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資料

2. 奉仕活動・体験活動の捉え方
  〜奉仕活動・体験活動を幅広く捉えてみる〜

   「奉仕活動」を自分の能力や経験などを生かし豊かな人生を送るために行うものとして考え、「自分の時間を提供し、対価を目的とせず、自分を含め地域や社会などいわゆる「コミュニティ」のために役立つ活動」としてできる限り幅広く捉える。こうした観点から見れば、我々の周りには、専門的能力が必要なものや常勤で関わることが必要な活動から気軽に取り組める身近な活動まで様々な種類や形態の活動が存在している。ここでは、「体験活動」を含めこうした幅広い活動の総体を「奉仕活動・体験活動」と考えたい。
   また、奉仕活動には、活動に必要な物品やコーディネートに係る費用など一定の社会的なコストが生じるものであり、個々の事例により、適切に分担することも認められる。また、個人の自発性は奉仕活動の重要な要素であるが、様々なきっかけから活動を始め活動を通じてその意義を深く認識し活動を続けるという関わり方も認められて良い。

1 「奉仕活動・体験活動」の概念
     「奉仕活動」という用語をめぐっては様々な議論がある。例えば、「奉仕活動」は押し付けの印象を与えることから、むしろ個人の自発性に着目し「ボランティア活動」として捉えるべきではないかという意見がある。一方、青少年の時期には発達段階に応じて、教育活動として人や社会のために役立つ活動などを体験し、社会の一員としての意識や責任感を身に付けるようにすることも必要であり、そのようなことを考慮すると「奉仕活動」という用語が適当であるとする意見もある。
     しかしながら、用語の厳密な定義やその相違などに拘泥することの意義は乏しいと考える。
     我々は、「自分の時間を提供し、対価を目的とせず、自分を含め地域や社会などいわゆる「コミュニティ」のために役立つ活動」を可能な限り幅広く捉え、こうした活動全体を幅広く「奉仕活動」と捉えることとしたい。但し、活動を行う主体や活動の内容や性質等により、「ボランティア」、「ボランティア活動」という用語を用いることがよりふさわしい場合には、そのまま「ボランティア」「ボランティア活動」としても用いることにする。
     地域においては、例えば、自治会活動、青年団活動、消防団活動、祭りなどの伝統行事への参加など従来から行われている地域の一員としての活動もある。こうした観点から見れば、実際、我々の周りには、専門的能力が必要な活動や常勤で関わることが必要な活動から気軽に取り組める身近な活動まで様々な種類や形態の活動が存在している。
     また、特に初等中等教育段階での青少年の活動については、その成長段階において必要な体験をして社会性や豊かな人間性を育むという教育的側面に着目し、社会、自然などに積極的に関わる様々な活動を幅広く「体験活動」として捉えている。
     これらを踏まえ、本報告では、前述の「奉仕活動」とともに「体験活動」も含め、社会全体で奨励していくべき幅広い活動の総体を「奉仕活動・体験活動」と考えたい。
2 無償性・自発性の取扱い
     国民にとって「奉仕活動」の垣根をできる限り低くし、日常的な活動として参加できるものとしていく観点から、活動に関わる無償性や自発性の問題については、次のように捉えることが適当と考えられる。
     すなわち、「奉仕活動」、「ボランティア活動」とも、無償性が強調されがちであるが、このような活動を行う際には、交通費や保険料、活動に必要な物品やコーディネート等に係る経費など、一定の社会的なコストを要し、このコストをどのように分担するかについては、個々のケースにより、様々な判断があり得るものであり、実費等の一定の経費について、労働の対価とならない範囲で実費や謝金の支払いなど有償となる場合もあり得ると考えることができる。
     また、奉仕活動等においては個人の自発性は重要な要素であるが、社会に役立つ活動を幅広く捉える観点からすれば、個人が様々なきっかけから活動を始め、活動を通じてその意義を深く認識し活動を続けるということが認められてよいと考えられる。特に学校教育においては、「自発性は活動の要件でなく活動の成果」と捉えることもできる。

「新たな公共」を支える活動の例

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