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図書館の現状と課題

1.現状

1.図書館とは
   
   図書やCD等の視聴覚資料等をはじめとした必要な資料を収集し、分類を適切に行うなど整理し、保存して、貸出し等を通じて一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設。
(関連条文:図書館法第2条)

2.図書館の事業
   
   地域住民の学習活動を支援するため、例えば以下のような活動を実施。
   地域住民の自発的な学習活動に資するよう資料を収集するともに、貸出し、閲覧等を行うこと。
   図書やCD等の視聴覚資料、郷土資料等の様々な資料を適切に分類するとともに、目録を作成することなどを通じて整理すること。
   図書館資料について十分な知識を持った職員による、地域住民への利用相談の実施(レファレンス機能)。
   子どもに対する読みきかせ会の実施や郷土資料や地方行政資料等の展示会等の主催及びその奨励を実施すること。       等
(関連条文:図書館法第3条)

3.図書館の職員
   
   館長
   館の総括的な責任者として、図書館の館務を掌理し、所属職員を監督すること等を通じて図書館サービスの向上に努める必置の職員。
(関連条文:図書館法第13条)
 
   司書、司書補
   司書は、レファレンス等図書館の専門的事務に従事する職員であり、大学において図書館に関する科目を履修し、卒業した者及び一定の条件を満たした者で司書講習を修了した者が資格を有する。
   司書補は、司書の職務を助けるための職員であり、高等学校を卒業し、司書補講習を修了した者が資格を有する。両者とも図書館法上、専門的職員と位置付けられる。
(関連条文:図書館法第4条、第5条、第6条、第13条)

4.図書館への支援
  (1)施設の高機能化・活性化
   
1    学習情報拠点施設情報化等推進事業
   公民館等の社会教育施設における学習支援機能の高度化のため、エル・ネット受信設備等の整備費を補助。

  (2)図書館職員の資質向上
   
1    新任図書館長研修
   文部科学省、筑波大学、日本図書館協会との共催で、就任1年未満の新任図書館長を対象に、図書館の管理運営の向上及び情報提供サービスの高度化を図る研修を実施。

2    図書館地区別研修
   全国を6ブロックに分け、文部科学省と開催地の都道府県教育委員会との共催で、公立図書館の勤務経験3年以上の中堅司書を対象に、図書館業務の専門的な知識・技術の習得を図る研修を実施。

3    図書館司書専門講座
   文部科学省と社会教育実践研究センターとの共催で、司書等の社会教育専門職員を対象に、社会教育に関する専門的、技術的な研修を実施。

4    社会教育研修支援事業
   都道府県が実施する社会教育関係者対象の研修事業に要する経費を補助。

  (3)図書館活動の活性化
   
1    社会教育活性化21世紀プラン(新規)
   地域内の社会教育施設が中核となり、地域における課題を把握するとともに、その課題の解決に向けた総合的な社会教育事業を行うことを支援。
   支援は、地域・自治体からの提案を受けて実施し、また、優れた事例について、報告書を作成、配布することなどを通じて全国的な普及啓発を図る。

2    地域NPOとの連携による地域学習活動活性化支援事業
   行政とNPOをはじめとする民間団体との連携による地域学習活動の活性化を支援。

  (4)子どもの読書活動の推進
   
1 学校図書館資源共有促進ネットワーク事業(新規)
2 子どもの読書活動推進支援事業
3 全国子ども読書活動推進キャンペーン
4 生きる力をはぐくむ読書活動推進事業
5 子育て支援ネットワークの充実


2.課題

   
   司書のレファレンス機能等図書館サービスについてのPRが不十分であり、図書の貸し出しが主となっているのではないか。
   子どもの読書活動やビジネス支援といった新たなニーズへの対応がもっと必要ではないか。
    【参考1
図書館において情報通信技術を積極的に活用することにより、様々な新しいサービを提供することが可能になります。例えばインターネット等に接続することにより外部のデータベース等の情報提供ができ、また、ホームページを開設することにより地域住民が資料検索や電子化された情報そのものの閲覧ができるようなシステムを整備したり電子メールによるレファレンスサービスを行うことができます。」
(平成12年生涯学習審議会答申21(2)より抜粋)
「ベンチャー企業向けの実践型就業実習の実施や創業・技術経営(MOT)の知識習得のための実効的カリキュラム・講座・ビジネス支援図書館の整備等により、総合的な事業化、市場化支援を推進。
(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)
(他、平成13年「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」等でも指摘)
  【参考2
武蔵野市立図書館に関する市民意識調査(日本図書館協会調査報告書)
    図書館サービスに対する認知と利用
    「貸出し」 知らない 29.5% 利用した 35.6%
  「調査援助」       知らない       65.1%       利用した          5.9%
図書館独自のホームページがある図書館数(平成11年社会教育調査)
   192館(全図書館の7.5%
浦安市図書館利用者調査(日本図書館協会調査報告書)
    図書館の利用目的
      趣味・娯楽  77.4%    仕事・研究 34.3%    生活・実用 35.2%
   
利用者開放インターネット端末設置率(公共図書館協議会調査)
      都道府県立   36%    市立   26%    町村率   26%

   
   図書館未設置市町村の住民に対する図書館サービスが必要ではないか 。
    【参考1
市町村は、住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう、公立図書館 の設置(適切な図書館サービスを確保できる場合には、地域の実情により、複数の市町村により共同で設置することを含む。)に努めるとともに、住民の生活圏、図書館の利用圏等を十分に考慮し、必要に応じ分館等の設置や移動図書館の活用により、当該市町村の全域サービス網の整備に努めるものとする。」
(平成13年度「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」より抜粋。他、平成4年生涯審議会答申、昭和46年社会教育審議会答申1(2)でも指摘。)
  【参考2
「生涯学習に関する世論調査」(平成4年総理府(現内閣府))
生涯学習に利用するため、どんな施設があればいいですか
    図書館(1位)25.7%    体育館(2位)22.9%
  公民館(3位)22.3%  
図書館設置率(平成11年度社会教育調査)
   市(区)立   96.5%    町立   42.0%    村立   15.7%
10万人当たりの図書館数の先進各国との比較(日本図書館協会調べ)
アメリカ   5.77        カナダ       11.88        イギリス    8.83
ドイツ 17.48   イタリア    3.76   フランス    4.38
日本          2.13            

   
   情報化への対応など図書館司書の専門性の向上が必要ではないか。
  【参考1
       「専門職員は資料の収集整理保存提供及び情報サービスその他の専門的業務に従事し、図書館サービスの充実・向上を図るとともに資料等の提供及び紹介等の住民高度で多様な要求に適切にこ応えるよう努めるものとする」
 (平成13年公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準2(8)より抜粋。他、平成4年生涯学習審議会答申でも指摘)
  【参考2
   ・ 図書館職員のうち司書の割合(平成11年社会教育調査)   39.4%
司書の配置状況(日本図書館協会調べ)
   専任司書を配置している図書館   76.5%
外部研修への派遣状況(公共図書館協議会調査)
      派遣あり   42.9%(定期派遣4.9%)    派遣なし   52.2%
図書館内部での情報化研修の開催(公共図書館協議会調査)
   行っていない   88.8%


図書館の現状


図書館数
   我が国における図書館数は、平成14年度には約2,750館
設置率
   図書館の設置率は、平成11年度には都道府県立は97.9%、市(区)立は96.5%であるが、町立では42.0%、村立は15.7%
職員数
   図書館の職員数は、平成14年度には約27,000人となっており、1館当たり平均約9.9人の職員が配置されているところであるが、専門的職員である司書は1館当たり平均約4.0人の職員しか配置されていないのが現状
貸出冊数
   平成13年度間における貸出冊数は、約5億2千万冊となっており、国民一人あたり年間4冊ほど、図書館で貸出しを受けている状況

(1) 図書館数の推移
 
区分 都道府県立 市(区)立 町   立 村   立 組合立 法人立
平成2年度 1,950 70 1,275 521 48 3 33
平成5年度 2,172 66 1,392 619 59 2 34
平成8年度 2,396 66 1,473 745 74 5 33
平成11年度 2,592 65 1,548 856 89 3 31
平成14年度 2,744 64 1,616 929 99 8 28

(2) 設置率の推移
 
区分 都道府県立 市(区)立 町   立 村   立
昭和62年度 97.9% 88.8% 21.6% 7.8%
平成2年度 97.9% 91.0% 25.2% 8.2%
平成5年度 97.9% 93.6% 30.0% 10.2%
平成8年度 97.9% 95.8% 36.3% 13.0%
平成11年度 97.9% 96.5% 42.0% 15.7%

(3) 図書館職員数の推移
 
区      分 平成2年度 平成5年度 平成8年度 平成11年度 平成14年度
館長・分館長 1,807 2,042 2,254 2,482 2,645
   うち専任職員数(%) 1,050(58.1%) 1,188(58.2%) 1,278(56.7%) 1,380(55.6%) 1,417(53.6%)
司   書 6,401 7,529 8,602 9,824 10,977
   うち専任職員数(%) 5,773(90.2%) 6,528(86.7%) 7,058(82.1%) 7,386(75.2%) 7,317(66.7%)
司 書 補 383 429 443 425 387
   うち専任職員数(%) 345(90.1%) 364(84.8%) 370(83.5%) 313(73.6%) 253(65.4%)
その他の職員 7,740 9,339 10,758 12,191 13,271
   うち専任職員数(%) 5,929(76.6%) 6,364(68.1%) 7,048(65.5%) 7,106(58.3%) 7,304(55.0%)
合   計 16,331 19,339 22,057 24,922 27,280
   うち専任職員数(%) 13,097(80.2%) 14,444(74.7%) 15,754(71.4%) 16,185(64.9%) 16,291(59.7%)

(4) 貸出冊数の推移
  (単位:千冊)
 
区分 都道府県立 市(区)立 町 立 村 立 組合立 法人立
平成元年度間 266,021 10,027 234,319 20,340 396 545 394
平成4年度間 323,607 10,497 282,195 29,724 613 294 283
平成7年度間 404,161 12,873 342,786 46,424 1,198 340 539
平成10年度間 480,422 15,003 397,632 64,825 2,368 349 245
平成13年度間 520,831 14,994 424,818 76,783 3,421 558 257

   平成13年度間及び平成14年度の数値については、平成14年度社会教育調査中間報告に基づくもの。


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