戻る


第2部 経済活性化に向けた重点施策

1. 地域再生

(1) 地域再生の積極的展開

「国から地方へ」「官から民へ」との考え方の下、地方の権限と責任を大幅に拡大するなど、「三位一体の改革」にも資する方向で、各種政策手段を組み合わせた「地域の地力全開戦略」としての取組を強力に推進する。推進するにあたっては、下記について、府省横断的なものも含め、補助金改革等を行い、持続可能な地域の再生につなげる。
2 自主裁量性の尊重、縦割り行政の是正、成果主義的な政策への転換
地域再生のモデルとなる主要政策テーマとして、地域観光の活性化、産学連携、環境共生、地域福祉・介護、IT化、バリアフリー化等を位置づけ、テーマごとに連携すべき施策をパッケージ化等
地域再生の推進に資するよう、地域の視点からの補助金改革を推進し、既存の補助金を見直し、地域が自主裁量性の高い資金を未来への投資として、透明な選定プロセス、複数年度執行、成果の評価なども念頭に、国民に説明できるような形で戦略的に活用できるような仕組みを構築

(3) 地域の基幹産業等の再生・強化

(観光戦略の強化)
具体的には、観光分野の人材育成、良好な景観形成、長期休暇の取得促進、外国人観光客に配慮した諸環境の整備、都市と農山漁村の共生・対流の促進、世界遺産をはじめとする自然・文化等の活用等の施策を強力に推進する。

2. 雇用政策・人材育成施策の新たな展開

(1) 職業教育の強化と「若者自立・挑戦プラン」の強化

(職業教育の強化)
小・中学校段階から職業に関する教育を地域の協力も得て充実するとともに、高校段階においては、より具体的な職業観の確立を目指した教育を強化する。こうした考え方に立って、社会ニーズに応じた高度な専門的人材を育成するため、専門高校及び全国に展開する国立高専等の学校運営の弾力化、地域の特性を活かした教育内容の構築、地域産業との連携等の強化を促進する。

(「若者自立・挑戦プラン」の強化)
「若者自立・挑戦プラン」については、民間委託等を活用する範囲を大幅に拡充することや、国から地域への支援を競争的・選択的に行うこと及び成果評価に基づき適切に見直しを行うこと等により実効性・効率性を高めていく。そのため、平成16年中に若者自立・挑戦戦略会議でアクションプランを取りまとめる。
また、地域の産業界の協力を得つつ、地域の産業界、教育機関、行政機関、住民が連携して、地域における経験豊かな人材や施設(工場、サービス施設、職業能力開発校等)を活用した職業教育及び体験活動等の積極的推進を図るなど、同プランを効果的に推進していく枠組みを強化する。

(フリーター・無業者に対する働く意欲の向上等)
若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取組、労働体験や職場定着の推進のための施策など、若年者に働く意義を実感させ、その意欲や能力を高める総合的な対策を講じる。

3. 「新産業創造戦略」の推進、市場環境の整備及び発展基盤の強化

(1) 「新産業創造戦略」の推進

(7つの戦略産業分野と地域再生の産業群の育成)
地域の資源を活かしつつ産業クラスター計画や知的クラスター創成事業を推進し、創造的な地域産業の再生を図る。その際、両者の統合的かつ円滑な運用や各クラスター間のネットワーク化を進める。また、コーディネーター制度について地域の実態とニーズに即した運用を行うなど顔の見える信頼ネットワークの充実、人材・技術のデータベース化支援など地域における産学官連携強化、地域ブランドの形成・発信等の重点施策を実施する。

(産業人材の育成)
製造現場の中核人材やサービス産業人材、IT人材等の産業人材の育成を図るため、産学連携による人材育成プログラムの開発やベテラン人材の活用等を促進する。また、企業内人材投資の促進、優秀な産業人材のスキル標準の策定を含む顕彰制度の充実・普及、草の根eラーニング・システムの整備等を促進する。

(新技術の創造・保護等と最適な事業環境整備)
研究開発については、「科学技術創造立国」の実現に向けた政策との連携を緊密にしつつ、戦略産業分野への重点化を図る。また、研究開発と規制改革・標準化等の一体的推進、特許審査迅速化と特許情報の提供拡大等、企業における営業秘密管理や技術流出防止の強化、国際標準の戦略的獲得、デザインの保護強化と地域ブランドの確立支援等により、新技術の創造・保護等を強化する。

(4) IT戦略の推進

利活用の分野のうち医療のIT化については、より良質で安全かつ効率的な医療を実現するため、政策群の手法も活用し、財政規律を保ちつつ関係機関にIT化のインセンティブを与える制度改革等により強力に推進し、社会保障関係のIT化につなげていく。また、同様に効率性を確保しつつ、教育など知のIT化を推進する。

(5) 科学技術創造立国

「科学技術基本計画」に基づき、関係府省の協力の下、総合科学技術会議が司令塔として先導して、一般会計・特別会計の科学技術予算(人文社会科学を含む。)を、各府省の枠を超え、優先的な分野に大胆に重点化・効率化する。その際、これまでの同会議による優先順位付けの成果を評価する。また、政策群の手法について、一層の活用を図る。「みらい創造プロジェクト」については、経済活性化のため、引き続き推進する。
競争的研究資金については、交付の審査基準を明確化するとともに、研究者に関するデータベースの活用や研究の実績より計画を重視するなど評価方法を改革し、将来ある若手研究者や質の高い研究に重点配分する。

(6) 知的財産の創造・保護・活用

知的財産戦略については、「知的財産推進計画2004」に基づき、官民一体となった模倣品・海賊版対策の強化等、引き続き、知的財産の創造・保護・活用を推進するとともに、業界の一層の近代化・合理化に向けた取組の強化等を通じて、コンテンツビジネスの振興を推進する。

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ