a) |
診療参加型臨床実習は、学生が診療チームに参加し、その一員として診療業務を分担しながら、医師の職業的な知識・思考法・技能・態度の基本的な内容を学ぶことを目的としている。 |
b) |
診療参加型臨床実習は、モデル・コア・カリキュラムに位置付けられるとともに、平成13年協力者会議により平成3年の厚生省臨床実習検討委員会最終報告の内容を踏まえたガイドラインが示されている。 |
c) |
医学部白書によれば、平成16年11月現在、66大学において診療参加型臨床実習を何らかの形で実施しているが、その実施を各診療科に任せることなく組織的に教育体制に組み入れている大学は43にとどまっている。このため、診療参加型臨床実習の実施にあたっては、各診療科の連携協力体制、さらにはコメディカルを含めた診療チームの連携協力体制を構築するなど、組織的な教育体制を確立することが必要である。 |
d) |
また、平成16年度より新医師臨床研修制度が導入されて卒後の臨床研修が必修化され、マッチング・システムに基づいて研修医が出身大学以外の大学病院や臨床研修病院で研修を行っている中で、研修医の臨床に関する態度、技能、知識の習得の程度が出身大学により大きく異なっているとの指摘がなされている。このため、診療参加型臨床実習参加前のみなならず、終了時すなわち卒業時に求められる、臨床に関する態度、技能、知識の標準的な到達目標の提示や評価の在り方について検討することが必要である。 |
e) |
さらに、医療安全に対する国民の要望が高まる中で、学生が、臨床現場で医療安全の徹底の観点から決して行ってはならない行為を学習することが重要となっている。また、診療参加型臨床実習における侵襲的医行為や羞恥的医行為の実施にあたっては、学生の態度、技能、知識の適切な評価や指導医による指導・監督等に加え、患者に対する医学生である旨の明確な紹介と患者の同意を徹底することが必要である。このため、前述したように、診療参加型臨床実習に関するガイドライン等は示されているが、医療安全の観点から、侵襲的医行為や羞恥的医行為の在り方について更に検討することが必要である。 |
f) |
その一方で、医学部白書によれば、平成16年11月現在、53大学において学外の地域の医療機関での臨床実習が何らかの形で導入されており、大学病院では経験しにくい症例や地域における医療の実態を学ぶことができるなどの利点が指摘されており、学外の医療機関の活用とともに、大学病院との連携協力体制の構築が必要である。 |
g) |
このような状況の中で、学部段階における臨床実習と新医師臨床研修との整合性・接続性・役割分担を明確にし、より効率的に医学教育を行うことの必要性が指摘されている。 |
h) |
このため、医療安全の観点も踏まえて、新医師臨床研修制度における研修内容との整合性・接続性・役割分担に配慮した診療参加型臨床実習の在り方について明らかにするとともに、臨床実習に係るモデル・コア・カリキュラムの改訂について検討する必要がある。 |