我が国の高等教育の将来像(審議の概要)(中間報告 たたき台) はじめに
- 旧大学審議会の28本に及ぶ諸答申、特に平成10(1998)年答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」や平成12(2000)年答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」に示された理念を踏まえ、これまでに各般の改革が着実に進捗している。
- その後、国立大学の法人化、公立大学法人制度の創設、学校法人制度の管理運営面の改善、法科大学院等専門職大学院制度の創設、設置認可の弾力化と新しい質の保証システムの導入、構造改革特区における株式会社立大学の参入など、平成10(1998)年当時にはまだ具体的日程に上っていなかった諸改革も、大学改革に関する様々な議論に加え、国全体の行政改革・司法改革・規制改革との関連
でもあり、相次いで実現してきている。
我が国の高等教育改革は、これら各般の制度改正等のシステム改革の段階から、各機関が新たなシステムの下で教育・研究活動の活性化の成果を具体的に競い合う段階へと移行する最中にある。
- また、ケルンサミット(1999年)等を契機として、英米独仏中韓など世界各国において「知識基盤社会化」を念頭に置いた高等教育改革が急速に進展しつつある。特に、EUでは「欧州高等教育圏」創設を目指した「ボローニャ・プロセス」が進行している。
- このような内外の新たな状況を踏まえ、我が国の高等教育の全体構造について、改めて中長期の姿を示す必要が
あ生じてきている。
そこで、本審議会では、平成13(2001)年4月の「今後の高等教育改革の推進方策について」の諮問を受けて、平成14(2002)年7月以降、総会で 回、大学分科会で 回にわたってこの課題につき審議を重ねてきた。本中間報告は、その成果として、中長期的視点(平成17(2005)年度以降10年から15年程度先まで)で想定される高等教育の全体構造に関する将来像(言わば「グランドデザイン」とも呼ぶべきもの)と、そこに至るまでの中期的な施策の方向性(言わば「ロードマップ」とも呼ぶべきもの)を示すものである。
この「審議の概要」は、これまで審議された論点と現段階での考え方を(「グランドデザイン」の部分につき)中間的に整理したもの。今後とも、関係団体からのヒアリング等を実施しながら審議を継続し、平成17(2005)年1月頃までには、(「ロードマップ」の部分も含め)最終的な取りまとめを目指す。本中間報告の中でも述べるように、これからの「知識基盤社会」においては、国際競争がますます激化し、国の高等教育システムないし高等教育政策そのものの総合力が問われることとなる。国は、将来にわたって高等教育につき責任を負うべきであるし、各高等教育機関や学生、企業等の関係者も、十分な自覚を持って困難な時代に立ち向かう努力と気構えが必要である。本中間報告が、新時代の高等教育を築き、我が国社会の持続的な発展の礎となることを願ってやまない。