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大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第12回)議事録・配付資料


1 日時  平成17年1月13日(木曜日) 13時〜15時

2 場所  三田共用会議所 C・D・E会議室(3階)

 議題
(1) 新しい職(「新職」)等の名称について
(2) 「新職」等若手教員への支援の在り方について
(3) 「審議経過の中間的な整理」に対する意見募集の結果について
(4) 「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>(仮称)」(案)について
(5) その他

 配付資料
資料1   大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第11回)議事要旨(案)
資料2   「新職」の定め方について
資料3   各委員からの職名についての意見の概要
資料4   「新職」等若手教員への支援として考えられる対応案(例)
(※ 大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第11回)へのリンク)
資料5   「大学の教員組織の在り方について(審議経過の中間的な整理)」に対する意見募集の結果(概要)
資料6   「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>(仮称)」(案)

参考資料1−1   「新職」の職名の候補例
参考資料1−2   「(新)助手」の職名の候補例
(※ 大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第11回)へのリンク)
参考資料1−3   「新職」及び「(新)助手」の名称について寄せられた主な意見
参考資料2   「大学教員組織の在り方について(審議経過の中間的な整理)」等

机上資料)
  教員組織の在り方に関する基礎資料
  高等教育関係基礎資料集
  大学審議会全28答申・報告集
  大学設置審査要覧
  教育指標の国際比較(平成15年版)
  大学等における助手に関する調査結果
  意見募集の結果

5 出席者  
(委員) 黒田 玲子委員
(臨時委員) 安西 祐一郎(座長)、生駒 俊明、井村 裕夫、荻上 紘一(座長代理)の各臨時委員
(専門委員) 岩田 啓靖、川村 正幸、福田 康一郎、堀江 孝至、森脇 道子、四ツ柳 隆夫の各専門委員
(文部科学省) 石川高等教育局長、徳永高等教育局審議官、小松大学振興課長、石野医学教育課長 他

 議事

(○:委員、●:事務局)

開始

委員  今日は、まず新しく設ける「新職」および「(新)助手」の名称について議論頂きたい。この件については各委員から意見を頂いているので、事務局から説明頂きたい。

事務局  前回の委員会では委員の方々から意見を頂いた上でHPで意見募集を行うこととしていたが、頂いた意見が多様であったため事務局で特にこの名称という形でとりまとめることが難しい状況であり、意見募集という形はとらずに、本日議論頂いた上で、今後の取り扱いについて検討することとしたい。(資料2、資料3について説明。)

委員  まず「新職」の名称について議論して頂きたい。この委員会も議論を重ね、これから未来に向けて若手の人たちが夢をもって研究・教育に携わっていけるような仕組みを作りたいということでやってきていると理解しているが、いよいよ名前をどのようにつけるというところに来ている。すでにコメントを頂いているところではあるが、改めてこの場でご意見を頂きたい。

委員  医学分野で「新職」の名称について詳しく検討したが、各大学から集めた意見の中では、教授、助教授、講師、助手というシステムが確立されているということがあり、講師の下に位置付けられるであろう「新職」の名称の中に何らかの形で「教授」という言葉が含まれると混乱を招くのではないか、「教授」という言葉が入る名称が避けた方がよいのではないかというのが大方の意見であった。そういう意味で色々と意見はあったが、法制度上の問題はあるとのことであるが、比較的「准講師」という名称に賛意を示す大学が多かった。

委員  文部科学省に質問をしたいが、現在の助教授を例えば、副教授や准教授という名称に変えるという考えはないのか。私は、新しい職制を設けることができるだけ分かるような名前にすべきと考える。この職は独立して研究ができるというポジションにするのであれば、それなりの名称がないといけない。アメリカははっきりしており、Assistant Professorは独立して研究が出来る、その前のポスドクなどは誰かについてやらないといけないとなっているが、日本は曖昧になっていて、どこで独立して研究が出来るようになるか分からない。dependentな研究者が科研費を申請できそれをもって研究をするが、日本では、その研究は教授を助けているだけということがある。まず職制の中のそれぞれの職の性格をはっきりして、それにふさわしい名前をつけるのが良いと考える。

事務局  今までの議論の中で、助教授については実態にあわないということから、現在の法律上職務の内容としては「教授を助ける」とのみ書いているが、ここについては「学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」と改め、名称については「准教授」ということで大方の合意が得られている。そして、現行制度は助手の位置づけが曖昧になっているが、新しい制度では、これを「新職」、「(新)助手」とし、このうち「新職」についてはテニュア的な考え方でいうとテニュアトラックに乗るイメージの職であるという形で現行の助手を二つに分けたいと考えている。

委員  私はこの機会に助教授は准教授にした方がよいと思っているので、これには賛成である。そうすると、「新職」については、これをどう位置づけるかということが問題であり、その職務の内容をできるだけあらわすようにした方が良いということを考えれば、ここで初めて独立して研究できる資格を持つということで「助教授(Assistant Professor)」というのが一番良いのではないかと思う。講師については、私は医学部についてしか知らないが、医学部の講師については准教授にしてもいいような人たちばかりであり、ポジションがないために講師としているだけなので、それは大学が考えて准教授か「新職」のどちらかにしてしまったらいいと考える。それ以外に非常勤講師は残さなければならないので、講師という制度をすぐに廃止する必要はないかもしれないが、今存在する専任の講師は、「新職」あるいは准教授のどちらかに割り振ることを大学に委ねてしまってもいいのではないか。制度改正直後は若干混乱があるかもしれないが、国際的にも通用する名前がいいと考えるので、「助教授」がよいのではないか。

委員  これを論じるにはテニュアとテニュアトラックの概念の下で名前を考えていかないと混乱があるようである。医学部では助手が多いために反発が予想されるということはよく理解できず、医学部でもテニュアトラックの助手とノンテニュアの医局長くらいの人をを区別した方がすっきりすると思っているのではないか。そうだとすると、ノンテニュアとテニュアトラックの部分は違った名称で、テニュアに関してはむしろ教授という二文字を使用した方がはっきりする、それに対してノンテニュアは教授以外のものを使う、こういう形の方が論理性があるのではないかと思われる。

委員  前々から申し上げているが、医学部で助手というのはテニュアにつながっている。逆に他学部でそうでないという意見を聞いたときに、そういう方が実際存在するのかという印象を受ける。したがって、今助手になっている人はそれが上につながっていくという立場で、いわゆる事務的な仕事に係わっている助手というのは医学部にはいないというのが現実である。

委員  病院および医学部、歯学部には講師を常時置いている。一方、助手は大学を卒業してかなり年数が経っている方で博士の学位はほとんどの方が持っており、実質的に研究指導、診療等にたずさわっている。この方々はトラックに近い形で上にいくというのがほとんである。それを「助教授」とするのは、一般論としては非常に良いかもしれないが、今の助教授との関係や組織立った診療あるいは研究が行われるかというところから危惧がある。また、給与体系上どうするのかという問題もあり、現実的に混乱が生じるということから、「教授」という二文字は使わない方がよいとも考えられる。

委員  定年間近で医局長なんかをやっているような助手の方もテニュアトラックなのか。

委員  講師になると別であるが、そういう方も病院へ異動する場合がたくさんあり、それはテニュアトラックである。

委員  図でははっきり分からないが、これまでと一番大きな違いは「新職」がテニュアではないということである。テニュアトラックからテニュアに上がるときは非常に厳格な審査をしなければならない。それは書き込まなければならない。そうすると、助教授を准教授にすることは大変良いことだと思うが、「新職」をどうするかということについては、本当は「助教授」がいいという気もするが、今の助教授がテニュアなので、それと同じではない新しい職である、つまり、テニュアトラックではあるけれどもテニュアではなくて、非常に厳格な評価を経なければ上位の職に昇任していけないということを示すために、「助教授」という名前ではない方が良いのではないかというのが私の意見である。これは、医学部のために言っているのではないが、結果としてそれで医学部でもうまくいくことになるのではないかと思う。「新職」の方には今の助教授とは違う心構えをもって欲しい、そこから先テニュアになるためには非常に厳格な審査があるというところを示すためには「助教授」ではない新しい名前をの方がよいのではないかと考える。
 これは新しい制度であって、テニュアとテニュアトラックは全く違うものであるけれども、多くの場合非常に誤解されている。したがってこのイメージ図の准教授と「新職」の間に、非常に厳しい審査があって准教授になるということを書き加えて頂きたい。

委員  右側の教授と准教授の職務内容の文面が全く同じであり、学校教育法上の改正も同じ内容になるということか。

事務局  今までの議論で申し上げると、准教授の書き方は教授と基本的には同じ職務である、つまり上下関係ではなく主たる職務内容を書くのが学校教育法であるので、そういう意味では両方とも同じにしてある。ただし、職に就くための資格や大学の運営への関与などというところで差が出てくるという形でよいのではないかということである。

事務局  法令に基づく制度というものは、一つの条規・規定だけで決まるわけではなく、例えば大学教員の職名・職務内容を学校教育法第58条で書いてあるが、一方では大学に教授会を置くと書いてあり、全体として教授がどのような位置づけになるかということは、大学に関するさまざまな規定を合わせ読んではじめてそこで出てくる。したがって、仮に教授と准教授で同じ職務内容を書いたとしても、大学に関する法令全体を合わせ読めば整合性が出てくるということである。

委員  ただ、こういう図がでて見たときに、職務内容が全く同じではないかということがありうるので、その辺を配慮することが必要ではないか。先程の話であったような内容をここに合わせて入れておくことで共通の理解がされやすくなると思われる。

委員  私もテニュア制度は日本にとって重要であると考えており、それを書き込むことは賛成である。ただ、一つだけ問題があると考えており、現在でもまだ事実上定員制が残っているところがあるために、上に准教授がいると、優秀な人がノンテニュアのポジションにいてもそれをテニュアにできるかどうかということが心配されるところである。

委員  昇進等については各国立大学法人で自由になったのではないか。

事務局  学校教育法はあくまで職の名称と職務内容についての規定であるので、給与をはじめとする人事に関しては学校教育法では何も定めていない。したがって、テニュア制の導入あるいは給与をはじめとする人事といったことは学校教育法から離れた所で行われるものである。実態として申し上げると、現在の国立大学法人制度の下においては、従来のような国と大学間に通じた定員管理、予算統制は行われておらず、したがって職種別の定員管理というものは行われていない。各大学において、人件費の総額を管理していく学内の措置として定員管理を行うということは、国立大学に限らず私立大学でも同じである。

委員  今ここで打ち出して、事実上は出来ないではないかという形になるのではないかという危惧はある。結局はポジションがないから駄目であるということになり、ノンテニュアのポジションが永久のポジションになってしまうと、テニュアが有名無実になるという心配はある。打ち出すのであればもう少し明瞭に、「新職」はノンテニュアのポジションであるが、研究をする職であるということを言うべきである。
 また、医学部の場合ヒエラルキーが問題になるが、私は、教育や特に診療にはヒエラルキーが必要であるが、研究にはヒエラルキーを導入する必要はないと思っている。こういったことを明確にするべきである。

委員  私もテニュア制には賛成であるが、テニュアは設置基準等で定められているわけではなく、一般的な合意であるから、テニュアをきちんと導入するのであれば、学校教育法や設置基準等でしっかり定めておかなければかなり混乱が生じるのではないか。

委員  テニュアトラックに乗っていない人が、異動先の定員がないということのために、いつまでも居てしまうということについては、例えば、アメリカのAssistant Professorの場合には、いつまでもは大学に居られないこととなっている。テニュアトラックに乗っている人を審査し、上位の職に昇任できなかった場合は、その大学を離れなければならず、別の大学でテニュアを目指したり、アカデミックとは別の世界に行くこともある。私は、研究を一生懸命やった人にそうして社会のいろんな面で働いて頂きたいと思っている。「新職」は、今と同じようにしていつまでも居られるようにすると流動化を妨げる悪循環となるので、流動化を促進するような手段としてこの「新職」を用いるなどし、新たな組織のシステムに変えていくべきである。

委員  テニュア制は法律に書かなければできないというようにはして欲しくない。法律は最低限のフレームワークだけを作って、あとは大学が実行して実績をあげて世の中に定着していくということが望ましい。したがってこの委員会のアウトプットとしては、法律に書いていく部分と大学の団体や協会などに提案していく部分とを分けて議論していかないといけないのではないか。
 また、教授だからといって皆テニュアではなく、ノンテニュアの教授を作ると楽になる。最近アメリカでは研究教授というノンテニュアの職が置かれているが、これは研究さえすればよい職であり、こういった職を作るとやりやすい。このような、フレキシブルなシステムを法律で規定して、思想的なことは大学側に投げかけるというやり方がよいのではないか。

委員  テニュア、ノンテニュアのことを明文化してここに入れていないのは、前出の意見のようなことが背景にあるのであろう。全国には大学短大含めて1000校以上の大学があり、それ全体のことについて今議論をしている。ただ、テニュアが重要であることは分かっているので、上手い形で促進していく必要がある。

委員  全ての大学にテニュア制の導入を要求するわけではないが、特に研究大学では、テニュア制がないとだめだろうと思う。以前、ブルース・アルバーツが全米科学アカデミーのプレジデントになってまもなく日本に来たときに、極めて強く力説していたことは、テニュア制度がアメリカのサイエンスを非常に良くしているということであった。ただし、極めてフェアな選考をしなければならない、これが条件であるということを強調していた。その通りだと私も思う。
 せっかく「新職」を設けるわけであるから、この機会に、全てに強制するわけではないが、こういったテニュアという制度を考慮すべきだということは是非書いていただきたい。日本のサイエンスを良くするためにはこれが極めて重要である。

委員  工学部と高専の両方の立場からお話したい。工学部の助手の位置づけから言えば、かつては支援職員に近い助手もいたが、現状ではほとんど全員がドクターコースを出て、さらにはポスドク経験者が多いという実態に照らせば、「新職」の名称として「助教授」を採用する形で導入することはほとんど支障はないであろう。また、高専の立場から申し上げると、意見募集への回答でいくつかの高専の先生が述べている中に、高専における若い人材に対する教育力の問題を指摘しており、私も同感である。現在の高専の助手は、教授と助教授がほとんど独立しているために、ほとんど孤立して頑張らざるを得ないケースもある。全体としてみると、若いドクターコースの学生を採ったとしても、それを育てる能力は高専ではそれほど高くない。そうすると、高専としては「新職」レベルまでスキルアップした人を採った方がよく、そういう意味では、博士課程を修了しただけではなく、ある程度のキャリアを積んだ人を「新職」として採るということがよいのではないかと思われる。

委員  私どもの大学は社会科学系の大学であるが、実は16年の4月から法人化とともに研究カウンシルという組織を作り、そこで若手研究者の養成のあり方というテーマでこの委員会での検討内容についても議論をしている。その中で、「新職」にあたる者は、大学院を出ただけではなく、やはり教育をある程度させなければ教員として育っていかないのではないかということから、教育をさせるべきということになり、また、このポストはテニュアトラックとしてテニュア制を導入すべきであるという提案をしている。そういう意味ではテニュア制については問題点としてきちっと指摘しておいていただいたほうがよいと考える。
 また、「新職」の名称との関係で、医学部では講師というポストをこれからもずっと存続させていく必要があるのかどうかという問題がある。私どもの大学でも専任講師制をとっており、専任講師から助教授に上がるには厳しい審査があって同じであるが、将来的には専任講師を准教授と新職に振り分けていくことが方向性としてありうるのではないか。むしろ、そういうことを打ち出す発想があっても良いのではないかと思われる。

委員  講師については、学校教育法上はいわゆる専任講師という名前はなく、それを流用して使ってきているわけであるので、その現状を踏まえてというのは少し違うのではないか。もし現状を踏まえるということであれば、現状を肯定するように学校教育法の講師というところを書き換えなければならないと思われる。

委員  出来ればそろそろ名前について絞って行きたい。事務局に質問であるが、学校教育法で教授などという名称を置けばそれでなければいけないということはあるのか。例えばICUは准教授という職を置いているが、こういうのはどういうことなのかということをご説明いただきたい。

事務局  学校教育法上の職名というのは、日本国としての大学の基本的ないくつかの職については、必置のものと例示をつけながらその他必要な職員を置くことができるということで、極めて大枠だけを定めている。そういう意味では、発令の学校教育法上の職は教授、助教授ということになるが、学内での発令をどうするかということについては、各大学によってさまざまである。例えばICUで従来、准教授という職を発令しているが、説明としては学校教育法上の助教授についてそういう発令をしているということである。学校教育法上は学長、教授、助教授、助手、事務職員を置かなければならない、前項のほか講師その他必要な職員を置くことができるとされており、各大学がこれら以外の職を置くと決めれば色々な職を置くことができることとなっている。また、各大学が置いた職について、学校教育法上はこれは助手に当たる、これは助教授に当たるとした後、これらをグルーピングして、こういった人たちについては−研究員という職名を発令することも可能となっており、各大学の中の実際の職務の体系をどうするかということについては、現行制度でも相当程度大学に委ねられている。学校教育法は大枠だけを定めており、どのような形で中のヒエラルキーを作っていくかというところは現行制度でもさまざまな工夫が可能である。

委員  「新職」の名称については、まず、意見分布をみると「助教授」が多く、私も「助教授」がいいと思う。しかし、特に医学系で非常に抵抗が強い、かなりの混乱を引き起こす恐れがあるということであれば、「助教」というのは、明治期に我が国で使われたということもあり、おそらくもっと古く律令に由来する極めて由緒正しい名称かとも思う。また中国で使われているということであれば国際通用性もある。個人的には「助教授」が良いが、医学部に配慮するのであれば「助教」が次善かと思われる。この段階で「助教授」ないしは「助教」に絞ってもいいのではないか。
 また、先ほどからテニュアの話が出ているが、これは法令で定めるわけにはいかないが、イメージ図の「新職」と准教授の間に、公正で厳格な評価というのを書き込んでおくというようなことをしてはいかがか。

委員  辞書では「助教」はどんな意味か。

事務局  辞書では2通りあり、一つは、昔、大学令の時に博士という教える人がいた時に、その下に位置付けられているものであった。それ以降も明治期に大学の中に助教というものが置かれていたということである。もう一つは初等教育レベルで助教諭というものを俗称として助教と呼ぶことがあるということである。

事務局  歴史的に申し上げると、明治期の制度では教授の下に助教が置かれていたり、あるいは、教授、講師、助教という形で推移しており、それが帝国大学令の頃には助教授となり助教はなくなっている。また、その前に遡ると、各藩校で正規の教員の一歩手前の人たちに助教という名前が付いていた。そこからさらに遡ると、大学令では、当時博士というのが教授の名称であったが、それの次に位するのが助教であった。

委員  国際的通用性から考えると、英語の名称も合わせて書いた方が良いのではないかと考えられる。

事務局  英語の名称については事務的な考え方を申し上げると、教授についてはProfessor、准教授はAssociate Professorで異論はないと思う。その次の「新職」の部分については、大学や分野によって位置づけが違うものであり、そういう意味では政府で公定するのではなく、例えば今の助手でもAssistantAssistant ProfessorInstructerResearch Assistantなどと訳されたりすることが許容されていることを考えると、「新職」の英語名称についてはその辺りのバリエーションで各大学や分野の研究コミュニティーにあった名前が選ばれて翻訳される形が行政的には適当なところではないかと考えている。なお「(新)助手」についてはAssistantが使われることが多いのではないかと思われる。

委員  前回のこの委員会で、「新職」は職務の内容的にはAssistant Professorということで了解されていると記憶している。そうすると、若手が独立した研究者として一歩を踏み出すポジションであるということになる。したがって、職務の内容的にはAssistant Professorで英語名称については各大学に任されているということで良いのではないかと思われる。

委員  大方の議論の流れは異論はないが、名前について「助ける」という考え方を払拭していくのであれば、例えば教授会の構成員として教授、准教授に次ぐ職ということで「教授補」という案はいかがか。内容的にはテニュアを持っている職として教授、准教授が位置付けられ、テニュアトラックの職として「教授補」が位置付けられるということになる。せっかくなので「助」という言葉はとれればよいと思われる。

委員  新しい職であるという意味では、この中では「助教」が一番よろしいのではないかと思う。短大も含めて私学のほとんどは教授・助教授・専任講師という教員制度が確立しており、無理に「教授」の文字が入った職名とするのは望ましくない。新しい職であることをアピールしつつ、混乱を最小限に抑えるという意味では「助教」が良いと考えられる。また、英語名称については、内容的にはAssistant Professorで良いと思われるが、実際の名称については各大学で定められるという形にしていただきたい。

委員  今までのところ出ているのは、「助教授」という案と、「助教」という案、また助という文字を用いない「教授補」という案の3つくらいかと思われる。
 若いときから独立した研究者としてのトレーニングをしっかり積むことができるようにするのがこれからの日本のためになるということは貫ければいいと思っているが、医学部の特殊事情もある。

委員  この「助教」になったときはこの方は独立した研究室を持つのか、もしくはテニュアの教授等につくのか、どちらなのか。これまでの理工系の研究室制度では助手を使っていたが、これからは全てポスドクでやるということになるのか。
 現実として、理工系ではテニュアの先生は研究室を持っている。その中で助手は、科研費などを取るということはあるが、ほとんどの場合は一緒に研究をしている。ところが、これが独立性を持たせるとした場合に、その人も研究室を持つこととなり、自分で全部研究費を見つけてきて、学生を指導しなければならないこととなるが、具体的に大学はどちらをとるのか。

委員  それはそれぞれの大学が決めるというのが今までの議論である。

委員  例えば、職務の内容をこのようにした時に、「助教」になった人が法律にこう書いてあるから自分は独立すべきだという動きが起こる可能性がある。そうした場合、組織が細切れになる場合があり、これにどう対応するかということは考えなくてはいけない。

委員  それは、それぞれの大学が組織を体制をしっかり作るようにという条文を設けることを考えている。

委員  医学部としては、抵抗しているようにみえるが、助手が一番多いのも医学部であるから、ここが突破口になるという認識ではある。従来から講師の問題があり、助手を助教授という名称にすると現状からすると講師と逆転してしまう。それでは講師を准教授にしてしまえばいいという意見があるが、これはこれで色々な問題が生じてくる。この長い歴史のある体制にどう導入していくのかということを重視すれば、こういった現実の問題と理想との折り合いを上手くつけていかなければならない。

委員  下手をすると、名前が変わるだけで、結局は何も変わらないということになると、むしろこの委員会が批判されるということになる。本当に将来を見て、こうすべきだという一貫性を持っていなければならないと考えている。

委員  医学部では問題は講師であり、この問題がなければ、教授、准教授、助教授と簡単にできる。

委員  講師は准教授と「新職」に割り振れば良い。内科、外科の講師はほとんど教授クラスであり、助教授のポストがなかったために講師になっているだけで、特に医学部の場合は割り振ってしまえばよいのではないか。
 また、先ほどの研究室の問題について述べると、アメリカの医学分野では、ノーベル賞をとった人の研究室に行くと、教授以外は全員ポスドクであり、非常に大変である。日本では、助教授・助手がいて、その人たちにまかしていればよく教授は自分では研究しなくてもよい。ところが、アメリカはノーベル賞をとっても、毎週研究室をラウンドしてポスドクと議論しないと研究が進まない。それが本当の姿だろうと私は思うが、日本の教授はあまりにも雑用が多くてそんなことをする間がないとか、ポスドクが少ないといったことがあって、事実上は助手に任せないとできないというのは現状であろう。問題は、「新職」になったから独立できるというのではなく、研究費をしっかりとれるということが条件であろうと思う。こういったことを書き込むのは難しいが、「新職」はテニュアに向けた新しいポジションであって、自分で独立して研究ができるだけの能力をもっている、その証拠が自分で研究費をとってくることであるというように考えなければならない。研究費を取れない人は、このポジションであっても教授と一緒にやらざるを得ないのであろう。

委員  ノンテニュアの人が研究室を持って学生指導をするということは、大学の理念に反するのではないか。テニュアが主構成員であって、ノンテニュアは予備軍であるから、ノンテニュアの人が学生を教えるということは、言ってみればノンクオリファイドの人たちが学生を教えるということになるのではないか。

委員  もともとこの委員会で一番決めなければならないのは、今のご意見の中にあった助手が独立することによる懸念と、若手研究者がもっと独立したスタイルを今後とっていくという分かれ道をどうとるかということである。
 学内の研究費の配分などは大学や分野によって全く多様であるが、そういったことを超えて、全体的・基本的な一番大枠のところの方向性を決めるのがこの議論だと思っている。

委員  「新職」の名称を「助教授」とした場合は、実態にかかわりなく研究室を与えなければならないことになりかねない。「助教」であればだいたい研究室を与えなくてもよいという印象を持つ。私はノンテニュアの人が研究室を持って学生指導するのは理念的に問題があると考えている。

委員  ノンテニュアのテニュアトラックポジションのAssistant Professorは基本的には教育のトレーニングもしなければならない。そう意味で学生を指導する必要があると考える。

委員  独立できるのは基本的には研究だと思う。教育や臨床や大学の組織運営は研究とは別のシステムでやっていかなければならないので、教育の一部を「新職」に委ねても私はおかしくないと思っている。

委員  今の議論を聞いていると、「助教授」は消えて代わりに「教授補」が考えられるのではないか。

委員  テニュアという概念を入れるのであれば「教授補」ではなく「准教授補」が適切である。「教授補」とすると「准教授」とどちらが上か分からなくなってしまう。

事務局  法律上の職名として「准」という文字をつけると、そのものとして独立しては存在しないということであるので、その「准」にさらに「補」をつけるということは法律上の職名にはなじまないおそれがある。

委員  名称については、今のところ「助教授」あるいは「助教」で議論が進んできているのではないかと思う。
 「(新)助手」についてはいかがか。「助手」以外の名称とした場合助手が全て名前を変えなければならないということになり、それは困難が伴うのではないかということがあって、「助手」という名前は残して別に「新職」を設けて、今いる助手の方はそのままという形がいいのではないかということがある。

委員  学生の生活指導をする人や産学連携に携わる人など非常に高度な人材が今大学で求められているが、こういったことも「(新)助手」の職務として想定しているのか。

委員  そういったこともかなり想定されている。

委員  私は、いろんなタイプの助手が現状でもいるということを考えると、「助手」のままでいいのではないかと思っている。ただ、その場合に「新職」とはっきり区別ができないとこの改革の理念にも合わないので、「(新)助手」を「助手」に決めるのであれば、「新職」の方の名前もそれとしっかりコントラストがつく相応しい名前にしなければならないと思う。

委員  先ほどの意見であった、「助手」が一種の専門職であって、今までの教育職員の枠にはまらないということでもよいか。

事務局  一般的な専門的職員という意味よりは、もう少し教育研究の現場に近いというイメージを持っている。教育研究に対して直接的に補助する立場にあるものを想定している。

委員  そろそろ絞りたいと思うが、「(新)助手」については「助手」という名称でよろしいか。
 →(異議なし)

委員  名称については影響が大きいので、この場でなんとなくというわけにはいかないが、「新職」については、「助教」という案が出てきているが、「助教授」というのもありうると考えている。ただ、医学部の状況を考えるとということはある。

委員  現在法令化するときに「助教」とするか「助教授」とするか今その二つが有力であるが、どちらにしても、医学部以外の多くの分野では「助教授」の方を使うのではないか。そうすると医学部でもやがて「助教授」を使うようになるのではないかと考えられる。そうであれば「助教授」に決めるということも考えられるのではないか。

委員  先ほどの意見にあったように、現存の講師について、准教授や「新職」への振り分けの目途がつくのであればよいが、これは選別をしなければいけないわけでありそう簡単には目途がつかない。

委員  「助教授」と決めても、すぐに医学部まで含めて「助教授」としなければいけないわけではなく、ここで決断してしまってもよいのではないか。

委員  論理としては良く分かるが、一方で導入を円滑に進めるということも考えなければならない。

委員  医学部とは事情が違うが、私学でも専任講師、助教授、教授という体制があり、新職を設けることによって4段階になってしまうということが懸念される。

委員  助手の名前を残すと4段階になることが懸念されるが、経過措置を十分手当てして多様な中間的なあり方は許容できるような法整備にすれば、教授、准教授、「新職」という3段階に落ち着いていくのではないかと考えている。

委員  すでに帰られた委員もいらっしゃるので、例えば、順番をつけなければいけないということであれば、仮に「助教授」、「助教」という順番をつけておいて、次回の委員会までの間に各委員とできるだけ接触をしながら、座長のところでどちらかにまとめていくということでいかがか。

事務局  今日そういう形で順位が付されるのが望ましいが、帰られた先生もいらっしゃるので、今日どうしても決まらないということであれば、明日あるいは週明けにお伺いをしてそれを安西先生にご報告して次回の委員会で諮るというかたちでも事務局としては猶予されている。

委員  それでよろしいか。非常に大事な問題なので、今日のご意見を十分踏まえたうえでお考え頂きたい。

事務局  資料5、資料6、机上資料について説明。


 次回の日程
 次回は、1月19日に開催することとなった。


(高等教育局大学振興課)

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