「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(答申(案)) はじめに

 中央教育審議会は,平成26年7月,文部科学大臣から「これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について」諮問を受けた。このうち,「チームとしての学校」に関わる事項に関して専門的な議論を深めるため,同年9月,「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」(以下「作業部会」という。)が初等中等教育分科会に設置され,同年11月に第1回を開催した。

 作業部会は,平成27年7月までに14回にわたる会議を開催し,教育委員会や大学の関係者,有識者から様々な取組や意見を聴取して議論を進めてきた。
 7月16日の初等中等教育分科会では,「中間まとめ」を公表し,これを受けて,作業部会において,8月から9月にかけて,38の関係団体からヒアリングを行った。
 ヒアリングでは,「チームとしての学校」の実現のためには,必要な人員配置が不可欠であるという意見が多く寄せられた。

 本答申(案)は,関係団体のヒアリング等も踏まえ,その結果について取りまとめたものである。
 本答申(案)は,学校の在り方について検討を加えたものであるが,学校の組織運営の在り方について,平成10年の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」では,次のように示されている。

 「各学校の自主性・自律性の確立と自らの責任と判断による創意工夫を凝らした特色ある学校づくりの実現のためには,人事や予算,教育課程の編成に関する学校の裁量権限を拡大するなどの改革が必要である。また,学校の自主性・自律性を確立するためには,それに対応した学校の運営体制と責任の明確化が必要である。このため,校長をはじめとする教職員一人一人が,その持てる能力を最大限に発揮し,組織的,一体的に教育課題に取り組める体制をつくることが必要であり,このような観点から学校運営組織を見直すことが必要である。」

 平成10年の答申以降,地方分権等の大きな方向性の下,学校の自主性・自律性の確立を基調とした施策が進められてきており,平成16年には栄養教諭が,平成19年には副校長,主幹教諭,指導教諭という新たな職が設置されるなど,学校の組織運営体制は整備されてきている。
 近年,グローバル化や情報化が急速に進展し,社会が大きく変化し続ける中で,複雑化・困難化した課題に的確に対応するため,多くの組織では,組織外の人材や資源を活用しつつ,組織の力を高める取組が進んでいる。
 こうした中で,学校においても,子供を取り巻く状況の変化や複雑化・困難化した課題に向き合うため,教職員に加え,多様な背景を有する人材が各々の専門性に応じて,学校運営に参画することにより,学校の教育力・組織力を,より効果的に高めていくことがこれからの時代には不可欠である。

 現在,学習指導要領改訂の議論も進められているが,学校という場において子供が成長していく上で,教員に加えて,多様な価値観や経験を持った大人と接したり,議論したりすることは,より厚みのある経験を積むことができ,本当の意味での「生きる力」を定着させることにつながる。
 そのためにも,「チームとしての学校」が求められている。

 本答申(案)は,そのような現状認識に基づき,今後の在るべき姿としての「チームとしての学校」と,それを実現していくための改善方策について示したものであり,その実現のために,国,教育委員会も「チームとして」取り組み,学校や校長を支援することが求められている。

 学校の組織の在り方は,教育課程の編成の基本的な考え方やその具体的内容,教員養成や研修の在り方とも相互に深く関わる課題である。現在,本審議会では,教育課程特別部会において学習指導要領の改訂に向けた議論が行われており,教員養成部会では,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」の答申(案)が取りまとめられた。
 また,学校の在り方を考えるに当たっては,学校だけではなく,家庭や地域社会との関係も視野に入れることが必要であることから,本審議会では,初等中等教育分科会と生涯学習分科会が合同で審議を行い,「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申(案)が取りまとめられたところである。

 本審議会としては,本答申(案)を含め,全体の教育改革が着実に推進され,新しい時代に求められる学校が実現することを期待している。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成28年01月 --