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基本的な考え方
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○ |
現在の大学における教授、助教授、助手という職の在り方は、基本的には、講座制・学科目制を想定したものであるが、平成13年の大学設置基準の改正により、講座・学科目以外の組織編成が可能になっており、制度上、これらの職の在り方についても見直すべきである。
実態上も、私立大学では、一部を除き、講座制や学科目制は、実質的に設けられておらず、制度と実態と乖離している。国立大学においても、いわゆる大講座制や大学科目制が増加し、従来の講座制とは異なってきている。このような制度や実態の変化を踏まえ、講座制を離れ、高い流動性や開放性を持ち、教育研究活動の活性化につながるようま教員組織の在り方を検討することが必要である。 |
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検討の視点
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○ |
我が国の大学等が国際的な競争力を持つ魅力ある大学等へ発展していくためには、質の高い教育研究活動を展開することが不可欠である。
特に、若い研究者が独自の発想に基づいて、独創的な研究を行う能力を最大限発揮できるような環境づくりが重要である。しかし、現在、の若手研究者の助教授や助手にとって、現行制度上の助教授や助手の職名や職務内容は実態に合わず、独立性を妨げることにもなりかねない。
このため、学校教育法上の助教授や助手の職名や職務内容を見直すなど、若手研究者がより独立して研究を行うことができるような方向で教員組織の在り方を見直すべきである。
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○ |
教員が視野を広げながら、資質・能力を高めていくためには、教員の人事の流動性の向上、特に、国際的な人事の流動性の向上が重要である。このため、我が国の大学教員の職についても、諸外国の大学教員の職の在り方を踏まえながら、国際的な通用性を持ったものとなるように十分配慮して見直すべきである。
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○ |
各大学が、教育研究の進展や社会・経済の変化に対応して、多様で特色ある教育研究活動を展開するためには、教員組織の在り方についても、各大学の判断により、柔軟な設計や機動的な対応を可能とすることが必要である。
現行制度上、教授、助教授、助手は置かなければならないこととされているが、このような大学教員の職についても、各大学の判断によって、より柔軟に設計できるようする方向で見直すべきである。
また、講座制・学科目制についても、従来の閉鎖的・硬直的な講座制等からの脱却が図られるための方策を講じるべきである。 |
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大学教員の職の在り方について
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1. |
大学の教員の職の構成について
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【キャリアパス全体について】 |
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○ |
大学教員の基本となる職は教授であり、教授が運営上の責任を負うこととするべきである。また、優れた教員を確保するためには、競争の下、一定の審査・評価を経て、昇進するシステムとすることが必要である。そのため、大学教員のキャリアパスは、教授、その前段階の者、若手研究者養成の職の3段階のシステムとすることが適当である。
もっとも、各大学の判断によって、実情に応じ、異なる段階を設けることや、様々な資格制度を導入することも可能とすべきである。
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○ |
各段階における昇進に当たっては、適切な評価基準を設けて審査を行い、それを満たさないと昇進できないこととすることが重要である。その際、各大学の理念や分野の特性等に応じて、教育上の能力に重点を置くなど、評価対象や評価基準を変えていくことが適当である。
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○ |
アメリカのテニュア制は付与する際の審査が適切なものであれば、優れた大学教員を確保する上で優れたシステムであり、各大学の主体的な判断により、普及拡大が図られることが望まれる。
中でも、若手研究者養成のための新しい職については、大学の判断によるものであるが、アメリカのテニュア・トラックにある職のように、任期付で一定期間、研究等を行うことができるようすることが望ましい。特に、最先端の研究を志向する大学において導入することが強く望まれる。
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○ |
給与についても、一部には、柔軟な対応が行われている例も見られるものの、国公私立大学を通じて、横並び的な実態が多々見られる。大学教員全体について、年功序列的な横並びではなく、多面的な要素で業績や能力を評価して、それを給与等の処遇に結び付けていくことが必要である。
また、必要に応じて、優れた研究者を確保するためのも、また、流動性を高めるためにも、給与面等の待遇において特に優遇することも重要である。
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【教授の前段階の職について】 |
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○ |
教授の前段階の職として、現行制度上、「教授を助ける」ことを職務とする助教授が置かれているが、職名や職務内容が実態とかけ離れていることや、諸外国の大学教員の職制を踏まえれば、見直した方が適切である。
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(検討していただきたい事項)
○ |
新しい職を設ける場合、その職の位置付け(職名、職務内容、資格等)や、それと処遇との関係
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○ |
各大学において実際に活用され、定着するための方策
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○ |
現行の助教授の制度の取り扱い及び現在の助教授の職にある者の処遇 |
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2. |
若手研究者のための職について
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○ |
現在、助手の職にある者が行っている職務には多様なものが含まれており、しかも、実態上、各分野や各大学によって様々な職務が多様な形で組み合わさっている。このため、助手の位置付けも曖昧なものとなっており、各分野や各大学によって、若手研究者の養成過程、教育研究活動の補助、学科や研究室の運営事務担当と様々である。
このような多様な状況にある助手を、助手という一つの職名、職務内容で括ることはおかしく、職務を整理して複数の職に分けるべき。
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○ |
特に、助手のうち、将来、教授等になることが期待される若手研究者養成のためのポストとして位置付けられている者については、現在の助手の職名や職務内容は実態上も、国際的な通用性からも適切ではなく、検討が必要である。
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○ |
若手研究者養成においては、研究面だけでなく教育面における養成も重要である。研究面の能力や実績とともに教育面の能力や実績に着目したり、むしろ教育面の能力や実績を重視することも考えられる。また、地域貢献等の観点からも、教授等だけでなく、若手教員の職にある者も、責任をもって教育を担うことができるようにすることも重要である。
このため、若手研究者養成のための新しい職としては、研究とともに、学生へ教育を行うことも主たる職務とすることが適当である。 |
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(検討していただきたい事項)
○ |
新しい職を設ける場合、その職の位置付け(職名、職務内容、資格等)や、それと処遇との関係
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○ |
各大学において実際に活用され、定着するための方策
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○ |
現行の助手のうち、専ら教育研究活動の補助、技術的な職務、事務的な職務を担っている者についての職としての位置づけ(どのような職にするか等)や処遇 |
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3. |
その他、全体について
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○ |
各大学や各学問分野によって、どういう職種がどの程度必要かということは異なっており、一つのシステムですべての大学に対応することは無理であり、各大学の判断に、より一層委ねることが必要である。
若手教員の養成のための新しい職についても、各学問分野の特性や各大学の理念等に基づいて柔軟に対応することができるよう、必ず置かなければならないとするのではなく、各大学の判断により、置くことができることとすべきである。 |
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(検討していただきたい事項)
○ |
法令上、必ず置かなければならない職と、各大学の判断により置くことができる職として法令上例示する職をどのように定めるか。 |
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○ 高等専門学校の教員組織の在り方についても、大学と同様に考えるべきである。例えば、高等専門学校においても、若手教員の主力は助手であり、これらの者の活用が、技術者教育の活性化や高等専門学校全体の活性化において大事である。そのため、大学と同様に、高等専門学校のキャリアパスも三段階とし、教授の前段階の職や、若手教員養成のための職として、新たな職を検討すべきである。
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講座制・学科目制等の教員組織について
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○ |
一部の大学や分野においては、従来のまま閉鎖的・硬直的な講座制・学科目制が採られている。また、大講座制・大学科目制になったものの、実質は従来の講座が集まっただけのところもある。
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○ |
各講座の教授が、カリキュラム編成等の教育面や人事等の運営面において、強い権限を持っていることが様々な問題につながる。例えば、各教授等がそれぞれ独立して研究を進める権限を持ちつつも、組織の中心となる者、例えば、アメリカのチェアマンのような者が、教育、研究、運営全体について権限を持ち、取りまとめていくような在り方も考えられる。
ただし、このためには、チェアマンのように中心となる者の権限を明確にし、リーダーシップを発揮できるようにすることや、従来の講座毎の縦割りの意識や運用を改めることが必要である。
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○ |
教員組織は、教育の軸として編成するか、研究を軸にして編成するかによって在り方が異なってくるため、各大学の理念等によって違ってくる。
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○ |
平成13年の制度改正により、講座制や学科目制以外の教員組織を編成することも可能となったが、制度改正の趣旨や制度改正が行われたこと自体が十分浸透していない。また、改正後の規定も、講座制や学科目制が原則とするかの如き規定振りであることや、講座制について詳細な定めを設けていることが、改善が進まない一因になっていると考えられる。
このため、教員組織の編成については、より大学の判断に委ねることが明らかになるように講座制等の規定を見直すことが必要である。
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(検討していただきたい事項)
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今後の望ましい教員組織の在り方について
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○ |
実態として、各大学において閉鎖的・硬直的な講座制等からの脱却が図られるための方策。 |
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