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大学・短大・高専は認証評価を受けることになっているが、専門学校として今後、自己点検・評価に加え第三者評価を受けることは考えているのか。 |
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東京都ではNPOとして私立専門学校等評価研究機構を立ち上げて第三者評価に積極的に取り組んでいる。専門学校全体としても文部科学省の指導のもと研究を重ね、積極的に取り組みたい。 |
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早晩実現するか。 |
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今日明日ではなく、中長期的な課題として対応している。先の機構は既に東京都の認証を受けており、大学評価・学位授与機構からもお話を聞かせていただいている。 |
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東京都以外でそのような動きはあるのか。 |
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具体的にはない。東京都を前例に、それを見ながら研究、対応をしていきたい。 |
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高専は高度経済成長期に技術者養成機関として作られたが、専攻科への進学や大学への編入学が増えてきた現在、大学の工学部と比べた高専の存在意義は何か。
短大も女子教育の機関として発展してきたが、女性も男性も大学に行く時代になった現在の存在意義は何か。
根本論として、既存の機関や制度を付け足しながら守っていく必要はないという考え方もあるのではないか。 |
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高専の5年間は教育中心で教員が研究を行う時間は殆どない。専攻科ができたことで研究機能が充実し、教員の活力が生まれた。学生への好影響にもつながっており、これからの高専の将来には専攻科の充実が重要だと認識している。
編入学について言えば、学生は専攻科に行くか大学へ編入学するか選択でき、分野を変えたい等の要望に対応できる。 |
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専攻科まで行くと工学部と同じ年限であり、それが特別に存在しなければならない理由は何か。 |
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15歳という非常にフレッシュな頭に創造性教育を施せるのは世界中で日本の高専しかない。また高専の教育を受けた学生はその後も大きく伸びている。 |
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専門学校卒業者に対する大学院入学資格の付与は更に進むと専門学校が大学院をつくって良いかという問題になる。これに対して大学分科会では賛成、反対の両意見が出た。この問題はどう考えるか。 |
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審議の概要では「高等教育」と「大学」の区別が不十分になっている。高等教育の全体像を描く中で大学とは何かが問題になるが、そこで重要なのは教養教育である。今はそれが欠けているために「日本人」を育成できていない。
高専教育の問題は研究をやってきた人達が教員になっていることだろう。専攻科ができたことで研究が活発になり教育に役立っているとのことだったが、研究のための研究を行っている実態がある面も踏まえる必要がある。専攻科が普及し一般の大学への編入学も可能である今、豊橋と長岡の両技科大は廃止も考えられるのではないか。
日本が技術立国である以上、技術者は必要である。高専の設置基準が古くカリキュラム編成の制約となっているのは理解できる。創造性や多様性のある技術者を養成するためには大学にならった研究重視へのシフトではなく、単位の互換やカリキュラムを含めた教育内容の見直しが重要である。是非、これらに取り組んでいただきたい。 |
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21世紀になって短大、高専、専門学校の全てが本当に必要なのかという疑問もある。 |
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技術者養成をどうするかは国の課題。その中で中核となるのは高専と両技科大であり、技科大はむしろ拡大すべき。
高専は出口の就職率だけでなく入口の入学志願率も高校に比べてはるかに高い。存在価値云々の抽象論ではなく実態論も必要ではないか。
高専の研究志向について指摘があったが、私の所属する高専では教員の採用の際にはっきりと「ここは教育機関であり、研究がしたいのなら大学にアプライして下さい」と伝えている。研究は教育の裏付けのために行われており、研究志向の教員は絶対少数だと信じている。 |
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高専は中学卒業生を受入れる唯一の高等教育機関である。しかも優秀な中学卒業生が入ってきている。日本が科学技術立国を考えるならば是非この人材を活かさなければならず、国はもっと高専に投資すべきではないか。
大学入学に向けた受験勉強が課されていない環境で教育ができるのがポイントであり、高専と大学は明らかに違う学校種である。高専経由でマスターを取得した学生が技術者として企業から一番歓迎されている。
専攻科がなく、技術者養成課程が大学2年レベルで終了する制度であれば、それは世界的に例がない。どこの国でも大学4年レベルまでの教育体系があり、中には制度として大学と一緒になったところもある。専攻科の拡充や技科大との連携を含め、技術者教育の柱として機能することが必要。 |
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どの学校種も公的な財政支援が必要だと言う。しかしパイは限られており、どこが本当に大事なのか見極めていく必要がある。 |
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短大は18歳人口の減少、女子の4年制大学への進学の流れを受け、入学者は減ってきている。しかし、それを受けて直ちに要らないとするのは乱暴であり、制度は社会が淘汰すべきものと考える。
高専は若年からの技術者教育に特徴があるし、専門学校は緩やかな設置基準に最大の特徴があると思う。大学院入学資格の付与が実現され、そのための要件をクリアしようとすることで専門学校の特徴が失われるのではないかと危惧している。 |
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大学院入学資格の付与は、日本の高等教育を受けた者に対し公平に入学の機会を与えるものであると考えるべきではないか。 |
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大学院入学資格の付与により専門学校が大学と同じ位置付けになるとも考えられる。大学とは何か、専門学校とは何かという根本的な問題を明らかにした上で検討すべきではないか。 |
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かつて専門学校は2年制が標準で3年制のものは主に看護系であった。その看護系が次々に4年制大学になっている今、どのような領域で4年制の専門学校ができてきているのか。
高等教育機関に対する進学率が7割を超えてユニバーサル化してくるとともに、短大の4年制大学化を含め短期高等教育機関の修業年限が延びてきた。なぜ修業年限を延ばす必要があったのか。
1つには高等教育機関への進学率が高まったことで職業教育が無視できなくなってしまったことが考えられる。どの高等教育機関も職業に向けた教育をする必要が出てきて大学、さらには大学院がこれまで専門学校が行っていたようなベーシックな職業教育を行うようになってきている。日本の職業資格が曖昧であるために不必要なところでも修業年限の延長が起こっているのではないか。教養教育、専門基礎教育、専門教育、専門職業教育の概念が曖昧なままに全てが修業年限の問題と捉えられ、学位を授与できる形に近づこうという動きと一体になっている。21世紀の産業社会、職業社会を考えた場合に果たしてこれで良いのか。これは個別の学校種だけを見ていても解決できない問題であろう。
アメリカでも学位と職業資格との中間的な存在であるサーティフィケートが増えてきている。大学が出している場合も多く、学位というのは古い制度と言えるのかもしれない。 |
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専門学校に限らず、より質の高い職業人の養成が社会から求められるようになり必然的に修業年限の延長につながっている。例えば医療短大が学部になっている。他にも質の高い看護師、理学療法士、作業療法士、保健師、助産師等が求められ、修業年限が延びている。 |
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高専の単位計算方法の改善について、具体的にどのような改善策を考えているのか。
一般科目と専門科目は年次で分けているのか。 |
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具体策は即答しかねる。是非御検討いただきたい。
一般科目と専門科目の取り扱い方は各高専により異なる。また一般科目の中でかなり専門的なことを教えている等、一般科目と専門科目の境界が曖昧になってきている。 |
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1つの職業教育が細分化すればするほど、そこには一定の専門性が発生する。それとは別に先端的な専門性がある。その中間に一定の総合性をもった専門教育があり、その部分がこれからの日本にとって非常に重要ではないかと感じている。高専はこの中間部分の教育を行っているのではないか。
この将来像は学校種を離れてそれぞれの教育機関が提供しようとしているプログラムに即した形でもう一度類別化を図っていこうという提言を出しており、その見地は非常に重要であろう。どの機関もそれぞれが描く教育に徹することが大事なのではないか。 |
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専門高校の中にも優れた成果を挙げているところがある。高専は専門高校との関係をどのように考えているのか。 |
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高専は5年間だが、それでも真に社会や企業が要求する技術者を養成するには不十分な部分がある。専門高校は3年間であり、卒業生が数多く高専に編入してくるなど十分な教育を行えていると言い切れるかどうかは分からない。 |
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高専は高等教育機関、工業高校や農業高校等の専門高校は高等学校としてできたという違いがある。また高専は技能者、専門高校は技術者を養成するという違いがある。 |