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資料4


平成16年2月17日
茨城県金砂郷町


『金砂郷町立こどもセンターうぐいす』における取り組みについて


1. はじめに
 茨城県金砂郷町では、平成12年4月から幼保合築施設である「こどもセンターうぐいす」において、施設の共用化により幼保の連携を図り、幼児同士のふれあいを促進してきた。しかし、少子化が進み幼児数全体が減少するなかで幼保合築施設でありながら、幼稚園、保育所がそれぞれ別々に年齢に応じたクラス編成を行っているため、1クラスの人数が少なくなり、集団のなかでたくましく子どもを育むうえで課題が生じてきていた。
 そのため、「金砂郷町幼保一体的運営特区」を申請し、幼稚園児、保育所児の合同クラスを編成し、平成15年10月より5歳児を対象に開始した。

2. 経緯・経過
(1) 「こどもセンターうぐいす」建設
・平成10年  3月  文部省・厚生省が「幼稚園と保育所の施設の共用化等に関する指針」の策定
・平成10年度  老朽化が進んでいた町立金郷幼稚園の新園舎建設、また、同一敷地内にあった町立保育所の待機児童の解消に向けて施設の増築を検討
・平成11年  8月  「こどもセンターうぐいす」建築着工
・平成12年  4月  共用開始

(2) 「こどもセンターうぐいす」の概要
1  認可 保育所 0歳児から5歳児
    幼稚園 3歳児から5歳児
2  入所・入園区域    
    保育所 町内在住の0歳児から5歳児
    幼稚園 町内在住の3歳児から5歳児
3  定数及び幼児数(平成15年4月1日現在)
    保育所
定数 0歳児から5歳児 90人
幼児数 0〜2歳児34人、3歳児23人、4歳児25人、5歳児13人
    幼稚園
定数 3・4・5歳児 それぞれ35人以内
幼児数 3歳児17人、4歳児13人、5歳児15人
4  施設面積 保育所 475.57平方メートル
    幼稚園 300.99平方メートル
    共用 483.45平方メートル(職員室、遊戯室等)
5  保育料 保育所・幼稚園それぞれの規定による料金
  ※預かり保育料(平成16年度より)
 1ヶ月 8,000円(通年利用)、1日 500円(一時利用)

3. 「金砂郷町幼保一体的運営特区」の概要
(1) 幼保一体的運営特区の目標
 少子化が進み幼児数が減少するなかで「同じ地域の幼児を保育する」という認識のもとに、幼稚園児、保育所児の合同クラスを編成することにより、幼児期からできるだけ多くの人と接し、社会性や創造性を育む機会を提供していく。また、保護者の子育てへの不安の解消に努めるともに、保護者が利用しやすい制度を実施し、さらには、少子化に対応した保育環境を整備するものである。

(2) 幼保一体的運営特区に伴い実施する事業
1 幼稚園における幼稚園児、保育所児等の合同活動事業
 平成16年4月から小学校へ入学する5歳児を対象に平成15年10月より合同クラスを開始した。このことにより幼稚園児への指導内容には影響を与えることなく、幼稚園児、保育所児とも集団生活への適応力を高められるなど教育効果が得られると考えられる。なお、併せて幼稚園教諭及び保育士には併任発令を行っている。
2 保育所における保育所児と幼稚園児の合同活動事業
 平成16年度より実施する事業で平成15年10月より合同クラスを編成している5歳児及び3、4歳児についても合同クラスを編成する。なお、これに伴い幼稚園において、預かり保育を実施し、保護者の多様なニーズに応えることとした。
3 幼稚園・保育所の同一給食
 現在、幼稚園児と保育所児は異なる給食となっている。合同の保育活動とするには給食についても同一の内容とすることが望ましく、全幼稚園に提供している常陸太田市・金砂郷町学校給食共同調理場の給食を平成16年度より3歳児以上の保育所児に提供し、幼保の同一給食を実施する。
4 入園・入所手続き一元化
 幼稚園、保育所それぞれ異なっていた募集案内等を統一的に行うとともに、入園・入所申込書を幼稚園、保育所、教育委員会事務局のいずれの窓口でも受け取れるようにしたうえ、全幼稚園及び保育所の申し込み状況を「こどもセンター」で一元的に把握し、保護者からの相談等にも一括して対応できる体制を整える。

4. こどもセンターの1日(予定)<3歳児から5歳児>
  こどもセンターの1日(予定)<3歳児から5歳児>
 ※  土曜日、夏季休業日、冬季休業日、年度末・年度始休業日、県民の日、創立記念日、振替休業日は幼稚園児は休業日となる。
 保育所児は年末年始のみ休園となる。

5. こどもセンターの組織
  こどもセンターの組織

6. 勤務ローテーション
 今年度においては、年度途中から実施し5歳児のみを対象とした合同活動のため、保育所・幼稚園それぞれの勤務規定により勤務を行っている。平成16年4月からは全職員を原則としてローテーションを組み、また、合同活動が充実できるよう臨時講師・臨時保育士を早朝・遅番に2名ずつ固定して対応する予定である。

7. 職員研修
 合同研修や年齢別研修を行い、職員の共通理解や幼児理解を深めるよう研鑚を積み重ねていく。

 
(1) 職員会議
1  回数 月1回、午後5時30分から(ただし、残留保育担当者2名は、午後6時より参加)
2  対象者 全職員
3  内容 1ヶ月の予定や行事・諸連絡等について検討し、共通理解を図る。

(2) 合同研修
1  回数 月1回、第1木曜日、午睡時間を利用して実施(午後1時45分から午後2時25分)
2  対象者 全職員
3  内容 こどもセンター長からの庁議報告・指示連絡事項、合同行事計画案の検討や反省、幼保一体的運営についての共通理解、諸連絡等。

(3) 年齢別研修
1 1  回数 3歳児は、第3木曜日の月1回、4・5歳児は、第2・第4木曜日の月2回。
  2  内容 幼児の姿、遊びの内容、環境、教材の検討等や保育のねらい・方法等について話し合い共通理解を図る。指導計画の内容の見直し等。
2 1  回数 毎週火曜日、3・4・5歳児毎に実施
  2  内容 教育課程の検討等を行う。

8. 幼保一体化を推進することによる効果
 同じ施設内の子ども達が、保護者の事情にかかわりなく、同じクラスで一緒に遊んだり、生活することができる。
 年度途中で保護者の就職または離職というような環境の変化があっても子どもの環境(クラス・担任等)の変更がなく安定した保育環境を保つことができる。
 5歳児においては、合同活動を実施する以前は、クラス定員を大きく下まわっていたが、実施後は仲間も増え、幼保の区別のない交流が広がってきている。
 同じ施設内でも保護者、職員の間に、幼稚園と保育所という意識の壁があったが、一体化の推進により薄れてきている。
 施設の共用部分(遊戯室等)については、調整の必要が無く使用できるようになる。

9. 今後の課題
 幼保一体的運営を行っていくうえで幼保の制度の違いにより事務が煩雑化しており、法整備が待たれる。
 幼稚園・保育所の保育日数・保育時間の差をどう埋めるか。
 すみずみまで行き届いた保育を実施するため、1クラス当りの適切な幼児数を維持する必要がある。
 研修時間をどう確保するか。
 保育料の一元化


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