〔6〕学校と教育委員会との関係の改善

(1)学校と教育委員会の関係の在り方

  • 学校が生徒・保護者のニーズや地域の状況に応じた教育を主体的に行い、保護者や地域住民に対して直接に説明責任を果たしていくためには、学校に権限を与え、校長のリーダシップの下で自主的な学校運営ができるようにする必要がある。教育委員会は、域内における教育の基本方針を定め、それに沿って各学校の自主的な教育活動を支援していくこと、また各学校間や学校地域間の連携の橋渡し役となることが必要である。また、教員の意欲を高めていくことが必要である。

(2)学校への権限委譲、裁量の拡大

  • 教職員人事に対しては、現在、校長は市町村教育委員会に対し、意見を言うことができ、市町村教育委員会は、内申を行うにあたり校長の意見を添付することとされている。今後、学校間の異動の担保や人事関係事務を学校が処理する際の負担、現在の職員の資質向上の重要性に留意しつつ、教職員の配置に対する校長の権限をさらに拡大していくことが望まれる。また、校長が教職員の能力や業績を適切に評価し、その結果を処遇に反映させていくことが望まれる。
  • 教育課程の編成や休業日の設定など、教育委員会の学校に対する承認事項については、平成10年の当審議会の答申以降、学校の管理規則の見直しにより、届出・報告事項へと改善が進んでいる。今後、さらに見直しを進め、教育内容等に関する学校の裁量を拡大していくことが望まれる。
  • 学校予算については、学校の企画や提案に基づいた予算の配分や、使途を特定せず総枠内で予算の使途を校長に委ねる裁量的経費の措置など、学校の裁量拡大が進んでいる。今後、各学校が特色ある学校づくりを進めるとともに、学校内における予算執行の改善を促すためにも、予算面における学校裁量の拡大をさらに進めることが望まれる。
  • また、学校の裁量拡大に伴って、教職員の配置の見直しや学校組織の強化など条件整備が必要である。

(3)学校評価の改善

  • 学校評価は、学校が自らの教育活動について自律的・継続的な改善を行うとともに、保護者や地域住民に対して説明責任を果たす上で重要である。また、保護者・地域・学校の三者が情報を共有し、学校運営に参画していく上でも重要である。
  • 学校評価は、平成14年度から努力義務化され、平成15年度間では9割を超える公立学校において実施されている。一方、自己評価の結果の公表が4割に留まるなど、課題も見られるところである。また、学校評価は、教職員による自己評価が基本となるが、それに加えて生徒や保護者、地域住民、さらには専門家など学校外からの評価を行うことも、教育活動を改善等に有効である。このため、今後、自己評価の実施とその公表を義務化することや、外部評価の実施について検討する必要がある。
  • なお、学校評価については、多面的な評価を行うようにすることが重要である。特に学校選択が行われる場合、一面的な学校評価の結果によって学校が単純に比較され序列化することのないよう留意する必要がある。

(4)学校に対する教育委員会の支援

  • 学校が充実した教育活動を行うためには、学校に対する教育委員会の支援が重要である。とりわけ、各学校の授業改善に対し支援していくことが重要であり、研究授業や校内研修などに対する派遣や定期的な学校訪問の実施など、指導主事による学校指導をより積極的に行うとともに、現職の教員の活用など指導主事による指導以外の方法により、学校における授業改善を支援していくことが望まれる。
  • これにあわせて、教育研究団体の育成や、カリキュラムや教材を開発するための場の提供など、教員が自主的に授業改善を行えるようような支援を行うことも望まれる。
  • また、学校事故や生徒指導上の問題が発生した際、学校だけでは対応が困難である場合がある。このような場合についても、教育委員会が学校と連絡を密にし、必要に応じて職員を派遣するなど、支援を行うことが望まれる。
  • さらに、校長会や教頭会を通じて学校現場の意見を吸い上げ、施策に反映することが望まれる。

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