アスペリティ
プレート境界や断層面において固着の強さが特に大きい領域のこと。この領域が地震時にすべると、すべり量がまわりよりも大きくなり、大振幅の地震波を放出する。
アムールプレート
バイカル湖付近を北西縁、スタノボイ山脈を北縁、中部日本を東縁とするプレート。もとはユーラシアプレートの東端の一部と考えられていた。
応力
物体内部での力のかかり具合を示す。物体内部に考えた面積片を通して及ぼされる単位面積あたりの力。震源域の応力が破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。
応力蓄積過程
プレート等の運動により、来るべき地震の発生領域に応力が蓄積されていく過程。
オーバーコアリング法
最初に開けたボーリング孔の外側を大孔径のコアビットにより同心円状に削孔して周囲の応力を解放し、そのときのひずみ変化などから応力を推定する方法。
オホーツクプレート
東北日本、北海道、オホーツク海が属していると考えられているプレート。
間隙水圧
土や岩石中の空隙を占めている水の圧力。
間欠的非地震性滑り
断層やプレート境界において、地震波を放出しないゆっくりとしたすべり(非地震性すべり)が間欠的に発生する現象のこと。実際には同一の場所で間欠的に繰り返し発生しているかどうか不明の場合もあるが、同様の非地震性すべりが常時続く「定常的非地震性すべり」も存在するため、それと区別するために「間欠的非地震性すべり」と呼ばれることが多い。この場合には「サイレント地震」と同義となる。
乾式破砕法
流体を使わずにボアホール孔壁に亀裂を作成し、生成後に亀裂を再開口するのに必要な力を計測することにより地殻絶対応力を推定する手法。流体の挙動に起因する水圧破砕法の問題点が克服できると期待されている。
強度回復過程
地震が発生したときに低下した断層の摩擦強度が、時間とともに高まっていく過程。
固有地震
同一の震源域において同一のすべり量分布で繰り返し発生する地震のこと。もともとは、地震のすべり量分布に再現性がある地震を指していたが、日本国内では、さらに再来間隔にも再現性がある地震のことを固有地震と呼ぶ。ただし、すべてが完全に再現されることはあり得ないので、震源域がほぼ同じで、地震の規模と再来間隔がほぼ一定な地震に対しても使用されることが多い。
地震発生サイクル
広域の応力によって歪みが蓄積した断層面が破壊してずれ動き、地震が発生する。その後にも地震前と同様な広域の応力が働き続けることによって再び歪みが蓄積され、次の地震が発生するまでの一連の過程。
シミュレーション
実際の事象を、その事象を支配している法則に基づいてほぼ同様となるように組み立てた模擬空間で再現試行すること。コンピュータを用いた数値シミュレーションを指すことが多い。
震源核
地震が発生する前に断層面上で準静的に成長すると考えられている地震の種(たね)。外的な力の増大とともにすべりが進行し応力が低下している領域。ある臨界状態に達すると成長が加速し、動的破壊、すなわち地震発生に至る。
相似地震
互いに波形が良く似ている地震群のこと。ここでは、波形の相似性が極めて高い地震群のみについて「相似地震」と呼んでいる。このような地震群は、ほぼ同一の震源域で繰り返し発生したと考えられている。
断層破砕帯
岩石の破壊によって生ずる不連続面を断層と呼ぶが、破壊が繰り返されることなどにより断層は厚みをもつようになり、破砕された岩石などで充填されている。その充填されている領域を断層破砕帯と呼ぶ。
注水実験
地下に圧力をかけて水を注入して人工的な擾乱を与えることによる様々な変化を計測する実験。地下の岩石の透水係数や水の注入によって引き起こされる微小地震、比抵抗変化を計測する。
低周波地震
地震波の低周波成分が卓越し、相対的に高周波成分が発達しない地震のこと。ここでは特に陸域の地殻深部やマントル最上部付近で発生する地震を指す。火山の深部に多いと言われていたが、最近は大きい地震の震源域の深部付近にも見つかるようになった。地下の流体(マグマや水等)の挙動に関係していると考えられている。
低周波微動
地下深部において、微小地震と同程度の振幅だが通常の微小地震より低周波の地震波が、長い時間にわたって放出される現象のこと。継続時間は数分から長くとも1時間程度である場合が多い。低周波微小地震と似た現象だが、波の始まりが不明瞭でかつ長時間継続することが異なる。西日本において多数発生していることが最近発見され、この発生源は地殻とマントルの境界付近に推定されている。
データ同化
観測データをモデルに取り込み、モデルを改良する技術。
発震機構
狭義には、断層面の候補となる互いに直交する2枚の面の傾斜方向とその傾斜角。地震波の放射パターンなどから求まる。
半制御実験
鉱石の採掘による岩盤への応力の集中のために発生する地震を用いた実験。採掘のやり方により地震の発生をある程度制御することが可能であり、至近距離で地震を観測できる。
非地震性滑り
断層やプレート境界における、地震波を放出しないゆっくりとした滑り。
比抵抗
単位断面積、単位長さあたりの電気抵抗値。電気伝導度の逆数。
不均質構造
地球内部の物性定数が、空間的に均質ではない状態(構造)。例えば、組成の違いや空隙の分布状態、流体の含有などによって、物性定数が変化する。応力の蓄積等も不均質になり、特定の場所にその集中が起きる可能性がある。
プレート
地球表面は、地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた、厚さ100km程度の固い岩石の層で覆われている。この固い岩石の層は、いくつかのブロックに分割されている。それぞれの板状(球殻状)のブロックをプレートという。
プロトタイプ
原型。実用的に用いられる前の段階の模型。
ボアホール
地下深部の情報を取得するために掘削される円筒状の穴。直径は10~20cm程度のものが多いが、深いほど大きくするのが普通である。ボアホールは地下深部のコアサンプル(岩石のサンプル)を取得する目的の他、地下深部での地震計や歪計などの計測機器の設置、応力測定などに利用される。
摩擦構成則
断層面上の摩擦をすべり変位やすべり速度などの関数として記述したもの。
リモートセンシング
遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて、対象物の地形、温度、物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を速く測定できる。
CMT解析
CMT(Centroid Moment Tensor )解析の略。地震波形データを用いて、震源過程全体を時空間の1点で代表させた場合のその位置、発震機構などを求めること。
GPS
汎地球測位システム(Global Positioning System)の略。地上約20,000kmの高度を航行するGPS衛星からの電波を地上で受信し、3次元的位置と時刻を正確に計測するシステム。地殻変動計測には干渉測位と呼ばれる搬送波位相を用いた相対測位法が用いられる。
GPS-音響測距結合方式
海底の地殻変動を観測するための手法の一つ。海上の船舶やブイの位置をGPSによって精密に決定し、それらと海底に設置された基点との間の距離を海中音波を用いて測定することにより、間接的に基点の変動を推定する。
SAR
合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略。人工衛星や航空機などに搭載されたレーダーの移動により大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。2時期のSARデータを干渉させることにより視線方向の感度を向上させる干渉SAR法は地表面の変位を面的にとらえる手法として注目されている。
SLR
人工衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging)の略。人工衛星に搭載した逆反射プリズム(コーナーキューブ)に対して、地上基地局からレーザー・パルスを発射し、そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1cm程度もしくはそれより良い精度で求める技術。
VLBI
超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometer)の略。クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千km離れた複数の観測点で同時に受信し、その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --