算数・数学ワーキンググループ(第4回)における主な意見

1.算数・数学を通じて育成すべき資質・能力について

(1)算数・数学を学ぶ本質的な意義や他教科との関連性について
○ 情報教育の中ではICTを活用した問題解決は相当大きく出てくると思う。その意味では、数学・算数が与える方法論的な教育以外に、データ分析の中で、高校では扱い切れないような分析技術が世の中ではかなり使われており、そういうものを問題解決の一つのツールとして情報科の中で行い、連携することは意味があると思う。

○ 情報科の「社会と情報」の現行のカリキュラムでは、問題解決のプロセスのような内容が情報科の中でも扱われているという印象があるが、適切なグラフィックなどをうまく入れて、数学の教育を更に発展させることや、小学校や中学校で、グラフィックや可視化のようなものをどんどん発展させていくということは、あり得るのではないか。

○ 統計教育が目指す方向として、だまされない子供にしていかなければいけないということもあると思う。

○ 小学校ではしっかりと正しい答えを見つけなければいけないと刷り込まれており、統計によって導き出された結果については認められないという実態は、ある意味、今日の小学校での統計に関わる教育を通して、子供たちに本来身に付けさせていかなければならない資質・能力とは少し違ったところに収まってしまっていると感じる。例えば、批判的に物事を見つめる、目的に応じて柔軟に表す、多面的に分析する、というような視点から整理し、もっと内容と資質・能力とを密接につなげていくように取り組んでいく必要があるのではないか。

○ 小学校で、ただ単に問題解決をしただけではなく、そこで意思決定し、判断するということが大事なことだと思う。数学の範囲ではなくなるが、中学校・高等学校では、意思決定したら、決定した事柄を自分たちの行動へとおこしていくということが必要ではないかと思っている。

○ 小学校、中学校では、社会科や理科の中で統計的な表現あるいは統計的な結果を活用していることもある。そのような中で、算数・数学の役割を明らかにする必要がある。特に資料7-2の「資質・能力及び内容等の整理」にある、思考・判断・表現、それから学びに向かう力のところで、批判的に解釈する力や、予測や推測をしたり判断したりしようとする態度は非常に重要だが、算数・数学の統計指導の中で行うには、知識・技能を習得・習熟することも考えると、やはり時間がかかる。例えば小学校の場合、これらの見方・考え方ができるのは5年生、6年生の高学年になるが、高学年は内容が多く、時間的余裕が無く、知識・技能を教えるだけで終わってしまうことがある。したがって、どこに重点を置くかということと、算数・数学の中で統計的な力を付けるというのならば、時間数の確保というのは非常に重要である。

○ 現実にコンピュータ、計算機科学と統計はもう切っても切り離せない状況になっており、紹介した手法の中にも、機械学習というコンピュータでやるものがあるが、根本的な考え方は統計的な考え方で共通している。大学院で計算機科学と統計を別々に学び、違う名前で呼ばれ、違う手法のように教えられるが、同じだということがわかるというようなことがあり、一緒に教えるべきだと思う。

(2)三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化について
○ 総則・評価部会での議論の説明において「資質・能力の三つの柱については相互に関連し合いながら育成する」という一行があったが、算数・数学教育のイメージでマル1、マル2、マル3のままでは、どうしてもそれぞれについての分析的な議論になってしまう懸念があるため、簡潔ではあるが、それらを束ねる文章を記載したことは大変重要なことだと思う。

○ アクティブ・ラーニングを支える三つの学びである、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの三点のうち、深い学びは自立的なもの、対話的な学びは協働的なものであることから、それぞれに主体的に取り組むというような枠組みで考えると、資質・能力の整理表の欄外の記載を追加したことで、自立的、協働的に取り組み、それぞれに主体的に取り組める子供を育てるのだということが一層はっきりしたと思う。これにより、アクティブ・ラーニングの三つの要素との関係もすっきりできるのではないか。

○ 資料7-1に統計の現行学習指導要領における手続的な内容が整理されているが、それらを使ってどのように教育していくのか、資質・能力の三つの柱でいうと、思考力・判断力・表現力等と学びに向かう力、人間性等を絡めたようなものも、場合によっては明確に示していかなければ、知識の習得を中心とした授業になってしまう危険性があるため、特に内容の整理の仕方も考えていく必要がある。

(3)幼稚園・小学校・中学校・高等学校を通じた算数・数学において育成すべき資質・能力の系統性について
○ 統計のカリキュラムについては、小学校6年生、中学校1年生、2年生のつながりを更にうまくつなげることによって、発達段階に応じて、問題解決し、意思決定するというところまでできるのではないか。

(4)算数科・数学科において育成すべき資質・能力と指導内容との関係について
○ 学習プロセスの中の算数・数学の世界において、問題解決を記載してことで数学の概念形成が無くなってしまった。数学関係者で話し合ったが、やはり概念を形成するということもこのプロセスに必要ではないか。

○ 小、中、高共に新たな概念を得ることが大事だということは共通した認識だと思う。プロセス資料の2ページ目に「概念」という言葉がD2の中に記載されているが、もう少し強調できればより良い。

○ プロセスの資料の2ページ目にある、プロセスと育成すべき資質・能力を加えた図が非常にわかりやすい。特に、概念についての部分は3ページ目のところで「洗練された領域固有の概念」、あるいは「教科横断の問題解決プロセス」、「汎用的な概念」というように、解決プロセスと関連付けることによって、概念がより汎用性のあるものになるというイメージがわかる。ここでも※印で「プロセスが自立的に、ときには協働的に行い」を入れることが大事だと思う。

○ プロセスの資料において、「数学化した問題」から「焦点化された問題」になるところで、主語を変化させている意図が無いのであれば、表記を統一すべきではないか。

(5)統計的な内容等の充実について
○ 今の社会に生きていく人間として統計的な力が必要だということはよくわかっているつもりだが、御提案いただいたことを実現するための時間数について、外国の例や国内の実践例はどうか。ある程度取り込むことは大事だと思っているが、全てについて取り組もうとすることで、身に付けるべき知識の習得ができなくなる可能性もあると危惧している。

○ 例えば英国連邦圏のニュージーランドでは、数学を使ったPPDACの実践的な取組は、数学的活動を行う教育として、算数・数学教育のおおよそ3分の1を占めている。一方で、関数とか関係性の考察などは数学の本質に根ざしたものだが、統計の学習はそれに若干のプラスアルファをしていると認識している。

○ 提案のほとんどが現行の学習指導要領に含まれているが、確率というものを教えるときに、確率的に考えたときにどちらのリスクが大きい行動になるかといった数学的活動を重視して入れるべきと考えている。むしろ、カリキュラムマネジメントを工夫して行うことが多いと考えている。

○ 統計教育の充実のためには、計算はできるだけICTを活用しなければ、カリキュラムの時間構成という面で難しいのではないかと思う。グラフの記述や統計量の計算といったものに関しては、可能な限り計算機による時間を授業に使うという考え方が、限られた時間の中で何をするかということを考えるポイントになるのではないか。

○ 統計の計算を手で一生懸命やるというよりは、出てきている数字がどのような意味を持っているのかということをきちんと捉えられなければ、世の中で出回っている数字に惑わされることや、結果的にうまく理解できないというところがある。考え方をどのように教えるかということが重要だと考えている。

○ 小・中・高で状況が随分違うのではないかという印象がある。特に小学校の低学年や中学年では、自分の目の前にある範囲を超えた数字のことは実感できず、100人や200人になると、もうついていけないというようなこともある。誤差についても、小学生にとっては、どの数えたのが正しいのかというところに考えが行って、誤差があるという方向に行くかなという懸念があることから、発達段階的な背景を押えるべきだと思う。

○ 小学校で、クラスごとにどのような本を読んでいるという授業例の中で、歴史の本がどのぐらいとか、漫画はどれぐらいとかいう調査をしていたが、漫画による歴史入門という本を漫画として集計したクラスと歴史の本として集計したクラスがあり、比較できなかったという例があった。このように、小学校ではデータの取り方のところからスタートすべきではないかと思う。今日の提案の中には、小学校の授業におけるデータの取り方の妥当性という点が無かった印象を受けましたが、その辺のところにも注目すべきだと思う。

○ これからの社会を生きる若者にとって統計の力が非常に大事な力となるのではないかと感じた。高等学校では、問題を発見し、適切な調査計画を立て、データを集め、そして予測や推測をして問題解決や意思決定をするという体験をさせるための時間を取ることが大事だと思う。

○ 高等学校ではデータの分析等をやっているが、教科書にあるデータの分析では文言の確認とか語句の確認が中心になっているということもあるのではないか。現場の先生方としては、いろいろなデータを別冊のデータ集のような形で紹介していただき、それを基にして議論をしていくような時間を作るという方法も非常に助かるのではないかと感じる。

○ 今後の社会を生きていく若者の力として、何が重要なのかということをしっかり考えて、例えば高等学校の数学Iで、数学を勉強しなくなってしまう文系の生徒もいることから、その中でどの力をつけてあげればいいのかということを議論することは、とても大事なことである。また、数理探究や総合的な学習の時間の中で統計の力を活用していくということも考えられる。

○ 情報教育の中ではICTを活用した問題解決は相当大きく出てくると思う。その意味では、数学・算数が与える方法論的な教育以外に、データ分析の中で、数学・数理の部分では高校では扱い切れないような分析技術が世の中ではかなり使われており、そういうものを問題解決の一つのツールとして情報科の中で行い、連携することは意味があると思う。

○ 情報科の「社会と情報」の現行のカリキュラムでは、問題解決のプロセスのような教育が情報科の中でも扱われているという印象がある。適切なグラフィックなどをうまく入れて、数学の教育を更に発展させることや、小学校や中学校で、グラフィックや可視化のようなものをどんどん発展させていくということは、あり得るのではないか。

○ 統計的に処理した結果を解釈したり、判断したりするときには、どうしても数学だけの素養では結論が出せないことが多いように思う。例えば、社会科学関係の課題があって、その結論を導くために数学を使うとなると、数学的には一定の結果が得られるが、結果の解釈では社会科学の素養が必要になる。これら双方をやるとなると複数科目なり教科が関わるような状況を設計しないとうまくいかないのではないか。

○ 社会科学的な仮説検定のようなものは、統計にとってきわめて重要。それについては、本当は高等学校の中で、数理探究と言われているものと同様に、社会科学的な課題解決、総合的な学習の時間のような場がある方がよいと考える。

○ 統計的推論の基礎的なもの、その原理は例えば背理法で二項確率の範囲で何かを数学的に仮定すれば、8回連続コインの表が出るとかいう現象は極めて珍しいという教えで、その数学的原理は数学Iの中で教えられると思う。しかし、その実践は、やはり数学的、物理的な現象のみならず、いろいろな分野の総合的な学習の中で行われるべきものと思う。

○ 社会人として統計の素養が大事だということがよく理解できたが、カリキュラムをきちんと考えようとしたときには履修の実態も視野に入れる必要がある。資料7-1の2ページ目に統計に関する内容が並んでおり、一見すると、これらを一応履修するかのように見えてしまうが、例えば数学Bの中にある「確率分布と統計的な推測」は、今の日本の高校生ほとんど履修していないという実態がある。したがって、情報科との関係なども考えなければならないが、国民の素養として統計の内容を履修できるシステムをどのように作るかということを一歩踏み込んで考えないといけない。カリキュラムに並べるだけではなく、実態まで踏み込み、小学校、中学校、高校でどこまで必要かということを見極め、それが履修できるシステムまで踏み込んで考えるべきである。

○ 統計教育が目指す方向とは、だまされない子供にしていかなければいけないということもあると思う。小学校ではしっかりと正しい答えを見つけなければいけないと刷り込まれており、統計によって導き出された結果については認められないという実態は、ある意味、今日の小学校での統計に関わる教育を通して、子供たちに本来身に付けさせていかなければならない資質・能力とは少し違ったところに収まってしまっていると感じる。例えば、批判的に物事を見つめる、目的に応じて柔軟に表す、多面的に分析する、というような視点から整理し、もっと内容と資質・能力とを密接につなげていくように取り組んでいく必要があるのではないか。

○ 小学校で、ただ単に問題解決をしただけではなく、そこで意思決定し、判断するということが大事なことだと思う。数学の範囲ではなくなるが、中学校・高等学校では、意思決定したら、決定した事柄を自分たちの行動へと起こしていくということが必要ではないかと思っている。

○ 統計のカリキュラムについては、小学校6年生、中学校1年生、2年生のつながりを更にうまくつなげることによって、発達段階に応じて、問題解決し、意思決定するというところまでできるのではないか。

○ 小学校の主観的評価から中・高校で実測的、あるいは予測的評価と系統付けることが重要だと考える。現状の小学校での統計指導は数量関係領域の授業で行われ、どうしても知識、技能に偏っている。グラフや表を作って何を考え、どのように判断するのかということが、問題解決のサイクルの中で欠如している。

○ 小学校、中学校では、社会科や理科の中で統計的な表現あるいは統計的な結果を活用していることもある。そのような中で、算数・数学の役割を明らかにする必要がある。特に資料7-2の「資質・能力及び内容等の整理」にある、思考・判断・表現、それから学びに向かう力のところで、批判的に解釈する力や、予測や推測をしたり判断したりしようとする態度は非常に重要だが、算数・数学の統計指導の中で行うには、知識・技能を習得・習熟することも考えると、やはり時間がかかる。例えば小学校の場合、これらの見方・考え方ができるのは5年生、6年生の高学年になるが、高学年は内容が多く、時間的余裕が無く、知識・技能を教えるだけで終わってしまうことがある。したがって、どこに重点を置くかということと、算数・数学の中で統計的な力を付けるというのならば、時間数の確保というのは非常に重要である。

○ 現実にコンピュータ、計算機科学と統計はもう切っても切り離せない状況になっており、紹介した手法の中にも、機械学習というコンピュータでやるものがあるが、根本的な考え方は統計的な考え方で共通している。大学院で計算機科学と統計を別々に学び、違う名前で呼ばれ、違う手法のように教えられるが、同じだということがわかるというようなことがあり、一緒に教えるべきだと思う。

○ 現実の社会や企業でも、データサイエンティストと言われるような人がもてはやされており、特別な知識を持った人として雇われているが、社会科学の問題と切っても切り離せないもので、リアルに実務で何をしているかということがイメージできない人がデータ分析のスキルだけでデータを見ると、やはり戦略的に非常にまずいものが出てくるという現実がある。

○ 最終的には資料7-2をもう少し深めていくのだと思うが、各委員から御指摘のあったように、情報科目との関係や、数理探究やアクティブ・ラーニングで扱うことと算数・数学のカリキュラムの中に何を入れていくかというところについては、それぞれの役割分担を整理すると議論しやすい。その間のつながりも戸谷委員がご指摘したとおり、とても大切だと思う。

○ 中学校では、資料の活用が現行の学習指導要領に入ってから、現場ではかなり意識して、数学的活動を子供たちにやらせるようにしている。具体的には、データについて自分たちで興味を持って分析してグラフ化したり、度数分布表を作ったりという作業を行っている。しかし、授業時数が足りないというところが問題であり、内容的にも中学1年では、ちょうど細部の単元になるため、どうしても時間を取り切れずにただ知識だけを詰め込んで終わってしまうという現実もあるのではないかと危惧している。さらに、コンピュータ室が校内に一つしかなく、使いたい時間に使えないというICTの整備という面で、現場は非常に困っている。このような現実の改善も大きな課題ではないか。

○ アクティブ・ラーニングとして数学的活動がこれから中心に置かれようとしているため、その素材として統計は大変よい材料もたくさん含まれている分野だと思う。そうなると、いろいろな概念や手続、アルゴリズムなどを身に付けなくてはならないが、それを欲張ってしまうと、それぞれの意味とか働きがぼんやりするので、基本的には一連の活動を重視する方向で内容、あるいは目標を見直していく必要があるのではないか。

○ 資料7-1に統計の現行学習指導要領における手続的な内容が整理されているが、それらを使ってどのように教育していくのか、資質・能力の三つの柱でいうと、思考力・判断力・表現力等と学びに向かう力、人間性等を絡めたようなものも、場合によっては明確に示していかなければ、知識の習得を中心とした授業になってしまう危険性があるため、特に内容の整理の仕方も考えていく必要がある。

2.アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学科の指導等の改善充実の在り方について

○ アクティブ・ラーニングとして数学的活動がこれから中心に置かれようとしているため、その素材として統計は大変よい材料もたくさん含まれている分野だと思う。そうなると、いろいろな概念や手続、アルゴリズムなどを身に付けなくてはならないが、それを欲張ってしまうと、それぞれの意味とか働きがぼんやりするので、基本的には一連の活動を重視する方向で内容、あるいは目標を見直していく必要があるのではないか。

3.資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について

○ 特になし。

4.必要な支援(特別支援教育の観点から必要な支援等を含む)、条件整備等について

○ 中学校では、資料の活用が現行の学習指導要領に入ってから、現場ではかなり意識して、数学的活動を子供たちにやらせるようにしている。具体的には、データについて自分たちで興味を持って分析してグラフ化したり、度数分布表を作ったりという作業を行っている。しかし、授業時数が足りないというところが問題であり、内容的にも中学1年では、ちょうど細部の単元になるため、どうしても時間を取り切れずにただ知識だけを詰め込んで終わってしまうという現実もあるのではないかと危惧している。さらに、コンピュータ室が校内に一つしかなく、使いたい時間に使えないというICTの整備という面で、現場は非常に困っている。このような現実の改善も大きな課題ではないか。

5.その他の論点

○ 特になし。


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初等中等教育局教育課程課教育課程第二係

-- 登録:平成28年05月 --