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中央教育審議会

  


第2章  国際化と教育

[1]  国際化と教育

  冷戦が終焉し、交通手段の発達や情報化が進む中で、経済、社会、文化等の様々な面で国際交流が進展し、国際的な相互依存関係はますます深まっている。そのような状況の下で、経済面では、東アジアの諸国が急速に成長を遂げつつあり、さらには、我が国や欧米諸国を含めて、世界的規模で競争が激化し、その結果、種々の摩擦も生じている。地域レベルの紛争もやむことがない。また、地球環境問題、エネルギー問題、人口問題、難民問題など地球規模の問題が深刻化しつつあり、これらの問題の解決に当たっては、国際的な協調が不可欠となっている。こうした国際関係の緊密化や複雑化などを背景にして、国際化はさらに進展し、今後ますます加速していくものと思われる。
  このように国際化が急速に進展する中で、絶えず国際社会に生きているという広い視野を持つとともに、国を越えて相互に理解し合うことは、ますます重要な課題となりつつある。加えて、経済大国となった我が国は、地球環境問題への対応や科学技術や文化の面などで、今後一層積極的に国際社会に対して貢献し、世界の安定と発展に寄与していくことが必要である。
  いずれにせよ、国際化の進展は、人と人との相互理解・相互交流が基本となるものであり、その意味で、教育の果たす役割は、ますます重要なものとなると言わなければならない。
  このような国際化の状況に対応し、我々は特に次のような点に留意して、教育を進めていく必要があると考えた。
  (a) 広い視野を持ち、異文化を理解するとともに、これを尊重する態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく資質や能力の育成を図ること。
  (b) 国際理解のためにも、日本人として、また、個人としての自己の確立を図ること。
  (c) 国際社会において、相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意思を表現できる基礎的な力を育成する観点から、外国語能力の基礎や表現力等のコミュニケーション能力の育成を図ること。

[2]  国際理解教育の充実

  国際化が進展する中にあって、広い視野とともに、異文化に対する理解や、異なる文化を持つ人々と共に協調して生きていく態度などを育成することは、子供たちにとって極めて重要なことである。こうした教育は、既にこれまでにも、各学校において、各教科、道徳、特別活動などの指導において、あるいは学校独自の行事などを通して、様々な形で取り組まれてきたところである。しかし、相互依存の関係が深まるこれからの国際社会を考えるとき、このような教育はますます重要なものとなってきており、これからの学校教育においては、国際理解教育の推進についての明確な理念を持ってこの面での教育を充実させていく必要があると考える。
  国際理解教育を進めていくに当たって、特に重要と考えられることは、多様な異文化の生活・習慣・価値観などについて、「どちらが正しく、どちらが誤っている」ということではなく、「違い」を「違い」として認識していく態度や相互に共通している点を見つけていく態度、相互の歴史的伝統・多元的な価値観を尊重し合う態度などを育成していくことである。
  一つのものの見方や考え方にとらわれて、異なる文化・生活・習慣などを断定的に評価するようなことは、子供たちをいたずらに偏見や誤った理解に陥らせる基になりかねず、決してあってはならないことである。
  また、国際理解教育を進めていくに当たっては、自分自身が何ものであるのかを知ること、すなわち自分自身の座標軸を明確に持つことが極めて重要である。このことなくしては、相手からも理解されず、また、相手を理解することもできないと言わなければならない。日本人として、また、個人としての自己の確立があいまいで、自らのよって立つ位置が不明確なままでは、国際的にも評価されないのである。
  こうしたことを考えると、広い視野を持ち、異文化を理解し、これを尊重する態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく態度などを育成するためには、子供たちに我が国の歴史や伝統文化などについての理解を深めさせることが極めて重要なことになる。先人達によってどのような歴史が展開され、どのようにして現代の社会が築かれてきたか、また、先達の努力によって、どのような芸術や文学などが創造され、我々の社会に継承され、我々の生活を豊かなものにしてくれているか等について、広く世界の歴史を背景に、子供たちにしっかりと理解させることは、我々大人の極めて重要な責務なのである。。そしてまた、日本人としての自己の確立の前提には、まず、子供たち一人一人の個の確立がなければならないのであり、その意味で、国際理解教育の推進は、一人一人の子供たちの個の確立ということと同心円をなしていると言うことができる。
  また、我が国は、あらゆる面において、これまでとかく欧米先進諸国に目を向けがちであった。しかし、今日、様々な面でアジア諸国やオセアニア諸国などとの交流が深まる中、地理的にもアジアにあり、アジアを離れては存在し得ない我が国としては、今後は、アジア諸国やオセアニア諸国など様々な国々にも一層目を向けていく必要があり、このことは、国際理解教育を進めるに当たっても、十分に踏まえなければならない視点であると思われる。

  国際理解教育は、各教科、道徳、特別活動などのいずれを問わず推進されるべきものであり、各学校ごとに、理念、各教育活動の役割やねらいについて、全教員が共通理解を持って取り組むことが重要である。
  また、国際理解教育が、上述のようなねらいを持ったものであることを考えると、この教育を実りのあるものにするためには、単に知識理解にとどめることなく、体験的な学習や課題学習などをふんだんに取り入れて、実践的な態度や資質、能力を育成していく必要がある。そのためには、国際的な情報通信ネットワークの活用をはじめ、様々な機器や教材の活用のほか、これらの教育にふさわしい人材を学校外から積極的に招くことなども考えられてよいであろう。指導の在り方としては、国際理解教育が総合的な教育活動であることを踏まえて、第2部第1章(1) [5] で述べた「総合的な学習の時間」を活用した取組も考えられよう。

  現在、各学校では、外国への修学旅行、姉妹校提携、留学、生徒の外国への研修旅行、外国人留学生の受入れなど、多様な形態で国際交流活動が行われているが、国際理解教育を推進する観点からも、今後、学校段階に応じ、また、各学校の実態を踏まえながら、こうした活動が行われることは意義のあることであり、このような取組を支援していく必要があると考える。また、身近に国際交流を行っていくという意味で、学校や地域の実態に応じ、地域で行われる様々な国際交流活動に参加するとともに、日本の大学等に在学する外国人留学生、インターナショナルスクールの子供たちなどとの交流を進めていくことや、インターネットなどの情報通信ネットワークを活用して、外国の学校などとの国際交流を進めていくことは意義のあることと考える。
  また、こうした学校での取組のほか、地域において、青少年団体等が実施する国際交流事業に参加することも、国際理解を深め、国際性を養うという点で意義があり、このような取組を支援していくことも有効である。

  国際理解教育を進めていく上で、教員の果たす役割が重要であることは論を待たない。このため、教員養成については、教員養成課程における国際理解に関するカリキュラムの充実を図るとともに、教員の研修については、各種の研修における国際理解に関するプログラムの充実や教員の海外派遣の拡充を図る必要がある。あわせて、学校の教育活動の指導・助言に当たる教育委員会の職員についても、海外研修の機会を拡充すべきであろう。
  また、現在、国において行われている「外国教育施設日本語指導教員派遣事業(REXプログラム)」(国内の中・高等学校の教員を海外の中等教育施設へ派遣し、日本語教育等に従事させる事業)を拡充するとともに、この派遣事業や「在外教育施設派遣事業」(日本人学校等へ国内の教員を派遣する事業)などに参加し、海外において豊富な経験を積んできた教員などを、国際理解教育に積極的に活用していくことも必要なことと考える。

[3]  外国語教育の改善

(中学校・高等学校における外国語教育の改善)

  今後の国際化の進展を考えると、相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意見を表現し、相互理解を深めていく必要性は、これから一層強まっていくものと考えられる。特に我が国にとって、今後、国際交流、さらには国際貢献を積極的に行っていく上で、その必要性は極めて高く、その手段としての外国語の重要性はますます高まっていくであろう。こうした観点から、中学校・高等学校における外国語教育については、これまで学習指導要領の改訂のたびに「コミュニケーションの手段」としての外国語という観点から改善が図られてきたところであるが、リスニングやスピーキングなどのコミュニケーション能力の育成をさらに重視する方向で改善を図っていく必要がある。しかし、その改善の実をあげるためには、カリキュラムの改善だけでなく、指導方法の改善、教員の指導力の向上、入学者選抜の在り方の改善など、様々な取組を行っていかなければならない。
  指導方法の改善に関しては、ティーム・ティーチング、グループ学習、小人数学習や個別学習など個に応じた指導の一層の充実を図っていくことが必要である。そのためには、教員配置の改善を一層進めるとともに、LLやオーディオ・ビジュアル機器等の整備など、施設・設備面の改善が大切であるし、また、インターネットなどを活用した指導方法の開発等も重要なことと考えられる。
  教員の指導力の向上に関しては、養成、採用、研修の各段階において改善を図っていかなければならない。外国語担当教員の養成については、カリキュラムを一層改善するとともに、海外での外国語学習経験の重要性にかんがみ、教員養成課程の学生のための各種留学制度を一層充実させる必要がある。
  外国語担当教員の採用に当たっては、外国語によるコミュニケーション能力に関する評価を一層重視するとともに、採用後は、海外研修を充実し、できるだけ多くの外国語担当教員が海外での研修の機会を持てるようにすることが望まれる。
  また、コミュニケーション能力を育成するための指導体制を充実させる観点から、現在、我が国の外国語教育の改善や国際理解教育の充実に成果をあげている外国語指導助手(ALT)の招致人数の拡大や多様な国からの招致を図るとともに、外国人留学生や海外生活経験者などの積極的な活用も検討されるべきである。
  我が国の外国語教育、とりわけコミュニケーション能力の育成を重視した外国語教育の改善について考えるとき、大学・高等学校の入学者選抜の在り方も視野に入れなければならない。近年、リスニング試験の導入などいろいろな工夫・改善がなされてきているが、コミュニケーション能力の育成という観点に立って、その能力を適切に評価するよう、選抜方法の一層の改善を図っていく必要がある。
  また、各学校が、生徒や学校の実態を踏まえて、創意工夫を生かしつつ柔軟に外国語教育を進めていくことが必要である。このため、中学校においては、外国語の授業時数の選択幅の拡大や授業時間の設定の仕方に様々な工夫ができるよう、教育課程の弾力化を図るとともに、高等学校においては、英語検定等の技能審査の成果や専修学校での学習を単位認定する制度を拡充し、それらの一層の活用を図るなどの改善を図っていくべきであると考える。
  中学校・高等学校の外国語教育は、現在、圧倒的に英語教育となっているが、これからの国際化の進展を考えるとき、生徒が様々な言語に触れることは極めて意義のあることであり、今後は学校の実態や生徒の興味・関心等に応じて、多くの外国語に触れることができるような配慮をしていくことも必要であろう。
  なお、外国語教育の改善に当たっては、その基礎として、言語能力を適切に身に付けていることが必要であり、その意味で、国語教育の重要性を再認識する必要があることを指摘しておきたい。

(小学校における外国語教育の扱い)

  小学校段階において、外国語教育にどのように取り組むかは非常に重要な検討課題である。
  本審議会においても、研究開発学校での研究成果などを参考にし、また専門家からのヒアリングを行うなどして、種々検討を行った。その結果、小学校における外国語教育については、教科として一律に実施する方法は採らないが、国際理解教育の一環として、「総合的な学習の時間」を活用したり、特別活動などの時間において、学校や地域の実態等に応じて、子供たちに外国語、例えば英会話等に触れる機会や、外国の生活・文化などに慣れ親しむ機会を持たせることができるようにすることが適当であると考えた。
  小学校段階から外国語教育を教科として一律に実施することについては、外国語の発音を身に付ける点において、また中学校以後の外国語教育の効果を高める点などにおいて、メリットがあるものの、小学校の児童の学習負担の増大の問題、小学校での教育内容の厳選・授業時数の縮減を実施していくこととの関連の問題、小学校段階では国語の能力の育成が重要であり、外国語教育については中学校以降の改善で対応することが大切と考えたことなどから、上記の結論に至ったところである。
  小学校において、子供たちに外国語や外国の生活・文化などに慣れ親しむ活動を行うに当たっては、ネイティブ・スピーカーや地域における海外生活経験者などの活用を図ることが望まれる。また、こうした活動で大切なことは、ネイティブ・スピーカー等との触れ合いを通じて、子供たちが異なった言語や文化などに興味や関心を持つということであり、例えば、文法や単語の知識等を教え込むような方法は避けるよう留意する必要があると考える。
  さらに、各学校でのこうした教育活動を推進するため、研究開発学校における研究などにより、活動の在り方、指導方法などの研究開発を進めていくことも必要である。

[4]  海外に在留している子供たち等の教育の改善・充実

(海外に在留している子供たちの教育の改善・充実)

  我が国の国際的諸活動の進展に伴い、海外に長期間在留する邦人が同伴する義務教育段階の子供の数は、平成7年5月現在で約5万人となっている。近年は、海外在留期間の長期化、在留地域の広域化など在留形態が多様化するとともに、特にアジアにおける子供の数が増加しており、その比率は約3割となっている。また、障害のある子供の在籍する日本人学校数も92校中24校となっている。
  海外に在留している子供たちの教育の課題も、基本的には日本の学校に学んでいる子供たちへの教育と異なるものでなく、したがって、[生きる力]をしっかりとはぐくむなど、第2部第1章で述べたような視点に立った教育の充実を図ることが重要と考えるが、一人一人を大切にした教育を一層推進するとともに、海外における教育という特性を生かした教育を進めていくことが、特に重要な課題となっている。
  海外に在留している子供たちを取り巻く教育環境が地域ごとに極めて異なるとともに、そのような教育環境で育つ子供たちの実態が大きく異なること、また、その教育条件が必ずしも十分とは言えないところがあることなどから、一人一人を大切にした教育を推進することの必要性が極めて高くなっているのである。
  例えば、近年、子供一人一人の適性にかかわりなく現地校を選択したため、日本語、現地語ともに年齢相当の言語力に達しない状況に陥ったり、現地校において不適応等を起こすなどの問題が生じていることが指摘されている。このため、一人一人の適性にあった学校選択ができるよう出国時の相談・情報提供体制の充実を図るとともに、スクールカウンセラーの委託など現地校や補習授業校において学ぶ子供たちに対するカウンセリング機能の強化を図っていく必要が生じてきている。
  日本人学校等における障害のある子供の増加に対応するため、障害のある子供たちに対する教育について専門性を有する教員の派遣を拡充するなどこれらの子供たちに対する教育の充実を図る必要も生じている。また、海外勤務者の若年化等に伴い、海外に在留する幼児が増加している状況にあり、これら幼児に対する教育の在り方についても検討することが課題となっている。
  さらに、海外に在留している子供たちに対し、一人一人を大切にした教育を行うためには、海外という時間的・空間的な制約をできるだけ克服するような対応が必要である。このため、日本人学校等の子供たちや現地校等に通う子供たちに、衛星通信やインターネットなどの情報通信ネットワークを活用し、多様な教材を提供したり、指導を行うことなどについて、研究を進めつつ、推進していく必要がある。
  また、海外における教育という特性を生かす観点からは、日本人学校において、授業の一部を現地語で行うことや、現地素材を活用した現地理解教育の一層の促進を図ることも一つの方策であると考えられる。また、日本人学校と現地校等で、特定の教科において共同で授業を行うことや、補習授業校と現地校が連携し、幾つかの教科の授業を補習授業校において平日に行うことなども有効であろう。

(海外から帰国した子供たちの教育の改善・充実)

  平成6年度において、海外から帰国した子供の数は約1万3千人となっている。
  帰国した子供たちの教育の課題は、その受入れをいかに円滑に進めるかということとともに、海外での経験を通してはぐくまれた特性(外国語能力や国際性等)をさらに伸ばすこと、その特性を生かし一般の子供との相互啓発を通じた国際理解教育を進めることである。こうした課題については、これまでにも、様々な努力が払われてきたところであるが、今後、さらに総合的かつ質的に充実していく必要があると考える。
  近年、海外に在留する子供が著しく多様化しているのを受け、帰国してくる子供たちの状況も、アジアから帰国する子供の数の増加や国内における受入れ地域の分散化、現地在留期間の長期化や低年齢で帰国する子供の数の増加など、その実態が著しく多様化してきている。
  このような状況に適切に対応するためには、まず、帰国してくる子供や保護者に対する相談体制の充実や地方における受入れ体制の充実が求められる。また、現地在留期間の長期化により日本語能力の形成が著しく遅れている子供たちの円滑な受入れを図るため、日本語指導等適応指導の一層の充実を図ることが必要となっており、さらに、低年齢で帰国する子供の円滑な受入れについて実践的な研究を進めることが必要である。
  大学・高等学校における入学者選抜については、これまでにも特別選抜の実施等様々な改善がなされ、整備されつつある状況にあるが、今後とも、帰国した子供たちの特性をより伸長する観点から、特別選抜の拡充を図るとともに、これらの子供たちの異文化環境の下での学習と生活を尊重した選抜方法の多様化、評価尺度の多元化の一層の推進を図る必要がある。また、帰国した子供たちの高等学校への編入学についても、一層配慮する必要がある。
  子供たちが海外で培った特性を保持・伸長するため、外国語教育については、外国語能力に応じた小人数指導を行ったり、各学校の外国語の授業において、これらの子供たちの能力・適性を活用することも考えられる。また、近年のアジアから帰国する子供の数が増加している状況を踏まえ、アジアの言語を学習する様々な機会を拡充すること、またその際には、アジア諸国の青年等の活用を図ることも望まれることである。
  これからの課題として、海外から帰国した子供たちの特性を伸ばすための指導内容・指導方法等の研究開発をさらに充実するとともに、帰国した子供たち、日本に在留している外国人の子供たち及び一般の子供たちが共に学ぶ、異文化・異言語に開かれた教育の在り方についても研究開発を行っていくことが必要であろう。
  このような海外から帰国してきた子供たちの実態に対応して、円滑な受入れを行うとともに適切に個性の伸長を図っていくためには、帰国してくる子供たちを担当する教員等の資質の向上が重要であり、教員等の研修のより一層の充実が必要である。
  海外から帰国する子供たちをいかに円滑に我が国の学校に受け入れるかは、ある意味で、我が国の学校教育の柔軟性が問われる課題である。この問題への対応を、我が国の教育の在り方や指導方法を様々な観点から点検し、改善すべき点は改善していく良い機会としてとらえていく視点が必要であると考える。

(日本に在留している外国人の子供たちの教育の改善・充実)

  平成2年の出入国管理及び難民認定法の改正以降、我が国の学校で学んでいる日本語指導が必要な外国人の子供たちが急増している。その数は、平成7年は約1万2千人となっているが、これは4年前と比較して約 2.1倍であり、母語は46言語に上っている。このため、日本語指導をはじめ学校での生活や学習への適応の問題等様々な教育上の課題が生じているが、これらの課題に対応していくためには、我が国の学校が、異文化・異言語に開かれた学校になっていくこと、そして、外国人の子供たちに対しても、柔軟な受入れ体制を整えていくことなどが必要である。
  特に、受入れ時からの効果的な日本語指導等を行うための諸施策を推進することは、喫緊の課題となっており、日本語指導カリキュラムや日本語能力を客観的に把握する診断テストの開発を行うとともに、こうした外国人の子供たちを多く受け入れ、日本語指導等を手厚く行う拠点校の配置に配慮することが必要と考える。また、外国人の子供たちが我が国の生活習慣や学校生活に円滑に適応したり、教科の学習を行う上で必要な日本語能力の速やかな習得を図るためのJSL(第2言語としての日本語教育)システムの開発・実施を進めることや、これらの子供たちの日本語指導等に当たる教員研修等の充実を図ることも重要である。
  また、日本に在留している外国人の子供たちの教育の改善・充実を図るためには、学校をはじめ地域の関係機関やボランティア等の協力の下、地域社会一体となった取組が求められるところである。このため、モデル地域の育成、相談体制の整備や、ボランティアや指導協力者に対し市町村教育委員会や関係団体等が支援する取組を奨励するなど、地域における受入れ体制の一層の充実が望まれるところである。



(大臣官房  政策課)




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