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(別紙)

重点課題に取り組むための28の行動

 上記の3つの視点で示された方向性を踏まえ、4つの重点課題を受けて、まず着手する当面の具体的行動を28項目掲げて実践する。さらに、重点課題を実現するために必要な取組についても推進する。

〔若者の自立とたくましい子どもの育ち〕

(1) 若者の就労支援に取り組む

 「若者自立・挑戦プラン」(平成15年6月10日文部科学大臣・厚生労働大臣・経済産業大臣・経済財政政策担当大臣合意)に基づき、若者の職業的自立を促進するため、教育・雇用・産業政策の連携の強化、政策資源の重点投入、官民一体となった総合的な取組の強化を図る。
 具体的には、教育段階から職場定着に至るまでの総合的・継続的なキャリア形成・就職支援策を講じる。学校と企業・地域が連携した職場体験やインターンシップの推進などを通じて、小学校段階から児童生徒の発達段階に応じ組織的・系統的に勤労観・職業観を育成するキャリア教育を実施する。特に、中学生に対する集中的な職場体験の先進的な取組について、普及を図る。また、「実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアルシステム)」の導入、専門的人材の配置による就職相談の充実を図るとともに、専修学校等を活用した短期教育プログラムの開発等による若者の能力の向上を図る。
 さらに、通年採用の普及、トライアル雇用の積極的活用等により、就業経路の複線化に対応した多様な就職システムの整備を進めるとともに、能力を軸としたマッチングを可能とする若年労働市場の基盤の整備を図る。
 若者の生の声を聞き、きめ細かな効果のある政策を展開するための新たな取組として、民間を活用し、若年者に雇用関連サービスを1か所でまとめて提供する場(若年者のためのワンストップサービスセンター)を整備する。
 こうした取組等を通じて、平成18年度までに、若年失業者等の増加傾向の転換を目指す。

(2) 奨学金の充実を図る

 若者の自立を促すためにも、勉学を希望する若者が経済的理由でその機会を失うことがないよう、奨学金制度による支援を一層推進する。

(3) 体験を通じ豊かな人間性を育成する

 子どもたちが、地域や社会とのかかわりを通じて豊かな人間関係を形成し、文化や社会に対する関心を高め、自立した人間として成長することができるよう、地域と学校の連携の下に、様々な自然体験・社会体験活動の機会を提供する。このため、芸術文化・伝統文化体験、スポーツ、農林漁業体験、自然体験などの体験活動やボランティア活動の普及・促進を図る。
 夏休み等を利用して、地方公共団体と自然体験活動を推進する青少年団体との協力の下、子どもたちが青少年教育施設、野外活動施設や農家などで共同生活を通じた野外活動等の自然体験活動を行ったり、学校教育活動として、都市と農山漁村の交流による体験活動や、宿泊学習等の共同生活体験を行う取組を支援し、全国的な普及を図る。
 都市公園、河川空間、森林等の整備や使用方法を工夫するなどして、身近な自然に安心してふれあうとともに、子ども同士でできるだけ自由に遊べる場所を地域全体で確保する。 
 児童館や学校などを活用し、子どもたちが放課後や週末にスポーツや文化活動をしたり、乳幼児や高齢者などの様々な世代と交流することのできる活動を推進するとともに、運動場の芝生化など、多様な活動の機会や場所づくりを進める。また、我が国の伝統や文化を子どもたちに伝えていくことができるよう指導者を養成するとともに、高齢者等の他世代との交流等の体験の機会を提供する。
 地域のボランティア団体、青少年団体、スポーツクラブ等と連携して、青少年が社会奉仕活動や体験活動、スポーツ活動等を通して社会とのかかわりを学ぶことができる継続的な活動の場を提供したり、引きこもりがちな青少年など悩みを抱える青少年に対し、自然体験や生活体験等の体験活動の機会を提供し、社会参加のきっかけをつかむことができる取組を推進する。

(4) 子どもの学びを支援する

 子どもたちに「確かな学力」、豊かな人間性、健康と体力などの「生きる力」をはぐくむ学校教育を推進する。このため学校運営や学区の弾力化等による魅力ある公立学校づくり、総合学科や単位制高等学校等の特色ある高等学校づくりを進める。保護者会の夜間開催、PTA活動への働く親の参加促進など、学校に地域住民が参加しやすい環境を整備する。

〔生命の大切さ、家庭の役割等についての理解〕

(11) 乳幼児とふれあう機会の充実等を図る

 中・高校生等が、保育所、児童館、乳幼児健診の場等に参加し、乳幼児とふれあう機会を広げる取組を進めたり、中・高校生等のボランティアベビーシッターの育成を図ること等により、子どもや家庭の大切さを理解できるようにする。

(12) 生命の大切さ、家庭の役割等についての理解を進める

 家庭、学校、地域などにおいて、子どもを生み、育てることの喜びや意義、生命の尊厳、命の継承の大切さ、家庭の役割等についての理解を深めるようにする。また、学校教育において、発達段階に応じて、少子化社会の問題とその対応についての理解を深めるようにする。

(13) 安心して子どもを生み、育てることができる社会の形成についての理解を進める

 家庭、学校、地域、職場などにおいて、本大綱の目的についての理解を深めるとともに、安心して子どもを生み、育てることができる社会の形成についての理解を深めるようにする。

〔子育ての新しい支え合いと連帯〕

(地域における子育て支援)

(14) 就学前の児童の教育・保育を充実する

 公立保育所における延長保育の民営保育所並みの実施を目指し、一時保育、休日保育等多様なサービスのより一層の充実を図るとともに、送迎サービスの推進、病気回復期のため集団保育が困難となる間の一時預かり等の事業等の推進を図る。また、幼稚園における預かり保育等の子育て支援の推進を図る。
 保護者や地域の実情に応じ、幼稚園と保育所のそれぞれの特性を活かしつつ、多様な教育・保育を提供できるよう、職員資格の併有や施設設備の共用など、幼稚園と保育所の連携を進めるとともに、就学前の教育・保育と小学校との連携も進める。
 就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について、平成16年度中に基本的考え方を取りまとめ、平成17年度に試行事業を先行実施し、平成18年度からの本格実施を目指す。
 幼稚園及び保育所の教育・保育の内容の充実を図りつつ、利用者の選択にも資するよう、情報公開を促進するとともに、保護者や地域住民の意見を踏まえ、自己点検評価や第三者評価を推進する。

(15) 放課後対策を充実する

 放課後児童クラブや地域のすべての児童に活動の場所を確保する事業など、小・中学生の放課後の受入体制を、大都市周辺部を中心に整備する。利用者のニーズや地域の実情に応じ、民間主体や地域の人材の活用により効果的な放課後対策の取組を推進する。

(16) 地域における子育て支援の拠点等の整備及び機能の充実を図る

 子どもの育ちの段階に応じ、地域の幼稚園、保育所や児童館などを使った多様な子育て講座、親子教室、相談事業など、親が子育ての知識や考え方を身に付け、安心して子育てに取り組めるよう「親と子の育ちの場」の提供を進める。
 その際、行政と子育て支援団体との連携に留意するとともに、時間設定において働く親への配慮や、託児など子どもを連れた親への配慮をする。
 子育て家庭が適切に必要なサービスを選択できるようにするため、市町村ごとに「子育て支援総合コーディネーター」を配置する。また、子育て中の親の気軽な相談相手となる「子育てサポーター」のリーダーとなる人材等の養成を行う。

(17) 家庭教育の支援に取り組む

 基本的倫理観や社会的マナー、自制心や自立心などを育成する上で重要な役割を果たす家庭教育を支援するため、家庭教育に関する学習機会及び情報の提供を行うとともに、家庭教育に関する相談体制の整備等に取り組む。
 その際、行政と子育て支援団体との連携や、家庭教育手帳の活用に留意するとともに、父親の家庭教育への参加、時間設定において働く親への配慮や、託児など子どもを連れた親への配慮をする。

(19) 児童虐待防止対策を推進する

 児童虐待の発生を予防するため、産後間もない時期からの一般の子育て支援を充実するとともに、地域からの孤立や育児不安など養育支援が必要となりやすい状況にある家庭を把握し、訪問支援する取組を推進する。
 児童虐待を受けた子どもについて、保護や自立の支援、親子の再統合の促進への配慮、良好な家庭的環境で生活するための支援を行うため、里親の拡充や施設等の充実、適切な教育の確保、家族も含めた在宅支援の強化を図るとともに、居住の場所の確保、進学や就業の支援など自立を支援するための施策を講じる。また、虐待を受けた子どものケアや虐待を行った保護者の指導・支援の在り方等の調査研究等を進める。

(20) 特に支援を必要とする家庭の子育て支援を推進する

 発達障害に対して相談・助言等を行う自閉症・発達障害支援センターの整備を進めるとともに、関係機関の連携により、早期発見と診断、相談支援、治療・教育支援、地域生活支援、就労支援等の幼児期から成年に至るまでの継続した支援を行う。

(21) 行政サービスの一元化を推進する

 地方公共団体における子ども関連施策を担当する部署の横断的連携の仕組みを作り、窓口や情報の一本化を図るなど、一元的な行政サービスの実施を促進する。

(子どもの健康の支援)

(23) 子どもの健康を支援する

 子どもの食生活の支援マニュアルの開発や「食生活指針」の推進などにより、「食育」の普及を図る。
 性に関する健全な意識の涵養と正しい理解の普及、相談等の取組を図るとともに、子どもの心身の発達に関する研究活動を推進する。

(子育てのための安心、安全な環境)

(27) 子育てバリアフリーなどを推進する

 劇場、レジャー施設など多くの者が利用する公共的施設・機関において、子ども連れ家族の優先的な入館や料金割引サービスの普及を促進するため、関係省庁の協力の下に関係業界等に対して要請する。乳幼児同伴の利用者等に対応した、区画された観覧室の設置など、子ども連れ家族が劇場、ホールに来やすい環境の整備を促進する。

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