東日本大震災からの復旧・復興支援

平成26年度の主な取組と今後の方向性

*学びのセーフティネットの構築

(児童生徒)

○ 被災した子供に対する学習支援や心のケアとして、教職員の加配措置やスクールカウンセラーの配置等を引き続き実施(基本施策18-3関係)。

○ 東日本大震災で被災し、経済的に就学が困難な幼児児童生徒の就学機会を確保するため、平成23年度から平成26年度まで、平成23年度補正予算(第1次及び第3次)及び平成26年度予算において措置した「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」(約444億円、全額国庫負担)による基金事業として、各都道府県において、幼稚園児への就園支援、小中学生に対する学用品費等の援助、高校生に対する奨学金支給、特別支援学校等に在籍する児童生徒への就学奨励、私立学校及び専修学校・各種学校の授業料減免等を実施しており、平成25年度においては約5万2,000人の幼児児童生徒への支援を実施。

○ 一方で、同基金が平成26年度末で終期を迎えること等を踏まえ行われた復興庁行政事業レビュー「公開プロセス」では、その取りまとめ結果において、必要性は高い事業とされたものの、基金方式の見直し等が求められたところ。

○ こうした状況に加え、東日本大震災からの復興や原子力発電所の事故による避難生活が長期化していることから、震災で被災した幼児児童生徒が安心して学ぶことができるよう、復興基本方針や自治体の要望等を踏まえ、従来の基金方式を見直し、全額国庫補助の単年度の交付金事業として「被災児童生徒就学支援等事業」に必要な経費(約80億円)を平成27年度予算に計上。

○ 東日本大震災で被災した幼児児童生徒等の心のケアを図るため、平成26年度予算において、スクールカウンセラー等を学校等に派遣するために必要な経費を措置(「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」(約37億円、全額国庫負担、復興特別会計))。

○ 平成27年度予算において、引き続き、スクールカウンセラー等を学校等に派遣するために必要な経費を計上(「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」(約27億円、全額国庫負担、復興特別会計))。

(学生等)

○ 被災した世帯の学生等が経済的理由により修学を断念することがないよう、貸与基準を満たす希望者全員に奨学金を貸与。

○ 東日本大震災により被災した学生を対象とした授業料減免等を行う私立大学等への支援を実施(※17-5と同様)。

(学校施設)

○ 引き続き、被害を受けた学校施設の復旧を実施。(復旧が完了した公立学校の割合は98%、国立学校は96%、私立学校は99%(平成27年3月現在))。

○ 津波で被災した公立学校施設の移転に伴う用地取得・造成経費を新たに災害復旧の枠組みで支援(平成23年度から補助対象)。

○ 子供の学習・生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所となる学校施設の耐震化等について、必要な予算を確保するとともに、地方公共団体等への個別の働きかけや手引の作成・配布等を行い、取組を推進(基本施策19-1関係)。

(学校給食について)

○ 児童生徒や保護者のより一層の安心を確保するため、学校給食に関する検査を支援。平成26年度においては、福島県等11県を対象として学校給食一食全体の提供後の検査等を実施。

(スポーツ機会の充実について)

○ 学校において地域の様々な機関が有する人的資源を効果的に活用し様々な取組をすることにより、子供のスポーツ機会を充実し体力向上につなげる取組を実施。

(児童生徒)

→ 東日本大震災により被災した幼児児童生徒等に対する就学支援、心のケアについて、被災地からの要望等を踏まえて引き続き支援を行う。

(学生等)

→ 被災した世帯の学生等が経済的理由により修学を断念することがないよう、引き続き、貸与基準を満たす希望者全員に奨学金を貸与する。
→ 東日本大震災により被災した学生等の修学機会を確保するため、引き続き必要な予算を確保する。

(学校施設)

→ 学校施設の復旧については、被災地からの要望等を踏まえて引き続き支援を行う。
→ 学校施設の耐震化、防災機能強化、老朽化対策についても、必要な予算の確保等により引き続き推進。 

(学校給食について)

→ 児童生徒や保護者のより一層の安心確保のためには、今後も継続的に検査を実施する。

(スポーツ機会の充実について)

→ 被災地の子供のスポーツ機会を充実させるためには、今後も学校体育を中心とした子供の体力向上のための総合的な取組を継続的に実施する。

絆づくりと活力あるコミュニティの形成

○ 地域における絆づくり、地域コミュニティ形成に資する公立社会教育施設の災害復旧を引き続き実施。

○ 被災地の自律的な復興に向けては、住民一人一人が主体的に参画することのできる地域コミュニティ再生のための学びの場づくり、コミュニケーションの場づくりを推進することが必要である。このため、「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業」を平成23年度より実施し、学校や公民館等を活用して、学習活動のコーディネートを行う人材等を配置するなど、地域住民の学習・交流活動の促進や子供たちの学びの環境等の改善を図る取組に対して自治体や実行委員会を支援(平成26年度事業委託団体数:25団体)。なお、平成25年6月に行われた「復興庁行政事業レビュー公開プロセス」における指摘を踏まえ、平成26年度に「審査・評価委員会」を設置し、7月より事業の成果指標、今後の事業の在り方等について検討。 

○ 大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業は、被災地域の大学を中心として、地域復興センター的機能を整備し、災害医療教育、地域産業再生、復興の担い手の育成などを支援するため、平成23年度補正予算より被災地を中心とした14大学に対して支援。

○ スポーツについては、「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業(スポーツ・レクリエーション活動の支援)」として、被災3県(岩手、宮城、福島)の総合型地域スポーツクラブ等(平成26年度:39箇所)において、地域の住民に対する定期的なスポーツ・レクリエーション教室などのプログラムを実施し、運動不足の解消と地域コミュニティ再生のための活動の場を提供。

→ 津波等により甚大な被害を被った自治体においては、街全体の復興計画の策定、計画実行が遅れており、公立社会教育施設についても復旧計画が遅れている状況。

→ 仮設住宅等における住民のスポーツ・レクリエーション教室等へのニーズは高く、被災地の強い要望もあることから、事業成果の検証・評価、より効果的な事業成果をあげるための運用改善等に努めていく。

→ 被災3県の医学系大学が取り組む災害医療教育等を引き続き支援するとともに、関係省庁との密接な連携の下、基本方針を踏まえた東北地方における医学部設置認可について着実に進める。

*震災後の社会を生き抜く力の養成

○ 児童生徒等が放射線に関する知識を科学的に理解し、科学的に考え行動することができるよう、放射線に関する教育の支援として副読本の作成・配布を行い(平成25年度)、教職員等を対象とした研修及び児童生徒等を対象とした出前授業を実施。

○ 震災により大きく変化した被災地の人材ニーズに対応し、復興の即戦力となる専門人材や次代を担う専門人材の育成及び地元への定着を図るため、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)を拠点とした連携体制を整備し、専門人材育成コース等の開発・実証や専修学校等の就職支援体制の充実強化を図る「東日本大震災からの復興を担う専門人材育成支援事業」を平成23年度より実施。

【参考】実施箇所数
平成23年度 30件
平成24年度 26件
平成25年度 14件(平成25年度より、対象を被災3県の教育機関等に限定。)

○ 自然災害等に対して、自ら危険を予測して回避するための「主体的に行動する態度」等を身に付けるための新たな防災教育の手法の開発・普及等を支援する「実践的防災教育総合支援事業」を実施。

○ 中央教育審議会に学校安全部会を設置し、防災教育をはじめとした安全教育の指導時間の確保等、今後の学校安全の基本的な施策の在り方を中心に専門的な調査審議を実施。

○ 今後の学校における防災教育・防災管理等の在り方を示す参考資料を改訂し、全国の学校等へ配布。

○ 被災3県の医学系大学が取り組む災害医療教育等への支援に加え、特例として東北地方に一校に限り医学部新設について認可を行うことを可能とする基本方針を策定。

→ 放射線に関する教育を支援するため、研修及び出前授業を引き続き実施していく。
→ 「東日本大震災からの復興を担う専門人材育成支援事業」について、引き続き実施するとともに、当該事業の成果物について、一層の普及及び活用の促進を図る。

→ 防災教育の充実に関する成果について、周知・徹底を図る。
→ 学習指導要領改訂に当たり、防災教育をはじめとした安全教育の系統的な内容を確保するために、教育課程全体の中で検討を行う。
→ 防災をはじめとした安全教育に関する教職員の研修等の充実により、資質の向上を図る。 

→ 被災3県の医学系大学が取り組む災害医療教育等を引き続き支援するとともに、関係省庁との密接な連携の下、基本方針を踏まえた東北地方における医学部設置認可について着実に進める。

*創造的復興を実現する人材の養成

○ 「復興教育支援事業」として、被災地の復興を支え、今後の学校教育の新しいモデルともなる先進的な教育活動を実施する団体(自治体・大学・NPO法人等)の取組を支援(平成26年度予算額:5,000万円、委託件数:9件)。 

→ 今後も、被災地の復興状況を踏まえ、特色ある取組に対する支援の充実を図っていく。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年11月 --