即時プレスリリース
2006年5月30日
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Jamie Merisotis
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Jan Sadlak
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ベルリン-十数カ国からの専門家による革新的な会合により、高等教育機関のランキングのための初めての国際的な原則が生み出された。大学ランキングの世界的な現象のなかで、「ランキングを生み出す人々が、自らのデータ収集・手法および普及にあたっての質に対して、自ら説明責任を保持する」ことを保証するための国際的な原則の確立が必要とされていると、高等教育機関のランキングに関するベルリン原則という文書は述べている。
この会合には、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(UNESCO European Centre for Higher Education: UNESCO-CEPES、ルーマニア、ブカレスト)と高等教育政策研究所(Institute for Higher Education Policy、米国、ワシントンDC)の召集により、いくつかの指導的なランキング団体と、学術的な指導者、ランキング分野のその他の専門家が参加した。参加者たちは、多様な国々でのランキングの発展の最新動向について議論した。現在、少なくとも20カ国で定期的にランキングが行われており、同時に、国を越えた、あるいはグローバルなランキングが出現しつつある。会合は、高等教育開発センター(Centre for Higher Education Development:ドイツの週刊誌ツァイトDie Zeit上で大学ランキングを発表し、現在は他の国々のランキングも開発)がホストを務めた。
ベルリン原則は、継続的にランキング・システムの改善と評価を行う上で役に立つグッド・プラクティス(良い実践)を中心としたものである。この原則では、ランキングの目的・目標、指標のデザインと重み付け、データの収集と処理、そして、ランキング結果の呈示などについての原則が示されている。
16の原則によって、ランキングが目指すべきグッド・プラクティスの重要な基準や勧告が明示されている。
過去20年間に、高等教育ランキングは世界中に出現した。1980年代に始まったUSニューズ・アンド・ワールド・レポート(US News and World Report)による大学ランキングが通常この分野の最初のものと考えられており、それに続いて他の雑誌、新聞、個人、および政府さえもが、他の数カ国で自分たちのランキング始めた。高等教育界で時折論議を呼びながら、これらのランキング・システムは、地方や国、そして国際レベルで消費者のための情報ツールとして役割を増している。
会合の参加者は、(各々が所属する機関の公的な関与としてではなく)このベルリン原則に合意した。そして、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センターと高等教育政策研究所は、この原則の普及と国際的な対話を継続的に招集する責任を担うことにした。
高等教育政策研究所(詳しくはwww.ihep.org)(※THE INSTITUTE FOR HIGHER EDUCATION POLICYウェブサイトへリンク)とユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(詳しくはwww.cepes.ro)(※UNESCOウェブサイトへリンク)と高等教育機関とその教育プログラムのランキング現象に関しての有識者による国際的な議論の必要性に応えている。このプロジェクトは、2002年にワルシャワでユネスコ・ヨーロッパ高等教育センターが開催した史上初のランキングについての国際会議が始まりである。第2回の会合は、2004年後半にワシントンDCで開かれ、この場において、非公式ではあるが、継続的な国際ランキング専門家グループ(International Rankings Expert Group)が作られた。次の専門家グループ会合は、2007年秋に上海で行うことが計画されている。その場では、ベルリン原則で形作られた作業を継続するための、より公式の、審議機能をもつ団体を設立することについての議論も行われることになるだろう。
高等教育機関とその教育プログラムのランキングは、世界的な現象である。ランキングは、多様な役割を果たしている。ランキングは、それぞれの高等教育機関の位置付けについて、容易に解釈できる情報を求める消費者からの要求に応える。ランキングは、高等教育機関間の競争を促す。ランキングは、財政配分に対して幾らかの根拠を与える。そして、ランキングは、異なる種類の高等教育機関・プログラム、そして専門分野間の識別を行う助けとなる。さらに、ランキングは、正しく理解され解釈されれば、ある国の中での高等教育機関の「質」の定義に貢献することがある。このことを通じて、ランキングは、公的ないし独立したアクレディテーション(高等教育の基準認定)機関によって実施される質の評価の厳格な作業を補完する役割を果たす。以上は、高等教育機関のランキングが国のアカウンタビリティ(説明責任)及び質保証プロセスの枠組みの一部となり、また、より多くの国がランキングの開発を将来的に検討する方向にある理由である。この趨勢を考えると、ランキングを生み出す人々が、自らのデータ収集・手法および普及にあたっての質に対して、自ら説明責任を保持することが重要である。
上記の観点から、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(UNESCO European Centre for Higher Education: UNESCO-CEPES、ブカレスト)と、高等教育政策研究所(Institute for Higher Education Policy、ワシントン)によって、2004年に国際ランキング専門家グループ(International Ranking Expert Group:IREG)が結成された。このイニシアチブのもと、IREGの第2回会合(2006年5月18-20日於ベルリン)が召集され、高等教育機関のランキングにおける質とグッド・プラクティス(良い実践)についての諸原則-高等教育機関のランキングに関するベルリン原則-が検討されたのである。
これらのランキングが、国、地域、あるいはグローバルな視野をもつもののいずれであっても、このイニシアチブは、ランキングの精緻化と普及のための枠組みを設定し、この枠組みによって、最終的には、これらのランキングを行うのに用いられる手法の継続的な改善と洗練のためのシステムへとつながることが期待される。ランキングの手法は多種多様であり、それ故にランキングのグッド・プラクティスのためのこれらの原則が、ランキングの改善と評価に役立つことだろう。
2006年5月 ベルリン
(和訳:大学評価・学位授与機構評価研究部助教授 米澤 彰純)
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室
-- 登録:平成21年以前 --