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大学院課程の果たすべき役割】
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大学院課程の目的は、高度な実践家養成と教育研究者養成がある。 |
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大学院課程での養成が期待される高度な実践家とは、以下のような人材である。
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高度で卓越した専門的知識や技術を有し、複雑で困難な問題を解決し、現場の看護職の役割モデルやサポート役となる人 |
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看護実践を体系化、理論化ができ、実践の改革ができる人 |
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実践を踏まえた教育ができる教員または指導者 |
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病院全体または地域社会や行政を視野に入れたマネジメントができる看護管理者 |
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看護界で発展させている専門看護師制度がその良い例である。 |
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看護学研究の推進は、大学院の重要な目的であり、研究がなければ優秀な実践者も教育者も養成できない。併せて、研究を通して実践に応用できるものの見方や考え方を培うことも大切である。 |
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博士後期課程には、教育研究スタッフや、国際的・学際的活動ができる人材の育成が求められる。 |
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大学院課程と学士課程との関係】
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看護職(保健師、助産師、看護師)の基礎教育は学士課程で行い、専門分化した部分は卒後教育、継続教育として大学院課程で行うのがよい。「看護学教育の在り方に関する検討会」報告(平成16年3月26日)が学士課程教育についての指標である。 |
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修士・博士課程と専門職学位課程との関係】
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専門職大学院制度の創設により、実践教育を重要視できるようになった。従来の修士課程で行ってきた専門職(専門看護師)養成を、専門職大学院制度の中で行うことも考えられるが、次の点に関する整理が必要である。
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大学院制度と既存の資格認定制度(国家資格及び専門看護師等の民間資格)との関係 |
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看護職の生涯教育における位置づけ |
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従来の修士課程での教育との違い |
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学部教育との関係 |
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「高度専門職業人」である看護職をどう定義するか |
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看護学研究をどう推進するのかを考慮して、大学院制度の活用を考えるべきである。 |
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大学院課程と国家資格取得制度との関係】
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国家資格取得に関する教育は学部で行うのが望ましい。大学院教育が資格取得に特化することは本来の大学院教育に支障を来す。 |
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資格を持っているだけで専門的とは言えない。資格取得の門戸を狭めるよりも、資格取得後の継続教育の方法を整備し、個人の学習意欲を高めることが大事である。 |
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社会的要請に応えられる助産師を養成するには、専門職大学院制度を利用して実践実務を重視した助産師教育を行った方がよい。 |
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大学院課程で助産師等の国家資格取得に関する教育を行うことについて看護界の合意形成ができておらず、更なる議論が必要である。 |
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大学院課程の整備】
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大学院が急増しているとは言え、看護職が保健医療の中で最も人数の多い職種であることを考えると、大学院が多すぎるという状況には至っていない。但し、小規模の大学院が個別に完結的な教育をしていたのでは看護教育全体のレベル向上につながらないため、大学間連合や大学の個別化等、質の向上につながる在り方を検討する必要がある。 |
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大学数の急増に伴う教員不足は重要な課題であり、現場の優れた看護職を臨床教授や非常勤講師等で活用する方法もある。 |
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国際的な位置づけから考えて、E-ラーニング(e-learning)や遠隔学習の活用方法を考えることが重要である。 |
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長期履修学生制度等の在籍のまま学べる制度の導入や修了生の受け皿作りをしていく必要がある。 |
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大学院修了者】
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大学院修了者が教育研究職に就く割合が高い現状からみて、もっと看護の現場に戻ってくるようになってほしい。 |
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大学院修了者の特徴が活かされる現場であること、相応しい地位や報酬が得られるような制度があることが、大学院の発展と関係する。 |
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大学院修了者に対するフォローが重要であり、教育と現場が連携して育てていく体制を今後も整備していかなければならない。 |
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その他】
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看護職は、患者等と良好な人間関係が築けることが大事である。知識や技術だけではなく、人間関係を築くために必要な教養を積むための時間的余裕、環境を持って教育してほしい。 |
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大学の増加に伴って生じている学部教育の課題を解決できる教育者・指導者の育成も含めて、大学院教育を論じていく必要がある。 |
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