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【現状と課題】 |
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○ |
子どもたちに[確かな学力]をはぐくむためには、児童生徒の「学力」の状況を的確に把握し、評価した上で、それを教育課程及び指導の充実・改善に生かすことが必要。
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○ |
児童生徒の「学力」の状況の把握については、各学校における取組はもとより、国においては、教育課程実施状況調査などの全国的な調査を実施するとともに、都道府県教育委員会や市町村教育委員会においても独自の調査を実施。
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【今後の基本的な考え方】 |
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○ |
教育課程及び指導の充実・改善を図るためには、知識や技能に加えて思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲などまで含め、子どもたちの「学力」の総合的な状況を的確に把握する調査の実施や調査方法の開発等が重要ではないか。
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○ |
国においては、「学力」の総合的な状況を把握するため、今後とも教育課程実施状況調査などの全国的な調査や研究指定校による調査の継続的な実施に加えて、「特定の課題に関する調査」等を実施することが必要ではないか。
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○ |
国で実施する全国的な学力調査の結果については、分析結果等を積極的に情報提供すべきではないか。また、学校間の序列化等につながらないよう、データの取扱いについて十分配慮することが必要ではないか。
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○ |
各教育委員会等においても独自の学力調査等を実施し、子どもたちの「学力」の総合的な状況を把握して、各学校における指導の充実・改善に生かすことが必要ではないか。また、希望する市町村教育委員会では、国の学力調査を活用し、全国的なデータと比較可能にすることも必要ではないか。
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○ |
各教育委員会等において学力調査の結果を公表する方法等については、学力調査の結果のみならず、指導方法や指導体制、教育課程の工夫改善など多様な情報の提供に留意することが必要ではないか。
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○ |
国において、「総合的な学習の時間」のねらいの実現状況を評価するとともに、その後の指導に生かすため、知識や技能と生活との結び付きや、知識や技能の相互の関連付け、深化、総合化を図るなどの力がどのように身に付いているかなどの観点から、調査を行うことが必要ではないか。 |
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【現状と課題】 |
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○ |
各学校では、大綱的・弾力的な教育課程の基準である学習指導要領等に基づき、地域の実態や児童の心身の発達段階及び特性等を十分考慮して教育課程を編成し、それぞれの教員の創意工夫を生かして教育課程を実施しているところ。都道府県教育長協議会の調査研究でも、学力の向上のために重視するものとして、学校の教育計画・指導計画の改善・充実、適切な教育課程の編成・実施、学習指導法の工夫・改善が上位に位置しているところ。
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○ |
学習指導要領に示す内容は、すべての児童生徒に対して指導すべき内容(小・中学校)又は当該科目を履修するすべての生徒に原則として指導すべき内容(高等学校)であり、各学校では、学習指導要領に示された内容の確実な定着を図ることが求められているところ。その上で、個性を生かす教育の充実の観点から、児童生徒一人一人の実態に応じ、学習指導要領に示されていない内容を加えて指導することも考慮すべき。
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○ |
各学校においては、このような学習指導要領の「基準性」を踏まえた指導を行うことが重要であるが、その趣旨の伝達が不十分となっていることもあり、学習指導要領に示された内容をそのまま指導するにとどまり、その他の内容を加えた指導については十分考慮に入れているとは言えない実態も見受けられる状況。
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○ |
入学者選抜における学力検査について、「基準性」の一層の明確化に伴い、学習指導要領に示されていない内容と入学者選抜における学力検査の出題範囲との関係が不明確になるのではないかという懸念が学校現場に見られる状況。
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【充実・改善方策】 |
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○ |
学習指導要領の「基準性」に関する記述を見直し、学習指導要領の「基準性」を一層明確に示すことが必要ではないか。
各学校においては、学習指導要領の基準性を踏まえた上で、改めて、地域の実態や学校の実情、学校教育目標、建学の精神等の理念や哲学等に応じて教育課程を編成することの重要性を強調すべきではないか。また、更に学習指導要領の大綱化・弾力化を進め、より弾力的な教育課程の編成を可能とすべきではないか。
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○ |
学習指導要領の記述を見直し、いわゆる[はどめ規定]等の趣旨は、すべての児童生徒に対する指導に当たっての制限であり、児童生徒一人一人の実態に応じた指導を行う際には、この規定にかかわらず指導することも可能なものであるということを一層明確化することが必要ではないか。
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○ |
学習指導要領に示されていない内容の指導については、全国的に一定の教育水準の確保や児童生徒に与える負担等の観点から、無制限に行われることがないように配慮すべきではないか。また、高等教育との連携も視野に入れつつ、小学校から高等学校までの指導方針の連続性に配慮すべきではないか。
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○ |
教育課程の管理(カリキュラム・マネジメント)に関する能力等を養うため、教務主任を対象とした研修や個々の能力・適性等に応じて実施される10年経験者研修等で、教育課程の編成・実施・評価についての実践的な研修を行うことが必要ではないか。
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○ |
各大学、高等学校等の入学者選抜に当たっては、新学習指導要領の基本的なねらいを踏まえ、児童生徒の知識や技能を評価するとともに、思考力・判断力・表現力や関心・意欲・態度などまでを含めた「学力」の総合的な状況を評価することができる問題の作成に努めるとともに、大学にあっては、各大学がそれぞれの方針に基づいた選抜をどのように行うか、研究していくべきではないか。
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○ |
国等においても、「学力」の総合的な状況を評価することができるような良質な学力検査問題を収集し、各教育委員会や各学校等に対して積極的に情報提供することが求められるのではないか。 |
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【現状と課題】 |
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○ |
各教科の授業時数については、国は「標準」を定めており、各学校においては、学校行事等を含んだ教育課程全体のバランスを図り、全体の教育活動を適切に実施するために必要な学習指導時間を確保することが求められているところ。
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○ |
平成15年度の公立小・中学校における教育課程編成状況調査によれば、国で「標準」を定めている年間の総授業時数に関する平成14年度の実績は、小学校で約9割の学校が、中学校で5割以上の学校が「標準」を上回っている一方で、中学校においては、第1・2学年は約2割の学校が、第3学年で3割以上の学校が「標準」を下回っている状況。
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○ |
同調査によれば、平成6年度と比較して学校行事等の時間数は全体として見れば大きく減少していると考えられ、学校行事等の意義を十分踏まえられない実態があるのではないかと思われる状況。
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※ |
平成6年度の平均時間83.1単位時間→平成15年度には69単位時間以下が74.1%(中学校)
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【充実・改善方策】 |
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○ |
必要な学習指導時間の確保とは、形式的に「標準授業時数」を確保することではなく、新学習指導要領の基本的なねらいを実現するために、指導方法、指導体制の質的な改善を図りつつ、実質的に必要な時間を確保することであるとの考えを明らかにすることが必要ではないか。
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○ |
各学校において、各教科等に必要な学習指導時間を適切に確保するためには、授業時数の実績の管理や児童生徒の学習の状況の把握など、様々な観点から教育課程の実施状況について自己評価を実施し、改善を図ることが必要ではないか。
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○ |
知識や技能のみならず思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲などまで含めた[確かな学力]をはぐくむためには、「標準」の授業時数は確保する必要があるのではないか。
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○ |
「標準」の授業時数だけでは、各教科に必要な指導時数が不十分ではないか。 |
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○ |
必要な学習指導時間が適切に確保されているかどうか、保護者や地域住民等への説明を行う観点から、各学校で年間の行事予定や各教科の全体計画、年間指導計画を積極的に公表することも必要ではないか。
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○ |
各学校においては、既に週時程・時間割の見直し、短縮授業の減等の様々な取組が行われているが、今後とも、必要な学習指導時間を確保するため、学校の実態に応じた教育課程の編成を行うことが必要ではないか。
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○ |
各学校において、必要に応じ、長期休業期間中に家庭訪問を実施することや時期にふさわしい学校行事等を実施すること、校長の判断により長期休業日を増減すること等の工夫に配慮することが必要ではないか。その際、児童生徒への負担や長期休業日における家庭や地域社会の役割等について考慮する必要があるのではないか。
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○ |
長期休業日の設定に関する学校裁量の拡大や二学期制等の学期区分に関する工夫については、各教育委員会の取組に委ねるべきではないか。各教育委員会等においては、これらの工夫等について、既に導入している地域や学校の実施状況等を参考にしつつ、それぞれの教育方針に基づいてその教育的効果等を十分研究することが必要ではないか。また、部活動等への影響も考慮すべきではないか。
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○ |
高等学校においては、二学期制の導入や長期休業日の短縮等の様々な取組が行われているが、施設整備や制度面を含めて生徒・教員双方の負担を軽減する方策について今後研究する必要があるのではないか。
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○ |
高等学校入学者選抜の日程等について、中学校教育への影響に配慮すべきではないか。 |
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○ |
国においては、学校における特色ある教育課程の編成や教育委員会における取組についての事例集を作成するなど、積極的な情報提供を行うことが必要ではないか。 |
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【現状と課題】 |
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○ |
「総合的な学習の時間」については、創意工夫した授業プランの組み立ての機会の増加や児童生徒の学習意欲等の向上など肯定的に受け止める声が大きい一方で、教員の負担感、学習のテーマ設定の難しさ、具体的な実施内容に関する教員の悩みなどについての指摘もあるところ。また、特に中学校では、基礎学力の定着の時間が削られたとの声も強いところ。
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○ |
「総合的な学習の時間」については、趣旨に即して創意工夫した実践への取組が見られる一方で、具体的な「目標」や「内容」を明確に持たずに活動を実施し、必要な力が児童生徒に身に付いたかの把握・評価が十分行われていない実態や教科との関連に十分配慮していない取組、教科の時間への転用の取組、児童生徒の主体性や興味・関心を重視するあまり教員が児童生徒に対して必要かつ適切な指導を実施せず、教育的効果が十分上がっていない取組など、改善すべき課題が少なくない状況。
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○ |
「総合的な学習の時間」については、「時間」であるという名称ゆえに、教科等と同等に受け止められにくく、計画的な指導の妨げとなっているとも指摘されているところ。
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【充実・改善方策】 |
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○ |
小・中・高等学校等の学習指導要領の記述を見直し、「総合的な学習の時間」の意義、趣旨を徹底するとともに、その実現のために知識や技能等の関連付けの観点や計画的な指導、学校間・学校段階間の連携などを明確化する必要はないか。
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○ |
各学校においては、「総合的な学習の時間」がそのねらいを踏まえたものとなるよう、「学校としての全体計画」の作成、各学年の目標・内容、具体的な指導の改善、評価の在り方、学年間の連携、円滑な実施のための指導体制等について、自己評価の実施等により取組内容を不断に検証することが必要ではないか。また、学習活動の一部について、その特質に応じて、長期休業日を活用するなどの工夫も考えられるのではないか。
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○ |
「総合的な学習の時間」の円滑な実施を図るために、教員が教材の開発、地域との連絡調整などに充てられる時間を確保できるようにすることが必要ではないか。
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○ |
各教育委員会等において、教育センターや市町村教育委員会事務局の指導主事等が各学校の取組について適切な指導や具体的な助言を行う体制の整備、必要な予算の確保や地域人材活用の支援等を行うことが必要ではないか。
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○ |
国において、学校間連携や外部との連携等の実践研究や各学校が参考にし得る学習プログラムの開発、教材の開発、評価の研究、優れた実践事例等の収集・提供など、各学校の取組を積極的に支援することが必要ではないか。 |
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【現状と課題】 |
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○ |
平成15年度の公立小・中学校における教育課程編成状況調査によれば、小・中学校とも約7割の学校が必修教科において「学習内容の習熟の程度に応じた指導」を実施しており、その中で小・中学校とも約5割で発展的な学習に取り組むとともに、補充的な学習にも約7割が取り組んでいるところ。
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○ |
「学習内容の習熟の程度に応じた指導」や「発展的な学習」、「補充的な学習」など個に応じた指導を積極的に取り入れている学力向上フロンティアスクールなどの学校では、児童生徒の学力の伸長をはじめ様々な面で効果をあげているほか、保護者からの肯定的な意見も多いところ。
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○ |
各学校においては、個に応じた指導をあらゆる局面に応じて適切な形で積極的に推進することが新学習指導要領のねらいの実現にとって不可欠。
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○ |
小学校で「学習内容の習熟の程度に応じた指導」が、また、小・中学校(必修教科)で「補充的な学習」、「発展的な学習」が学習指導要領に例示されていないことから、学校によっては、限定的に実施している実態も見受けられる状況。
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【充実・改善方策】 |
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○ |
「学習内容の習熟の程度に応じた指導」、「補充的な学習」、「発展的な学習」について各学校段階、指導の場面についての基本的な考え方や取り組む意義を明らかにすることが必要ではないか。
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○ |
「個に応じた指導」等の指導方法・体制の工夫改善に当たっては、児童生徒の発達段階やそれぞれの特性、学校の実態、教科等や指導内容の特質を十分踏まえるとともに、児童生徒の実態や指導の場面場面に応じて、個別指導やグループ別指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、繰り返し指導等、効果的な方法を柔軟かつ多様に導入することが必要ではないか。また、学校が一体となって共通理解の下に進めるとともに、校長が指導力を発揮して校内体制の強化を図ることや、教員間の情報共有を図るとともに、それぞれの役割分担を明確にすることが必要ではないか。
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○ |
「学習内容の習熟の程度に応じた指導」について、多くの学校において取組が進み、効果をあげている現状を踏まえ、小学校学習指導要領の記述を見直し、児童の実態、教科の特性等を考慮しつつ例示として追加することが必要ではないか。
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○ |
各学校で「学習内容の習熟の程度に応じた指導」等を実施する際には、いたずらに児童生徒に優越感や劣等感を生じさせることのないように留意するとともに、保護者に対しては指導内容・方法の工夫改善等を示した指導計画、導入の理由等を事前に説明するなどの配慮が必要ではないか。
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○ |
「補充的な学習」、「発展的な学習」について、小学校及び中学校の必修教科においても多くの学校において取組が進み、効果をあげている現状を踏まえ、小・中学校学習指導要領の記述を見直し、児童生徒の実態、教科の特性等を考慮しつつ例示として追加することが必要ではないか。
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○ |
「補充的な学習」、「発展的な学習」を実施する際には、それぞれのねらいを明らかにし、扱う内容と学習指導要領に示される各教科等の目標や内容との関係を明確にして取り組むことが必要ではないか。また、「補充的な学習」を行う際には、様々な指導方法や指導体制の工夫改善を進め、当該学年で学習する内容の確実な定着を図るとともに、「発展的な学習」を行う際には、児童生徒の負担過重とならないように配慮するとともに、学習内容の理解を一層深め、広げるという観点から適切に導入する必要があるのではないか。
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○ |
「補充的な学習」、「発展的な学習」をより効果的に実施する上で、学習指導要領において指導内容が2学年にわたり示されているものについては、指導形態の工夫として学年の枠をはずして取り組むこともあり得るのではないか。
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○ |
「発展的な学習」を実施する際に、いたずらに上級学年の内容を先取りして指導するなどして、学習指導要領のねらいに反してしまうことのないように留意すべきではないか。
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○ |
「個に応じた指導」を一層充実するためには、教員が指導の打ち合わせや教材研究等を行うための準備時間を確保することが必要ではないか。
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○ |
「個に応じた指導」を一層充実するためには、施設設備や教員定数の充実など条件面の整備も重要な要素ではないか。 |