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【別添2】

関係機関・団体等の活動の活性化のための方策に関する意見(別添1.を除く)


1.社会教育施設
(1)   図書館
設置状況やサービスの質に関して,市町村間で大きな格差が存在している(未設置市町村:1,658市町村(51%)(平成11年))。
利用者にとって時間的制約が少なく,誰でも生涯学習を実践できる場としての特長を十分発揮できるよう,図書館の改善を図っていくことが必要である。このため,いつでも学習できる,教養の向上や実学のための地域の学習と情報の拠点として活性化させていくことが必要であり,設置数やサービスの質の大幅な向上が必要である。
開館時間の延長や貸し出しの仕組みの工夫を図るとともに,国民全体の資産として活用を図ることが必要である。
従来,図書館は,図書の貸し出し機能に重点を置いてきたが,デジタル化があらゆる分野で進展している今日,レファレンス機能の充実をはじめ,民間ではできない付加価値をつけた情報の発信,横断的な蔵書の検索・予約,外部データベースの利用等情報化への対応が必要である。
子どもの読書活動の推進のために,児童図書等図書資料の充実,児童室,児童コーナーなどのスペースの確保に努めるとともに,地域の読書活動推進団体・グループと連携した取組を充実していくことが重要である。
各地域の特色ある歴史上の貴重文書,郷土資料等をアーカイブ(保存記録)化し,長期にわたる保存・管理と,幅広い情報の公開・活用の両立を図っていくことが重要である。
図書館の持っている知的な雰囲気やバーチャル(仮想)な世界では味わうことのできない本の持っている良さを大切にしていくことが重要である。
大学や学校の図書館との連携及び他の専門機関や研究機関との連携が重要である。

(2)    公民館等
公民館で開設されている講座については,数は増加傾向にあるが,その内容は,依然として,趣味・稽古事に関する講座が多くを占め(37%,平成13年度),利用者が特定の住民に限定されている傾向にあるのではないかと考えられる。
現在,公民館等が設置された時代とは,時代背景や社会の構造,国民意識やその成熟度が大きく変化している中,公民館の役割や講座の在り方等についての見直しが必要である。
今後は,社会の要請に的確に対応し,子どもや若者,働き盛りの世代の人も含めて地域住民全体が気軽に集える,人間力の向上等を中心とした,コミュニティのためのサービスを総合的に提供する拠点へと大きく変わっていくことが求められる。このためには,地域の学習ニーズの把握,大学を含む地域の学習資源のコーディネート,学習資源の提供サービスの充実が望まれる。また,子どもや若者,働き盛りの世代の人の学習や活動の拠点になるよう,講座内容や施設の改善等を図ることが望まれる。

(3)    博物館
地域に密着した学習拠点でもあることについての認識が必ずしも十分とは言えないのではないかと考えられる。
文化・文明の継承や,自然や環境の保全,知的生産の成果へのアクセス,国民全体の教養の向上,地域への学習資源の提供,郷土の文化の振興,地域の個性の確立,観光の拠点とすることが必要であるとともに,国民全体の資産として活用を図ることが求められる。
子どもへのサービスの充実を図っていくことが必要である。子どもや外国人への対応を強化するため,例えば,外国語に堪能なボランティアを配置するなど,ボランティアの積極的な活用を促進することも必要である。
博物館同士のみならず,大学博物館等との連携を強化することが重要である。
展示の工夫や学芸員等の企画する力の向上が必要である。これからの学芸員は,市民ニーズにこたえる経営感覚を養うことが求められる。

(4)    青少年教育施設
青少年に豊富な体験活動を提供し,体験を知へとつなげていくことを学び,自己学習の基礎を学ぶ場として重要な施設であり,人間関係や責任ある市民の在り方について体験的に学べる場となることが重要である。
青少年の発達段階に即した活動のプログラムの開発,青少年が主体的に打ち込める多様な活動の機会の提供,青少年指導者の養成等の一層の推進が必要である。さらに,学校や青少年関係団体等との連携を強化し,学校の教育活動と一体となった自然体験活動等の推進,地域社会との交流や異年齢交流等の一層の充実が必要である。

(5)    生涯学習推進センター等
地域の生涯学習推進のための拠点として,学習情報の提供や学習相談,学習プログラムの開発などを行っており,34都道府県,219市町村に置かれている。都道府県立の生涯学習推進センター等については,各々の都道府県内の市町村との連携は概ね進んでいると考えられるが,大学や民間教育事業者等との連携は十分とは言えない。
今後,地域のネットワークの中心機関として,更に大学や企業,民間教育事業者,社会教育関係団体,NPO等の関係機関・団体等との協働を強化し,生涯学習の推進を総合的に図ることが重要である。
生涯学習推進センター等が存在しない地域においては,公民館がその機能を代替していくことが求められると考えられるので,そのための在り方を検討することが必要ではないかと考えられる。

(6)    女性教育センター・男女共同参画センター等
男女共同参画社会の実現に向けた施策を一層推進するため,就業,地域活動,家庭生活など,多様な選択ができるように支援するための学習活動や,そのための指導者養成,研修等を行う拠点として重要である。
男性に比べて地域活動や子育て等における活躍などの多様な役割を果たしてきた女性が,それまでの活動の成果を生かして様々な分野にチャレンジできるようにするための関連情報を総合的に提供する拠点となる(ワンストップサービス化)ことが求められる。
男性のこれまでの職場中心の意識や生活スタイルを転換して,女性とともに,地域活動や子育て等に参画できるようにするための学習機会の提供等の支援を行うことも重要である。


2. 学校
    ・ 「学社連携・融合」が強調されて久しいが,公民館,図書館,博物館,青少年教育施設等の社会教育施設や,児童館などの地域の施設・人材等との連携が十分とは言えないのではないかと考えられる。特に,学校教育関係者の理解が不足しているのではないかと考えられるため,これらの機関との連携を促進し,学校教育関係者の理解を深めていくことが必要である。
大学等)
高等教育機関については,欧米と比べて,社会人の受け入れが少なく,社会人が履修しにくいのではないかと考えられる。
 
   ・ 高等教育在学者に占める成人学生(25歳以上)の割合
   米…39.0%(2000年),英…47.1%(2001年),独…53.1%(2000年)
   ・ 日本の大学院における社会人の割合…15.3%(平成15年(2003年))
   ・ 日本の大学学部における入学者に占める高校卒業後4年以上経過した学生の割合…1.1%(平成15年(2003年))
公開講座等は増加しているが,内容が学習者のニーズに必ずしも合っていなかったり,PRが不足しているのではないかと考えられる。
社会人の受入れなど生涯学習機能をより一層果たすことが必要である。このため,社会の要請にこたえたカリキュラム編成や実践的能力を持つ教員を広く社会から受け入れるなど生涯学習のニーズに対応した効果的な教育を達成することが重要である。


3. 社会教育関係団体・NPO
    ・ 生涯学習分野では,従来から,各地で様々な青少年関係団体を含む社会教育関係団体等が活躍してきたところであるが,都道府県,市町村や関係機関側のこれらの団体との連携・協力体制が十分であるとは言えない。
近年は,平成10年の特定非営利活動促進法の施行等も契機となって,新たなNPOやボランティアが増加しており,地域によっては,講座の企画をしたり,講師になるなど,都道府県,市町村との連携も進展しているが,連携の進み方には地域差がある。


4. 企業(一般)
    ・ 現在,企業においては,CSR(企業の社会的責任)という考え方が浸透しつつあり,社会貢献が進められつつあるが,生涯学習分野における地方公共団体と企業との連携は十分であるとは言えない。地域の活性化を図るためには,地方公共団体と企業とのかかわりが重要であり,今後,生涯学習を振興するに当たっては,地方公共団体の広域連携の中に企業を組み入れ,積極的に連携を図っていくことが必要である。
今後,男性が家庭や地域の中に参加していくことや,企業がボランティア活動等を通じて地域に社会貢献することなどが一層求められており,学校, 家庭,地域の教育力の向上のためにも,企業の果たす役割は非常に重要である。
時間がないため学習できない人もいるのが現状であり,労働慣行や,労働時間など働き方の見直しが必要である。こうした働き方の問題を含め,企業の中に生涯学習の視点を取り入れ,企業の在り方の改善を図ることが求められる。
企業の社会貢献を促進するため,国や地方公共団体は,企業における「家庭教育休暇」や「ボランティア休暇」等の制度化など,社員が地域の活動に参加しやすい制度の導入を働きかけていくことが望まれる。
アメリカでは社員が学校の時間割に合わせてコンピューターの操作等を教えに行き,会社に戻って仕事をするといった例がある。このように、勤務中の一定時間に学校等に出向いてボランティア活動をすることを認めるといったことも望まれる。


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