大学分科会(大学教育部会)では,今回の特区制度の全国化の検討に関連して,大学のキャンパスに求められる機能・役割を以下のとおり取りまとめた。
(1)代替措置の取扱いについて
大学等については,引き続き,空地を校舎の敷地に有し,運動場を設けることとすることを原則とすること。「法令の規定による制限その他のやむを得ない事由」により空地を校舎の敷地に有しない場合,運動場を設けない場合とは,例えば,大学,研究所,民間企業等が集積する拠点として整備され,既に高度に土地が利用されていること等の理由により,空地及び運動場を設けるために必要な面積の土地の取得が,物理的に事実上困難であることや,土地の取得に関して法令の制限があること等といった,客観的に見てやむを得ない特別な理由がある場合に限られること。
特に学士課程や短期大学の課程の教育については,学修の定着や多様な活動を可能とする空間を保持するという観点が一層求められることに留意する必要があること。
(2)大学等の教育・研究への配慮について
空地を校舎の敷地に有しない場合と運動場を設けない場合のいずれともに,代替措置を適切に講じることにより,当該大学等の教育・研究に支障が生じないものとすること。また,大学等の教育・研究に支障が生じないとは,当該大学等における各学部・学科の教育研究上の目的を達成することが可能であることを意味し,特に体育の授業を行う場合には,運動場を有する必要性が高いものであり,授業に支障が生じないような特段の措置が必要であること。
(3)空地の代替措置について
空地の代替措置については,授業の空き時間により一時的に使用されていない教室の提供ではなく,学生が常時使用可能な,休息,交流その他のための専用の施設を備えること。当該施設の採光等の施設環境や利用時間等の利用形態については,当該大学等の状況に応じて,できる限り開放的であること。ラウンジに備えるべき机や椅子,用具類を収納するロッカーなど学生の様々な活動に有用な設備を備えること。例えば昼休みなど人が集中する特定の時間においても,基本的にすべての学生が昼食をとることに不自由の無いなど,余裕のある空間を確保すること。
(4)運動場の代替措置について
運動場の代替措置として,やむを得ず公共または民間のスポーツ施設を学生の利用に供する場合においても,学士課程や短期大学の課程など,それぞれの課程で学修を行う学生の特性に応じて,学生が希望する球技等の様々な運動ができるよう配慮するとともに,経済的負担については,自己所有の場合と同等の環境を確保できるよう,利用料等について無料とすることが望ましく,やむを得ない場合には,これに準ずるようできる限り低廉な価格とするなど,十分な軽減を図ること。
(5)代替措置の状況の公表等
空地の代替措置及び運動場の代替措置の状況については,学校教育法施行規則第172条の2第1項第7号に定める「校地,校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること」にあたり,代替措置を適用する場合には,当該代替措置の状況を速やかに公表することが学校教育法上求められること。また,当該情報の重要性に鑑み,代替措置を講じていることを入学を希望する者等が的確に認識できるよう,インターネット等の形式により迅速かつ丁寧に周知を図ることとすること。
また,空地の代替措置及び運動場の代替措置を適用した場合,適切な代替措置であるか学生にアンケートを実施するなど検証を実施し,必要な改善を図ることが望ましいこと。
(6)施行について
平成25年1月1日施行とすること。
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室
-- 登録:平成24年03月 --