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大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第10回)議事録・配付資料


 日時  平成16年11月22日(月曜日) 10時〜12時
 場所  文部科学省 10F3・4会議室(10階)

 議題
(1) 審議の中間的な整理(案)について
(2) その他

 配付資料
資料1   大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第9回)議事要旨
(※ 第9回議事録・配付資料へリンク)
資料2   審議経過の中間的な整理(案)
資料3   大学の教員組織の在り方について(イメージ図)(PDF:31KB)
資料4   資料4制度移行後の姿について(イメージ図)(PDF:15KB)
資料5   「大学の教員組織の在り方について<審議経過の中間的な整理>(案)」に関する意見の御連絡先

参考資料   大学の教員組織に関する関係条文等

(机上資料)
 教員組織の在り方に関する基礎資料
 高等教育関係基礎資料集
 大学審議会全28答申・報告集
 大学設置審査要覧
 教育指標の国際比較(平成15年版)

 出席者
(委員) 黒田玲子委員
(臨時委員) 荻上 紘一(座長代理)、天野 郁夫の各臨時委員
(専門委員) 岩田 啓靖、小野 田武、川村 正幸、鈴木 昭憲、鈴木 典比古、福田 康一郎、堀江 孝至、森脇 道子、四ツ柳 隆夫の各専門委員
(文部科学省) 結城文部科学審議官、清水研究振興局長、徳永高等教育局審議官、村田科学技術・学術総括官、小松大学振興課長、石野医学教育課長 他

議事
   事務局から資料についての説明等があり、その後審議の中間的な整理(案)についての討議を行った。
  (○:委員、●:事務局)
 
委員  現時点でこれまでご審議頂いた審議の状況を「審議経過の中間的な整理」という形で一度とりまとめて公表して、諸方面からご意見をお聞きするということにしてはどうかと考えている。前回この委員会においてそのような進め方、あるいは制度改正の基本的な部分についてはご了解を頂けたものと理解をしているので、本日はこれまでの審議経過について中間的に整理したものをご議論頂きたい。
 なお、本日この審議経過の中間的な整理について概ねご了解を頂けた場合には座長とも相談をして、必要に応じて修正を施した上で、12月1日に大学分科会で報告し、関係諸方面からのご意見を聴くというように進めて行きたい。
事務局  今文章を読んだものについては法制論として書いてあるので少し分かり難いと思うが、資料3と資料4は法制的にというよりも、イメージとして書いている。
 資料3を見ていただくと、制度(B)であればあまり今までと変わらなくて、教育研究を専らやる人を教授、准教授になるためのトラックの上に位置付けることで現行の助手を上下に分類するのだという考え方である。制度(A)では、現行の助手を上下に分けるということではなく、種類が違うということで横に2つに分けるのだという考え方である。ただこの他にもう少し整理すると、「新職」の枠の幅を教授や准教授と完全に同じにして、「(新)助手」を教授、准教授、「新職」とは完全に切り離して横に置くということもありうるかと思うが、例えば、各大学における給与表では「(新)助手」は教育職に位置づけてよいのではないかといったことについて、どちらが良いかという共通理解が出来ているという段階ではないので、そういう整理をした資料は作っていない。分野ごとに色々と実態が違うので、この点についても御意見をお伺いしたい。
 また、資料4については、学校教育法は大学やそれ以外の学校の職務も含めて組織の体系をどうするかという書き方になっているが、今までの議論の中では特に教育・研究に優秀な人は新職に就けるべきというような実態に着目した意見も出ている。それを踏まえた上で、教育・研究を主たる職務とする者、或いは補助を主たる職務とする者と分けて書いて、後は大学ごとにそれぞれの現場で判断してどこまで入れるかを考えて頂くということでよいのか、それともこの中の例えばAに限る、あるいはBに限る、或いはAかBかCに限るというように、何かジャンルを分けてここまでだというように制度として書き込むべきなのか。今までの議論では、職務の体系としては、曖昧だったものを2つにはっきり分けるということであったが、実態はどうするのかは各大学の判断によるのではないかということだったと思う。一応その点についても意見を伺い、併せて議論頂きたいとに思う。
委員  それではこれについてご意見を頂きたい。最初に2、11ページまでの部分についてご意見を頂くこととしたい。
委員  この会議の1番初めの昨年の10月にスタートする時点で確認して頂いたことを再確認したい。1ページの「検討の背景・経緯と今後の取扱いについて」の中の上から4つ目の丸のところが昨年の10月に開始の際の事項であるが、そのときにこの大学には高専が入っているということを確認して頂いた。審議の中間な整理案にも記載があり、きちんと記載はされているのだが、第三者が見たときに誤解を生まないよう、下から3つ目の「10月に、大学分科会の下に大学の教員組織の在り方に関する検討委員会を設け」という段落で、高等専門学校も含むということを記述してもらいたい。またイメージ図の注などで、高専を含むということを記述してもらいたい。
 もう1つは高専の話ではなくて、今度は全体の議論の中で職務、業務、事務など呼び方が微妙に違うところがあるので、これは整合性をとるべき。
事務局  ここの事務というのは行政事務とか、教育事務とか、研究事務というように大学で行われるある一定の塊を指しているもので、個々の職務ではない。これは明確に国家行政組織法上の事務ということになる。
委員  7ページ「新職」の1つ目の丸の但し書きのところで、「基本的に職務の内容が変わらない場合には、処遇は変わらないものと考える」のという記述があり、この記述自体は結構だと思うが、ただ実態として「新職」は業務が増える可能性もあり、その場合に待遇を変えるということもありうるので、その辺まできちんと考えた上で書き方を工夫すべきと考える。
 それから9ページの4の上になお書きがあるが、これは「このような(新)助手の位置づけは」と書いた段落のすぐ上の段落に書いてある「このため」以下の「各大学の分野の実情に応じて各大学において判断すべきである」の部分と内容が重複しているので、わざわざここで記述することが必要か。
委員  イメージ図でご覧頂くと全体の様子が良く分かる。資料3でいえば、Aのような考え方が良いのか、Bのような考え方が良いのか。資料4でいえば、いわゆる「新職」と(新)助手と職の切り分けをどういうようにするか。その辺りにポイントをおいて議論いただきたい。
委員  このイメージ図は非常に重要。Aの場合だと、「新職」と「(新)助手」が横並びである。本来の意味からいうと、Bの内容を検討してきたのではないかと思う。「新職」の階層性が明らかにワンランク上という趣旨で私は理解していた。ただ、現行の助手をこの様に2つに分けるのだというスタンスからするとAなのかとも考えられる。私は、保健医学領域ではAのようにしてプロモートさせたほうが良いのでないかというようなニュアンスで理解していた。
委員  先ほど事務局からAとBの違いを説明して頂いたが、Bの方はある意味でリニアに並べている。Aの方は職種が違うことから、しかし全く違っているわけではないので、少し重なっているような工夫をした図になっている。
委員  (新)助手の業務の中に「教授等を助ける…」とあるが、この等の中に「新職」が入るか入らないかで大分感じが違う。
事務局  それは理論的には入らない。これは9ページの「なお」書きがいるかいらないかでこの振り分けがかなり違ってくる。この9ページの記述というのはAであるということを前提にして書かれており、(新)助手が教育・研究トラックに入っているかいないかという点について、(新)助手が教育研究トラックに入っていないということを前提としているものである。(新)助手というのはどちらかというと将来主任助手になったり、或いは専門性の高い部分職務を担っていく、入試とか国際化とか情報化の方へいくのだという前提がある。「なお」書きで「なお、このような(新)助手の位置づけは制度上のものであり、個々の(新)助手については、その資質・能力に基づき、」「准教授や講師に採用することは可能である」と書いてあるのは、まさにAということを前提にしているためにこういう「なお」書きが入っているわけであり、もしBであったらこういう「なお」書きはいらず、「このため」以下もいらないということになる。
委員  現行制度では職種が1種類しかないが、それを2種類に分けるということになると考え方としてはAに近いのではないか。
委員  私もAかと思っている。ただ、この記述全体として「新職」を設けることによって若手研究者に元気が出ると思えない。若手研究者のキャリアが今非常に混迷した状態にある中で、従来の助手職を使って曖昧だったものをはっきりと研究者や大学教員のキャリアパスの1つにきちんと位置づけて使うという姿勢が必ずしも鮮明に現れていない。したがって、例えば5ページの2つ目の丸や7ページの下から3つ目の丸のところで「新職」を若手研究者の育成ルートとしてきちんと位置づけ、積極的に活用するべきだということを書く必要があるのではないか。ただ助手を2つに分けるということばかり書かれているような印象が全体的にある。1番最初のところに教育・研究の活性化に資する教育の在り方といっているのだから、活性化に資するということを積極的に言うべき。そういう視点からするとBの制度はいかにもこれで5段階になったような印象を与えるので、私はAで助手をもう少し右側の方にはみ出した方が良いのではないかと思っている。
委員  6ページの「このため、」の部分で「新職」の学校教育法上での位置づけが書いてある。これと注2の最後の「主たる職務以外も含まれうる」のところとの関係が問題である。後の方の7ページ等をみると「新職」は自ら教育・研究を行うことを主たる職務とするのだというようにいっているが、学校教育法上その位置づけを明確にすると、主たる職務は教育・研究となり、そうであれば先ほどの資料4でいうと例Bのような形で線が引かれるのではないか。そうすることで研究者としてのキャリアパスという形で明確に考えられていくのではないか。逆に、6ページの注2のところで他の職務についてもあたるというようなことをあまり強調してしまうと、例Cのように補助業務を主としつつ教育・研究を行う者も「新職」という形になって、キャリアパスという面で曖昧になってくる。その辺りの規定は明確にして頂きたい。
委員  私は資料3でいうとAのタイプでずっと議論してきたつもりである。というのは今回の制度改正の一つの観点として、従来の大学と違ってこれから大学の機能が増えてくる部分での人材の養成ということが念頭にある。したがって、新しい制度のA でブルーのラインは「新職」で、黄色の助手は右に外れるのが本来の姿ではないか。資料の4でいうと例Aがあるべき姿ではあるが、今は過渡期なのでその辺の措置をどうしていくかということを考えた方が良いのではないか。
委員  このイメージ図ということであれば、私もAと考えるが、ただAも「新職」・講師・准教授・教授という新しい制度で助手はもう少し右の方にくるようなイメージの方がいいような気がする。2ページの4つ目の丸の1番下、「大学に求められる機能の高度化に伴い」云々というところがあるが、専門性の高い人材の必要性がますます高まっているというここのところはどういう内容であるのかをご説明頂けると大変ありがたい。
事務局  ここ数回の議論の中で、例えば国際化に対応することが大学に求められてきたときに、今の大学では必ずしも国際的な資質を持っている人材が確保されていないということがあり、また入試の広報や教学上の学生の指導についても、従前の職員では担いきれないような専門性の高い業務が増えていることから、こうした教員でない専門性の高い人材を大学としてどのように確保していったらよいのかという議論が出てきたことから、それらを踏まえたものである。
委員  人社系でなおかつ教育型の大学・短大は現在相当数増えており、教員の役割・機能が大きく変わりつつある。そうしたときに今の人材ではとても対応できない。例えば教育開発するそういう専門性の高さだとか、或いは教育活動をマネジメントしていく、そういった人材を外から求めるという動きがでており、教員を募集すると、海外でマスターやMBAをとっている、或いは国内で働きながらとっているという人たちが今続々と出てきている。そういう方を位置づけ難いというときに、「新職」が活用されることで、この「新職」が今後の活性化の1つの起爆剤になるのではないかと思われる。
 1つ細かいことではあるが、「新職」が設置基準上の専任教員数に数えられるかということについて確認したい。
事務局  現在専任教員数の中に助手は含まないということになっている。「新職」については専任教員数に含むという選択肢も考えられるが、その辺りはもう今回出したことを詰めていく段階で、色々ご議論頂きたい。
事務局  現在大学院部会で新しい大学院の在り方の検討を行っており、そこでは特に修士課程を中心にきちんとしたトレーニング、コースワークをしようということを徹底している。そういう教育重視の大学院を作っていくにはやはりマンパワーは必要であり、大学院の研究指導を含めた形での教育に「新職」を活用することについても検討頂きたい。
事務局  「新職」については、これまでの議論の中で片方ではキャリアパスとして元気を出してやっていけるような形とすべきという意見があり、それを踏まえて考えたいと思うが、それと同時に組織的に協力して順次若手らを育てていくような営みが必要であり、それとのバランスで工夫したい。
 次に「(新)助手」については、9ページの最初の丸で、キャリアパスとしては教育研究者になるというように位置づけないとすると、丸印の下の方に12と書いてあるが、主任助手や専門性の高い職務を大学で検討、導入することも考えられる。
委員  質問を1つさせて頂きたいが、この「新職」に入る前、すなわち大学院で博士をとった人がどこにいくのがスタンダードと考えてこのAやBができているのかということを教えて頂きたい。理工系に限ってで結構なので。
事務局  この図ではキャリアトラックは今の博士を出てからどこを経由してこういう職務体系に到達するということを書いていない。キャリアパスは分野によって異なるとは思うが、ポスドクやTA、RAといったものが増えてきているということを前提にこの在り方を考えていかなくてはいけない、そういう人たちが中間にいるというように考えるものと現時点では考えている。さらに言うと、7ページ目「イ」のところで、特に大学院の学生については教授をはじめとする教員集団、その他にそこに至らない人たちが一緒になって育っていくべきであるという考え方を採っている。スタンダードとしては一応そういうところにというような想定でまとめている。
委員  その辺がはっきりしないと、意味が随分違ってくる。TAというのは院生がやっていることでありあまり関係ない。だからRA、スーパーポスドク、ポスドクといったようなものだと思うが、そこと「新職」との大きな違いというのは自分で企画してやるかと、自分で人を雇って指導するかという大きな違いがある。PIかPIでないかはものすごい差がある。そこがキャリアパスが曖昧になっていて、ドクターを取れば皆助手は嫌といって「新職」にいってしまう。これでは制度は破綻するし、かといって今度助手から上の方にいくキャリアパスがないと、何か非常に先行きのない、夢のないポジションになってしまう。これも問題で、やはりそこにいくまでの課程、キャリアパスがないと難しいのではないか。そこを書きこまないと大きな誤解を生むような気がしている。
委員  国立大学に多い研究大学ではこれまで講座制で教授・助教授・助手のポストの数が配分まで含めて決まっていた。だけども講座学科目制は廃止され、人件費は幾ら払うかも、誰を何人雇うかも各大学ご自由にしてくださいということになった。私は今回の改革はそれに対応した改革であるべきだと思っており、助手のところをどのように使うかということが今回これで自由になるので、キャリアパスの中に「新職」を積極的に位置づけて、活用していく道が開かれたというように利用するべきだと思う。研究型の大学が自分たちで工夫を凝らして、教授・准教授・「新職」の位置付けやその数的構成について工夫を凝らし積極的に活用することを期待したい。
委員  前の議論は教育支援職は別に区分けした方が良い、それで新たに「新職」を設けた方が良いというような共通理解だったと思う。しかし、資料3では枠で囲った中に(新)助手も含めるというようなことになっている。私どもの場合は、教育支援職はこの枠外にあるという理解をすればAが良い。ただ他の分野のことも考えると(新)助手を教育研究職を入れたままにするするという考えもある。また、教授・准教授・講師・「新職」、教員組織をこれだけにして、その下に大学院卒云々という流動的なポストを用意するということをしなければ、また制度だけ変えて実態は変わらないということになる。(新)助手は、教員組織の中に残すのか、支援職として明らかにはずすのかというところをきちんとしないと今のまま続くような気がする。この図のままだと(新)助手も、教員組織の中に組み込まれてしまっていることが1番のポイントではないかと思う。
委員  Aにしろ、Bにしろ1番外に書いてある枠の意味を説明していただきたい。
事務局  大学における職につきまして今回問題になっているところを枠として書いている。教員組織にどこまで入れるか、この(新)助手というのが教員組織の一部かどうかという議論はあると思うが、ただ少なくとも(新)助手が教育研究を主たる職務とするもの(水色)ではないということは今回明確になるだろう。今回は、教員組織にどこが入ってくるのかということより、むしろキャリアパスの中で教育研究を主たる職務とするかどうかということで分けたものである。
委員  新しい考え方で水色と黄色と分けているとのことだが、そうすると現行制度の時のグリーンは今の議論の中でどのように位置づけるのか。おそらく水色の2つの教授・助教授の下にあるべき職務が大事になってきて、そこのところがないからこのグリーンに負わせているというのが結局色々な問題を起こしてきて、今議論を生じているのではないかと思う。したがって、特に研究等を中心にする研究大学においては准教授・教授へいく新しいキャリアパスとしての新しい職が必要だということを最初にきちんと出して頂いて、その上でそれぞれ大学が事情に応じて教授・助教授を助けると言われている現在の助手の職を使ってそれが出来るのだという制度にする方が分かりやすいように思う。
委員  それでは資料2の12ページ、13ページ、「講座制・学科目制等の教員組織の職の在り方について」という部分に関する意見を伺えればと思う。
 事務局に聞きたいが、これは設置基準では13年度に講座制・学科目制以外の形をとることが出来るというようになったが、相変わらずその後の色々な記述は講座制・学科目制に関して、記述の部分は従来のまま残ったということか。
事務局  大学設置基準第7条で「大学は、その教育研究上の目的を達成するため、学科目制、講座制又は大学の定めるところにより、必要な教員を置くものとする」という規定になっており、この「又は〜」というところで大学の定めるところによる講座制・学科目制以外の教員組織も可能だということになっている。
事務局  現在の教員組織はかなり変化しており、厳密な意味での、本当の意味での講座制というのは果たしてあるのかどうかということは極めて疑問である。国立大学の場合は大講座化ということを行い、大学院重点化の際には教員組織を全て研究科に移して、そのときには学部の方は大学科目化をした。そういう資源管理なり、教育研究の責任単位は従来と同じ名前であってもかなり変容している。
 私立大学ではこの記述にもあるように、実態として講座制でも学科目制でもないといういわば研究室制というものが従前から存在しており、それはどれにも直ちには該当しないということがある。ただ一方では講座制学科目制がなくても例えば教員の人事に関してはある程度観念的なものがあってそこで教授選考を行っているとか、或いは医学部であれば講座の方は緩くなっても診療科長の教授選挙があり、講座制に変わらないものがあるということで、実態としてはそういうことになっている。
委員  1番問題になるのは設置認可の際に困ることはないのかということだと思う。ここでは13ページの上から3つ目の丸の二つ目の米印で、「教育研究上の目的を達成するために、教授、准教授、「新職」等のすべての教員について、分担及び連携の組織的な体制が確保され、かつ、責任の所在が明確であるように配慮する」というこの部分はどのように設置認可等の際に対して働くのか。現在、学科目と講座というのは教育研究の1番小さなユニットであるが、そこをやめようとすると、その次のユニットが学科・学部であり専攻・研究科ということになる。講座・学科目制が廃止されることは良いが、その後はご自由にということで良いのか。教員のある種のまとまりを持った組織体というのは、アメリカではデパートメントというのがあり、大体どこの国でも似たような何らかのユニットを設けているが、それが日本では学科・学部、専攻・研究科ということになるのか。その辺のことも議論した方がよいのではないかと思う。
事務局  1つは設置認可手続きでの取扱いについては、収容定員に相当する教員数、分野ごとに必要な教員数は届出のときにチェックをしている。したがって、ここに書いているのは、いわば講座なり、学科目なりに代わるものは各大学できちんと作ってくださいということであり、うちの大学では講座・学科目制に代わるような基本的教育研究に似た組織はこう言うものを作りますということになる。
事務局  設置のときにどうかというのは悩ましいということが正直いってある。つまり講座制・学科目制というのは基本として定められているが、設置認可で組織が講座制に当たるか、学科目制にあたるか、或いはそれが適切なものであるかという点をチェックはさして行っていない。教えるカリキュラムを見て、その体系さえ出来ていれば、それを主要なものを教えられる先生が教授・助教授が揃っているかどうかをみて、組織まではあまりみていないというのがある。今回の制度改正によって、一律に規制をしたりすることはしないで各大学にお任せをするが、その説明はちゃんとやっていただくと。つまりこういう組織的体制をとりますということは大学ごとに違うとしても説明はして頂いて、認証評価のときに最初に社会に対して約束した体制が守られているかといったことをチェックをしていくということをしなくてはいけないということになると考えている。
委員  13ページの「講座制・学科目制に代わる規定の新設」の部分について何かご意見はないか。
委員  私は事務局から出された整理に賛成である。これは各大学が講座制や学科目制をとることを選択・維持する余地は認められており、講座制・学科目制が適切であると考える大学はそれを実行していくことを妨げるものでもない。問題は、例えば教養的・基礎的な教育のある部分を大学の外側にアウトソーシングするというか、例えば語学教育を専門学校的なところと連携で組み込んでいくようなこととや外国語大学との連携、ダブルメジャーといった色々な教育の形が出てくることに対して、講座制とか学科目制の規定が制約的だという感じはしている。従ってその制約性をとっていくという方向は正しい方向ではないかと考えられる。
委員  医学部は講座制で動いているが、この講座制の在り方自体が大きく変化してきている。学問体系の在り方が変わってきており、例えば基礎医学教育であれば、従来は生理学・解剖学、或いは病理学といった「学」のついた講座単位組織というのがきちんとあって、そこで教育ということも直接連動して行われてきたが、今は統合型のカリキュラムに変わってきており、生理学だとか、解剖学だとかいう講座単位の教育体制はもはや成り立たない。むしろこの教育をするためにはこの時間帯には生理の先生が来て教育して、次には解剖が来て教育をするということが一般的になってきているし、今医学部に提示されているモデルコアカリキュラムというものに対応する教育体制を作ろうとした場合、講座単位の教育では成り立たない。したがって一応講座制は体系として残っているが、現場における教育、或いは研究などのシステムというのは壁がなくなってきているというのが実態である。それからもう1つは、現場では従来の講座とは離れた形での色々な教員組織が出来てきている。例えば医学教育ではファカルティ・ディベロップメントが非常に重要なことで、海外からの情報を得たり、或いは学内の学科領域の教育体制をどうするか、教員の教育に対する取組み方をどうするのかということを実際に担当するのに、講座に所属している1教員が担当することはありえない。そういうことから例えば医学教育推進室のようなものを設けている大学が非常に増えてきているし、或いは講座から離れて診療体系のニーズに対応して何々センターというものを設立して、講座とは別組織で診療に取り組むということもやっている。したがって他学部の状況は分からないが、こういう旧来型の講座制・学科目制というものだけではない動きが当然求められていくであろうし、現在の硬直的なシステムをこのまま残していくということ自体は問題だと思う。
委員  最近は教員組織と教育組織を別にしているような大学もだんだん増えてきていると思うので、そういうことと併せると、やはり講座制・学科目制を基本とする設置基準の現行の記述はもうほとんど実態にと合わなくなってきていると思う。
委員  私の大学は講座制という制度を採っていないのであまり馴染みがないが、この講座制・学科目制を削除して新しいシステムを作るということは、自由度が許されているわけで、そこで各大学の創造性を大いに発揮する可能性があるというように思う。例えば私の大学は学科があり、教員の組織と科目の分野が大体一致するようにはなっているが、学生は様々なコースで学びたいということがあり、このコースをとれば自分のカリキュラム、履修の単位に採れるということとかティームティーチングとかいうことも自由度を最大に許してやっている。講座制をなくした場合にどういう新たなシステムを作るかという問題は残されているが、それによって非常に自由な発想で組織を作ることができるものと思っている。
委員  12ページに「しかし、一部には、依然として・・・13年度の制度改正の趣旨が十分浸透していないとの指摘がなされている」とある。この部分については、具体的にどういうようにしていく方法があるのかという例示もしなければいけないし、また、講座・学科目制と教員組織と教育組織は今までは一体化していたが、今は1つの学問体系でその人の培ってきたものをただ教えるだけという時代ではない。新たな授業科目を設定しなくてはならない、大学院の専攻を作らなくていけないとなったときに、教員組織と授業科目の組織が一本につながっていると年中変えていかなくてはならない。したがってその一対一の関係を崩して組み換えを自由にしていくことをしていかないと学際的なものは何も対応できない。この辺のことはもう少し明確に書いていただきたい。
委員  今のご指摘のところがまさにポイントだと思う。講座制・学科目制は教育課程と教員組織を対応させるものである。しかし、もう既に筑波大学の学群学系以来あちこちでこの形は分かれてしまっていて、教育課程は教育組織とは別に編成されている。設置基準には大学・大学院両方とも教員組織という項目を設けているが、ここでは教育研究上必要な教員を置くことにするということだけ書いてある。したがって、講座学科目制の廃止は教員組織のところをどのように書くのかという問題に関わってくる。ある一まとめの教育をするのに必要な教員を置くと教員組織のところには書いてあるが、実態はそうではなくなってきている。その問題があるのでかなりこれは難しい問題というように思う。
委員  そろそろ予定していた時間になるが、今日ここで頂いた議論を整理して、12月1日の大学分科会に中間的な報告をするということをお許し頂けるか。
委員  座長、その点あるが、今この委員会から中間的な合意された部分を公表するという直前であるので、特に今の議論の前の部分、職の部分ですが、何かこのグループの中で大きな方向性が大体確認されているということがないと書きようがない。
 このたびの学校教育法を中心にする改革の趣旨は、大学の職制における従来の因習と言うか、悪い点を取り除いて新しい世界的な状況、文明的な状況に対応できる大学の体質を作ろうということにある。そうすると何とかを助けるという形で積み上げられている職制の定義の仕方を思い切ってやめてしまって、助教授は准教授に変え、或いは助手は新しい名前に変えて、「助」という文字を名称から取っていくと。そう考えると、准教授の名称はそれで良いとして、助手のところは(新)助手という形で助手という職分をどうしても残さないといけないという方向なのだろうか。診療系助手の方の存在が非常に大きいのが現実だということが分かるが、その部分を括弧に入れておけば、助手という言葉をキャリアパスの中に職制として置くということはちょっと矛盾にならないのだろうか。中間答申として出したときに、皆さん方の受け取り方の中に何をどのように変えようとしているのかという点で混乱が起こらないかとも思うので、「新職」というような職名ではなく、仮説的でも名称をいれて、全体に何々を助けるというような職の指定の仕方を本当に除いていくというイメージを明確にしていくことは必要だと思うがいかがか。
委員  名称に関してはまだほとんどご意見を頂いていないが、イメージ図をご覧頂くと、今日頂いたご意見の非常に多くがA型かB型かというとA型の方であり、しかも青い職種と黄色い職種とはかなり明確に分けた方がよろしいというそういう意見が大勢だったというように理解しているが、よろしいか。
 またイメージ図の線の引き方、大きさその他は事務局に然るべくしてもらうとして、基本的にこの図に関して言えばAの考え方ということで、それから職名についてはまだここでご議論頂いていないが、「新職」と「(新)助手」についてはかぎ括弧にいれて当面取り扱わないということにせざるを得ないかと思うが、当面はそういうことでお許し頂けるか。
 それから資料4については、水色とピンクで切り分けるという考え方でよろしいか。だんだんグラデュレーションになっていてどこに線を引くかということはなかなか難しいと思うが、2種類にわけるということを基本的な考え方にして、この段階としてのまとめとさせて頂いてよろしければその様にさせて頂きたいと思う。それから12ページ、13ページの講座制・学科目制の部分については基本的に13ページのこの考え方でご了承頂けるのであれば、そういった考え方をこの段階の1つのまとめというようにして大学分科会の方に報告して、そこで当然ご意見を色々だされると思うが、そのような進め方でよろしいか。
委員  中間的な整理ということで今後公表して意見を求めるという状況にあるという認識の下に、つい先日私立医科大学協会の会合で初めてこの件について説明をして頂き、そこで十分な議論ではないが、説明された内容について幾つかのコメント頂いた。前々から発言させて頂いているが、やはり医学部関係の方々の認識は(新)助手の存在自体が理解できない。私たちにとって助手というのはむしろ「新職」に相当するものであって、更に言えば「新職」の助手自体がキャリアパスにつながっている重要な採用となっている。実際には、特に臨床系においては、この下に多くの「新職」に該当しない、しかし医療に関わっている助手が数万いるという状態があります。したがってこの新しい教員組織の在り方についてこういう議論が進んでいるということに理解は頂いたが、(新)助手についてはどうもやはり認識できないということが共通した発言であったというように思う。
 それから最後の講座制のところは議論の時間がもう少し欲しい。
委員  (新)助手を必置の職とするかということについてはおそらく必置ということではない。
委員  その問題の助手であるが、全部なくしてしまってはいかがか。助手という言葉は教員組織としてだけでなく、色々な社会一般に助けるのは助手ですから、それが教員組織にあるというのはやはりおかしいので、思い切ってやるのならば(新)助手も名前は助手という言葉はもう使わないという方向で思い切ってやってはいかがか。
事務局  基本的に(新)助手が教育研究トラックの職ではないということが今回明確になったわけである。全体として教育研究を支援をする職員というのはどんな場合でも必要であり、その名前についてはこれからご議論いただくとして、やはり教育研究の支援職にあたる職員は必要だという認識は示しておく必要はあるかと思う。
委員  この(新)助手というのもどうせ鍵括弧に入れるのですが、どうせ鍵括弧にいれるのならば、例えば中身が多少分かるように、教育研究支援専門職とか何とかそういうのにしておくか。助手という言葉を例え仮称でも使わないほうが良いということであれば、その辺も工夫をすることも検討してみたい。
 では時間が来たので、基本的には先ほどのような考え方で整理をして、12月1日の中央教育審議会大学分科会にこの段階の考えとして報告するということでよろしいか。もしよろしければまとめは座長と私と事務局にお任せいただきたい。また、本日のこの審議の概要及びイメージ図についてご意見があればお寄せ頂きたい。可能な限り反映させるように努力する。

次回の日程
   次回は、12月中旬に開催する方向で日程調整を行うこととなった。

(高等教育局大学振興課)

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