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中央教育審議会大学分科会制度部会(第8回)議事録・配布資料


1 日時: 平成16年5月27日(木曜日)14時〜16時

2 場所: 三田共用会議所第4特別会議室(4階)

 議題
(1) 意見発表【舘専門委員】
(2) 制度部会の今後の審議の進め方について
(3) その他

 配付資料
資料1   第7回制度部会議事要旨(案)
資料2   高等教育の将来構想と学士課程の構築の課題
(舘専門委員説明資料)
(PDF:212KB)
資料3   大学における教育内容等の改革状況について(PDF:228KB)
資料4   大学分科会の今後の審議の進め方について
(大学分科会(第34回)平成16年4月23日 配付資料8)
資料5   大学分科会制度部会に関する論点例
資料6   大学分科会関係の今後の日程について

(机上資料
  制度部会関係基礎資料集
  高等教育関係基礎資料集
  大学設置審査要覧
  教育指標の国際比較(平成16年版)
  大学審議会全28答申・報告書
  文部科学統計要覧(平成16年版)
  科学技術・学術審議会人材委員会第1次提言
  科学技術・学術審議会人材委員会第2次提言
  中央教育審議会答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」
「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」
  中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」
  中央教育審議会答申「今後の学校の管理運営の在り方について」

 出席者
(委員) 鳥居泰彦(会長),岸本忠三(部会長),黒田玲子の各委員
(臨時委員) 天野郁夫,黒田壽二,関根秀和の各臨時委員
(専門委員) 香川正弘、清成忠男、佐藤東洋士、高木不折、舘昭、中込三郎、福田益和、森脇道子、山内昭人、四ツ柳隆夫の各専門委員
(文部科学省) 徳永高等教育局担当審議官,合田高等教育企画課長 他

 議事
(1)  舘専門委員より「高等教育の将来構想と学士課程の構築の課題」について資料に沿って説明があり、その後、質疑応答が行われた。

(○:委員,●:事務局)

【舘専門委員からの報告及び質疑応答】

 学部制度、学士課程教育の現状と課題、日本の学位制度の概要と特色、諸外国の学士課程に関する最近の動向等について説明したい。
 現行法上は「学士課程」という用語例はなく、学校教育法では「大学を卒業した者に対し学士の学位を授与する」と規定されているのみである。しかし、大学院については「大学院の課程を修了した者に対し修士又は博士の学位を授与する」と、課程の概念が一部導入されている。一方、第1条の大学は、「ユニバーシティ」という大学院を含む広い概念の記述となっている。また、一般的に「学部教育」という言い方がされているが、第53条では学部以外の組織を置けることとなっており、筑波大学のように「学部」ではなく「学群」という組織を置いている例も現実に存在する。法制度上の混乱が若干生じている。
 アメリカでは「ユニバーシティ」は「degree-granting institution」という「学位を与える機関」という位置づけがされている。平成3年の法改正以前は、日本では学士は学位ではなかったので、制度的には「ユニバーシティ」ではなかったともいえる。そもそもの発想として、日本では「課程を修了した者に学位を与える」という考え方だが、英米では「学位を与える課程」と考える。日本と英米では、学位と課程の関係が逆転しているのである。
 日本では、「一般教育(教養教育)」イコール「リベラルアーツ」という考え方だが、「教養」は「カルチャー」のことであり、「リベラルアーツ」は「学芸」ということになるだろう。「カルチャー」は「文化に関する、広い知識を身に付けることによって養われる心の豊かさ」を意味する。近代では、「リベラル」は「直接に職業に結びつくものではない知的な自立」を示しており、例えばカーネギー分類によると、哲学、物理化学、外国語など様々な授業科目を「リベラルアーツ」としている。授業科目として教えることができるのは「リベラルアーツ」である。つまり、一般教育とは自由学芸(リベラルアーツ)を教えることあって、専門と自由学芸は対立する概念ではない。
 学校教育法上、大学は職業教育を行う場ではないということになっている。一方、短期大学は「職業(又は実際生活)に必要な能力を育成する」こととなっており、大学院も2002年からは「職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培う」という目的が追加されている。「専門」は英語では「special」のことで、「一般」=「general」に対する言葉である。しかし、自由学芸(リベラルアーツ)分野の専門は、職業分野の専門を指し、英語では「profession」のことである。「profession」=「相当の訓練と専門化した学習を必要とする職業」に従事する者を「professional」といい、西欧伝統社会では法曹、医師、神職のみがプロフェッショナルだったが、現在は多くの職業がプロフェッショナル化している。
 設置基準は1991年の大綱化により、その性格が量的基準から質的基準に転換した。それまでは科目区分ごとに必要単位数を明示していたところ、各大学の判断により必要なカリキュラム、単位数を設定できることとなった。結果として教養部の廃止や単位の空洞化などが起こってきている。
 準学士の学位化傾向については、アメリカでは「associate degree」が存在するし、イギリスでもデアリングレポートで「sub degree」の強化を主張している。
 1999年に出された欧州のボローニャ宣言では、比較可能な学位という観点から、少なくとも3年の学士課程と修士課程の2段階モデルの導入が訴えられている。これにより、日本でも学士課程3年とするとの意見があるが、いくつか考慮しておくべき点がある。ボローニャ宣言では、就学年齢が5歳で学士課程では専門教育のみを行うイギリスの大学を標準に想定しており、学士課程で一般教育も行うアメリカの大学により近い日本の大学に当てはめていいものか検討する際には、国際的な通用性に十分留意する必要がある。

委員  昭和62年から平成13年まで大学審議会で様々な議論がなされてきた。学士課程を議論する上で基本となるのは学校教育法第68条の2である。これは平成3年に追加した条文で、それまで称号であった学士を学位に位置付けたものである。学位の分野は文部科学省告示に規定されているが、これは学士も修士も博士も同じ分野しか定められておらず、十分な規定とは言えないのではないか。
 国立大学が法人化されたことによって、国立と私立の関係がどうなるのかが明確になっていない。学校教育法施行令には公私立大学の設置について規定されているが、国立大学に関しては何も規定されていない。今後、国立大学が学部などを新設する場合、どのようにするのか、公私立大学との関係という観点から考えていく必要がある。

委員  我が国の学部段階での教育の位置づけを考える上では、そもそも学部は本当に4年制であるべきなのかどうかという点は大いに考える必要があるのではないか。

委員  日本の現行制度の背景や歴史的経緯から考えて、EUが3年制だからという理由で単純に標準年限を一律に3年とするのは難しいのではないか。また、現状でも学部4年間での必要単位を3年間で修得してしまうことも可能であり、「単位」の考え方を実質化する等の方策をとらずに学部を3年間にしてしまうと学部教育がさらに薄くなる恐れがある。

委員  専門教育は大学院に重点を置き、学部はリベラルアーツを中心として3年間にして、その上に大学院を付け加えるという考え方も十分成り立ち得るのではないか。

委員  日本での議論は、アメリカのリベラルアーツを「一般教養」と勘違いしている場合が多い。リベラルアーツカレッジは日本の教養学部ではなく、必ずメジャーがあることに留意する必要がある。

委員  「学士課程教育」という概念を確立することが重要であろう。「学士課程教育」を説明する際、「教養教育」「専門教育」「専門職業教育」など色々な言葉が使われる。どのような視点で補助線を引けばうまく整理できると考えるか。
 日本の学部の一部、例えば、文理学部などはリベラルアーツと言ってよいのではないか。

委員  旧制高校以来の文理学部や経済学部はリベラルアーツカレッジと言えるかもしれない。専門には職業専門とリベラルアーツ専門の2つがあり、これで補助線が引けるかもしれない。「単位」と修業年限は結びついており、きちんとした成績評価が必要である。日本には単位にならない卒論などがあるが、これも単位にして単位を実質化にすれば良いかもしれない。

委員  大学教育の質保証に関する国際的な調整の必要性について、具体的にはどのような動きがあるのか。また、アメリカやEUでは修業年限の話題はどうなっているのか。また、英国のデアリングレポートではどのようなことが書かれているのか。

委員  教育の質保証の動きは国際的なものになっており、質保証の国際的通用性が確立するのに5年から10年くらいはかかるのではないか。また、デアリングレポートにはサブデグリーを強化・拡大することが重要だと書かれている。これは、日本の高専が参考にされたという話も聞いている。

委員  基準上は単位と時間数で規定されているが、実際の現場では「コマ」という単位で動いている。1コマ90分だったり100分だったり様々だ。明確に整理した方がよいのではないか。

委員  アメリカの「associate degree」は4年制で出す場合もある。2年制と4年制が別の大学という概念ではない。

委員  日本は職業志向が強く、大学も職業教育を打ち出さないと生き残りが難しいという面もある。一般教養科目の修得必要単位数を各大学の判断に任せたところ、専門教育が拡大し、一般教養科目が減少したという現状がある。学士課程教育とは何か、専門基礎をどうするのか、その前提として職業志向をどう考えるかを検討しなければならない。

委員  アメリカの学士課程の変化の要因は、1つが学生紛争、もう1つがボケーショナリズム(職業教育重視主義)である。アメリカで一般教育リバイバルがあったのは70年代後半から80年代である。

委員  学部3年制と大学院という役割分担の形態も今後に向けて考えられるとは思うが、国際的通用性をどう確保するかが大きな課題だ。

委員  大学院での教育内容の如何にもよるのではないか。

委員  現在は単位互換が幅広く認められており、4年制大学以外での学修も単位に換算できるようになっている。こういった場合の学士課程の独立性や自主性についてどう考えるか。

委員  アメリカは州ごとの規則によるが、最後の1年が学位を出す基準になっているところが多いようだ。この問題は個々の大学の教育目標、学位の意味することによる面が大きいのではないか。4年間全て大学で教育を行う必要があるとする大学もあるだろうし、外での学修を積極的に認める大学もあるだろう。実際に1年間の寮生活を強制する大学もある。学位の趣旨に合っていれば良いのではないか。

(2)  事務局から「大学分科会の今後の審議の進め方」についての説明があった。

 次回の日程
 次回は、日程調整の上で決定することとなった。



(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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