科学技術・学術審議会国際化推進委員会は、中間報告「科学技術・学術活動の国際展開の戦略的推進」(平成16年8月)において、多様な分野でグローバル化が進む中で、米、欧、アジアの3つの「極」の関係に着目しながら、科学技術・学術の分野において「競争と協調」「協力」「支援」といった国際的活動を戦略的に推進することの必要性を指摘している。その上で、今後推進すべき方策の柱の一つとして「アジアとのパートナーシップ強化」を掲げている。特に中国、韓国については、様々な視点から科学技術・学術を発展させるべくパートナーシップを強化することが重要であり、そうした取組みにより、ASEAN(アセアン)諸国、インドなどアジアの優秀な研究者を惹き付ける活気ある研究環境を生み出すことを通じ、これまで以上にアジア及び世界への貢献が期待できる旨指摘している。本報告書は、かかる指摘を受けて、中国、韓国とのパートナーシップ強化の必要性、目標、推進方策等について掘り下げて検討した成果を示したものである。
本報告書において言及している東アジアや日中韓における「コミュニティ」は、排他的ではない、対外的に開かれた地域内の結びつきを指向するものである。同時に、コミュニティの地理的広がりやメンバーシップについて固定的、硬直的に捉えるものではなく、アジア、APEC(エイペック)等へ展望を広げていくものである。
また、本報告書は、日中韓三国のパートナーシップの強化を取り扱うが、これは単に友好関係に基づき協力を進めていくということを指すものではない。共通する課題を解決するために協力する一方で、競合する領域では共通の基盤の上で適正なルールの下で競争するという意味でパートナーシップを捉えるべきであり、三国が相互に切磋琢磨しつつ互いに向上することで全体としての魅力と活力を高めていくといった関係を追求することが重要である。各国の状況を十分把握した上で、対等なパートナーシップを強化していくことが好ましい。
科学技術・学術政策局政策課