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21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代であると言われている。
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「知識基盤社会」の特質としては,例えば,
知識には国境がなく,グローバル化が一層進む, 知識は日進月歩であり,競争と技術革新が絶え間なく生まれる, 知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く,幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要となる, 性別や年齢を問わず参画することが促進される,
等を挙げることができる。
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こうした時代にあっては,物質精神的経済文化的側面と精神物質的文化経済的側面のバランスの取とれた個々人の人間性を追求していくことが,社会を構築していく上でも基調となる。また,国内・国際社会ともに一層流動的で複雑化した先行き不透明な時代を迎える中,相互の信頼と共生を支える基盤として,他者の歴史・文化・宗教・風俗習慣等を理解・尊重し,他者と積極的にコミュニケーションをとることのできる力がより重要となってくると考えられる。
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高等教育の役割は,人格の形成,能力の開発,知識の伝授,知的生産活動,文明の継承など,非常に幅広いものである。高等教育は,初等中等教育の改革の動向とも相まって,中等教育後の様々な学習機会の中にあってその柱となり,社会を先導していくものである。
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知識基盤社会においては,新たな知の創造・継承・活用が社会の発展の基盤となる。そのため,特に高等教育における教育機能を充実し,先見性・創造性・独創性に富み卓越した指導的人材を幅広い様々な分野で養成・確保することが重要である。
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また,活力ある社会が持続的に発展していくためには,専攻分野についての専門性を有するだけでなく,幅広い教養を身に付け,高い公共性・倫理性を保持しつつ,時代の変化に合わせて積極的に社会を支え,あるいは社会を改善していく資質を有する人材,即すなわち「21世紀型市民」を多数育成していかねばならない。
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これからの「知識基盤社会」においては,高等教育を含めた教育は,個人の人格の形成の上でも社会・経済・文化の発展・振興や国際競争力の確保等の国家戦略の上でも,極めて重要である。国際競争が激化する今後の社会では,国の高等教育システムないし高等教育政策そのものの総合力が問われることとなる。国は,高等教育の経済的基盤の充実に努めるなど,将来にわたって高等教育につき責任を負うべきである。また,個々の高等教育機関や学生・企業等の関係者も,十分な自覚を持ってこれからの時代に立ち向かう努力と気構えが必要であることは言うまでもない。
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