教育専門誌カッパン誌は,2004年9月,民間調査会社のギャラップ社と共同で実施している公立学校に対する意識調査を発表した。これによると,財政難を問題視しつつも地元の公立学校に比較的高い信頼が置かれている一方で,連邦の教育改革振興法「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法(NCLB)」については,依然として理解が低いという結果が明らかとなった。
調査方法及び調査結果の概要は以下のとおりである。
1. |
調査方法 |
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・回答数 |
:18歳以上の男女,1,003名 |
・サンプリング方法 |
:層化抽出法 |
・調査期間 |
:2004年5月28日〜6月18日 |
・調査方法 |
:電話によるインタビュー調査 |
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2. |
調査結果の概要 |
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(1) |
教育改革振興法に関する認知度,取組の是非等 |
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(2) |
公立学校の評価 |
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例年実施されている,地元の公立学校に対する五段階評価(A, B, C, D, Fの順。Aが最高)については,A又はBとする回答が全体の47%を占め,前年(48%)とほぼ同様の結果となった。 |
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表5 「地元公立学校を評価すると,A,B,C,D,Failのどれに当たるか」 |
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(単位:%) |
区分 |
回答者全体 |
公立学校在学者の親 |
2004年 |
2003年 |
2004年 |
2003年 |
(再掲)A B |
47 |
48 |
61 |
55 |
A |
13 |
11 |
17 |
17 |
B |
34 |
37 |
44 |
38 |
C |
33 |
31 |
24 |
31 |
D |
10 |
10 |
10 |
10 |
Fail |
4 |
5 |
5 |
3 |
わからない |
6 |
6 |
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1 |
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(注:*は0.5未満) |
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また,「地元の公立学校が抱える最大の問題は何か」という問いについては,「財政難」とする回答が21%と最も多く,次いで「学校内の規律の欠如」,「多すぎる児童・生徒数」(いずれも10%)であった。これらの問題点は過去五年間,いずも上位三位に位置づけられている。 |
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(3) |
公立学校改革の手法−教育バウチャー,義務教育年限の延長 |
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公立学校改革の手法として,「既存の公立学校の改善」と「(既存の公立学校に代わる)新たな教育制度の構築」のどちらが望ましいかという問いについて,回答者全体の66%は「既存の公立学校の改善」が望ましいと回答した。6〜7割がこのように回答する傾向はこの質問項目が設けられた2000年から続いている。 |
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表6 「公立学校の改革は既存校の改善で行うべきか,新たな仕組みを導入すべきか」 |
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(単位:%) |
区分 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
2004年 |
既存校改善 |
59 |
72 |
69 |
73 |
66 |
新たな仕組みの導入 |
34 |
24 |
27 |
25 |
26 |
わからない |
7 |
4 |
4 |
2 |
8 |
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また,「私立学校への就学を公財政により支援することに賛成か,反対か」との問いに対して「反対」が54%で「賛成」の42%を上回っており,教育バウチャーの導入については慎重な態度が見られる。このほか,義務教育年限をハイスクール卒業の18歳まで延長しようとする動きについては回答者全体のうち66%の支持が見られた。 |
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表6 「公財政により私立学校への就学を援助すべきか」(教育バウチャーの実施) |
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(単位:%) |
区分 |
1997年 |
1998年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
2004年 |
賛成 |
44 |
44 |
41 |
39 |
34 |
46 |
38 |
42 |
反対 |
52 |
50 |
55 |
56 |
62 |
52 |
60 |
54 |
わからない |
4 |
6 |
4 |
5 |
4 |
2 |
2 |
4 |
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(4) |
大統領候補の教育政策 |
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2004年11月に大統領選挙をはじめ,多くの州知事及び連邦議会議員を含めた総選挙が実施されるが,民主,共和両党のうち,「公立学校の改善に関心が高いと思われる党は」との問いに対して42%は民主党と答え,共和党の35%を上回っている。一方,「ケリー,ブッシュ両大統領候補について教育政策に絞って投票するとすると,どちらに投票するか」との問いには双方とも同じ41%の支持が示された。 |
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表7 「民主,共和両党のうち公立学校の改善に関心が高いと思われるのはどちらか」 |
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(単位:%) |
区分 |
回答者全体 |
公立学校在学者の親 |
2004年 |
2000年 |
2004年 |
2000年 |
民主党 |
42 |
41 |
37 |
41 |
共和党 |
35 |
29 |
34 |
28 |
わからない |
23 |
30 |
29 |
31 |
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表8 「教育政策に焦点を絞るとすると,どちらの大統領候補に投票するか」 |
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(単位:%) |
区分 |
回答者全体 |
公立学校在学者の親 |
ケリー候補 |
41 |
42 |
ブッシュ候補 |
41 |
41 |
わからない |
18 |
17 |
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[Education Week(2004年9月1日)/Phi Delta KAPPAN, September 2004, pp.41-56] |