制度部会(第16回) 配付資料

1.日時

平成18年2月15日(水曜日) 10時~12時30分

2.場所

三田共用会議所 第4特別会議室(4階)

3.議題

  1. 部会長の選任等
  2. 大学設置基準等の改正についての意見交換
  3. 自由討議(制度部会の検討課題 等)
  4. その他

4.配付資料

机上資料

  • 高等教育関係基礎資料集
  • 我が国の高等教育の将来像(答申)
  • 新時代の大学院教育(答申)
  • 経営困難な学校法人への対応方針について
  • 教員分野に係る大学等の設置又は収容定員増に関する抑制方針の取扱いについて(報告)
  • 大学の教員組織の在り方について(審議のまとめ)
  • 大学の設置認可制度に関するQ&A(平成17年度)
  • 大学設置審査要覧(平成17年改訂)
  • 文部科学統計要覧(平成18年版)
  • 教育指標の国際比較(平成17年版)
  • 大学審議会全28答申・報告集
  • 中央教育審議会 答申
    「大学等における社会人受入れの推進方策について」「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」「新たな留学生政策の展開について」「薬学教育の改善・充実について」「新しい時代における教養教育の在り方について」

5.出席者

委員

 鳥居泰彦(会長),安西祐一郎,江上節子,木村孟,郷通子の各委員

臨時委員

 有信睦弘,荻上紘一,佐藤弘毅,長田豊臣,森脇道子,矢崎義弘の各臨時委員

専門委員

 梶山千里,雀部博之,杉山武彦,八田英二,光田好孝,吉田文,米澤彰純,米山宏の各専門委員

文部科学省

 石川高等教育局長,金森私学部長,泉高等教育局担当審議官,清木高等教育企画課長,小松国立大学法人支援課長,中岡大学振興課長,片山私学行政課長,安藤私学部参事官,鈴木大学設置室長 他

6.議事

 (○:委員,●:事務局)

  • (1)部会長に安西祐一郎委員(慶應義塾長),副部会長に郷通子委員(お茶の水女子大学長)が選出された。
  • (2)会議の公開に関する規則が決定された。
  • (3)部会長から挨拶があった。
  • (4)事務局から「大学設置基準等の改正について(案)」及び「大学の設置等の認可申請・届出に係る手続等に関する制度改正について(案)」の説明があり,その後意見交換が行われた。

大学設置基準等の改正について

  • ○ ただ今説明があった事項については,できるだけ早く改正すべきである。また,「新時代の大学院教育(答申)」の提言内容に対応する学士課程段階での設置基準の改正についても,当部会で議論し,大学設置基準の改正につなげていくべきである。
  • ○ 「新時代の大学院教育(答申)」の中で提言された事項は,学部教育の質の向上にもつながる重要な課題である。
  • ○ 大学審議会の時代から何度も大学設置基準を改正しているが,一部には改正した事項が実態に合わなくなってきているものがある。再改正が必要と思われる事項がどれくらいあるか一度整理すると,審議会として何を議論すべきかが明らかになるのではないか。また,大学設置・学校法人審議会では審査に当たってどのような課題を抱えているのか等,現行基準の問題点を明確にできれば,大学分科会においても議論が円滑に進むのではないか。
  • ○ 「講座制・学科目制に代えて,新たに教員組織の基本となる一般的な在り方を定める」とあるが,具体的にはどういうことか。
  • ● 平成17年1月24日に出された「大学の教育組織の在り方に関する検討委員会」の報告書「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>」には,教員組織の基本となる一般的な在り方として,「教育研究上の目的を達成するため,必要な教員を置くこととし,主たる授業科目は原則として専任の教授,准教授が担当すべきであること」「大学は,それぞれの教育研究上の目的を達成するために,教授,准教授,助教等の全ての教員について,役割の分担及び連携の組織的な体制が確保され,かつ,責任の所在が明確であるよう教員組織を編制するものとすること」と述べられている。今回は,これらを大学設置基準上に定めるものである。
  • ○ 講座制・学科目制を廃止する一方で,教育の質を担保するために,各大学がそれらに代わる教員組織を整えることが必要であるということではないか。
  • ○ 講座制の規定を大学設置基準から削除するのか。
  • ● そのとおり。
  • ○ 国立大学の予算は講座単位で立てられているが,講座制を廃止するのであれば,国立大学の予算の立て方が大きく変わるのではないか。
  • ● 確かに従来,国立大学の予算は講座制を前提に細かく積算を行ってきたが,これについては法人化する以前から既に簡素化する方向になっていた。また,法人化の際には,その時点での予算を前提に算定し,運営費交付金を交付している。よって,今回,大学設置基準から講座制についての規定が無くなったとしても,直接には予算の積算に影響するということはない。

大学の設置等の認可申請・届出に係る手続等に関する制度改正について

  • ○ 改正に向けた今後の予定はどうなっているのか。
  • ● 平成18年度当初からの適用を目指しているため,平成17年度内に省令改正等の手続を行う予定である。
  • ○ 講座制の廃止は,国会の審議を経ずに文部科学省のみで改正することができる事項となっているのか。
  • ● そのとおりである。大学設置基準は省令であるため,文部科学大臣の決裁で改正が可能である。しかし,大学設置基準の改正に当たっては,法令の規定によりあらかじめ中央教育審議会の諮問・答申が必要であり,関係の深い制度部会において御説明したところである。
  • ● なお,講座制・学科目制については,学校教育法には直接の規定はなく,大学設置基準上に規定がある。今回の改正では,大学設置基準上の規定を削除するものである。
  • ○ 講座制とは,予算編成等,大学にとっての最小単位の組織体であり,一方ではそれにより大学運営が硬直化しているとも言われてきた。今般の改正により講座制・学科目制の枠を超えて自由な制度設計により教育研究の活性化が図られるよう配慮されているのは理解できる。実際,各大学において講座の名称を変更する等,従来の講座制・学科目制と異なる組織を作るとして,その予算配分等の枠組みは大学内で議論すれば良いという理解で良いのか。
  • ● 講座制・学科目制は,大学設置基準上,国公私立大学に対する通則として規定されているが,それ以外の組織を置くことも可能となっている。
     一方,現状では,私立大学では一部を除き,講座制をとっていない。また,国立大学についても,法人化により講座制に基づく予算の積算を行う方法は廃止されている。
     教員組織の在り方に関する検討委員会においても,講座制・学科目制に関する規定を削除したとしても,講座制・学科目制をとることを禁止するわけではなく,各大学がそれぞれの目的を達成するため,教育研究の活性化が図られるよう,自由に組織設計できることとすべきとの議論になった。
     学問分野によって状況は異なるが,講座制をつくった本来の趣旨は,責任の所在の明確化と組織的・体系的な教育の実現である。講座制・学科目制は廃止すると言っても,そのことを踏まえると,講座制・学科目制以外の組織形態をとったとしても,講座制・学科目制の趣旨は必要であり,それを一般原則として定める必要があると教員組織の在り方に関する検討委員会においても議論があった。そこからも,各大学でしっかり考えてもらうという方向性が示されている。
  • ○ 例えば,保健分野について見ると,学部数は国立と私立では国立の方が多いにもかかわらず,教授の数では私立の方が多い。この状況を分析すると,国立大学が教授の数を増やしたかったにもかかわらずそれができなかったという見方と私立大学が自ら教授を増やしたという見方ができる。しかし,実際には,講座制の影響で国立大学が教授の数を増やすことができなかったという前者の見方が正しいだろう。講座制・学科目制が抱える問題が,教授・助教授の数のバランスにも端的に現れていると考えるが,今回の改正はそういった部分も弾力的にできるようにするという改正なのか。
  • ● 一方で,人文系の分野では,実態として助手より教授の方がはるかに多く,既に講座制とは別の組織形態と言うこともできる。また,大学設置・学校法人審議会においても,講座制・学科目制をとっているかどうかによって,大学等を設置するに相応しいかという判断はしていない。このように,既に先行している実態に合わせるためにも,今回の改正を行う必要があるのではないかと考えた。
  • ○ 今後は,個々の教員が十分に力を発揮できるようなシステムを構築し,それぞれの大学が責任を持って,教員やシステムの活性化を図る必要がある。
     今回の改正内容について,さらに御意見がある場合は事務局まで提出していただきたい。
  • (5)事務局から「第3期大学分科会の当面の検討課題例について」及び「『第3期大学分科会の当面の検討課題例』に関連する参考資料【制度部会関連部分】」についての説明があり,その後,自由討議が行われた。
  • ○ 検討課題例に「高等教育改革への支援と多元的できめ細やかなファンディング・システム」とあるが,これは国立大学の運営費交付金等の予算配分上のシステムのことを指しているのか。それとも,寄附講座等,高等教育全体の振興のための外部資金をも含めたものを指しているのか。
  • ● 我が国の高等教育に対する公財政支出は,欧米諸国の半分以下となっており,とりわけ私費負担が高いということからも,公財政支出の拡充を図る必要があると考えている。現在,公財政支出には,国立大学の運営費交付金や私学助成のような基盤的経費と,国公私立大学を通じた大学教育改革の支援のための補助金や科学研究費補助金等の競争的資金があるが,様々な視点からの資金調達を充実させる必要がある。また,国の厳しい財政事情に鑑み,外部資金の導入についても検討する必要がある。
     一方,産業界からの資金が,国内大学に比べて海外の研究機関に約2.5倍も流れているというデータもある。外部資金等を含め,様々な観点から「きめ細やかなファンディング・システム」について検討する必要があると考えている。
  • ○ グローバル化時代の大学像と高等教育の質保証というテーマについて,産業界の視点で考えると,我が国の一番大きな問題は,個人の資質・素養というものが,外部から与えられた資格と必ずしも一致しないということではないか。例えば,企業は有力大学の学生を採用する際,成績を殆ど考慮しない。また,採用後のキャリアパスをみても,必ずしも採用時に成績の良かった者が企業内で業績が良いとは限らない。日本の企業の資金が海外の研究機関に流出している点も実質的な資質・能力と資格との不一致の問題との間に深い関係があるのではないか。
     例えばアメリカでは,個人の能力と資格の間に比較的矛盾がなく,期待値が一定している。ところが,日本の場合は,それらがもともと直接連動していないという側面があるため,採用や投資の方法が常に形式的にならざるを得なかったという経緯がある。
     高等教育の質保証のためには,どのように制度化をすれば外的標識と実力が一致するかについて議論する必要があるのではないか。
  • ○ 高等教育の質保証について,検討課題例に挙げられている事項は,具体的な施策に結びついた内容であるものが多いが,例えば,産業界あるいは社会全体に対して大学卒業者がどのように貢献し得るのか,それに対して,高等教育はどのように質の保証ができるのかといった背景の部分の議論も必要ではないか。
     また,現在,既設学部等の直近の平均入学定員超過率が1.3倍を超えた場合に新たな設置認可を認めないこととしているが,高等教育の質保証について長期的に考えた場合,定員割れが常態化しつつある点をどのように考えるか等,大学の定員の在り方についても議論する必要があるのではないか。
  • ○ 今般の大学設置基準等の改正は,専任教員の位置付けの明確化等重要な内容が含まれており,来年度の設置認可申請を行う大学等に配慮するために今年度中に改正を行うということは理解できる。一方で,当部会においてさらに設置基準や設置審査における視点の明確化について議論するというのはどのような趣旨か。今回改正される大学設置基準の解釈や運用について議論するということか。
  • ● 長期的に見て,今回の改正点を含め,設置基準や設置審査の視点の明確化については,もう少し時間をかけて検討する必要があると考えており,そのため,検討課題例に挙げている。
  • ○ 認証評価制度について,今後,どのように動いていくのか。制度を全体的にとらえ,制度上の問題点等を洗い出し,この場で議論することも必要ではないか。
  • ● 認証評価が平成16年度に制度化され,現在5つの機関が評価機関としての認証を受けている。約1,200の大学・短大が7年に一度評価を受けることとなっており,進行状況も含めて当部会に報告するとともに,必要に応じて議論していただくことを考えている。
  • ○ 設置等の認可申請・届出に係る手続等に関する制度改正について,「大学院等の設置の弾力化」として,基礎となる学部等の設置から2年以上経過しなくても大学院の設置が認められるよう制度改正を行うとのことであるが,なぜこのような改正を行うのか。今回の改正により,大学院の教育の質が確保されるのか懸念があるが,どうか。
  • ● 確かに基礎となる学部等をまず設置し,その上で大学院を設置するというのが一般的な形であるが,昨今,大学院大学の設置が増えていることからも,学部があり,その積み上げとして大学院があるという姿が必ずしも適当かどうかについては議論がある。大学院教育の質の保証という意味では,現在,設置しようとする大学院の教育課程が大学院の教育課程として相応しいものかどうかに着目して審査している。そうしたことからも,大学院の設置について一律の規制をかける必然性はもはや薄いと考え,今回の改正を行うこととした。
     一方で,御指摘のとおり,大学院の質保証の仕組みの在り方については,当部会でもさらに議論を深めていただきたいと考えている。
  • ○ 今後の進め方については,本日いただいた意見を参考にしながら具体的な検討テーマを立てて進めていきたい。また,各大学の取り組みについてヒアリングを行ったり,有識者の方からの意見発表をしてもらったりすることも考えていきたい。

7.次回の日程

 次回は,日程調整の上,開催することとなった。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

-- 登録:平成21年以前 --