育向上に役立てていく。)
各研究機関の広報担当者等に、情報発信手法の研修を実施し、研究機関の情報発信能力を向上する。(平成16年度新規)(平成18年度までに研究機関(大学、会社等を含まない自然科学系の機関)の約15%に対し広報に関する研修を行うことを目指す。)
科学技術と社会を仲介し、社会と科学技術との良好な関係を築くための橋渡し役となる科学コミュニケーターの養成方策について、科学技術・学術審議会人材委員会において検討する。その際、例えば、日本科学未来館の科学技術スペシャリスト(任期付)を任期後に研究PRのディレクターとして基礎研究分野で活用させる等、この種の人材のキャリアパス開拓についても併せて検討する。
国立科学博物館においては、生命、地球環境などの課題を理解する上で不可欠な生物の多様性、生物の進化等や我が国の発達を理解する上で重要な科学技術の発展の過程などについて、最新の研究成果や多面的な視野に基づくテーマ展示に重点を置いた体系的な展示の充実を図る。
日本科学未来館は、映像や参加体験型の展示物を用い、最先端の科学技術を国民に紹介する情報発信の拠点であり、展示物等の開発の実施や研究者と国民、研究者同士の交流等の拠点として活動を展開する。
OECDの生徒の学習到達度調査(PISA)の科学的素養を中心とした調査が平成16年~平成19年の予定で、また、IEA(国際教育到達度評価学会)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)が平成18年度に計画・実施される予定となっており、国立教育政策研究所が中心となりこれに積極的に参加し調査を実施する。また、科学技術理解増進に関する調査等について科学技術政策研究所を中心に引き続き推進する。
以上の目標を効果的に達成するには、大学、公的研究機関等において、個々人の能力、業績を公正・適切に評価し処遇等に反映する、いわば科学技術関係の多様な人材のやる気を起こさせるような人事・研究の評価システムを確立することが不可欠であり、各機関における着実な実施が求められる。
また、正確な現状把握と分析に基づいた政策の企画・立案を実現すべく、科学技術政策研究所等における政策研究及び政策研究者の育成が必要である。
なお、関係府省との連携が必要なものについては、本プランの考え方を踏まえ、具体的な協力方策等について検討を進めることとする。
本プランは、平成16年度概算要求に合わせて取りまとめたものであるが、個々の施策の効果についての評価や内外の情勢変化等を踏まえ、適時適切に検証を行い、必要に応じて見直しを行うものとする。
科学技術・学術政策局基盤政策課
-- 登録:平成21年以前 --