アスペリティ
プレート境界や断層面において固着の強さが特に大きい領域のこと。この領域が地震時に滑ると、滑り量がまわりよりも大きくなり、大振幅の地震波を放出する。
アンサンブル予測
数値予測で初期条件等に不確定さがある場合、異なる初期条件を仮定した多くの数値予測を行い、それらの結果から統計的な予測を行う手法。
異方性
一般には方向によって物性が異なることをいうが、ここでは地震波速度の異方性のこと。振動方向や伝播(でんぱ)方向によって地震波の伝播速度が異なること。
宇宙線(ミューオン)
宇宙線が大気中の原子核と反応して生成される二次宇宙線のひとつで、地上に絶え間なく降り注いでいる素粒子。透過する物質の密度差によってミューオンの減衰が異なることを利用して、X線の透視撮影のように地殻内部の密度分布を調べる試みがなされている。
衛星海面高度計
人工衛星を用いて三次元的な海面の形状を決定する手法である。まず、地表を均等に周回する軌道上の衛星に搭載したレーザーやレーダーなどを用いて衛星と海面の間の距離を正確に測定する。一方、軌道追跡によって衛星の三次元的な飛行経路を精密に決定して、両者を総合的に解析して海面の三次元的な形状を求める。現在では2~3センチメートルの精度が達成されていると言われている。
永続散乱体干渉手法
常に強いレーダー波反射を示す建造物などが複数の時期の観測データに存在する場合、それらを比較に用いることで変動を詳細に追跡する手法。PSInSAR(Permanent Scatterer InSAR)ともいう。
液体包有物
火山岩の鉱物中に閉じ込められたガラス状の物質で、地下で成長中の鉱物にマグマが取り込まれたものと考えられる。液体包有物の性質からそれが取り込まれた当時の地下マグマの状態を読み取ることができる。
応力
物体内部での力のかかり具合を示す。物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積あたりの力。震源域の応力が破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。三次元の物質中の任意の応力状態は互いに直交する三つの軸に平行な圧縮と引っ張りで表すことができるが、この三つの軸を応力の主軸と呼ぶ。
海域火山基礎情報図
海域にある火山の地形、地質、地磁気などの地球物理情報を盛り込んだ基本的な図面。
階段図
ひとつの火山や地域内を対象に、噴出時期と積算した噴出物量を両軸にとって作成される階段状の図面。その規則性から将来の噴出時期や噴出量を予想するのに用いる。
火山活動度レベル
火山活動の程度と防災対応の必要性を0~5の6段階の数値で表した気象庁の指標。平成19年度の噴火警戒レベル導入に伴い廃止された。
火山基本図
縮尺が5,000分の1か10,000分の1で作成された地形図のことで、活動中の火山や将来活動が予測される火山を対象としている。
火山地形図
火山地域を対象にした地形図。火山基本図を含む。
火山地質図
活火山の噴火履歴、噴出物や火口の分布、構造などを表した地質図。火山の形成史や噴火活動に関する解説が付けられている。
火山流体
マグマ、火山ガス、熱水など、火山の活動に伴っている流体相全体を指す。火山性微動などの現象の一部はこのような流体の移動に伴って発生するものであると考えられている。
活断層
地質時代でいう第四紀後期(数十万年前~現在)に繰り返し地震を発生させ地表近傍まで食い違いを生じてきた断層で、今後も同様の地震を発生させると考えられる断層。
火道
地下のマグマ溜まりから地表へ至るまでのマグマの上昇経路のこと。火道でのマグマの脱ガスや上昇の仕方が噴火の様式を左右する。
間隙(かんげき)流体(水)圧
土や岩石中の空隙を占めている流体(水)の圧力。
基盤的調査観測網
地震調査研究推進本部の「地震に関する基盤的調査観測計画」(平成9年8月)に基づく、高感度地震計(防災科学技術研究所のHi-net、気象庁の観測網)、広帯域地震計(防災科学技術研究所のF-net)、強震計(防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net)、GPSの観測網(国土地理院のGEONET)等。
規模依存性
現象の規模によって、物理量などがどのように変わるかを記述する法則。例えば、断層の長さや滑り量が地震の規模にどのように依存するかを記述する法則。
規模別頻度分布
地震の規模(マグニチュードM)ごとの地震の発生度数n(M)の分布。通常は、グーテンベルグ・リヒターの式logn(M)=a-bM(a、bは定数)に従うことが知られている。bは0.7~1.0程度の値。
逆解析
観測データから、それを生じさせる原因となる現象や物質の性質等を推定する解析手法。
強度回復過程
地震が発生したときに低下した断層の摩擦強度が、時間とともに回復していく(高まっていく)過程。
空振
噴火に伴って火山ガス等が火口から大気中に放出されるために発生する空気振動のこと。桜島や浅間山などで発生するブルカノ式噴火では、空振によって火口から10キロメートル以上も離れた家屋の窓ガラスが破壊されることがある。
ケーブル式海底地震計
海底での地震観測を行う一方式で、複数の地震計を海底ケーブルでつなぐ。地震計からのデータは海底ケーブルにより陸上局まで伝送され、リアルタイムのデータ取得ができる。
コア試料
掘削により採取した岩石試料。
光波測距
レーザー光が2点間を往復する時間を計測することにより、距離を推定する手法。
散乱波・散乱体
不均質な媒質に地震波が入射したときに散乱される地震波を散乱波、散乱波を生じさせる物質を散乱体という。
地震発生サイクル
地震発生後、断層面の強度が回復するとともに、プレート運動などによる広域応力により再び歪(ひずみ)エネルギーが蓄積され、次の地震が発生するまでの一連の過程。
実験観測
課題を設定し、その解明のために、能動的な手法も含めて一定期間行う観測。
シミュレーション
実際の事象を、その事象を支配している法則に基づいてほぼ同様となるように組み立てた模擬空間で再現試行すること。コンピュータを用いた数値シミュレーションを指すことが多い。計画では、強震動や地震発生サイクル等のシミュレーションが行われる。
震源核
地震が発生する前に断層面上でゆっくりと成長すると考えられている地震の種。外的な力の増大とともに滑りが進行し応力が低下している領域。ある臨界状態に達すると成長が加速し、動的破壊、すなわち地震発生に至る。「破壊核」とも呼ばれる。
震源断層パラメータ
地震が発生した断層の長さ、幅、滑り量、応力の変化など、震源断層を特徴づけるパラメータ。
人工衛星レーザー測距
人工衛星に搭載したプリズムに対して、地上基地局からレーザー・パルスを発射し、そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1センチメートル程度若しくはそれより良い精度で求める技術。SLR(Satellite Laser Ranging)ともいう。
水圧破砕法
応力を推定する手法の一つ。ボアホールの任意の深さより浅い部分と深い部分を遮蔽し、水圧をかけて破壊面を造成した後、その破壊面を再び開いたり閉じたりする条件から地殻内の応力を推定する。水圧破砕法では、地表で計測された流量や水圧に基づいて破壊面の開閉の検出を行うが、これは困難との指摘がある。すべての装置をボアホール内に設置し、装置の剛性を高め、破壊が開く時の水圧を精度良く推定できるように改良した手法が高剛性水圧破砕法。
水蒸気爆発
水が加熱されて起こる爆発的な噴火のことで、水蒸気と粉々になった岩石が火口から激しく放出される。水蒸気爆発では噴出物にマグマは含まれないが、引き続いてマグマを含む噴火に移行することがある。
ストロンボリ式噴火
比較的粘性の低いマグマの間欠的爆発による噴火であり、火口からマグマのしぶきや赤熱した火山弾が爆発とともに空中に放出される。噴火に伴い火口の周囲に円錐(すい)形の火砕丘を生じる。諏訪之瀬島などでよく見られる噴火である。
スラブ内地震
沈み込む海洋プレート内で発生する地震で、海溝の近くや、プレート境界地震が起こらないような深部で大地震が起こる場合がある。
制御震源
地殻構造等を調べる目的で地震波を人工的に発生させる装置。爆薬や、水中に圧縮空気を放出するエアガンなどがある。
セグメント
活断層は常にその全長にわたって破壊されるわけではなく、幾つかの区間に分かれて活動するが、それぞれの区間をセグメントという。
絶対重力/絶対重力計
絶対重力とは、基準となる点からの重力差(相対重力)と対をなす概念で、観測点における重力加速度そのものを指す。現在の絶対重力計は、真空中でプリズムなどの反射鏡からなる物体を、投げ上げもしくは自由落下により運動させて、加速度を計測する。測定精度・確度とも1マイクロガル(地上重力値の10億分の1)程度である。
全磁力
地球磁場の大きさ。磁場の観測量として、その長期的安定性が最も高い。磁気を帯びた鉱物の帯磁は、温度や応力によって変化するので、全磁力の変化は地下の温度、応力状態の変動を示唆する。
相似地震
互いに波形がよく似ている地震群のこと。ここでは、波形の相似性が極めて高い地震群のみについて「相似地震」と呼んでいる。このような地震群は、ほぼ同一の震源域で繰り返し発生したと考えられており、「小繰り返し地震」とも呼ばれる。
塑性
応力がほぼ一定のまま非弾性変形が進行し、急激で激しい破壊が起こらないような物質の性質。
大気伝播誤差
GPSやSARは電波の到達時刻を測定し、それに光速度を乗じて求めた距離から、最終的に位置の計測を行う技術である。電波は真空では光速度で進行するが、物質中では伝播速度が変化する。高高度の人工衛星から発射された電波は、大気中を通過する際に光速より遅い速度で伝わるため、電波は真空の場合より遅れて地表に伝わる。この遅れを大気伝播誤差と呼ぶ。正確な位置の決定には、この誤差を補正することが必要である。特に、地表250~400キロメートル上空付近にある電離層を通過する場合に生ずる誤差を電離層遅延誤差と呼ぶ。
「だいち」
陸域観測技術衛星(ALOS)。地図作成、地域観測、災害状況把握、資源探査等を主目的とし、2006年1月に打ち上げられた国産衛星。地殻変動検出に適するLバンド(波長23.6センチメートル)のSARセンサー及び2種の光学系センサーを搭載する。
脱ガス過程
マグマが地表に近づいた際に、圧力の低下のために、マグマ中に溶解していた水や炭酸ガスなどの成分(揮発性成分)がマグマから火山ガスなどとして分離する過程。揮発成分の分離する割合や仕組みは噴火機構などを左右する重要な要素である。
地殻活動
地震のほか、火山活動、断層の滑りや媒質の応力変化などを含めた地殻内での地学現象全般。
地殻熱流量
地球内部から単位面積・時間当たりに地表に向けて流れてくる熱量。
超長基線電波干渉法
クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千キロメートル離れた複数の観測点で同時に受信し、その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する。VLBI(Very Long Baseline Interferometer)ともいう。
低周波地震
地震波の低周波成分が卓越し、高周波成分の地震波が相対的に少ない地震のこと。ここでは特に陸域の地殻深部やマントル最上部付近で発生する地震を指す。活火山ではしばしば低周波地震が観測され、マグマなどの火山流体の地下での移動や地表への噴出活動と密接に関連していると考えられている。
低周波微動
地下深部において、微小地震と同程度の振幅だが通常の微小地震より低周波の地震波が、長い時間にわたって放出される現象のこと。継続時間は数分から長くとも1時間程度である場合が多い。低周波微小地震と似た現象だが、波の始まりが不明瞭(りょう)でかつ長時間継続することが異なる。
同位体
例えば酸素には質量数が16、17、18のものがあるように、同じ原子番号で質量数の異なる元素を指す。一般に起源の異なる物質の同位体比は大きく異なるため、マグマの起源や異物質の混入などを把握するために有力な指標となる。
同化(データ同化)
複雑な現象の高精度予測のために、数値シミュレーションの結果として得られる物理量が観測データをなるべく再現できるように、適切な初期値や境界値、各種パラメータを推定すること。
透過率・反射率
地震波速度や密度が異なる物質が接している面に地震波が入射すると、そのまま透過する地震波と反射される地震波が生じる。透過地震波と入射波の振幅比を透過率、反射地震波と入射波の振幅比を反射率という。
透水係数
岩石などの水の通しやすさを表す係数。単位断面積を単位時間に通過する流量と水圧勾(こう)配の比として定義される。
トモグラフィー
地下の二次元又は三次元構造を求める手法。地震波速度や減衰構造の推定によく用いられる。医学の分野において、X線や超音波で身体の二次元断面を求めるための手法が、地球物理学に応用されたもの。
トレンチ調査
断層面を横切る方向に細長い溝を掘り、断面を観察して断層のずれ方や地層の年代を測定し、断層の動いた年代や周囲の環境を調べる調査。
熱水系
マグマから分離上昇した火山ガスが地下で凝縮したり、地下水と接触したりして生じる熱水の生成過程、移動経路などを含むシステム全体のことを指す。
粘弾性
物質に加える力と変形量が時間に依存せず一対一に対応する弾性的性質と、力を加えると時間とともに変形が進行する粘性的性質とを併せ持つ性質。地下深部の高温下の岩石は粘弾性的性質を持つと考えられている。
ハザードマップ
ある災害に対する危険な区域を示した地図。火山のハザードマップでは、火山岩塊、火山灰、火砕流、溶岩、泥流などの災害を引き起こす現象が波及すると予想される範囲などが図示される。
発震機構(解)
地震の起こり方を意味するが、地震波の放射パターンなどから求められる震源断層の走向、傾斜角、滑り角を指す場合が多い。断層に働いていた力の方向を知る手掛かりになる。
反射地震断面
地下の物質境界での反射波を地表で観測し、地下構造を可視化した断面図。
非地震性滑り
断層やプレート境界における、地震波を放出しないゆっくりとした滑り。
微小部分分析
結晶に含まれる包有物など、微小部分の化学組成をX線マイクロアナライザー(EPMA)や2次質量分析計(SIMS)などを用いて分析すること。
歪エネルギー
弾性体を変形させた時に弾性体中に蓄えられるエネルギー。
歪集中帯
測地観測や地形から推定される地殻歪が大きい領域。新潟~神戸歪集中帯など。
比抵抗
単位断面積、単位長さあたりの電気抵抗値。電気伝導度の逆数。
不均質構造
地球内部の物性定数が、空間的に均質ではない状態(構造)。例えば、組成の違いや空隙の分布状態、流体の含有などによって、物性定数が変化する。応力場も不均一になり、特定の場所に応力集中が生じる可能性がある。
ブルカノ式噴火
やや粘性の高いマグマによる爆発的な噴火であり、噴煙高度が10キロメートル近くに達することもある。爆発によって1メートル径のものが数キロメートルも飛ばされることがある。火山弾はパン皮状のものが多く、火口庭にあった古い岩塊も放出される。桜島や浅間山などでしばしば発生する。
プレート
地球表面は、地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた、厚さ100キロメートル程度の固い岩石の層で覆われている。この固い岩石の層は、幾つかのブロックに分割されている。それぞれの板状(球殻状)のブロックをプレートという。
噴火事象系統樹
火山ごとに、複数の可能性のある噴火現象の時間的推移を分岐させて作成した、噴火の推移を示す系統樹。
噴火シナリオ
火山ごとに、噴火で想定される現象の発生推移を時系列的に整理したもの。規模や現象発生パターンなどの分岐判断について示した系統樹を指すこともある。
噴火ポテンシャル
中長期的観点から噴火の可能性(切迫性、規模など)を定量的に表現する指標。
変換波
地震波速度の境界面でP波からS波又はS波からP波に変換された波。変換波を解析することにより境界面の位置を推定することができる。
ボアホール
地下深部の情報を取得するために掘削される円筒状の穴。直径は10~20センチメートル程度のものが多いが、深いほど大きくするのが普通である。ボアホールは地下深部の岩石のサンプル(コア試料)を取得する目的のほか、地下深部での地震計や歪計、傾斜計などの計測機器の設置、地下水・応力測定などに利用される。
ボアホールジャッキ法
地殻応力を推定する手法の1つ。水圧破砕法では、ボアホール内に水圧により亀(き)裂をつくり、亀裂の再開口に必要な水圧等から応力を推定する。ボアホールジャッキ法では、亀裂の再開口に必要なジャッキの力から応力を推定する。
ボーリング
地表からの掘削により柱状試料を採取する手法で、トレンチ調査に比べはるかに長い活動時期の地質試料を入手することができる。ただし、掘削に当たっては櫓(やぐら)を組んだり、大量の水を必要とするなど大掛かりな作業が必要となる。
マグマ
岩石物質の高温溶融体で地表付近にあるものを溶岩ともいう。マグマが地下で結晶化したり、地殻物質を溶かしこんで多様な組成のマグマができる(分化という)。マグマが上昇すると、マグマの中に溶解していた揮発性成分が気泡となり発泡する。火道での気泡の離脱(脱ガス)の仕方により噴火の激しさが変化する。
マグマ供給系
地下深部から火口までマグマが供給されるマグマ溜まりや火道を含むシステム全体のことを指す。
マグマ溜まり
火山活動の源であるマグマが蓄積されているところで、火山やカルデラの直下にあると考えられているが、その正確な形状や内部構造は分かっていない。
摩擦・破壊構成則
岩石の破壊強度や断層面上の摩擦を滑り変位や滑り速度などの関数として記述したもの。
摩擦溶融
断層で滑りが発生したときに、摩擦熱により岩石が溶融する現象。
マルチガスセンサーシステム
噴煙中火山ガス成分濃度を測定するために開発された、H2O(水)、CO2(二酸化炭素)、SO2(二酸化硫黄)、H2S(硫化水素)など複数のガスセンサーを組み合わせた装置。
ゆっくり滑り
地震波を放射しない、断層面やプレート境界面でのゆっくりとした滑り。ここでは、継続時間が数か月以上のものを長期的ゆっくり滑り、それ以下のものを短期的ゆっくり滑りと呼ぶ。
余効滑り
地震のあとに震源域あるいはその周囲で発生するゆっくり滑り。
ラドン濃度
放射性元素ラドンの濃度。地震発生に先行して地下水中のラドン濃度の変化が報告されている。
リモートセンシング
遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて、対象物の地形、温度、物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を速く測定できる。
CMT(セントロイドモーメントテンソル)
Centroid Moment Tensorの略。地震波形データを用いて、震源過程全体を時空間の1点で代表させた場合のその位置、発震機構などを求めること。
DGPS局
GPSの信号を用いた相対測位方式であるDGPS(Differential GPS)を実施するために設けられた基地局のこと。DGPS局から発信される補正信号によって、観測局ではリアルタイムに1~2メートルの測位精度が得られる。日本では海上保安庁やFM局による日本全国のDGPS局網がある。
GEONET
国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網。平成18年時点での観測点(電子基準点)数は1,231点。1秒ごとのGPS観測データがほぼすべての観測点からリアルタイムでつくば市にある中央局に送信されている。定常的に3時間ごと及び24時間ごとの各点の座標値を計算している。電子基準点を参照。
GIS
地理情報システム(Geographical Information System)の略。コンピュータを利用して、位置や空間に関する情報をもったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、目的に最適な視覚的表示や、それに基づいて高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。
GNSS
全地球衛星航法支援システム(Global Navigation Satellite System)の頭文字をとった略称。位置や時刻同期を目的とした電波を発射する衛星群及び地上の支援システム、並びに比較的簡単な受信機で電波を受信して自分の三次元的な地球上の位置を知る目的で使用する利用者群を総称して用いられる。アメリカ合衆国が構築したGPSは現在最も実用的なGNSSであるが、他にもロシアが運用中のGLONASSや、ヨーロッパ連合(EU)が構築中のGalileoなどのシステムがあり、これらを統合して利用することで精度や信頼性の向上が期待される。
GPS
汎地球測位システム(Global Positioning System)の略。地上高約20,000キロメートルの高度を航行するGPS衛星からの電波を地上で受信し、三次元的位置と時刻を正確に計測するシステム。地殻変動計測には干渉測位と呼ばれる電波の位相を用いた相対測位法が用いられる。
GPS火山変動リモート観測装置(REGMOS)
電力や通信手段のない火口周辺などにおいても地殻変動連続監視ができるように、GPS受信機、太陽電池、衛星携帯電話などを合体した観測装置。必要に応じてヘリコプターなどでも運搬できる。
GPS-音響測距結合方式
海底の地殻変動を観測するための手法の一つ。海上の船舶やブイの位置をGPSによって精密に決定し、それらと海底に設置された基準点との間の距離を海中音波を用いて測定することにより、間接的に基準点の変動を推定する。
Hi-net
防災科学技術研究所が日本全国約800か所に整備した高感度地震観測網。深さ100メートル程度の縦孔の底部に、固有周期約1秒の3成分高感度速度型地震計が設置され、連続データのリアルタイム収集が行われている。
ITRF
国際地球基準座標系(International Terrestrial Reference Frame)は、GPS、VLBI、SLRなどの宇宙測地観測データに基づき国際協力によって決定・維持されている3次元直交座標系であり、地球の重心を座標の原点としている。これに準拠して位置を定義しておけば、地球上のどの場所であっても他の場所との幾何学的な相対位置関係を直ちに知ることができる。プレート運動による影響に対応するため、座標系は基準とするある瞬間の位置と移動速度の両方が定義される。
SAR
合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略。人工衛星や航空機などに搭載されたレーダーの移動により大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。干渉SAR(Interferometry SAR, InSAR)は、2時期の観測データの差をとる(干渉させる)ことにより地表面の変動を詳細にとらえる手法である。
SLR
人工衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging)の略。人工衛星に搭載した逆反射プリズム(コーナーキューブ)に対して、地上基地局からレーザー・パルスを発射し、そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1センチメートル程度若しくはそれより良い精度で求める技術。
VLBI
超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometer)の略。クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千キロメートル離れた複数の観測点で同時に受信し、その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --