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公民館の現状と課題

1.現状

1.公民館とは
   
   地域住民のため、地域の多様な学習課題に対応した学習機会、学習情報の提供等を通じて、地域住民の学習活動を支援する、地域に密着した施設。
(関連条文:社会教育法第20条)

2.公民館の事業
   
   地域住民の学習活動を支援するため、例えば以下のような活動を実施。
   地域住民のための様々な学習活動に対する学習講座の開設。
   大学の教員や有識者等による講演会、講習会を開催。
   地域住民のサークル活動などの様々な取組を支援するため、地域住民に場所等を提供      等
(関連条文:社会教育法第22条)

   但し、公立の場合、事業の実施に当たっては、政治的中立性や営利事業の禁止のほか宗教的中立性が求められる。
(関連条文:社会教育法第23条)

3.公民館の職員
   
   館長
   館の総括的な責任者として、公民館の行う各種事業の企画・実施に携わるとともに、館の職員を監督。必置職員。
(関連条文:社会教育法第27条、第28条)
 
   公民館主事
   公民館活動を展開する上で必要な専門的知識、技術、経験を有する者として、館長の命を受け、事業を実施。
(関連条文:社会教育法第27条、第28条)

4.公民館への支援
  (1)施設の高機能化・活性化
   
1    学習情報拠点施設情報化等推進事業
   公民館等の社会教育施設における学習支援機能の高度化のため、エル・ネット受信設備等の整備費を補助。

  (2)公民館職員の資質向上
   
1    社会教育研修支援事業
   都道府県が実施する社会教育関係者対象の研修事業に要する経費を補助。

2    社会教育研修事業
   文部科学省と社会教育実践研究センターとの共催で、公民館主事等の社会教育専門職員を対象に、社会教育に関する専門的、技術的な研修を実施。

3    優良公民館の表彰
   公民館のうち、特に事業内容・方法等に工夫をこらし、地域住民の学習活動に大きく貢献しているものを優良公民館として文部科学大臣が表彰し、今後の公民館活動の充実・振興に資するもの。昭和23年度より実施。平成15年度(第56回)現在、1,352館が表彰を受けている。

  (3)公民館活動の活性化
   
1    社会教育活性化21世紀プラン(新規)
   地域内の社会教育施設が中核となり、地域における課題を把握するとともに、その課題の解決に向けた総合的な社会教育事業を行うことを支援。
   支援は、地域・自治体からの提案を受けて実施し、また、優れた事例について、報告書を作成、配布することなどを通じて全国的な普及啓発を図る。

2    地域NPOとの連携による地域学習活動活性化支援事業
   行政とNPOをはじめとする民間団体との連携による地域学習活動の活性化を支援。

  (4)その他
   
1 地域と学校が連携協力した奉仕活動・体験活動推進事業
2 人権教育促進事業
3 生涯学習活動のIT化支援事業
4 地域社会人キャリアアップ推進事業
5 子育て支援ネットワークの充実
6 子育て学習の全国展開


2.課題

   
   公民館における活動に堅い、古いといったイメージがあり、利用しにくいと思われているのではないか。
【参考】
利用者数の推移

   
   家庭教育への支援や環境問題等の現代的課題に対する対応や学習の成果、知識・技能を生かすような機会の提供が必要。
   公民館等において、趣味や教養だけではなく就業等のための実践的・専門的な学習機会の提供が必要ではないか。

    【参考1
学級・講座の対象者別、学習内容別の開設状況(平成14年度社会教育調査中間報告)
全学級・講座数のうち下記の講座の割合は    
     「教養の向上」に関する講座    ・・・    59%
     「体育・レクリエーション」に関する講座 ・・・ 14%
     「家庭教育・家庭生活」に関する講座 ・・・ 10%
     「市民意識・社会連帯意識」に関する講座 ・・・ 6%
     「職業知識・技術の向上」に関する講座 ・・・ 5%

10年前との比較 (1993年)     (2002年)
     全学級・講座数 179,484   341,208
 
        うち教養の向上 94,925(53%)   200,208(59%)
        うち体育・レクリエーション 28,330(16%)   49,411(14%)
        うち家庭教育・家庭生活 23,935(13%)   34,679(10%)
        うち市民意識・社会連帯意識    12,921(7%)   19,931(6%)
        うち職業意識・技術の向上 8,194(5%)   18,379(5%)
  【参考2
館数比でみた学級・講座の企画者(公民館の運営に関する調査報告書   平成6年実績)
 
公民館主事 61.9% その他 9.4%
館長 39.2% 住民からの公募 7.8%
館長・主事以外の職員 30.8% 運営審議会委員 7.5%
社会教育指導員等 27.2% 企画委員会 6.9%
社教団体・サークル等 24.7% 公民館協力員等 5.6%
講座の参加者 16.4% 民間の企業・事業所等 4.7%
講座の修了者 11.7%    

   
   公民館職員の資質向上が必要なのではないか
【参考】
   「公民館は、住民と日常的、恒常的に接する社会教育の場であることから、学習機会の提供のみならず地域の課題の調査分析能力や住民ニーズを的確に把握する能力を持つことが期待される。このためには、館長、主事等の公民館の職員が社会教育全般についての広範かつ専門的な知識と経験を持つようにすることが大切であり、社会教育主事講習の受講等により社会教育主事となる資格を取得するなど、種々の研修機会を利用して専門性のある職員としての資質を向上させていくことが必要である。」
(平成10年生涯審答申第三章第2節より抜粋)

   
   NPOや民間営利事業者、高等教育機関等との連携・協力関係の促進が必要なのではないか
【参考】
   「民間の社会教育活動が活発化し、社会教育関係団体、民間教育事業者、ボランティア団体等が積極的な活動を行っている。これからの社会教育行政は、これら民間活動についての環境の整備や支援を行うとともに、ボランティア団体をはじめとするNPOを含め、民間団体との連携協力を進めることが必要である。」
(平成10年生涯審答申第二章5より抜粋)

   
   公民館施設の整備充実を図る必要があるのではないか
【参考】
施設の老朽化・狭隘、託児室等必要な施設の未整備、バリアフリー対応設備の未整備(平成11年度)
    昭和45年以前に建築された公民館数       ・・・    8,583館(47.0%)
  建物面積が330m2未満の公民館数 ・・・ 6,053館(33.2%)
  託児室を所有する公民館数 ・・・ 385館(2.1%)
  設備の保有状況    
       スロープ ・・・ 7,270館(39.8%)
       障害者用トイレ ・・・ 5,968館(32.7%)
       点字案内 ・・・ 957館(5.2%)


公民館の現状


公民館数
   我が国における公民館総数は、平成14年度には約1万8千館となっている
職員数
   公民館の職員数(事務職員等を含む)は、平成14年度には約5万5千人となっており、1館当たりの平均職員数は約3.0人であるが、そのうち専任の職員数は約1万3千人となっており、1館当たりの平均職員数は約0.7人となっている
利用者数
   平成13年度間における公民館の利用者総数は、約2.38億人となっており、国民一人あたり年間約2回は公民館を訪れている状況
学級・講座数
   平成13年度間における学級・講座数は、約34万1千学級・講座が開設されており、一貫して増加

公民館数の推移
公民館職員数の推移
利用者数の推移
学習内容別学級・講座の状況
   平成13年度間及び平成14年度の数値については、平成14年度社会教育調査中間報告に基づくもの。



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