資料 |
3. | 18歳以降の個人が行う奉仕活動等の奨励・支援 |
〜奉仕活動を日常生活の一部として気軽に行ってみよう〜 |
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(1) | 学生に対する奨励・支援等 |
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1) | 大学等による奨励・支援 | |
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教育活動としての取組 | |
ア) | 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(以下「大学等」という)などにおいて、地元自治体、地域の社会福祉協議会、国際協力団体、NPO、スポーツ団体、青少年団体等関係団体と連携協力し、ボランティア講座やサービスラーニング科目(注2)、NPOに関する科目等を開設することが望ましい。また、複数の大学等で協力し、こうした科目に関するモデルカリキュラムや教材等を共同開発することも適当である | |
イ) | インターンシップを含め学生の自主的な奉仕活動・体験活動について、大学等において、教育効果などを勘案しつつ、大学等の単位として積極的に認定することが求められる。 | |
ウ) | こうした取組に当たっては、特定教員のみならず全学的に教職員の啓発を図り大学全体で進めることが求められる。 | |
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学生の自主的活動に対する奨励・支援策 | |
大学等においては、学生の自主的な活動に対する奨励・支援策として以下のような取組を検討することが望ましい。 | ||
ア) | 学生に対する学内のボランティア活動の機会の提供 | |
大学そのものが最大の活動の場となり得る要素を備えている。例えば、学内の環境整 |
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 備、学内のコンピュータやネットワークに関する技術的サポートの支援、図書館、学内のスポーツ施設の地域住民への開放などでの業務支援、留学生や障害を持った学生に対する支援などにおいて、ボランティア活動の機会を積極的に学生に提供する。 | ||
イ) | 学生に対するサポート体制の充実 | |
 地域のボランティアセンター、学生関係団体等とも連携しつつ、大学内において、以下のようなサポート体制を整備する。 | ||
a)学生部等に情報提供、相談窓口の開設 | ||
b)大学等のボランティアセンターの開設(専任スタッフ、学生ボランティアの配置) | ||
(センターにおいては、(a)学生のボランティア活動に関する情報収集・提供、(b)学生向けプログラムの開発、場の開拓、(c)ボランティア養成講座等の開催等の事業を行うことが想定される) | ||
ウ) | 学生が活動を行いやすい環境の整備 | |
 セメスター制度(注3)、ボランティア休学制度(休学期間中の授業料の不徴収、在籍年数制限からの除外等)の実施、9月入学の促進、いわゆるギャップイヤー制度(注4)など学生が長期的なボランティア活動を行いやすい環境を整備する。 | ||
エ) | ボランティア活動に関する啓発 | |
 地域のボランティア推進団体等との連携協力によるボランティア活動に関するガイドブックの作成、ボランティアセミナー等の開催、入学時における学生に対するオリエンテーションなどボランティア活動に関する啓発を行う。 |
2) | 国等による奨励・支援 | |||
 上記のような大学等及び学生の取組を奨励・支援するため、例えば、以下のような取組が検討されることが望ましい。 | ||||
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大学等に対する国等の奨励・支援 | |||
・ | ボランティア教育や活動を積極的に推進する大学等に対する支援を行う(例:ボランティア関係カリキュラムやサービス・ラーニング科目の開発に対する支援等)とともに、学生関係団体による学生ボランティアに関するガイドブックの作成・配布を支援する。等 | |||
・ | 更に、今後、大学等の評価において、ボランティア等に係る教育の取組や学生の自主的ボランティア活動等への支援等を評価指標の一つとして適切に位置づけることも検討することが期待される。 | |||
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就職の際に評価 | |||
・ | 関係府省と経済団体等が連携協力し、公務員や民間企業の採用に当たって学生のボランティア活動実績をより一層重視することを明確にする。 | |||
・ | 関係府省と経済団体等が連携し、企業等に対し、学生に求める履歴書等にボランティア活動歴の有無を記載する欄を設けるよう呼びかけを行うとともに、国等の行政機関においては、履歴書等にボランティア活動歴の有無を記載する欄を設けることを検討する。 |
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(2) | 社会人に対する奨励・支援 |
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 希望する社会人が奉仕活動等に参加できる機会を整備するため、国、地方公共団体、企業等において以下のような取組が進められることが望ましい。 | ||
1) | 気軽に活動に参加できる職場環境の整備 | |
・ | 社会人が活動に参加しやすい環境の整備 | |
 長期間にわたる活動の実施に適したボランティア休暇制度の導入のみならず、(a)気軽に参加できる職場環境づくり(ボランティア参加のための定時退社の奨励、有給休暇の取得促進、サービス残業の解消など)(b)柔軟な勤務形態(短時間の継続的な活動の実施に適したフレックスタイム制など)の導入、その他以下のような取組を行うことが期待される。 | ||
・ | 社会人のボランティア活動の奨励 | |
・ | 地域の諸活動への親子、家族での参加を含めボランティア活動を幅広く捉える | |
・ | 社員が属している活動団体への助成、社員が活動支援のために団体に寄付する際に企業側が一定の上乗せをするなどの支援の拡大 | |
2) | 国等行政機関の奨励・支援策 | |
 社会人等の自発的・主体的なボランテイア活動を奨励・支援するために、以下の取組の一層の充実が望ましい。 | ||
・ | 社会人のボランティア活動等の機会に関する施策の充実(勤労者ボランティアセンターの事業や経営者団体・NPO等との連携による勤労者マルチライフ支援事業等) | |
・ | 社員のボランティア活動等を支援する企業の取組の事例の紹介、支援活動の導入に当たってのマニュアルなど社会人のボランティア活動を啓発するための方策 |
◇ | 公務員・教員のボランテイア活動等の奨励 | ||||||||||||||||||||||||||||||
 また、日常生活の一部として気軽にボランティア等を行うことができる社会的な雰囲気をづくりを推進するためにも、官公庁の職員や教員など公務員が率先してボランテイア活動等を行うことが奨励される。公務員にとっては、行政とは異なる側面で市民生活に触れることを通じて新たな社会との関わりを持つ場となる。教員にとってもボランティア活動等の経験を教育指導に生かすことができるとともに、一方で、文化・運動部活動等で培った指導技術を地域における活動に活用するなど、日常業務で得た経験を社会に還元することもできるなどの意義がある。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
 公務員や教員が自発的にボランティア活動等を行うことができる機会を整備するため、特に以下のような取組を検討することが望ましい。
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(3) | 個人が参加できる多彩なプログラム等の開発・支援 |
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1) | 青年・社会人向け長期参加プログラム |
 奉仕活動等を長期間にわたって行うことは、青年にとっては知識・技術を習得し将来の人生設計に役立てることができ、また、社会人にとっても視野を広げ新たな人間関係を構築し、転職を含め新たな人生を切り拓く契機となるものである。また活動を行う施設等においても、こうした活動に参加する青年や社会人を人材として期待できる。諸外国においても、こうしたプログラムが実施されている例もある。 | |
 関係府省、ボランティア推進団体等が協力して、例えば、以下のような国内外の長期の社会参加プログラムを創設することを提案したい。また、こうしたプログラムの経験者について、官公庁、企業等の採用において積極的な評価が行われることが期待される。 |
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2) | 身近に参加できる魅力あるプログラムの開発 | ||
 活動を行う主体や、活動分野などそれぞれの特性を踏まえつつ、参加者の能力や経験、興味や関心に応じて身近に参加できるよう多彩な活動の機会が用意される必要がある。 | |||
 このため、地域の支援センター、ボランティア推進団体、教育委員会、青少年団体など関係機関・団体が連携協力し、身近に参加できる多彩なプログラムの開発を行うことが期待される。 | |||
 活動プログラムの開発に当たっては、例えば若者を惹きつけることができるようゲーム性やエンターテイメント性を持たせたプログラムや、親子で参加できる活動など、活動に参加する者の特性に応じた配慮が必要である。また、プログラムのアイデアを公募したり、各分野で活動する多彩な人材の参加協力によるプログラムなどの工夫も求められる。 | |||
 更に、地域においては、環境保全、国際理解、高齢化社会への対応など現代的課題の学習機会が充実されてきており、また、IT普及国民運動の一環としての全国民を対象としてのIT講習が実施されたところである。こうした学習の成果等を活用した活動の機会の提供やプログラム開発についても検討することが適当である。 | |||
◇ | シニアボランティアの重視 | ||
定年退職後、社会とのつながりが弱くなり、その結果、社会や人生に対する興味を失い、孤独に生きる高齢者が少なからず見られる。今後、本格的に高齢化社会を迎える我が国において、高齢者が社会とのかかわりを維持し、活力を持ちながら生きることができるように、社会参加の場として高齢者のボランティア活動の機会を拡充していくことが必要である。ボランティア活動の機会の拡充やプログラムの開発等においては、常に、高齢者のボランティア活動への参加、すなわち、シニアボランティアの参加を重視した取組が求められる。 | |||
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公共施設等におけるボランティアの受け入れの促進 | ||
 近年、社会人、主婦、退職者等が、知識や経験、技術を生かして、地域の学校、社会教育施設、青少年教育施設、文化施設、スポーツ施設・病院などの公共施設においてボランティア活動を行う例が増えている。例えば、学校での教科や部活動の指導、地域でのスポーツや文化活動の指導、公民館、図書館等社会教育施設でのボランティア、博物館・美術館等でのガイドボランティア、スポーツ競技大会での組織運営・通訳など幅広いボランティア活動が行われている。こうした活動は個人の能力や経験、学習成果を生かし日常的に取り組めるものであり、ボランティア活動等の裾野を広げる上で意義が深い。また、地域に開かれた施設としての事業や運営の改善充実や活性化に資する面も大きい。 | |||
 このため、公共施設等においては、ボランティアの受け入れ・活用を組み込んだ事業の運営、施設の担当者の指定、ボランティア及び職員双方への研修、受け入れに必要な予算措置など必要な環境整備を行うことを求めたい。 | |||
 更に、特別非常勤講師制度、スポーツや文化の指導者派遣制度など学校教育への社会人の活用のための施策の一層の充実を図る必要がある。 | |||
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個人一般に対する奨励・支援 | ||
個人が、生涯にわたってボランティア活動を行うことを社会的に奨励し、また、経済的な側面も含めた支援等を通じて、こうした活動が持続的に行われる仕組みを検討していく必要がある。こうした観点から、試行的な取組として以下の取組を提起したい。 |
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ボランティア団体・NPO等への援助 | ||
 NPOやボランティア団体の活動の財源は、基本的には寄付や会費による収入が中心となっており、安定的な資金の確保のためには、ボランティア活動に対する個人等の寄付を促す税制上の優遇措置等の充実について検討が進められる必要があるが、個人の寄付を広く募る方策として、例えば、ボランティア推進団体等において以下のような仕組みについて検討することも考えられる。 | |||
・ | 幅広く民間企業の協力を得て商品にポイントを付加し、売り上げに伴うポイント数に応じて企業から団体に寄附するもの | ||
・ | カード会社、航空会社等の協力を得て、クレジットカードやマイレージカードのポイントをボランティア活動の財源として寄付できるようにするもの |
3) | 国際ボランティアの裾野の拡大 | |
国内におけるボランティア活動とともに、特に学生や退職者などを中心に開発途上国での援助活動や技術協力など国際ボランティア活動に対する関心が高まっている。国際ボランティア活動は、参加者個人にとって国際的な視野を広げ、多様な価値観の中で生きる寛容の精神を養うとともに、草の根レベルでの国際貢献を推進する上で意義が大きい。他方、参加者の語学や専門性の問題、受け入れ側のニーズとの関係など課題も多い。 | ||
今後、国際ボランティアの裾野を拡大していくために、国の関係行政機関、国際協力事業団、学校関係者、NGOなど関係団体等が連携協力し、次のような方策について検討することが望ましい。 | ||
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大学等における国際ボランティアの養成及び大学関係者の国際ボランティアへの積極的参加のための取組の充実 | |
大学関係団体、青年海外協力隊、NGO等が連携協力し、例えば、(a)大学等における国際ボランティア経験者の積極的活用(例:大学等の要請に応じ国際ボランティア経験者に担当教官やコーディネーター等として国際ボランティア講座や大学ボランティアセンター等へ派遣する「国際ボランティア養成人材バンク(仮称)」の設立等)、(b)受け入れ国のニーズの把握、語学や専門性の向上のための大学での指導体制、学生の参加の便宜等を勘案した国際ボランティアの養成のためのプログラムの開発、(c)教育援助や環境保全など専門性を生かし大学院研究科単位で参加し、青年海外協力隊の活動を支援する事業の拡充、(d)大学教員等がその専門性を活かし、NGO等の国際ボランティアに積極的に参加できるような環境づくりなどの取組を図る。 | ||
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シニア海外ボランティアの拡充 | |
シニア海外ボランティアの一層の拡充を図るため、都道府県や市町村の支援センターが、地域でのシニア海外ボランティアの募集や説明会等の開催等に協力するなど、連携協力を図る。 | ||
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学校教育における裾野の拡充 | |
青年海外協力隊やシニア海外ボランティア等、教員の国際ボランティアへの参加を一層拡充するため、派遣元である地方自治体の主体性を高め、より長期的な計画をもって派遣を可能とする更なる工夫や、より生産的効果のある派遣方法など現行制度の一層の改善を図る。また、児童生徒の国際理解教育や進路指導に国際ボランティア経験者等を社会人講師として活用する取組の充実を図る。 |
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