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第1章 障害のある幼児児童生徒に対する教育の現状と課題2.障害者施策を巡る国内外の動向 近年、障害者施策を巡る国内外の状況は大きく変化してきている。 国際的な動向としては、1993(平成5)年に、国際連合総会において、障害のある人がそれぞれの社会の市民として、その他の人々と同じ権利と義務を行使できることを確保することを目的として、「障害者の機会均等化に関する標準規則」が採択され、1994(平成6)年には、スペインのサラマンカで開催された「特別なニーズ教育に関する世界会議」において、障害のある子どもを含めた万人のための学校を提唱した「サラマンカ宣言」が採択された。 国内的な動向としては、「アジア太平洋障害者の十年」が始まることを契機として、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図ることを基本理念として、心身障害者対策基本法の一部改正により、平成5年12月に障害者基本法が公布された。障害者基本法は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し障害者の福祉を増進することを目的としているが、平成16年6月に一部改正され、基本的理念として障害者に対して障害を理由として差別その他の権利利益を侵害してはならない旨が規定されたほか、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習の積極的推進による相互理解の促進についても規定が設けられた。 また、平成14年12月、平成15年度を初年度として10年間を見通した障害者関連施策の基本的な方向を盛り込んだ新しい「障害者基本計画」が閣議決定された。障害者基本計画は、1993(平成5)年度からおおむね10年間を計画期間とする「障害者対策に関する新長期計画」における「リハビリテーション」及び「ノーマライゼーション」の理念を継承するとともに、障害者の社会への参加、参画に向けた施策の一層の推進を図るため、10年間に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めたものであるが、この中において、障害のある子ども一人一人のニーズに応じてきめ細かな支援を行うために乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画的に教育や療育を行うとともに、学習障害、注意欠陥/多動性障害、自閉症などについて教育的支援を行うなど教育・療育に特別のニーズのある子どもについて適切に対応することが基本方針として盛り込まれた。 さらに、平成16年12月、発達障害に関し、早期発見や発達支援に対する国及び地方公共団体の責務を明らかにし、学校教育における支援や就労の支援等を定めた発達障害者支援法が成立し、平成17年4月1日に施行された。発達障害者に対する総合的な支援の充実が重要な政策課題となっている(注3)。
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