a)新しい医療の開発を行う上で、生命科学の進歩を実際の医療へ展開するトランスレーショナルリサーチや、その基盤となる、これまでの診断・治療の検証を行いながら医療の改善を目指す臨床研究の役割は重要である。また、予防医学の観点からの社会医学(疫学)研究、治験に関わる研究、大学間や他の医療機関との連携によるEvidence Based Medicineのデータの蓄積等も必要である。
b)研究における日本の論文の割合は伸張しているが、臨床研究での割合は横ばいである。また、我が国の医学研究のうち、「Nature」や「Science」に掲載されるような基礎研究分野では活力が高いが、「New England Journal of Medicine」や「Lancet」に掲載されるような臨床研究分野の力が弱いのが現状である。
c)このような状況の中、臨床研究の推進の基盤として、大学は、臨床研究の情報やEvidence Based Medicineのデータを集積した上で、臨床研究のデータセンターとしての機能・役割を充実させることが必要である。