インドでは、いわゆる教育基本法に当たる法令は存在しない。しかし、基本的な教育政策を規定するものとして、1986年に策定された国家教育政策(National Policy on Education 1986)及び1992年に同政策を改正した国家教育政策改訂版(National Policy on Education 1992 Revised)がある。国家教育政策は法令ではないが、教育に関する政府の基本構想をまとめている。
5年ごとに策定される5ヵ年計画において、国家の総合発展計画とセクターごとの発展政策及び発展プログラムが示され、これに基づいて毎年の具体的な施策が決定される。セクターには人材及び社会開発が第1に挙げられ、さらにサブセクターに、初等教育、
中等教育、
職業教育、
高等・技術教育、
成人識字・生涯教育が挙げられている。現在は、2002年から2007年までの第10次5ヵ年計画が実施されている。
インドでは、1980年代後半から初等教育の普及が大きな国民的課題として議論され、1986年に全国教育政策(National Policy on Education 1986)が策定された。
全国教育政策は法令ではないが、教育に関する政府の基本構想をまとめている。この政策の実施にあたっては、それまであまり初等教育に関与しなかった連邦政府が積極的に関与し、6歳から11歳までの5年間、正規あるいはノンフォーマルな教育(NFE)が行われることを目標に定めた。
1992年には1886年の全国教育政策が改正され、全国教育政策改訂版(National Policy on Education 1992 Revised)が策定された。この改正では、すべての部門における教育の改善及び拡大、利用機会における不均衡の排除及び技術職業教育を含むすべての水準における教育の質及び妥当性の向上に対する強調が構想されている。また、教育は、社会及び地域の不均衡の是正、女性への権限授与、ならびに社会的弱者及び少数者集団の正当な場所の確保において、積極的かつ干渉主義的役割を果たさなければならないことが強調されている。国は、万人のための教育(Education For All:EFA)を実現するという公約を行っており、その優先分野は、特別な要望を持つ子供を対象とした無料の初等義務教育、文盲の根絶、職業教育の重視、男女平等の教育、ならびにSCs/STs(被差別カースト・被差別部族)及び少数者集団の教育に対する特別強化である。全国教育政策及び全国教育政策改訂版を実行する任務は主に州が負い、一方、中央はその実行を監視する任務を果たしている。
また5カ年計画においては、具体的な個別の教育関連プログラムについて、5年間及び毎年の目標及び計画を設定している。
以下では、初等教育、中等教育、高等教育、成人教育について、重点施策をみていくことにする。
初等教育に関しては1992年に憲法改正が行われ、以下のように6歳から14歳までのすべての児童の教育を受ける権利が認められるとともに、初等教育の提供を各州の義務とした。
また、憲法改正を踏まえて、インド政府は、以下の諸スキームを導入し、その推進に重点を置いている。
上記の各スキームの概要は以下の通りとなっている。
インドは独立当初から憲法に初等教育についての規定はあったものの、それは努力規定にとどまり、またその後の政府の教育政策も不十分で初等教育の全国への普及がなかなか進まなかった。しかし、2002年の憲法の改正を踏まえ、連邦政府は初等教育の完全普及を目標に掲げている。
インド政府の試みは「全国初等教育完全普及計画Sarva Shiksha Abhiyan(以下、SSA)」と名づけられ、6歳から14歳までのすべての児童が2010年までに、8年間(小学校、高等小学校)就学し、かつ終了することを目指すものである。これは、先行するEducation for all(EFA)の目標年次である2015年から5年前倒しとなり、さらに8年間の教育の終了というのも、EFAの目標を上回るものとなる。2005〜2006年に、連邦政府は、35州の600地域に対して、SSAの実施を許可している。
SSAでは連邦政府は自己財源から45パーセント負担するようになっている。2004〜2008年のSSAへの資金提供比率は、インド連邦政府45パーセント、世界銀行(IDA)14パーセント、英国10パーセント、EU6パーセント、州政府25パーセントとなっている。
SSAでは完全就学をめざしており、2,500万人の新規就学を目標にしている。世界銀行の融資文書によると、プロジェクト期間2004〜2008年では、より現実的な目標をたてており、未就学児童2,500万人のうち少なくとも900万人の新規就学を目標の一つとしている。
また、SSAを補足するプログラムとして、以下の二つのプログラムがある。
プログラム名 | プログラム内容 |
---|---|
初等教育レベルにおける「国家女子教育プログラム (National Programme for Education of Girls atElementary Level:NPEGEL)」 |
SSAの重要な構成プログラムの一つであり、少女受け入れ校の設立や文房具、制服の供与によって教育後進地域における少女教育の促進を図るものである。第10次5ヵ年計画における同プログラム予算は106億4,080万ルピーとなっているが、2005〜2006年の実績では重点的に67.6億ルピーが支出された。 |
教育保証スキーム及び代替・革新教育 (Education Guarantee Scheme and Alternative and Innovative Education:EGS&AIE) |
EGS&AIE は、6〜14歳の年齢の子供を対象に2001年に導入された。プログラムの主な内容は以下の通りである。
|
郡初等教育計画(DPEP)は、1994年からウタール・プラデッシュ州で試験的に導入された教育改革をさらに他の州、郡に広げようとするものである。地方主体の包括的な教育改革を目指すもので、地域のなかで特定の郡を対象として包括的な教育改革・投資を重点的に行う。とくに、女性の識字率が全国平均より低い郡をターゲットとしている。
プログラムの実施は、導入を希望する州・郡からの申請に基づきなされる仕組みになっており、女性の初等教育が遅れた郡であっても、必要な改革を行う意思や受け入れ態勢が整っていない郡は対象とされない。連邦政府が州・郡の申請書類を審査し、申請が認められれば、中央政府がプログラム費用の85パーセントを負担し、残りを州政府が負担する。
DPEPの対象となるプロジェクトは、参加を希望している州及び郡で開発される。連邦政府は、提案されたプロジェクトを技術面、運営面、財政面などから審査して、良好なもののみを支援の対象とする。承認されたプロジェクトの支出は、他の教育支出とは別に管理され、かつ、他の教育支出に追加的なものでなければならない。プロジェクトの進行・成果はモニターされ、毎年の審査で良好であるとされれば、翌年の支出が承認される。学力、落第率は3年ごとに調査される。
DPEPは、ラジャスタン、ハルヤナ、アッサム、ケララ、カルナタカ、マハラシュトラ、タミルナドゥなど全国28州のうち18州、600郡で実施されている。
児童の就学を側面から支援することを目的にしている。現在、国内80万校において、1億2,000万人の児童を対象にプログラムが提供されている。
SKPの目的は、遠隔地の社会経済的後進村落において初等教育の定着と質の向上を図るものであり、主として女子に対する配慮が行われている。遠隔地での教育の問題として教員の長期不在があり、本プロジェクトでは、経験は少ないが、特別な訓練を受けた常勤教員の配置を行っている。このため、Shiksha Karmis(教育従事者)と呼ばれる教員は、赴任前に集中的な訓練を受けるとともに、赴任後も定期的な再教育を受ける。
KGBVは、後発地域で被差別階級に所属する女子のための寄宿学校の建設スキームであり、2004年8月に導入された。2005〜2006年までのKGBV導入数は750ヵ所となっている。
Mahila Samakhyaは1989年に開始された。本プログラムは、女性に平等を実現する能力を与えるものとして、教育の中心的役割を提唱している。女性が各自の速度で学習し、優先事項を設定し、情報に基づいた選択を行うための知識及び情報を要求できるような環境作りをするための取組みが行われている。
インドにおける中等教育に関する重点施策としては「中等教育へのアクセスの向上」が挙げられているが、その入り口となる初等教育に対する諸施策に比べると具体性に欠ける。
以下では、第10次5ヵ年計画における中等教育の重点施策を列挙する。
中等教育の第10次5ヵ年計画における予算は、432.5億ルピーとなっている。また、2005〜2006年予算は87.5億ルピーで、これは2004〜2005年の65.36億ルピーに比べて33.9パーセントの増加となっている。
第10次5ヵ年計画における高等教育の重点施策は、以下の通りである。
高等教育の2005〜2006年予算は87億3,270万ルピーであった。このうち、第10次5ヵ年計画の5大重点分野への配分は以下の通りとなっている。
分野 | 配分額 |
---|---|
大学、短大向け一般予算 | 23億770万ルピー![]() |
高等教育へのアクセス向上及び機会均等予算 | 7億3,120万ルピー![]() |
今日的意味を持つ教育の促進予算 | 7億8,810万ルピー![]() |
品質及び優秀性向上予算 | 20億5,100万![]() |
研究強化予算 | 12億1,020万ルピー![]() |
合計 | 78億5,400万ルピー |
リテラシー教育は、独立以来のインドの教育における最重点課題の一つとなっている。インドでは、成人の識字教育及び職業教育を公式の教育システムのなかで実施しようとしたがうまくいかなかった。このため、連邦政府は郡レベルの教育関係機関に対する補助金を提供し、ボランティアによる識字教育を実施することにした。これが、1988年から導入された成人識字キャンペーン(Total Literacy Campaigns)である。なお、教材の準備やボランティアの研修は州政府が行う。
このキャンペーンによりケララ州はインドで最初の識字率がほぼ100パーセントの州となったとされる。
2004年に発足した新政権の「共通最低水準計画」(National Common Minimum Programme:NCMP)において、教育の公的支出をGDPの6パーセントまで増大させ、少なくともその金額の半分を初等学校及び中学校に費やすことが公約として掲げられている。この目標の実現に向けて、今後、支出を段階的に引き上げていく予定となっている。
このための資金を調達するために、2004年以降、主要な中央税に対して、2パーセントの教育目的税が追加徴収されている。教育目的税による税収は特定財源として、初等教育関連に限定して利用される。
また、第10次5ヵ年計画(2002〜2007年)における連邦政府の教育関連支出計画は以下の通りとなっている。初等教育関連予算として2,875億ルピー(約8,050億円)が計上さあれており、これは、第9次5ヵ年計画予算比で75パーセント増となっている。
教育の種類 | 歳出金額(億ルピー) | 割合(パーセント) |
---|---|---|
初等教育 | 2875.0 | 67.1 |
中等教育 | 432.5 | 10.1 |
高等教育 | 360.7 | 8.4 |
技術教育 | 430.0 | 10.0 |
成人教育 | 125.0 | 2.9 |
その他 | 61.8 | 1.4 |
合計 | 4285.0 | 100.0 |
2004年7月に、中央政府、州政府の関連省庁、教育関連機関などの代表者から成る中央教育支援委員会(The Central Advisory Board of Education:CABE)が設立され、重要な教育施策の策定と実施に関して同委員会がイニシアティブをとることが定められた。また、同委員会の傘下に、以下のように7つの委員会が設置された。
さらに、2005年7月には、中央教育支援委員会の傘下に以下の三つの実施委員会が設置された。
ロシアには、「ロシア連邦教育法」(1992年、1996年改定)があり、教育基本法的な性格を有している。
これは、ソ連邦崩壊後、1992年7月に制定されたもので、現在に至るまで教育分野におけるロシアの基本法となっている。この法律は、ペレストロイカの成果を受け継いで、社会主義理念やイデオロギーから脱した個人の育成を強調し、私立学校の創設や学習内容の選択の自由を承認するなど、教育制度・教育内容の多様化を公式に採用したものである。
しかし、ロシアでは、体制移行期の社会的・経済的混乱の影響で、様々な教育問題、青少年問題が発生した。とくに、未成年者の犯罪や薬物使用は大きな社会問題となっている。また、財政的な制約から教育資材の不足や教育設備の老朽化が深刻となっている。さらに、教員の賃金水準が低いうえに、断続的な給与遅配が生じるため、優秀な人材が確保できず、離職率も高い。そのため、教員のレベル低下や高齢化なども問題となっている。
プーチン大統領は、就任以来これらの問題の是正に積極的に取り組み、その指針として「連邦教育発展プログラム」(2000年4月)や「国家教育ドクトリン」(2000年10月)などの文書が制定された。これらの文書では、上述の教育資材の不足、教育設備の老朽化、教員レベルの低下などの問題に加え、ロシアの教育の現状について、以下のような問題点を指摘している。
こうした問題への対策の一環として、これまで英才教育制度の導入、教科書検定の制度化、大学入学のための統一的国家試験の導入などが実施されてきている。
さらに、「優先的国家プロジェクト」ではその一つに教育が挙げられている。「優先的国家プロジェクト」は、プーチン大統領のこれまでの教育改革を受け継ぐものであり、国家が今後革新的な発展を遂げるためには、教育システムの抜本的な改革が重要であり、その実現が大きな課題であると考えられている。このため、「優先的国家プロジェクト実現会議」において、教育の基本計画作りが進められている。
2005年9月、プーチン大統領は保険、住宅、教育の3分野を「優先的国家プロジェクト」とすることを発表した。
さらに、2006年度には、教育おける5つの基本方針として、教育のよりよい方式に対する支援及びその発展、
最新の教育テクノロジーの導入、
国際的水準の国立大学及びビジネススクールの新設、
学校における教育レベルの向上、
軍隊における職業訓練システムの発展が挙げられている。以下に、その概要を示す。
また、これ以外にも、農村地域におけるスクールバスの運行、過疎地域における学習設備の充実などが重点課題として挙げられている。
2006年度には、「優先的国家プロジェクト」(後から追加された農業部門を含む4分野)に1,345億ルーブル(約6,065億円)が割り当てられた。前述の2006年度における5つの基本方針に対して、以下の予算が割り振られている。
以上について、連邦予算からの支給は、2006年度92億ルーブル、2007年度192億ルーブルとなっている。
予算を48億ルーブルとする。
連邦予算からの支出は、2006年度30億ルーブル、2007年度60億ルーブル。これ以外に、連邦構成主体や民間からの資金を活用する。
連邦予算からの支出は、2006年度77億ルーブル。
予算不明。
2005年10月、プーチン大統領が大統領令により、「優先的国家プロジェクト実現会議」を創設した。同会議のメンバーには、当初、関係省庁の大臣、大統領補佐官、連邦構成主体(地方自治体)首長、学者などを含む41名が任命された。しかし、その後、会議のメンバーは変更されている。なお、首相、連邦議会両院議長、各政党の代表などは同会議のメンバーからは除外されている。なお、会議の議長にはプーチン大統領自らが就任し、副議長は、メドヴェージェフ第一副首相が担当している。同会議は、プロジェクトに関する大統領への提言、プロジェクトの目的と実現のための手段の決定、プロジェクト実施経過の分析などを行う。
しかし、2006年1月から開始予定であったクラス担任への追加的報酬の支給がいきなり遅延するなど、プロジェクトの実施段階で問題が生じている。ロシアにおけるプロジェクト実施上の問題点として、以下の2点が挙げられる。
第一に、プロジェクトを実際に実行するのは連邦構成主体などの地方自治体であるが、中央と地方の連絡、連携が不十分であることに加え、地方指導者の連邦政策への理解が不十分であることが挙げられる。第二に、巨大な官僚組織が、プロジェクトの実施を妨害したり、意図的ではない場合にせよ遅らせたりしていることがある。
以上の指摘は、教育分野に限らず優先的国家プロジェクト全体に共通する問題点である。このようなロシアに固有の構造的な問題点を克服できるかどうかが、今後のプロジェクトの行方を左右する鍵となっている。
中国では、1993年の共産党・国務院「中国の教育の改革及び発展についての要綱」が教育に対する国家としての基本方針を規定しているのに加え、1995年制定の教育法があり、教育基本法的な性格を有している。これらに加え、以下の二つの行動計画が、中国の具体的な教育基本計画としての政策を有している。
1998年12月24日 教育部制定、1999年1月13日 国務院承認。教育改革の党・政府指針(1993年)及び教育法(1995年)に基づき,教育部が21世紀初頭までの具体的な教育政策の目標と措置を提示する「教育改革及び発展のための総合プロジェクト」として制定した。
2004年2月10日、教育部制定、2004年3月3日 国務院承認。「21世紀に向けた教育振興行動計画」の順調な実施の基礎の上に、具体的な施策、行動計画と目標が制定されている。2020年までを見据えた、同行動計画には、既に実施されている政策を重要度に従い、「2大重点戦略」、「6つの重大プロジェクト」「6つの重点措置」の全14項を改めて優先順位を付すことになり、その着実な実施を促している。重要度の最も高い「2大重点課題」として、農村教育の振興と世界水準の大学づくりが掲げられている。
具体的には,基礎教育の普及と質の向上,高等教育の教育研究の水準向上と経済発展への貢献促進,遠隔教育の発展等を通じた農村部や成人の教育機会拡充,教育投資の確実な拡大等を目標としている。
2000年までの目標として、以下が挙げられている。
また、2010年までの目標としては、以下が挙げられている。
主な政策措置は以下のとおり。
21世紀資質教育プロジェクト | 資質教育(受験偏重教育の是正、子どもの資質の全面的伸長を図る教育)推進のため、2000年には基礎教育課程の基準素案作成、10年後に実施。 |
---|---|
21世紀園丁プロジェクト (教員資質向上) |
3年以内に小学校、初級・高級中学教員及び校長全員の研修実施、教員の学歴向上、中堅教員の研修の重点的実施。 |
高度・創造的人材プロジェクト | 特別契約教授(民間資金による好待遇ポスト)の設置、優秀な若手研究者年間100人の支援、優秀な博士論文年100本の選定・奨励。 |
現代遠隔教育プロジェクト | 中国教育科学研究ネットワーク、衛星テレビ教育の拡大、インターネット大学の普及などによる継続教育制度の確立。 |
教育投資の着実な増加 | 公財政支出教育費の対GNP比4パーセント達成に向けての努力、中央政府支出総額に占める教育支出の比率を2000年までの3パーセントポイント引き上げ(1997年6.2パーセント) |
2003〜2007年教育振興行動計画では、2大重点戦略として、農村教育の振興と
世界レベルの大学づくりが掲げられている。以下に、2大重点戦略の概略を示す。
農村教育の振興 |
|
---|---|
世界レベルの大学づくり |
|
2003〜2007年教育振興行動計画では、6つの重大プロジェクトとして、新世紀資質教育プロジェクト(児童・生徒の創造性と実践能力に重点を置いた資質教育の全面的実施)、
職業教育と訓練・養成・創造・革新プロジェクト推進、
高等教育の質的向上プロジェクト、
卒業生の就職促進プロジェクト、
教育の情報化プロジェクト、
教員及び学校管理者の質的向上プロジェクトが挙げられている。以下に、6つの重大プロジェクトの概略を示す。
プロジェクト名 | プロジェクト概要 |
---|---|
新世紀資質教育プロジェクト |
|
職業教育と訓練・養成・創造・革新プロジェクト推進 |
|
高等教育の質的向上プロジェクト |
|
卒業生の就職促進プロジェクト |
|
教育の情報化プロジェクト |
|
教員及び学校管理者の質的向上プロジェクト |
|
2003〜2007年教育振興行動計画では、6つの重点措置として、教育制度面の刷新・革新と法に基づく学校管理の強化、
民営教育の持続的かつ健全、急速かつ調和の取れた発展の促進、支援、
教育の対外開放の一層の推進、
教育資金投資システムの改革・充実、
党の組織づくりと政治・思想教育強化、
中国の特色ある社会主義現代化教育体系の構築・充実が挙げられている。以下に、6つの重点措置の概略を示す。
重点措置 | 重点措置の概略 |
---|---|
教育制度面の刷新・革新と法に基づく学校管理の強化 |
|
民営教育の持続的かつ健全、急速かつ調和の取れた発展の促進・支援 |
|
教育の対外開放の一層の推進 |
|
教育資金投資システムの改革・充実 |
|
党の組織づくりと政治・思想教育強化 |
|
中国の特色ある社会主義現代化教育体系の構築・充実 |
|
中国の教育財政支出については、部門別の内訳が発表されていないため、その中身について論じることができない。
2005年(億元) | 2004年(億元) | 伸び率(パーセント) | |
---|---|---|---|
教育財政支出 | 5,161.08 | 4,465.86 | 15.6 |
予算内教育支出 | 4,665.69 | 4,027.82 | 15.8 |
中央財政 | 349.85 | 299.45 | 16.8 |
地方財政 | 4,315.84 | 3,728.37 | 15.8 |
教育財政支出全体としては、2005年は前年比15.6パーセントの伸びとなっており、また、中央・地方財政別でも同じような伸びとなっている。
2003〜2007年教育振興計画の2大重点戦略の一つに挙げられている農村教育の振興に関しては、「2つの免除、1つの補助」(教科書代金、諸経費の免除と学校寄宿舎入居生徒に対する生活費の補助)が財政支出の項目となっている。
2005年の中央及び地方財政支出についてみると、「2つの免除、1つの補助」に関する支出は72億元となっている。内訳は、教科書代金の免除が30.4億元、諸経費の免除30.6億元、生活費の補助11億元となっている。
この「2つの免除、1つの補助」施策によって恩恵を受ける児童・生徒の数は、2005年で、教科書無償3,400万人、諸経費免除3,100万人、学校寄宿舎入居生徒への生活費補助600万人となっている。
教育振興行動計画の立案に当たっては、まず十以上の間連部および委員会の責任者によって構成される部クラス調整会議が招集され、関連政策及び措置、必要な費用などに関する調整と統一見解の形成が図られた。その後、国家科学技術・教育指導グループが行動計画を審議するとともに、教育部に対して、すべての省、自治区、直轄市人民政府、各種民主党派、中央及び人民団体に広く意見を求めることを要請した。このような過程を経て、2003〜2007年教育振興行動計画が、2004年3月に国務院に承認された。
温家宝首相は、第十期全人代第二回会議の政府活動会議で、教育振興を各種の発展計画のなかで優先課題と位置づけるとともに、新たに2003〜2007年教育振興行動計画を実施し、重点課題として、義務教育、とくに農村での義務教育に力を入れることを発表した。さらに、同行動計画を国家的な取り組みと位置づけ、あらゆる段階の政府、教育機関および社会全体が一丸となって取り組むべき重要課題であることを明確にした。
政府は、基本戦略として科学技術・教育振興に基づく国家発展戦略と人材育成による国家強化戦略に力を入れており、中央政府レベルでも教育振興に様々に関与する姿勢を示している。
オランダでは憲法第23条に「教育の自由」が定められている。「教育の自由」は「設立の自由」(市民団体が一定数の生徒の就学を証明して学校を設立する自由)、「理念の自由」(宗教・非宗教の信条に従って教育をする自由)、「方法の自由」(教材・学級編成等を含む教育方法の自由)の3要素からなり、学校の独立性が大きく認められている(注1)。
オランダでは教育段階毎の法律を調整するための法律制定を検討中である(注1)。段階毎の法律は以下の通りである。
なお、高等教育については法改正が予定されており、「高等教育・研究法(Wet Hoger Onderwijs en Onderzoek ,WHOO)」となる予定である。
このほか、各教育段階にまたがる法律として、「義務教育法(Leerplichtwet)」(1969年)、「教育における職業法(Wet op de Beroepen in het Onderwijs)」(2004年)、「学生資金法2000(Wet Studie Financiering 2000 ,WSF 2000)」、「教育監督法(Wet op het onderwijstoezicht ,WOT)」等が整備されている。
オランダでは上述の通り、「教育の自由」は憲法で保障されるなど、オランダ社会の根幹をなすものとして極めて重視されており、特に近年は学校の自律性を高めることが強調されている。そのため、教育分野における国の総合的な基本計画は制定されていない。
教育段階毎に策定された方針や計画としては、以下のものがある。
上記には法改正の方向性についての記述も含まれており、法律に基づく計画という位置づけではない。
以下では「中等教育の方針」の内容を中心に、中等教育について記述する。
「中等教育の方針」では特に重点分野は示されていない。以下では、「中等教育の方針」が重視している方向性について、概説する。
「中等教育の方針」の主要なメッセージは、「関心の中心を生徒におくこと」である(注1)。そうした観点から、一人一人の生徒にあった教育を行うこと、中等教育の前後の段階(初等教育、高等教育または労働市場)との連続性に配慮することなどが強調されている。
また、学校の自由をより高める(そのために国の関与を小さくする)こと、学校が教育をデザインし、組織する責任があることを強調している。
一方、学校を取り巻く社会との関わりについても重視されている。中等教育は社会の個人化・不均質化の影響を受けるとともに、知識社会への移行の中心的な位置にあること、さらに「欧州」の影響も高まっていることに言及し、そうした社会へ対応していくことが重視されている。
そして、こうした問題認識の上で、学校は社会の一部であり、地域社会との連携が重要であること、「教えること」ではなく「(生徒が)学ぶこと」に力点を置くべきこと、社会の多様化に対応するため、国は枠組みだけを定めて(具体的には目標設定と出口の資格認定)、学校がその中身を定めるべきこと、教員・職員とともに学校外の専門家が重要になってきていること、等が今後の課題として示されている。
「中等教育の方針」には記述がない。
オランダ教育文化科学省の歳出額の項目別比率とその推移は以下の図表の通りであり、初等教育(28.6パーセント)の比率が最も高く、次いで中等教育(20.2パーセント)が高い。また、1998年以降の推移をみると、全般的に歳出額が増加しているなかで、特に初等教育と中等教育は増加が著しく、歳出全体に占める比率も高まっている。
なお、初等教育歳出額7,881.6百万ユーロの81.4パーセントにあたる6,413.2百万ユーロが(学校の)人件費、12.3パーセントにあたる966.4百万ユーロが(学校の)維持管理費であり、中等教育歳出額5,570.8百万ユーロの96.7パーセントにあたる5,386.1百万ユーロが、(学校の)人件費及び維持管理費であり(2005年)(注1)。こうした義務的な経費が全体の9割以上を占めているといえる。
「中等教育の方針」では、特段の実施体制が示されてはいない。ただし、主要プレーヤーの役割と責任については示されており、国、学校、地方自治体、経済界については以下のように記されている。
連邦国家であるカナダでは、同じ連邦国家であるアメリカやドイツと同様、教育行政は各州の管轄となっている。カナダに連邦制の同盟が成立した1867年に制定された「英国領北アメリカ法」においてその旨規定されている。連邦レベルでは日本の文部省にあたる官庁はなく、各州において教育省(Ministry of Education)が教育行政を担当し、選挙によって選ばれる教育大臣(Minister of Education)が統括する。各州はそれぞれ独自の教育制度を導入し、教育行政を行っている。
一方で、カナダ内で国としてのまとまりが必要であるとの意識が高まるなか、各州の情報交換や相互協力を円滑にする場として1967年にカナダ教育大臣協議会(The Council of Ministers of Education, Canada ;以下、CMEC)が創設された。1990年代以降、CMECの活動が活発化し、連邦レベルでの教育省をもたないカナダでは、海外ではカナダ代表としての役割を持つようにもなっている。しかし、CMECが連邦政府の機関になったわけでなく、州レベルの延長線上にあるものである。
以上のように、カナダでは連邦レベルにおける教育計画の策定・運営はない。このため、本節においてはカナダに関して、連邦政府ではなく州政府の取り組みについて調査することとし、カナダの州のなかで人口が最大のオンタリオ州を事例として取り上げる。
オンタリオ州では、主として初等中等教育を管轄する教育省(Ministry of Education)と高等教育を管轄する訓練・高等教育省(Ministry of Training, Colleges and Universities)がある。オンタリオ州の教育に関する最も基本的な法律はEducation Actで学校教育に関する内容が中心となっている。
オンタリオ州には総合的な教育基本計画やそれに類するものは存在しない。しかし、1990年代より教育改革への取組みが進み、以下のような施策が実施されている。
オンタリオ州では、こうした個別事項に対応する計画や、学力向上などある目的のためのプロジェクトが策定されている。つまり基本計画は存在することなく、施策が実施に移されていると推察される。ただし、そのときの政権が戦略や方向性を示しており、これらの施策はそれらに基づいて作成されている。本節では、以下、初等中等教育と高等教育を中心に概観する。
オンタリオ州では、教育基本計画はないものの、教育分野における各種施策を実施している。現在の教育分野の施策は2003年に成立したマクグンティ政権下で勧められ、「すべての学生のために教育機会を拡大する」ことを目指してしている。この背景には、今後のグローバル市場ではオンタリオ州民が世界でも最も教育され、最も高いスキルをもち、生産的で想像力に富む人々となることが必要だとする現政権の考えがある。
2007年の予算報告書によると、州政府が重点投資を行ったのは次の分野である。
学生のニーズに対する補助金(Grants for Students Need;GSN)を増額させることで、小規模クラス、教員の雇用、学校施設の維持、最新の教科書の配付などに対し十分な資金が充当されるようになった。生徒一人当たりの補助金は、2003年の7,920ドルから2007年には9,432ドルと19パーセント増加した。州全体のGSN資金は2003〜2004年から27億ドル増加し2007〜2008年には183億ドルとなった。
12歳まで基礎的な読み、書き、算数の能力をつけることを目標とする。
政府は、オンタリオ州集中的介入パートナーシップ(Ontario Focused Intervention Partnership;OFIP)を創設し、教育評価アカウンタビリティオフィス(Education Quality and Accountability Office ;EQAO)のテストにおいて3年連続で、州の標準を下回った児童・生徒が3分の2位以上の小学校に対し支援を行う。たとえば、専門家や指導者がこうした学校を訪問し、直接学校の教職員に対し、児童生徒の学力向上のための指導を行う。
小規模の学級では、読み、書き、算数のスキル上達に必要な指導を児童生徒に個人的に行うことができる。低学年で成績のよい児童生徒は、中等教育を修了し高等教育へ進む割合が高いため、低学年での教育は重要とみなされている。州政府では、2003年10月から、規模縮小に伴う学級増加に対応するため2007〜2008年度までに4,800人の小学校教員の雇用のための資金を配分した。
知的基盤経済に対応するため、政府は全ての学生の意思を尊重する学習方法を実施している。
高校の修了率を上昇させ、中退者を減らし、進学者を増加させるため「学生成功戦略」(Student Success Strategy)による新カリキュラムを導入した。例えば、実習訓練や中等後教育コースに参加することによる単位取得を可能し、従来にない学習機会を提供した。
2003〜2004年に高校修了率は68パーセントと低かったものの、2005〜2006年には73パーセントに上昇した。政府は2010年には85パーセントを目指す。「18歳まで学ぶ法」(Learning to Age 18 Act)は義務教育の年齢を16歳から18歳に引き上げ、学生により広い教育機会と選択肢を与えることで修了率の向上を目指すものである。2006〜2007年に導入され、高校、社会、中等後教育プログラム間で連携して、学生の学業達成を支援している。
2004年に、政府はGPL(Good Places to Learn)イニシアティブを導入し、学校の改修に注力している。現在、6,800のプロジェクトが進行中である。
政府が学生の学力を向上させ、より良い学習を経験してもらうため、新しい教科書、教材、コンピュータ・ソフトウェアなどを提供する。
カレッジや大学は将来の繁栄につながるアイディアや仕事を作りだす人材を育成する重要な役割を持つ。2005年、オンタリオ州では「高みへの到達(Reaching Higher)」を宣言し、2009〜2010年まで毎年62億ドルを投入することとした。「高みへの到達」の目標は次のとおりである。
「高みへの到達」は補助金の増額を通して中等後教育へのアクセスを著しく向上させた。
オンタリオ州における初等中等教育および中等後教育への予算配分は次の図のとおりである。
現在進行中の計画における重点分野に伴う投資は次のとおりである。
イタリアにおける教育分野を体系的にとらえた法律としては、法律制定時の教育相の名前を関した「改革法」が該当すると考えられる。たとえば、現在の教育制度の基盤となっているのは、1923年に制定された教育相ジョバンニ・ジェンティーレによる「ジェンテーレ改革法」である。この改革において、現在の学校体系の基礎が作られ、義務教育期間や全国統一試験(L'Esame di Stato)の制度などが制定された。
また1997(訂正)年には、義務教育期間を14歳から15歳まで引き上げるなどの改革を行った「ベリングエル改革法」が、2001年にはEU域内における競争力を強化するための人材育成を主眼とした「モラッティ改革法」が制定されている。モラッティ改革は、幼稚園から大学まで、一貫性のある教育改革を目指しており、これは1923年のジェンテーレ改革以来の大きな改革である。
しかし、いずれの改革法についても、それを実行するためのいわゆる「基本計画」を定めて実行に移されているわけではなく、改革法が議会において成立した後も、野党の反発や教育現場の混乱等によって改革法が実践されないという事態が起きており、モラッティ改革に関しても例外ではない。とりわけ、モラッティ改革においては、実施にあたっての財源の裏づけを欠く事項も多く、基本計画を制定して確実に実施される目処は立っていなかった。現在は、交代したフィオローニ教育相のもと、高等教育の改革を目指した「フィオローニ改革法」が新たに検討されているという状況であり、改革法の実施にあたっての実効性や継続性を疑わざるを得ないのが現状である。
上記のような理由から、教育基本計画に該当する計画は見当たらないため、体系や重点分野の有無、主要施策等については不明である。ただし、改革の方向性についてはわが国にとっても示唆を得ることができる部分があることから、イタリアにおける近年の教育改革の概要について以下で簡単に見ていくこととする。
1997年、ルイージ・ベルリングエル公教育相が提起した改革であり、ファシズム期以来継続してきた小学校・中学校・高校の5、3、5制の13年間の学校教育体系を統合し、6歳から18歳までの12年間とした。このうち、最初の6年を初等教育、続く6年を中等教育課程と位置づけるとともに、1963年に14歳まで引き上げられた義務教育期間を更に延長して15歳までの9年間とした。義務教育の期間を延ばすことは、他の先進国の水準に適合させる意味でも、イタリアにとっては喫緊の課題だった。
さらに、大学入学年齢を18歳とするとともに、大学短期課程(3年制)を導入するなど、高等教育の制度改革も行い、就職年齢を欧州並み短縮することとなった。主要先進国では18歳で高校を卒業、大卒者が就職するのは20代始めであるのに対して、イタリアでは19歳で高校を卒業し、26〜30歳近くまで大学に在学する傾向があり、これが国際競争力を削ぐ要因のひとつと認識されていた。
しかし、改革にあたって給与や養成方針などが大きく異なる小学校と中学校の教員の取り扱いを統一しようとしたことについて、教員からの反発が強く、ベルリングエルの後任として公教育相となったトゥリオ・デ・マウロ氏のもとにあっても、改革のすべてを実行することができなかった。
また、イタリア全土における経済的問題から生じる就職難が原因で、現在でも大学在学年齢は高いのが実情である(ボローニャ大学公式Webサイトより)。
モラッティ改革法は、EU域内での競争力を強化するための人材育成をねらい、実業的な教育を強化・充実する方向で教育制度全体の見直しを行った。その内容としては、初等教育の見直しとして小学校からの英語教育やコンピューター教育の実施を行うほか、中等教育が修了する際に義務づけられている全国統一試験(L'Esame di Stato、口答、面接試験)を筆記試験の形に変更するなどである。また、大学制度と職業訓練校の制度改革を行うなど、高等教育についても大きな見直しを行った(公教育省Webサイトより)。
同改革は、イデアリズム教養重視のイタリアの伝統的な教育方法から、競争力のある実学重視の教育へと大きく変わる改革法であったために話題にはなったが、政権交代により保留の状態となっており、明確な実績がないのが実情である(モデナレッジェエミリア大学公式Webサイトより)。その理由としては、モラッティ改革法が施行された最初の全国統一試験において、改革法の内容が反映されなかったことが挙げられる。このため、各学校が改革法実施に消極的となり、改革全体が停滞する要因となっている。
ただし、小学校からの英語教育の実施、コンピューター教育の導入については、政権が変わった現在も進行中である。
大学制度をはじめとする高等教育の制度の見直しが主眼であり、全国統一試験の改革や、移民教育についての再考などを掲げている。全国統一試験については、モラッティ元教育相が全国統一試験を筆記テストに変更しようとしたのに対して、現在の教育相であるフィオローニは、試験官のレベルを向上することにより、試験そのもののレベルも向上させることをめざしている。
また、移民教育については、近年イタリアにおいては移民が増加しており、教育現場での負担が大きくなっていることから、この見直しを求める声が高まっている。たとえば初等中等教育では、生徒の1割から3割が移民であることから、各学校は移民の子どもたちに対する教育をサポートするために、特別言語授業などを行っているのが現状である。
フィオローニ改革法は2006年に発表された改革案であり、現在はまだ具体的な着手に至っていない。改革法の方向性が曖昧であることから、教育現場からは不安の声が上がるなど、混乱の様相を呈している。
教育に関する権限は、中央政府では、教育期間の決定や学校制度の規定などを行い、州、県、コムーネなどの地方政府においては、学校の施設・設備の整備や職業教育制度の規定を行っている。
各州にはUfficio Scolastico Regionale (州教育局)が設置され、そこにはCentri Servizi Amministrativi (各県地域教育センター)が置かれており、県やコムーネなどとの調整のほか、学校に対する支援方策などについて管轄している。
小中学校の改革については、教育省から改革法が発表されると、各学校が雇用した専門家あるいは、弁護士によって、改革法を実施するための具体的な実施計画が検討される。学校によってその内容は異なるが、中等教育修了時の全国統一試験において、達成しなければならない規準は統一されているため、結果的に全国レベルでの教育水準が一定に担保されるしくみとなっている。
イタリアでは、「学校の自主独立性保障に関する法律(1999年3月8日付け大統領令275号)」により、教育方針やカリキュラム、規定範囲内での授業時間(時間割、年間総授業時間など)を学校が独自に決定することができる。この法律に象徴されるように、イタリアでは学校の自主性や意思決定を尊重する制度設計となっており、このことが、国としての統一的な改革推進の障害となっている側面もある。