ここからサイトの主なメニューです
 |
はじめに
- 高等専門学校は,中学校卒業後の段階から5年一貫の実践的専門教育により,幅広い分野で活躍できる実践的・創造的な技術者を養成してきており,卒業生の高い就職率・求人倍率に見られるように,質の高い教育を行っている機関として社会から評価されてきた。平成18年に我が国を訪問したOECD(経済協力開発機構)高等教育政策に関する視察団からは,「高等専門学校教育はグローバル水準から見てもレベルが高い」とコメントされ,その質が高く評価されている。
- 中堅技術者の養成機関として発足した高等専門学校であるが,産業技術が急速に高度化する中で,優れた資質と高い意欲を持った卒業生が企業の中でかなり高い位置づけの技術者として活躍するようになり,開発から現場まで様々な場で活躍する多様な人材輩出に至ったことは高等専門学校の価値を大いに高めることになっている。
- 一方,近年では,15歳人口の減少,理科への関心の薄れ,高等教育のユニバーサル化,国立高等専門学校の独立行政法人化と国の厳しい行財政事情等,高等専門学校を巡る状況は大きく変化してきている。
- このような中で,知識基盤社会の到来に伴う科学技術の高度化や,団塊世代の退職に伴ういわゆる「2007年問題」への対応の必要性が生じており,熾烈な国際競争の中で科学技術創造立国を実現する観点から,高等専門学校教育の一層の充実・強化を図ることが重要となっている。
- 平成19年2月に発足した第4期大学分科会では,その下に「高等専門学校特別委員会」を設置した。審議会の場でこうした形で高等専門学校教育に焦点を当てて本格的な検討を行うのは,平成3年に大学審議会の答申「高等専門学校教育の改善について」が出されて以来,16年ぶりのことである。本特別委員会では平成19年3月の第1回会合以来,これまで12回の会合を開催し,高等専門学校,大学,産業界等様々な立場にある委員から高等専門学校の現状と課題について活発な議論を行うとともに,これをもとに,今後の国・公・私立を通じた高等専門学校の振興を図るための方策について検討してきた。
- 本答申は,高等専門学校の振興方策について,これまでの本特別委員会において出された意見の集約と整理を図りつつ,とりまとめたものである。
これまで高い評価を受けている高等専門学校教育をさらに発展させていくためには,カリキュラム等の教育内容の充実のみならず,学生の学習意欲を含めた教育効果をも左右する施設・設備など教育基盤の整備・充実を図ることが重要である。その上で,高等専門学校自身が,引き続き高等教育機関として今後の国際競争の中で実力を発揮し社会に貢献できる人材を育てていくため,教育の個性化,高度化を図る方策として,高等専門学校間,他の教育研究機関との間,産業界・地域社会との幅広い連携を積極的に進めていくことが極めて重要である。同時に,本特別委員会としては,初等中等教育段階の学校,家庭から産業界まで含めた社会全体に高等専門学校教育への理解と支援が広がっていき,そうしたことを通じて,高等専門学校の学生や教職員等の関係者がこれまで以上にプライドとステイタスをしっかりと持って学習や教育研究に取り組んでいける社会的環境が醸成されることを強く望んでいる。
|
 |
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology