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<資料>
第36回(2004年度)公立学校に関する年次意識調査<アメリカ>

 教育専門誌カッパン誌は,2004年9月,民間調査会社のギャラップ社と共同で実施している公立学校に対する意識調査を発表した。これによると,財政難を問題視しつつも地元の公立学校に比較的高い信頼が置かれている一方で,連邦の教育改革振興法「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法(NCLB)」については,依然として理解が低いという結果が明らかとなった。
 調査方法及び調査結果の概要は以下のとおりである。

1. 調査方法
 
・回答数 :18歳以上の男女,1,003名
・サンプリング方法 :層化抽出法
・調査期間 :2004年5月28日〜6月18日
・調査方法 :電話によるインタビュー調査
   
2. 調査結果の概要
(1) 教育改革振興法に関する認知度,取組の是非等
 
1 認知度
 連邦の教育改革振興法に関する認知度について,公立学校に子どもを通わせる児童・生徒の親の間で,同法を「大変よく知っている」あるいは「よく知っている」とする回答は37%と,前年の22%から15ポイント増えたものの,62%は「ほとんど知らない」あるいは「まったく知らない」と答えている。回答者全体では68%に上っている。
 
表1 「連邦の教育改革振興法(NCLB)についてどの程度知っているか」
(単位:%)
区分 回答者全体 公立学校在学者の親
2004年 2003年 2004年 2003年
(再掲)「大変よく知っている」プラス「よく知っている」 31 24 37 22
大変よく知っている 7 6 8 7
よく知っている 24 18 29 15
ほとんど知らない 40 40 38 44
まったく知らない 28 36 24 34
(再掲)「ほとんど知らない」プラス「まったく知らない」 68 76 62 78
 
2 取組の是非
 学校の教育活動の実績を評価・公表することを基本理念とする同法の手法について,回答者全体では「何ともいえない」とする者が55%を占めた。ただし,同法について「大変よく知っている」あるいは「よく知っている」とした者に限ると,約半数が「強く支持する」あるいは「どちらかと言えば支持する」と答え,「どちらかと言えば支持しない」あるいは「まったく支持しない」を上回った。
 
表2 「連邦の教育改革振興法(NCLB)の考え方を支持するか」
(単位:%)
区分 回答者全体 「大変よく知っている」 「よく知っている」
2004年 2003年
(再掲)「強く支持する」プラス「どちらかと言えば支持する」 24 18 50 47
強く支持する 7 5 27 9
どちらかと言えば支持する 17 13 23 38
どちらかと言えば支持しない 12 7 10 26
まったく支持しない 8 6 31 11
(再掲)「どちらかと言えば支持しない」プラス「まったく支持しない」 20 13 41 37
何とも言えない 55 69 8 14
(注:「大変よく知っている」及び「よく知っている」は2004年調査)
 
 各学校への改善策導入の決定に関する判断材料として州統一の学力テストを用いることについては,回答者全体の67%が実績評価に不十分であると回答した。また,英語と数学を中心とするテストの現状については,「他教科についても実施すべき」とする回答が大勢(83%)を占めた。
 
表3−1 「学校実績の評価基準は州統一テストのみで十分か
 
(単位:%)
区分 回答者全体
2004年 2003年
十分である 31 32
不十分である 67 66
わからない 2 2
 
表3−2 「州統一テストは英,数のみで十分か,他教科も実施すべきか
 
(単位:%)
区分 回答者全体
2004年 2003年
英,数で十分 16 15
他教科も実施すべき 83 83
わからない 1 2
 
 改善策のひとつとして同法に規定されている実績の上がらない公立学校在籍者に転校を認める取組について,仮にそうした学校に子どもが在学している場合,学校改善への追加的支援策を求める者が80%で,転校を希望する者は16%であった。この傾向は,公立学校に通う子どもの有無等に関係なく,全般的にみられた。
 
表4 「子どもが低迷校に在学する場合,転校させるか,在学校への追加支援を求めるか」
 
(単位:%)
区分 回答者全体 公立学校在学者の親
2004年 2003年 2004年 2003年
転校させる 16 25 14 25
追加支援を求める 80 74 85 74
わからない 4 1 1 1
3 効果に関する見通し
 「児童・生徒の学力の向上において同法がどの程度,貢献するか」という質問に関して,回答者全体の51%が「かなり貢献する」あるいは「ある程度は貢献する」と回答した。
   
(2) 公立学校の評価
 例年実施されている,地元の公立学校に対する五段階評価(A, B, C, D, Fの順。Aが最高)については,A又はBとする回答が全体の47%を占め,前年(48%)とほぼ同様の結果となった。
   
 
表5 「地元公立学校を評価すると,A,B,C,D,Failのどれに当たるか」
 
(単位:%)
区分 回答者全体 公立学校在学者の親
2004年 2003年 2004年 2003年
(再掲)AプラスB 47 48 61 55
A 13 11 17 17
B 34 37 44 38
C 33 31 24 31
D 10 10 10 10
Fail 4 5 5 3
わからない 6 6 0.5未満 1
(注:*は0.5未満)
   
   また,「地元の公立学校が抱える最大の問題は何か」という問いについては,「財政難」とする回答が21%と最も多く,次いで「学校内の規律の欠如」,「多すぎる児童・生徒数」(いずれも10%)であった。これらの問題点は過去五年間,いずも上位三位に位置づけられている。
   
(3) 公立学校改革の手法−教育バウチャー,義務教育年限の延長
 公立学校改革の手法として,「既存の公立学校の改善」と「(既存の公立学校に代わる)新たな教育制度の構築」のどちらが望ましいかという問いについて,回答者全体の66%は「既存の公立学校の改善」が望ましいと回答した。6〜7割がこのように回答する傾向はこの質問項目が設けられた2000年から続いている。
   
 
表6 「公立学校の改革は既存校の改善で行うべきか,新たな仕組みを導入すべきか」
 
(単位:%)
区分 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
既存校改善 59 72 69 73 66
新たな仕組みの導入 34 24 27 25 26
わからない 7 4 4 2 8
   
   また,「私立学校への就学を公財政により支援することに賛成か,反対か」との問いに対して「反対」が54%で「賛成」の42%を上回っており,教育バウチャーの導入については慎重な態度が見られる。このほか,義務教育年限をハイスクール卒業の18歳まで延長しようとする動きについては回答者全体のうち66%の支持が見られた。
   
 
表6 「公財政により私立学校への就学を援助すべきか」(教育バウチャーの実施)
 
(単位:%)
区分 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
賛成 44 44 41 39 34 46 38 42
反対 52 50 55 56 62 52 60 54
わからない 4 6 4 5 4 2 2 4
   
(4) 大統領候補の教育政策
 2004年11月に大統領選挙をはじめ,多くの州知事及び連邦議会議員を含めた総選挙が実施されるが,民主,共和両党のうち,「公立学校の改善に関心が高いと思われる党は」との問いに対して42%は民主党と答え,共和党の35%を上回っている。一方,「ケリー,ブッシュ両大統領候補について教育政策に絞って投票するとすると,どちらに投票するか」との問いには双方とも同じ41%の支持が示された。
 
表7 「民主,共和両党のうち公立学校の改善に関心が高いと思われるのはどちらか」
 
(単位:%)
区分 回答者全体 公立学校在学者の親
2004年 2000年 2004年 2000年
民主党 42 41 37 41
共和党 35 29 34 28
わからない 23 30 29 31
 
表8 「教育政策に焦点を絞るとすると,どちらの大統領候補に投票するか」
 
(単位:%)
区分 回答者全体 公立学校在学者の親
ケリー候補 41 42
ブッシュ候補 41 41
わからない 18 17
 
Education Week(2004年9月1日)/Phi Delta KAPPAN, September 2004, pp.41-56]


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