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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/03/12
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第7回)議事要旨

中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第7回)議事要旨

 

1   日時    平成14年  3月12日(火)16時〜18時

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場所    

文部科学省分館特別会議室201,202

3  

議題
 
  (1) 大学等の設置認可の望ましい在り方等について
  (2) その他

4   配付資料
    資料  1    将来構想部会(第6回)議事要旨(案)
  資料  2   第三者評価制度の導入等による大学の教育研究の質の保証を図るためのシステムの構築について(骨子案)
  資料  3   大学分科会の今後の日程について

(机上資料)
    ○   将来構想部会関係基礎資料
  大学設置審査要覧
  高等教育関係基礎資料集
  大学審議会答申・報告集
  中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」
  文部統計要覧
  教育指標の国際比較

5   出席者 (委      員) 鳥居泰彦(会長),高倉  翔(副部会長),石倉洋子,中嶋嶺雄,茂木友三郎の各委員
   (臨時委員) 天野郁夫,黒田壽二,島田Y子,関根秀和の各臨時委員
   (専門委員) 青山善充,大南正瑛,越原一郎,鈴木  忠,中津井泉の各専門委員
   (文部科学省) 御手洗文部科学審議官,結城官房長,工藤高等教育局長,石川私学部長,清水高等教育審議官,板東高等教育企画課長 他

6   議   事
     
(1)   事務局から資料について説明があり、その後大学等の設置認可の望ましい在り方等について自由討議を行った。
     
(○:委員,●:事務局)
     
    「設置審議会の取扱い方針」は多方面に言及しすぎていて分かりにくい。どうしたいのかが分かるように端的・明確に書くべきだと思う。
      
    設置認可に関する案は前回の会議の二つの案の折衷案だそうだが、どこが折衷案なのか。短期大学の学科の新設は、認可の対象にするべきなのか。大学の規制緩和との整合性を取る必要があるだろう。大学全体の収容定員内における定員の増減の例外とされている特定分野の学部は、できるだけ少なくした方がよいと思う。「校地に係る基準の見直し」はなぜ残っているのか。第三者評価の適用の猶予期間は設けるべきなのか。
      
    短期大学については、定員内の改編が容易となるような弾力的配慮を要望する。
      
    折衷案については、前回の案の1を基本とし、学位授与が可能かどうかを組織的に審査するものである。校舎面積の基準や短期大学の在り方については様々な意見があるが、この案を踏まえてご意見をいただきたい。短期大学と大学との整合性は重要だと思う。第三者評価の猶予期間については、複数の評価機関ができ制度の導入が可能になった時に適用を考えるべきだと考える。特定分野の抑制方針に関してもご意見をいただきたい。
      
    高等専門学校の設置基準について、どう考えているのか。設置認可には既存の大学の改組転換や新学部等の設置、新たな大学の設置の問題があるが、それらは全く違うものだと思う。また、短期大学については、既存の学校における学科の弾力化が問題なのではないか。
      
    高等専門学校については、今後ご議論いただきたい。大学の新設については、引き続き認可の対象になるのではないか。
      
    既存の大学に対する校地面積の弾力化には賛成だ。基準面積の問題が、学校法人の成り立ちに関わってくるのではないか。校地面積基準を緩和するのであれば、財政基盤の確保が重要になるだろう。
      
    大学院の設置基準はどうするのか。また、設置認可の対象は教育研究の質を保証する上で必要不可欠な事項に限定するとされているが、必要不可欠な事項とは何か。法令に違反した大学に対して国が改善勧告や閉鎖命令を出すというが、この場合の法令とは何を指すのか。設置認可基準違反は法令違反に当たるのか。学位の水準・分野を変更しない範囲内の組織改編は届出という考えだが、人文学部経済学科から経済学部を設置する場合には届出でよいのか。単純な例だけでなく複雑な例を出して、考えていただきたい。
      
    大学院や学位の認可対象については、ご意見をいただきたい。設置認可基準の必要不可欠なものに関しては、今後精査していきたい。また、設置基準自体は文部科学省令であるので当然法令に当たる。
      
    大学院が学部の上にあるという理解では、今後はやっていけないのではないか。法令には省令も政令も入るということだが、そうであれば私立学校法第5条第1項第2号と第2項を参考にすると、水増し入学や設置基準を守っていない場合には閉鎖命令が出せるのか。
      
    法令違反の場合には適用があり得るが、実際に発動するかは別問題だ。
      
    現行法規でも定員を何倍も超過している場合には改善命令を出して、それに従わない場合には閉鎖もあり得るのか。法改正しなくても可能なのか。
      
    必要な法改正等は行う。議論での指摘を踏まえて対応していくことになる。
      
    前回のトータルシステムという表題が変わったのはよいが、迫力がないし長いので、もう少し考えていただきたい。設置認可について、学位を授与する時の同一性の維持の有無により捉えるという方向性は正しいと思う。学位授与権の根拠や認可対象の要件については、更に検討すべきだろう。法科大学院は認可の対象にするべきだ。専門職大学院については認証評価機関の評価を受けるようにしていただきたい。学位取得が国家試験受験資格と結びつくと考えてよいのか。法科大学院に関しても評価機関が立ち上がるまで猶予期間を認めるのか。その辺りについては、法科大学院以外の取扱いにも踏み込んだ記述がほしい。校地面積について、サテライト等の場合をこれまで考えてこなかった。法令違反の場合には閉鎖命令の前に中間的な改善勧告があるが適用されていない。そのために、設置認可の取消を規定すべきだとされているが、これまでにその議論はなされてきたのか。
      
    サテライト教室は、大学院にのみ認められている。大学院の場合は学部の上部組織的な要素もあり、校地面積等についても明確な規定がない。独立研究科でも基準面積は定めていない。今後の整理については議論を踏まえて考えていきたい。
      
    専門職大学院が本格化すると、新しい職種が出て来る可能性がある。例えば、フランスではソルボンヌ大学等で新たな職業分野に高度専門研究学位を出している。新たな職種に対する学位をどうするのか。
      
    専門大学院と専門職大学院の違いは何か。
      
    専門職大学院については、現在大学院部会で議論中である。近年大学院での高度職業人養成の機能が重要になってきたため、平成11年度より専門大学院を設けた。しかし、専門職業人養成を目的としながら、研究指導要件等が過重になっている面があり、修士課程との違いが不明確という指摘もある。従って、専門職業人養成に特化した新たな専門職学位課程を設けるべきではないかということでご議論いただいている。
      
    前回までは機関別第三者評価を義務化するとしていたが、今回は「評価を受けることとする方向で検討する」となっている。これは何らかの形で国が行政指導を行うという解釈でよいのか。国が認証評価基準を直接行う場合には、中間的な委員会を置くことを構想しているのか。国が認証する場合、どういう手続きになるのか。
      
    評価に関してだが、設置認可の弾力化と事後チェックシステムの導入は、大学の質の確保のためにセットで考えるべきだろう。機関認証の手続きについては、評価機関を国が認証するというのが基本だが、中間組織を入れることも含めて今後更に検討していただきたい。
      
    機関別第三者評価の適用に関して猶予期間を設ける考えがあるが、そこは曖昧にせずスタート時期を明確にするべきだと思う。それを受けて各機関等が準備できるのではないか。
      
    認証評価基準という言葉はおかしい。認証基準でよいのではないか。
      
    機関認証基準のタイプミス。修正する。
      
    今後様々な評価機関が出てくると思うが、それを国として認証する必要がある。既存の評価機関を育てるために評価を義務付けるべきだ。評価機関が不完全な間は、評価結果を公開するのは差し控え、必要な処置を取りながら評価事務を進めなくてはならないだろう。大学が基準違反等をした場合に閉鎖命令以外に途中段階の指導が可能だが、私立学校法は公権力を排除するために、私立大学審議会が自発的に議論し改善しようとしていた。その精神を鑑みると、中間指導を文部科学省がするのは好ましくないのではないか。
     
     設置基準の簡素化が図られているが、これは設置基準を廃止するものではないだろう。事後チェックである第三者評価は各大学の努力が必要になる。第三者評価基準は上限がないので、大学の個性化が強まるのではないか。評価を義務化すると、一定の基準を満たすために大学が没個性的になるおそれがある。従って、評価を義務化するべきではないと思う。設置基準により最低基準は設定されているので、それに違反する場合に行政指導を続けることが大事だろう。事後チェックは高いレベルで考えていただきたい。また、少なくとも10年先を想定して議論をお願いしたい。
     
     現状に鑑みて第三者評価機関の国の認証は必要だが、将来的にはなくすべきだろう。各評価機関が社会から評価されるべきで、そのために個々人が責任を持って判断できるようにならなければならない。そうなれば、淘汰されていくのではないか。評価については、義務化しない方がよいのではないか。
     
     文部科学省の設置認可権と評価機関への認証権の関係は、どうなっているのか。大学の法令違反の有無は誰が判定するのか。これまでの案では認証評価機関が判定するとされていたが、今回の案でも監査の形で文部科学省が行うのか。適格認定の対象は教育に関して行うという考え方でよいのか。
     
     これまでの案は評価機関をもっと活用すべきだというものだったが、国としての役割と評価機関としての役割を区分すべきだという議論に基づき、今回はそれらを切り離した案となった。それにより評価機関が国の下請け機関ではないことが明確になっている。大学に関しては、自己点検評価以外に外部評価が求められるのではないか。今後は更に新たな評価基準や機関が出てくると考えられるので、一つの最低水準を義務付けるということにはならない。評価には義務付けが必要だという意見もあり、その辺りは総合的にご議論いただきたい。
     
     義務付けから生じる効果を考えずに、義務付けの有無について議論しても無意味ではないか。各大学が自発的に評価を受けるのが望ましいが、その義務化の有無は立法パターンや法文上の問題ではないか。基本的に各大学は評価を受けるべきだと思う。法令違反には省令違反も当然入るだろう。それが直接に行政権行使に繋がるとは限らないのではないか。
     
     専門職大学院に求められる基準が検討課題なのではないか。大学院重点化による最大の問題は施設・設備の不足だと思う。その辺りの配慮がないままでは、大学と大学院の質の劣化に繋がるだろう。まず基本的条件の整備を検討する必要があるのではないか。
     
     大学院の在り方等の問題については、大学院部会で総合的に検討している。この部会では設置認可のシステム等政策的な部分についてご議論いただきたい。
     
     大学院の整備は、これまで量の拡大に比重を置いてきており、施設・設備面については設置基準には厳密な数値基準を規定していない。このため、大学院についてはサテライト教室を認めるなど、柔軟な対応が行われてきたという面もある。法科大学院などを考えていく上で設置基準を定めつつも柔軟な対応が行えるような工夫も凝らしながら改正する必要がある。
     
     日本の高等教育の将来の規模、内容等をどうするか。これまで全体として日本の高等教育の規模については質の確保のために抑制的だったが、それでも進学率が5割を超えている。そのような状態でよいのか。また、国土の均衡ある発展を考えて工場等制限法の廃止作業が進んでいるが、それにより東京に大学が集中し、地方の個性的な大学が潰れるおそれがあるのではないか。規制緩和により質のよくない私立大学が日本の高等教育全体の足を引っ張りかねない状態になった時、その対応は国がするのか、大学人同士がするのか。その辺りの目標を立て、水準向上のためにどうするべきかを議論していかなければならない。
     
     工場等制限法の廃止については、これまでの国土の均衡ある発展を目指してきた政策を放棄することになるのではないか。大都市にある大学の定員を自由にすれば、分散している地方大学が潰れるおそれが出てくるだろう。それについては、国として高等教育の地域的バランスを考えたポリシーが必要ではないか。
     
     設置認可の在り方についてだが、その対象を必要不可欠なものに限定するとしているが、それにより大学とは何かについての線引きがなされるのではないか。また、現行制度からそこへの移行期間をどう扱うのか。そこをはっきりさせないと混乱するのではないか。
     
     少子化の進展した社会では、工場等制限法の廃止に伴って地方大学が消滅していくことは明白だ。首都圏での大学設置の自由化に関しては、充分な検討や議論が必要だと思う。
     
7   次回の日程
   次回は、3月19日(火)に開催することとなった。


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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