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第1部 「重点強化期間」の主な改革

1. 「官から民へ」、「国から地方へ」の徹底

(3) 地域の真の自立

(三位一体の改革)
「基本方針2003」に掲げられた基本的な方向に沿って、三位一体の改革に関する政府・与党協議会の合意(平成15年12月)を踏まえつつ、三位一体の改革を着実に推進していく。
地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やすとともに、国と地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築につながるよう、平成18年度までの三位一体の改革の全体像を平成16年秋に明らかにし、年内に決定する。その際、地方の意見に十分耳を傾けるとともに、国民への分かり易い説明に配意する。
全体像には、以下の点に留意しつつ、平成17年度及び平成18年度に行う3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的に盛り込む。
そのため、税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体に対して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討する。
国庫補助負担金の改革については、税源移譲に結び付く改革、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する改革を実施する。併せて、国・地方を通じた行政のスリム化の改革を推進する。その際、国の関与・規制の見直しを一体的に行うことが重要である。
税源移譲については、三位一体改革の一環として、平成18年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施する。その際、応益性や偏在度の縮小といった観点を踏まえ、個人住民税所得割の税率をフラット化する方向で検討を行う。
あわせて国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。
地方交付税については、地方団体の改革意欲を削がないよう、国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方の歳出を見直し、抑制する。一方、地域において必要な行政課題に対しては、適切に財源措置を行う。これらにより、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保する。また、地方団体の効率的な行財政運営を促進するよう、地方交付税の算定の見直しを検討する。
財政力の弱い団体においては、税源移譲額が国庫補助負担金の廃止、縮減に伴い財源措置すべき額に満たない場合があることから、実態を踏まえつつ、地方交付税の算定等を通じて適切に対応する。
地方の財政状況について、国民への迅速で分かり易い説明に一層配意する。

2. 「官の改革」の強化

(3) 行政改革

中央省庁等改革で設立された独立行政法人について、中期目標期間の終了に伴う組織・業務全般の整理縮小、民営化等の検討に平成16年夏から着手する。その際、特殊法人等改革推進本部参与会議の協力も得て、平成16年中に相当数について結論を得る。また、独立行政法人の運営費交付金について、透明性を向上させ、説明責任を確保する。

4. 「人間力」の抜本的強化

(1) 「人間力」強化のための戦略の検討

関係4大臣による若者自立・挑戦戦略会議等の場で、平成16年中に雇用や教育面での課題を含む「人間力」強化のための戦略を検討する。その一環として、雇用のミスマッチを縮小する施策に取り組む。
フリーター・無業者を重点に若年者の雇用・就業対策を強力に推進するとともに、個人の選択を機能させた若年者の能力開発施策の拡充、専門高校・国立高専の教育内容見直しと地域との連携強化等を行う。
少子高齢化社会の急速な到来等に対応するとともに、男女共同参画社会の実現を目指して、性別や年齢にかかわらず、仕事と生活のバランスをとりつつ、能力と意欲に応じて多様な働き方ができる環境を整備していく。
障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る。

(3) 教育現場の活性化等

(教育現場の活性化)
「確かな学力」の向上を図り、学習指導要領の不断の見直しを進めるとともに、高校等学校現場における体験学習や実習について、単位の認定など各学校の取組を促進する。また、幼児期からの「人間力」向上のための教育を重視する。
寄宿学校など寄宿を伴った教育活動を行う学校や宿泊を伴った共同生活を通じた体験活動等を推進する。
教員の給与や人数・配置に関する現行法の規定について、時代のニーズに応じた教育の質を確保するという本来の役割を果たしているかという観点を含め、その在り方を平成18年度までに検討し、結論を得る。
地域の創意工夫を活かし、学校の自由度を高めるため、平成16年度内を目途に、教育委員会の改革と合わせ、教育内容等に関する校長の権限強化と学校の外部評価の拡充に向けた方針を示す。
法人化等を契機とした各大学の時代のニーズに応えた多様な組織見直しや新たな改革の取組を促進すべく、政策目標の明確化、事後評価の確立、競争原理を機能させた支援等、高等教育・研究の活性化を図る。
大学の学部・学科の設置認可の弾力化について、平成15年度から施行された制度改正の実施状況等を踏まえ、平成16年度以降検討し、できる限り速やかに結論を得る。
各大学の自主的な検討に基づき、専門職大学院の拡充を図り、高度専門職業人材の養成を強力に推進する

(文化芸術・スポーツの振興)
文化芸術・スポーツについて、国民の豊かな感性や体力を育むとともに、国内外の人々を魅了する我が国の文化力の向上を図り、経済・社会の活性化にも資するよう、効果的かつ効率的な振興策を重点的に実施する。

(食育の推進)
「食育」を推進するため、関係行政機関等が連携し、指導の充実、国民的な運動の展開等に取り組む。

5. 「持続的な安全・安心」の確立

(2) 少子化対策の充実

人口減少の時代を目前に控え、家庭の役割を大切にし、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会を構築する。「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日閣議決定)に基づき、国の基本政策として少子化の流れを変えるための施策を強力に推進する。平成16年中に大綱の重点施策についての具体的実施計画を策定するとともに、高齢関係給付の比重が高い現在の社会保障制度の姿を見直す。また、保育については、児童の視点に立って、利用者の選択を機能させ、サービスの向上について施設間の競争を促す方向で情報公開、第三者評価等の施策を推進する。

(3) 健康・介護予防の推進

ゲノム科学・ナノテクノロジーの推進など健康寿命を伸ばす科学技術の振興を図るとともに、医薬品・医療機器について、治験環境の充実、承認審査の迅速化、後発医薬品市場の育成など関連産業の国際競争力の強化を図る。

(4) 治安・安全の確保

大規模災害、テロ、有事等に対する全国的見地からの対応の体制整備や、住民及びNPO等との協働による安心・安全な地域づくりを推進する。大規模地震対策、治山治水対策をはじめとする防災対策については、被害減少に向けた成果目標を設定し、そのために戦略的・重点的に施策を推進する。また、地域の防災拠点となる公共施設の耐震化等を推進する。
SARSをはじめとする新たな感染症といった国民の生命・健康を脅かす事態に対して、迅速かつ適切に対応できる体制を確保する。

(5) 循環型社会の構築・地球環境の保全

環境保護と経済発展の両立の観点を踏まえ、循環型社会の構築に向け、リサイクル対策、ごみの排出抑制、不法投棄対策等に引き続き取り組むとともに、環境教育を推進する。また、京都議定書の目標の達成を図るため、平成16年に「地球温暖化対策推進大綱」の評価・見直しを行い、必要な追加的対策・施策を講ずる。

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