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現状の問題点】
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高度な人材養成機能の強化、地域社会・国際社会への貢献など大学院に対する社会の要請・期待の高まりに的確に対応するため、質的な面でも量的な面でも大学院の飛躍的充実を図る必要から、これまで大学院の重点化、すなわち、学部中心の大学運営から大学院の教育研究機能の強化を図るための施策を実施してきたところ。
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○ |
しかしながら、現在の状況を顧みると、急速な量的な拡大が図られている一方で、依然として、
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各課程において、どのような人材の育成を目的としているのかが明確ではなく、目的に沿った体系的なカリキュラムが編成されていない、 |
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学生、教員の流動性が低く、大学においても社会においても多様な経験の蓄積が十分にできる環境ではない、 |
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制度面も含め教員組織、施設・設備を未だ学部に多く依拠しており、大学院の教育研究機能を十分に発揮できる体制となっていない、 |
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量的な拡大の結果、学生の質、ニーズの多様化、教員1人あたりの学生数が増加したことなどにより、論文指導などの面で十分な教育を行うことができていない、 |
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学生への経済的支援が十分ではなく、さらには大学院修了生(特に博士課程)のキャリアパスが不透明であるため、優秀な学生が大学院に進学しないなどの指摘。 |
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これまでの改革】
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国においては、
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課程制大学院制度の趣旨の徹底 |
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任期制の導入 |
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独立大学院、独立研究科等の設置促進、研究科を学部と同等の基本的な組織として法令上明確化、一定規模以上の学生を要する大学院には、大学院専任の教員や専用の施設・設備を備えるようにすること |
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基盤的経費の増額 |
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奨学金、特別研究員制度、TA(ティーチングアシスタント)・RA(リサーチアシスタント)に係る予算措置の充実などを実施してきたところ。 |
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○ |
また、大学においては、国において実施された施策の積極的な活用を図ることに加えて、大学院の教育研究指導を充実するために、FDの実施、シラバスの作成、授業評価などを積極的に実施してきたところ。
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○ |
このような大学院教育の質的充実に関する取組みが行われている一方で、上述した課題が引き続き指摘されているところ。
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○ |
今後の我が国の大学院の発展は、教育の質的な面での抜本的な充実・改革が伴わないと困難であると考えられ、国は、大学院の教育研究機能の強化(大学院教育の実質化)を大学改革の重要課題と位置づけ、早急に取組みを進める必要。 |
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【 |
今後の検討のあり方】
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今後、国においては、
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大学院教育の実質化を図るための基盤形成の基本的な方向性の明示 |
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それを実施するための制度的な改革方策、及び財政基盤の充実について検討。 |
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○ |
また、大学院を置く大学は、この重要な課題の当事者としての認識を強く自覚して、自主的・自律的に大学院教育の実質化を図る必要。
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○ |
特に、大学院における教育研究活動に力点を置く大学は、学長のリーダーシップの下、大学院教育の実質化を図るための具体的な計画を策定し、改革を実行していくことが必須。
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○ |
今後の分野別の審議検討等を踏まえつつ、大学院教育の実質化のための重要課題について、集中した議論を行い、改革支援方策を具体化。
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○ |
なお、大学院教育の実質化を図るための改革支援方策については、課程の目的・役割の明確化、教育課程や研究指導のあり方、施設・設備の整備などが相互に連係しており、総合的な取組みの視点が必要。
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○ |
これらを踏まえ、大学院教育の実質化の集中的な取組期間を設け、国は、大学の自主的かつ意欲的な計画に積極的な支援を行っていくことも一案。 |
(大学院教育実質化のための5カ年計画などを設定するなど) |
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大学院教育の実質化のための重要課題】(例)
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課程制大学院の趣旨に沿った教育課程や研究指導の確立
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教員の教育・研究指導能力の向上のための方策 |
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社会のニーズと大学院教育のマッチングのための方策 |
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今後の研究者・技術者等として必要な高度な素養の涵養のあり方 |
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教員・学生の流動性の拡大のための方策 |
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○ |
研究者養成機能の充実・ 博士課程における体系的な教育課程のあり方・ 大学院の研究機能の強化のあり方(施設・設備など)・ 学生に対する経済的支援と大学院修了者のキャリアパスの多様化の促進方策
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○ |
実効性ある大学院評価 |
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先行的取組の実施】
○ |
改革支援方策の全体像について、本審議会において、体系的に具体化を図っていくこととするが、博士課程の教育機能の強化、社会のニーズと大学院教育のマッチングなど大学院教育の枢軸的な事項については、先行的取組として実施していくことが重要。
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例えば、(博士課程の教育機能の強化)
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主として研究上のポテンシャルの高い拠点(専攻)における創造的な若手研究者の育成及び教育の質の向上に関する意欲的かつ体系的な教育プログラムを重点的に支援し、大学院教育の実質化を図る取組み。(社会のニーズと大学院教育のマッチング) |
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大学と企業が一体となって、高度な専門性を有する学生を対象に、長期間、単位認定を前提として、産業界等での実践的なトレーニングを実施するために、従来の就業体験型とは異なる新しいインターンシップを構築・支援する、産業界等との人材養成に関する協力関係を確立するための取組み。 |
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