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(学位に関する基本認識)
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学位は、大学における教育の課程の修了に係る知識・能力の証明として、学術の中心として自律的に高度の教育研究を行う大学が授与するものという原則は、国際的にも定着している。このため、学位に関する検討を行うに当たっては、学位が国際通用性のある大学教育修了者相当の能力証明として発展してきた経緯を踏まえ、課程を修了したことを表す適切な名称のあり方、他の学位との相互関係等を審議していく必要がある。 |
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(専門職学位)
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高度な専門職業能力を修得したことを表す専門職学位は、職能団体や資格をはじめとする一定の職業的専門領域の基礎が確立している特定の職業を担うために、「理論と実務の架橋」を重視し、深い知的学識に裏打ちされた高度で専門的な知識・能力を修得する大学院教育を修了した証明である。
このような点を十分踏まえつつ、専門職学位については、例えば、職業資格に対する受験資格、免許付与等との連動、学位に付記する専攻分野の名称のあり方、及び国際的に共通の水準をもたせることが望ましいかなどに関して検討を行うことも必要である。
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また、平成15年度より認証評価が制度化されたところであるが、専門職学位については、社会における専門職(プロフェッション)の発展をにらみつつ、大学に関し深い見識をもつ関係者が、関連する職能団体を含めた社会の意見を十分に取り入れられる形で大学の専門的評価を組織的にも発展させ、学位の質を確保することが肝要である。
このような努力を通じて、我が国に相応しい専門的なアクレディテーション(第三者評価による適格認定)の早期確立が望まれる。 |
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(ダブルメジャー、ジョイントデグリー)
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近年の学問分野の学際化、融合化や、 幅広い知識と柔軟な思考能力をもつ人材など社会における求められる人材の多様な要請などに対応する手段として、専攻分野以外の分野の授業科目を体系的に履修させるダブルメジャー、及び一定期間において複数の学位を取得できる履修形態であるジョイントディグリーは有効な方策であると考えられる。
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一方で、これらの取組みを導入するに当たっては、教育目標や理念の明確化、専攻分野に関する教育プログラムの充実が前提であり、また、修了までのプロセスが複雑になることによる学生の履修相談の体制整備など教育を受ける側への一層の配慮が必要である。
これらを十分に踏まえ、各大学の自主的・自律的な検討に基づき、積極的な導入が期待される。 |
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(「課程博士」に関する課題)
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現在、標準修業年限内に、博士論文を提出するに至らなかった学生の中には、例えば、授業料負担や就職等の関係のみならず、将来の研究計画に基づいて博士の学位を取得できるという見込みが不分明であるためなど、様々な理由により退学し、その後に「論文博士」を申請する者が見られる。
これらの実態は様々であり、種々の考えがあると推測されるが、実質的には博士課程における研究成果として評価すべき部分が少なくないことから、こうした者を「課程博士」として位置づけている大学もある。
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これにより、我が国の課程制大学院制度の修了の考え方、「課程博士」、「論文博士」の用語の使われ方などに混乱が生じており、かえって「課程博士」の円滑な授与、学位の国際的な質保証に影響を与えかねないとの指摘もある。
また、博士論文を提出せずに退学したことを「満期退学」や「単位取得後退学」などと呼称していることがあるが、このことの背景の一つとして、課程制大学院の趣旨が徹底されていないことが考えられる。
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このため、学位に関するこれらの考え方を整理した上で、その水準の確保を図りつつ、大学院に5年以上在籍し、必要な単位を取得、博士論文の審査試験に合格するなど博士課程の修了要件を満たした「課程博士」の円滑な授与の促進方策について検討する必要がある。 |
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