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おわりに
- 本答申は,高等専門学校教育の現状を踏まえ,限られた時間の中でその充実の具体的方策についてとりまとめたものである。言うまでもなく,高等専門学校教育は,大学等の高等教育機関だけでなく専門高校,あるいは職業訓練校などで行われている職業教育の重要な一翼を担っている。
- 他方,我が国の状況を鑑みると,我が国のものづくりを支えてきた優れた技術を有する団塊世代が一斉に退職を迎えつつあり,一方でアジア諸国の急速な発展に伴い国際競争が激化する中,技術の継承・発展を担うことのできる人材育成が,学校教育において重要となっている。また,少子化の進行,若者の高学歴志向,理科離れなど職業教育を担う各学校においても共通する様々な課題が生じており,職業教育の在り方についても見直すべきとの声も聞かれる。
- こうした中,これまで述べてきたように高等専門学校教育は,実践的・創造的技術者の養成という明確な教育目的のもとで行う5年一貫の職業教育,専門科目と一般科目をくさび形に編成した体系的な教育課程,卒業生が就職だけでなく希望に応じて専攻科あるいは大学編入学,大学院への進学等柔軟なキャリアパスが整備されてきていること等多くの特色を有している。このような特色は産業界を中心として社会から高く評価されており,今後の職業教育の在り方を検討する際には大いに参考とされるべきである。
- 一方,高等専門学校は,国立高等専門学校機構が運営する55校の他,公立高等専門学校が6校(うち3校が学生募集停止),私立高等専門学校が3校にとどまっており,専門高校が2,300校を超えているのに比べるとその規模はあまりに小さいことに留意すべきである。高等専門学校制度の課題としては,高等教育のユニバーサル化,生徒の普通科志向や自らのキャリア選択を遅らせる傾向により,中学卒業段階で5年間継続した職業教育を受ける選択をすることが難しくなっていること,また高等専門学校の社会的認知が低いこと,施設・設備の整備や維持管理等に多額の経費を要すること等の指摘もなされている。
- 以上のような高等専門学校等の教育の特色や課題を検証し,さらに,本委員会で議論された経緯を踏まえつつ,今後の職業教育の発展・充実に資するための検討がなされることを期待したい。
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