科学技術・学術分野における国際活動の戦略的推進について報告書 はじめに

 科学技術・学術審議会第1期国際化推進委員会(主査:大﨑仁国立学校財務センター所長(当時))が第2期科学技術基本計画を指針とした報告「科学技術・学術活動の国際化推進方策について」を平成15年1月に取りまとめたことを受けて、文部科学省においては同報告の提言を着実に実施するなど取組みを進めてきたところであるが、他方で、人材や技術といった「知」をめぐる国際競争が激化するなど、国際情勢は変化し続けており、これに対応した政策展開が求められる。
 第2期国際化推進委員会では、こうした情勢変化も踏まえつつ、第1期国際化推進委員会報告で示された基本的考え方をさらに掘り下げ、次期科学技術基本計画に向けて国際活動(※1)の方向性を示すべく議論を行った。これに関して平成16年8月には中間報告を発表したところであるが、その後の追加検討の結果も踏まえ、ここに報告書として改めて取りまとめたものである。科学技術・学術分野における国際活動は、短期的な課題への対応はもちろん、国際的な信頼関係の醸成を進め、安定した国際関係の構築にも資するものでもあることから、中長期的な先見性を持った上で、全体的、俯瞰的に課題を把握していく必要がある。また、国際活動を実施に移していく上では、手段、プロセスなどについても検討を進めていく必要がある。本提言はかかる観点を踏まえつつ取りまとめたものであり、「国際化」からさらに踏み込んだ「国際活動の戦略的推進」の指針となることを希望する(※2)。
 特に、科学技術・学術分野におけるアジア諸国とのパートナーシップについては、日中韓パートナーシップWGを設け、東アジア科学技術コミュニティの構築に向けて日中韓のパートナーシップを強化する方策について報告書(別添)を取りまとめており、その内容をも踏まえた今後の政策展開を期待する。
 なお、従来から進めてきた先進諸国との科学技術・学術面での交流・協力についても、これまでの施策を一層強化し、よりバランスのとれた関係を構築していく必要がある。

 


※1 本報告書にいう「国際活動」には、海外で行われる活動だけではなく、外国人研究者を我が国に惹き付けるための国内における活動なども含む。

※2 本報告書の対象とする「科学技術・学術」の範ちゅうには、人文科学・社会科学から、自然科学、技術やそれらの融合領域までを含まれるが、個別の記述によっては、主として基礎的な科学分野を想定しているものや、主として技術を想定しているものもある。個々の記述毎に可能な限りその対象の明確化に努めるが、場合によって対象に相違があり得る。

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(科学技術・学術政策局国際交流官付)