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資料3
中央教育審議会大学分科会
大学院部会(第22回)平成16年7月8日

これからの大学院についての論点整理(修正版)


 分野別の議論が今後必要と考えられる事項
 機能別の議論が今後必要と考えられる事項


論点

1  今後の大学院の果たすべき役割とは何か。

2  課程制大学院制度における各課程の位置づけは、如何にあるべきか。

3  今後の大学院規模の在り方は、如何にあるべきか。


検討試案

1  今後の大学院の果たすべき役割とは何か。

次のような考え方で良いか。

21世紀社会において、大学院が果たすべき役割・機能】
 21世紀の国際社会は、社会・経済・文化のグローバル化と変化の激しさを増す国際的な競争社会。

 我が国では、少子高齢化が進み、社会経済を支える人材の減少が懸念される中、今後とも、国際競争力をもち、質の高い国民生活のできる国として持続的に発展していくために、高度で知的な素養のある人材層が、広く社会を支える知識基盤社会へと移行。

 このような情勢の中で、今後の人材養成の中核を担う高等教育の役割は重要であり、高等教育の充実は、国家社会の行く末を左右する極めて重要な課題。

 特に、今後の知識基盤社会の中で、大学院は、「深い知的学識を涵養する高度な教育機関『教育課程』を提供する場」として、その使命をより積極的に果たすことが必要。

 大学院の機能が多様化・分化する中で、国際的な質を保証し、大学院がその役割を十分に発揮していくためには、特に以下の機能が重要。
1  高度な人材養成機能の強化
 創造性豊かな研究者
 高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人
 確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員
 我が国の知識基盤社会を支える人材
2  教育研究を通じた学術研究の高度化
3  地域社会、国際社会への貢献

 なお、大学院の機能強化を図るに当たっては、科学技術・学術の振興、生涯学習の振興等とも連係しつつ政策を推進することが必要。


当面重点を置くべき課題】(例)
 高度専門職業人の養成機能の一層の強化

 博士課程の教育プログラムの開発・充実(実質化)の推進

 国際競争力のある卓越した研究教育拠点の形成支援の展開

 このための改革支援方策については、今後の審議検討を踏まえて、具体化。

注:高度専門職業人について)
  高度専門職業人とは、知の活用や社会還元を担う者として、社会の各分野において国際的に通用する高度で専門的な知識・能力が必要と社会的に認知され、職能団体や資格など一定の職業的専門領域の基礎が確立している職業に就く者とする。
例 法務、医療、知的財産、公共政策、技術経営 など)


2  各課程の位置づけについて。(* 分野別の議論が必要)

次のような考え方で良いか。

学部、大学院の関係の明確化】
 学校教育法では、大学における教育について、学部(学士)段階の教育と同一視されている傾向が見られるが、大学院(修士課程、博士課程、専門職学位課程)段階の教育との関係の明確化も含め、大学院の位置づけを明確にする方向で、整理を検討する必要。

課程制大学院の考え方の徹底】
 我が国の課程制大学院制度の趣旨を踏まえ、それぞれの教育課程の役割・目的等を基本とし、当該教育課程の充実を図る観点から、大学院の教育研究機能の強化を検討する必要。

各課程の目的・役割の明確化】
 国は、大学院が今日求められる機能に的確に対応するためにも、当面は、次のような各課程の大綱的位置づけに沿って、重点的に施策を進めていく必要。

(博士課程の目的・役割の具体例)
 産官学を通じたあらゆる研究・教育機関を担うために、深い知的学識をもつ創造性豊かな研究者/大学教員の養成を行う中核的機関な教育課程としての明確な役割を担うことが適当。

(修士課程の目的・役割の具体例)
 1研究者養成の一段階、2高度専門職業人の養成、3我が国の知識基盤社会を支える人材の養成などの多様な社会のニーズに的確に対応し、各大学院においてその役割の基本的な方向性を明らかにして、それに即して学部段階で培われた教養教育を中心とした専門的素養をもとに、その専門性を一層向上させていく教育課程としての役割を担うことが適当。

(専門職学位課程の目的・役割の具体例)
 幅広い分野の学部の卒業者、社会人を対象として、大学院段階より特定の高度専門職業人の養成に特化して、社会の各分野において国際的に通用する高度で専門的な知識・能力が必要とされる人材の養成を行う中核的機関な教育課程としての明確な役割を担うことが適当。

 ただし、特定の高度専門職業人の養成に特化した課程であっても、専門基礎と実習・実技との関係等に配慮して、一貫した教育課程の編成が重要である専攻分野については、学部における教育課程に配慮するなど弾力的に対応することが適当。

 また、現状においては、各大学院のそれぞれの課程の目的・役割が不明確であり、国は、これが明確に示されるようにする方策を講ずる必要。(必要に応じ大学院設置基準に関係規定を置く等)

 その際、次のような点を踏まえることが必要。各大学院は、専攻等の分野毎に職業人等が当面している課題や、求められる職能、資格制度との関係や専攻等が果たすべき役割などを踏まえ、養成しようとする人材を念頭に各課程の目的・役割を明確化することが重要。

 また、これをもとに、学生に修得させるべき知識・能力の具体化を図り、これらを組織的に共有していくことが必要。

 このため、例えば、各大学院は、専攻を基本単位として、養成しようとする人材、或いは修得させようとする知識・技術の体系、専門的能力を、学則又は研究科規程等に規定するなどして明確にすることが必要。

 さらに、各大学院は、このような事項をホームページ、パンフレット等の適切な方法を用いて、わかり易い形で積極的に公表。

 これらの措置を通じて、各大学院は、社会の要請に的確に対応しているか確認していくよう努め、また、学生の大学院への進学の見極め、修了生のキャリアパスの形成、ひいては大学院の評価など大学院の質の向上に資する。

 また、これらの措置に連動して、教育内容・方法、修了要件等についても、併せて検討していく必要。


3  今後の大学院規模の方向性について。(* 分野別の議論が必要)

次のような考え方で良いか。

今後の大学院規模の方向性】
 今後の大学院への進学需要については、大学の全体規模に関する試算、及び専攻分野によっては学部卒業者の進学率の伸びの鈍化が起こっていることなどに注意が必要。

 しかしながら、全体としては、高度専門職業人の養成需要などに対応する形で、今後とも社会人、留学生の入学者を中心として、着実な増加傾向になると予想。

 このため、今後の大学院の量的規模の方向性について展望すると、依然として、この進学需要の傾向に合わせ、着実な増加傾向。

 我が国が国際競争力をもち、質の高い国民生活のできる国として持続的に発展するために、大学院規模の国際比較などからも、国としては、この規模の着実な増加傾向は、基本的に支持すべき。

 一方、国は、このような傾向を念頭に置きつつ、特に今後拡大が想定される高度専門職業人の養成に留意しつつ、大学院教育の抜本的向上に努めることが急務であり、このための施策を重点的・集中的に取組むべき。

 なお、大学院の規模の方向性については、専攻分野により置かれている状況、今後の動向が違い、国として支援すべき状況なども異なってくることから、今後の分野別の審議検討を踏まえて、検討を深化。

 また、大学は、絶えず社会に目を向け、大学院に対する社会の要請を的確に把握し、その人材需要の動向の把握に努めることが必要。

 その上で、どのような人材を養成することが必要なのか明確にし、新たな専攻等の設置、改組の検討を行っていくことが必要。

学部の規模との関係】
 全体として、大学院の規模が拡大していく中で、各大学における大学院と学部の規模の関係については、18歳人口の動向やそれぞれの大学が社会の中で果たすべき役割を再認識し、真に大学の高度化、個性化、活性化を図る観点から各大学の責任において十分検討する必要。


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