目標3:多様な人材を惹きつけ能力を発揮させる環境の整備

□ 若手研究者が独立して研究できるよう、支援者の雇用を含めた研究費を充実し、体制を整備する。

□ 研究者の流動化の促進、能力主義に基づく人事の徹底等により女性研究者、外国人研究者等、多様な人材の活躍機会を格段に拡充する。

(現状)

  • 少子高齢化が進行する中、次代を担う創造的な研究活動の担い手である若手研究者が十分に能力を発揮できていない。
  • 女性研究者、外国人研究者等、多様な人材が十分活躍できていないなど、能力ある人材を惹き付ける環境が不十分。
  • 欧米等への研究者の渡航が増大する一方、海外から優れた研究者が集まりにくく「知の空洞化」が懸念。

(上記目標を実現するために今後5年間程度の間に取り組む主な施策)

▼ 若手研究者の自立性向上支援

○ 「若手研究」の充実

 次代を担う若手研究者が独立して研究できる環境を整備するため、科学研究費補助金による若手研究者向け研究費の拡充を図る。

○ 教育研究組織の在り方の改善

 中央教育審議会大学分科会において、教育研究の活性化に資する教員組織の在り方を改善する観点から、現行の「助教授」、「助手」の位置付けの見直し等の検討を行い、所要の措置を講じるとともに、その検討結果を踏まえ、科学技術・学術審議会人材委員会において、若手研究者の自立性向上に係る方策等について検討を深める。

○ 若手研究者等の研究活動を支える研究支援者の確保

 競争的資金の倍増や間接経費比率の拡充(当面30%を目安)を図る中で、若手研究者をはじめとする研究者が研究に専念できるよう、大学、研究機関はそれらの資金による研究支援者の確保を積極的かつ計画的に進める。

○ 任期付若手研究者が活躍できる研究拠点の創出

 科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成」において、在外研究者、独立性の高い任期付の研究者を活用するなど、研究者の流動化、研究環境の国際化等を推進することにより、優れた研究成果を生み出し、新しい時代を拓く研究開発システムを実現するための研究拠点の創出を図る。

○ 新たな研究分野の開拓と指導的研究者の養成

 理化学研究所において、優れた若手研究者が独立して研究室運営を行う機会を確保し、優れた成果の輩出を促進するとともに、研究マネジメント能力の向上を図り、理研のみならず国内外の研究機関等において次代の指導的役割を担う研究者を養成する「独立主幹研究員制度」を継続的に推進する。

(平成17年度までに10名採用)

▼ ポストドクターに対する支援の多様化

○ 次代を担うポストドクターに対する支援の充実

 第2期科学技術基本計画における方向性を踏まえ、競争的資金を拡充する中で、競争的資金等による研究プロジェクトにポストドクターを参画させ支援する機会(競争的資金(文科省分)による雇用支援、平成14年:約1,800人)を拡充する。
 また、特定の研究分野に限らず、幅広い研究分野における優れた人材を継続的に確保する観点から、優れた研究能力を有するポストドクターが主体的に研究に専念できるよう支援する特別研究員事業(独立行政法人日本学術振興会)について、支援対象者の選考審査や評価体制の改善・充実を図りつつ、継続的な推進を図る。

▼ 多様な人材が活躍できる環境の整備

○ 任期制の広範な普及等による人材の流動性向上

 「研究者の流動性向上に関する基本的指針」(平成13年12月総合科学技術会議決定)を踏まえ、各大学・公的研究機関における流動性向上に関する自主的な取組を促し、任期制や公募の実施、研究人材流動化促進計画の策定に係る取組状況を定期的に調査し、結果を公表する。
 また、移動する研究者が給与や社会保障等の面で経済的に不利益を受けることのないよう、問題点を調査した上で、科学技術・学術審議会人材委員会において問題解決に向けた具体的な方策について検討を行い、その検討結果を踏まえ、総合科学技術会議等に対して政府全体の対応を働きかけるなど、社会全体の取組について政府一体となった検討を行う。

○ 理化学研究所におけるテニュア研究員制度(※)・年俸制の先駆的導入

 理化学研究所において、平成15年度より、任期制研究員の流動性の向上、処遇改善を目的として導入した「理化学研究所テニュア研究員制度」の定着のため計画的な拡充を図る。
 また、平成16年度より、研究人材の流動環境を構築するため、主任研究員級の研究者を対象として、試験的に年俸制の導入を行う。

(※)任期制研究者の業績を評価し、長期的な雇用を可能とする制度

○ 研究者の多様なキャリアパスの構築

 博士号取得者に対する多様なキャリアパスを確保するため、社会の様々な分野における活動状況など必要なデータの収集・分析を行うとともに、その結果を踏まえ、科学技術・学術審議会人材委員会において研究者のキャリア・パス全体の在り方について検討を行い、我が国にふさわしい研究者の多様なキャリア・パスを確立する。
 また、文部科学省においても、研究経歴を有する者の行政部門への採用・登用を積極的に進める。

○ 大学等における人材の多様性向上

 大学における自校出身比率(平成13年:学部26.9%、大学院59.1%)の低減、民間経験者、外国人研究者、女性研究者の採用目標や採用に当たっての配慮などについて、各大学・公的研究機関における各々の主体的な判断による明確化を促し、取組状況を定期的に調査し、結果を公表する。

○ 女性研究者の活躍促進

 科学技術・学術審議会人材委員会が平成15年6月にまとめた第二次提言「国際競争力向上のための研究人材の養成・確保を目指して」や、「女性の多様なキャリアを支援するための懇談会」が平成15年3月にまとめた「多様なキャリアが社会を変える」第一次報告(女性研究者への支援)における様々な具体的提言等を踏まえ、男女共同参画促進のための体制整備や行動計画の策定、女性研究者の採用・登用目標の設定など、組織ごとの目標や理念、女性研究者の実態等を踏まえた各大学・公的研究機関における自主的な取組を促し、取組状況の実態把握に努める。

○ 外国人研究者の受入促進

 諸外国の優秀な若手研究者を我が国の大学等に受入れ支援する外国人特別研究員事業(独立行政法人日本学術振興会)を拡充するとともに、外国人特別研究員について、研究生活を支援する取組や帰国後に我が国と研究ネットワークを形成する取組を推進する。(平成15年度1,640人/年→平成19年度までに、科学技術・学術審議会国際化推進委員会報告(平成15年1月)を踏まえ、第1期科学技術基本計画に掲げられた2,050人/年を目標)

○ ユネスコを通じた科学技術分野における人材養成

 ユネスコに科学技術人材養成ネットワーク信託基金を新たに拠出し、主にアジア・太平洋地域の若手研究者を対象にした人材養成事業を実施する。海外からの研修生の受入れ等を我が国の大学等が中心となって行うことにより、大学等・研究者間の人材養成に関するネットワークを構築・強化しつつ科学技術人材の育成を推進するとともに、我が国とアジア諸国との研究パートナーシップの強化及び我が国の大学等における教育・研究の活性化、国際化を図る。

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成21年以前 --